どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年6月17日(月)新発売のカップ麺、東洋水産「マルちゃん正麺 カップ 油そば 〜旨コク醤油だれ “焼豚風味仕立て” 〜」の実食レビューです。
“湯切ったら生麺の味わい” 革新的な湯切りタイプのマルちゃん正麺カップがブランド初の「油そば」を新発売!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
マルちゃん正麺 カップ 油そば
「マルちゃん正麺(せいめん)」とは、 “いま抜群においしく、そして10年後・20年後も古びることなく愛され続ける即席麺” をコンセプトに発足したブランドで、乾燥麺でありながら生めん本来の自然な食感と味わいを実現した「袋麺」を2011年11月7日に発売。その当初からクオリティが高く、いっきに多くのファンを獲得します。
カップ麺タイプの「マルちゃん正麺 カップ」が初めて発売されたのは2015年10月5日、ずっとスープありのカップラーメン主体で展開されていましたが、2019年4月1日——ついに満を持す正麺カップ初の汁なしタイプ「マルちゃん正麺 カップ 焼そば」と「同 汁なし担担麺」を発売。そして今回の新商品「マルちゃん正麺 カップ 油そば」は、その第2弾(3作目)としてリリースされました。
袋麺の発売以降、『マルちゃん正麺でカップ麺ができないか?』という要望が何件も寄せられていたらしく、およそ4年の歳月をかけて研究開発に取り組んだ結果、袋麺の「生麺うまいまま製法」とは違う「生麺ゆでてうまいまま製法」の開発に成功。 以来、カップ入りタイプも袋麺と同じく軒並みハイクオリティで、なおかつコストパフォーマンスの高さから圧倒的な存在感を放ち続けています。
その汁なしバージョンが出たらヤバいだろうな——と、想像していた方も多いと思うのですが、どうやら単純に湯切り口を作るだけではダメらしく、なんと2年以上の歳月をかけて湯切りタイプ専用の新ノンフライ麺を開発。しかも第1弾は2品同時リリースだったので、「焼そば」と「汁なし担担麺」の麺は同じかと思いきや、きっちり別の麺を使い分けていました。
「焼そば」には透明感のある中太麺を、「汁なし担担麺」には太くて食べ応えのある麺を採用。焼そばソースはトマトケチャップをブレンドした甘濃い液体ソースとスパイシーな粉末ソースのWソース、担担スープは黒酢の酸味が特徴的で花椒の痺れも強めと対比を描くような味付けで、しかも期間限定のスポット商品ではなく “新定番のレギュラー商品” というのも大きな強み。
そして今回の新商品は「油そば」と王道を攻めてきたのですが、汁なしカップ麺の中でも市場が拡大し続けているジャンルです。それに味の特徴を表すサブタイトルも「旨コク醤油だれ “焼豚(チャーシュー)風味仕立て” 」と安定感を醸し出しているため、もしかすると今回も一発目から定番の座を前提に開発されたのかもしれません。
あいかわらずテーマカラーの金色パッケージで高級感のある雰囲気を訴求しているのですが、ラーメンタイプの正麺カップとは容器の形状が違っていて、ソースやスープを混ぜやすいように底の中心部がフラットなのも特徴。おそらく同社が手掛けるノンフライ麺を採用した油そばタイプのカップ麺は、今回の「マルちゃん正麺 カップ 油そば」が初めて。
醤油ダレのコク、油の質、焼豚風味仕立ての個性など、タレだけでも見所が多そうですね(※関連商品「マルちゃん正麺 カップ 焼そば」と「マルちゃん正麺 カップ 汁なし担担麺」は、どちらも実食レビュー済みです)。
開封
別添の小袋は「液体スープ」と「かやく」の合計2袋、かやくは先入れ・液体スープは後入れです。液体スープは温めるべきなのかどうか、フタの上に書いてある作り方や液体スープの小袋、また容器側面に表示されている調理方法にも記載されていませんが、動物油脂の豚脂(ラード)が含まれているため、お湯を注いでから待っている間にフタの上で温めたほうがいいかもしれません。
もちろん麺はノンフライ麺で、カップ麺だけの特許製法「生麺 “ゆでて” うまいまま製法」(特許5719064号)を採用。「生麺ゆでてうまいまま製法」とは、生の麺を茹でてから乾燥させ、乾燥麺でありながら生めん本来の味や滑らかでコシのある食感、そして箸で持ち上げた時の重量感も大きな特徴です。
2019年6月1日(土)の出荷分より、即席麺業界全体で各メーカーの希望小売価格3〜8%ほど値上がりした令和元年。湯切りタイプのマルちゃん正麺カップも例外ではなく、どれくらい値上げされているのかと思いきや、値上げ前は税別220円、値上げ後は税別225円と差額は5円でした(店舗によっては価格改定に便乗して実売価格30円以上の差額が生じていましたけど‥‥w)。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん正麺 カップ 油そば 製造者:東洋水産株式会社 製造所:関東工場(群馬県) 内容量:123g(めん90g) 商品コード:4901990363174(JANコード) 商品サイズ:縦180mm×横180mm×高さ77mm 発売日:2019年06月17日(月) |
麺の種類:ノンフライ麺(かんすい使用) スタイル:大判どんぶり型・正麺カップ湯切り専用 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:600ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:2袋(液体スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、こんにゃく、大豆食物繊維、植物性たん白、植物油脂)、添付調味料(しょうゆ、豚脂、植物油、ポークエキス、チキンエキス、香味油脂、醸造酢、砂糖、酵母エキス)、かやく(味付豚肉、なると、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、かんすい、レシチン、炭酸カルシウム、酒精、酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンE)、カラメル色素、クチナシ色素、増粘多糖類、香辛料抽出物、香料、ベニコウジ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(原材料の一部に小麦・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・りんごを含む) |
【本品原材料に含まれているアレルギー物質】小麦・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・りんご(特定原材料及びそれに準ずるもの) |
実食開始
先入れの「かやく」に入っているのはナルト、味付豚肉、斜め切りではない小さなネギとシンプルな構成。個人的に油そばの具材にはメンマが欲しかったりするのですが、タレのテーマが “焼豚風味仕立て” となっているように、あえてコストを分散させず、しっかりと豚肉に特化した具材を組んでくれたようにも思えますよね。
それから容器の底面がフラットになっていることに加え、湯切りしやすいように縁(ふち)の幅も広くなっているのが湯切りタイプ専用のポイント。ちょっと麺のほぐれにくさが気になったりもしたのですが、大きなナルトがクラシカルな汁なしラーメンのイメージを醸していています。ただ、まったく香りはトラディショナルではありません‥‥
東洋水産(マルちゃん)は昔から東京・武蔵野の名店「珍々亭」という油そば発祥の店と何度もタイアップしているのですが、それとは別物。液体スープを投入した瞬間から豚脂の芳ばしくて強烈な香りにクラッとしたくらい、クセの強い香りに驚きました。それでは、油の量や味の系統に注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(123g)当たり
熱 量:453kcal(カロリー) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
原材料名は「小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、こんにゃく、大豆食物繊維、植物性たん白、植物油脂」となっていて、あいかわらず「こんにゃく」を使っているのがマルちゃん正麺シリーズらしいポイントなんですけど、原材料名は「マルちゃん正麺カップ焼そば」や「マルちゃん正麺カップ汁なし担担麺」と同じ構成です。
イメージとしては「マルちゃん正麺カップ汁なし担担麺」寄りで、麺の加水率は高く、小麦の風味は芳醇ですし、箸で麺を持ち上げた時の重量感も正麺カップシリーズならではの臨場感。ただ、どういう構造になっているのか所々に写真のような結び目があり、ちょっとモタつく感じというか、湯切り直後の混ぜにくさ(ほぐれにくさ)が気になりました。
真夏日にエアコンのない部屋で調理した場合は大丈夫かもしれませんが、麺と麺の繋ぎ目になっている部分が完全に戻っていなかったので、ちょいちょい硬い食感に当たるのも気になります。サイズ感とスープの相性は問題ありませんでしたが、30秒くらい長めに待つ、そして湯切り前に麺をほぐしてから湯切りすると戻りムラが解消されるので、よかったら試してみてください。
スープ
「油そば」と「まぜそば」——それは “同じ食べ物で呼び名が違うだけ” という人もいれば “そもそも定義が違う” とこだわる人もいるのですが、個人的な見解は「『油そば』ごま油などの植物油が主体・トッピングはシンプル・最初から麺にタレや油が和えてある伝統的な様式 /『まぜそば』豚脂などの動物油脂が主体で魚粉などの味変あり・トッピングは多種多様・客が自分で混ぜる油そばの後に確立したスタイル」と区別しています。
その定義で話を進めると今回のスープは完全に「まぜそば」の系譜にあり、植物油もブレンドされてはいるものの、完全に豚脂がイニシアチブを握っている動物系のオイルが主体。しかも、その豚脂が “かなり強烈” で、もはや “豚臭い” レベル。食べ始め直後は醸造酢のアクセントを感じたものの、すぐに豚脂の波に飲み込まれて行方不明という凶暴性の高さ。
けれどもタレは丸みを帯びているため後味にキレはなく、しっかり麺を混ぜ終えた後は目に見えて容器の底に油が残るほどではないものの、一口目からギットギト。ごま油の芳ばしい香りやラー油のピリッとしたアクセントも目立っていませんし、 “焼豚風味仕立て” というよりも「セアブライレマスカ(背脂入れますか)?」みたいな。これ大丈夫なんですかね正麺カップ的にw
つい「珍々亭」のイメージや「マルちゃん正麺」のブランドコンセプトから、胡麻油の香りや酢の酸味が絶妙に効いたトラディショナルスタイルを想像していたんですけど、なんのなんの「真逆」。まぜそばを世に広めた立役者とも言える二郎系の名店「ジャンクガレッジ」にインスパイアされたかのような、人を選ぶほどガツンと攻め込んでくる豚脂の芳ばしさには強烈なインパクトを感じました。素人向けじゃないぞコレ‥‥
具材
「まぜそば」の場合、トッピングは魚粉やニラ、卵黄、のり、チーズ、にんにく、背脂、マヨネーズ、ベビースターなどなど、まぜそばジャンルのパイオニア「ジャンクガレッジ」や「麺屋はなび」の「台湾まぜそば」よろしく様々な具材が所狭しと入っている場合も多いのですが、今回はナルト、味付豚肉、ねぎとクラシカルな構成で、イメージとしては昔からある「油そば」の雰囲気。
ネギは小さく、さほど目立っていませんが、味付豚肉は定評のある東洋水産クオリティを踏襲。テーマによって部位を使い分けているのか偶然偏っているだけなのか定かではないものの、今回は脂身の部分が皆無に等しく、しかしながら分厚くて噛み応えのある赤身の部分がメインに入っていました。
味付けは醤油と砂糖でシンプルに甘辛く、味付豚肉の存在感で “なんとか「焼豚風味仕立て」になっている” くらい効果的。大きなナルトも嬉しい具材ですが、とにかくスープが強烈だったので、トッピングにはネギではなく「玉ねぎ」、もしくは味変アイテムとして「魚粉」「酢」「刻み海苔」「こしょう」「おろしにんにく」などの小袋を別添すると総合力が大幅にアップすると思います。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4)
私は「油そば」と「まぜそば」を区別しているのですが、今回は典型的な「まぜそば」の系譜にあるといっても過言ではなく、商品名から受けたイメージと中身のギャップが否めませんでした。それに「マルちゃん正麺」というブランド的にも胡麻油や酢を効かせている「珍々亭」ライクなオールドタイプが合っていたように思ったのですが、動物系まぜそばタイプの範疇としては上出来の★5で差し支えなく、そちらの路線を意識して食べるのがオススメ。
強烈な豚脂のインパクトは思いがけないサプライズで、マルちゃん正麺らしからぬ攻めのスタンスは印象に残りました。素人向けの製品ではないものの、幅広いアレンジに対応してくれそうな伸び代があり、ジャンクな動物系まぜそばとしての基礎クオリティは高かったです。勝手な憶測ですが、第3弾は「マルちゃん正麺 カップ 台湾まぜそば」なんかを予定していて、商品名に「まぜそば」が使えなかったのかもしれません。