どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2021年9月6日(月)新発売、東洋水産(マルちゃん)のカップ麺「本気盛 カタメコイメ濃厚豚骨醤油」の実食レビューです。
マルちゃんが “家系ラーメン” を「本気盛」で再現!? カタメコイメの横浜インスパイアを展開!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
本気盛 カタメコイメ濃厚豚骨醤油
本気盛(マジモリ)とは、マルちゃんの呼び名で知られる東洋水産の縦型BIGカップめんブランドで、2007年(平成19年)3月26日発売の「本気盛 豚骨醤油」及び「同 辛味噌」を皮切りに発足。大盛りの麺量や濃いめのスープに、FD(フリーズドライ)の野菜具材を搭載するなど、その当初から食べ応えを追求してきました。
今回の新商品「マルちゃん 本気盛 カタメコイメ濃厚豚骨醤油」は、30~40代の男性に刺さる “クセになる旨さ” を目指し、カタメ(麺硬め)とコイメ(味濃いめ)をテーマに開発された新作で、東洋水産のニュースリリースに明記されているわけではないのですが、そのテーマと赤いパッケージのカラーリングから察するに、家系(いえけい)ラーメンを意識したカップ麺と見て間違いありません。
家系ラーメンとは、神奈川県横浜市を発祥とする人気ご当地ラーメンで、1974年(昭和49年)創業の家系総本山「吉村家(よしむらや)」店主・吉村実(よしむら みのる)氏が考案したスタイル。本家公認の正当な暖簾分け店舗は “直系” と呼ばれ、吉村家の2号店「本牧屋(ほんもくや)」を出身とする “分家” のほか、独自の進化を遂げた “亜流系” と大きく分けて3つの流派が存在します。
たとえば家系総本山の流れを汲む “直系” を例に挙げると、濃口醤油のキレを効かせた醤油とんこつ味のスープを軸に、香り高い鶏油(ちーゆ)を合わせ、柔らかめに茹でたホウレン草と3枚の海苔をトッピング。麺は「吉村家」を救った酒井製麺の特注麺を使い、それを短めに切り出しているのも特徴で、本家に忠実な店では豚もも肉を燻製したスモークチャーシューを使っているのもポイント。
そこから派生した “分家” と呼ばれる一派は、家系御三家の一つに数えられた「六角家(ろっかくや)」を筆頭に、直系よりも背ガラのコクを強めた豚骨しょうゆ味のスープが特徴で、酒井製麺と契約している店も多いのですが、本家の特注麺とは仕様が異なります。その代表格である「六角家」の本店は倒産したものの、六角家でノウハウを学んだ有名店も多く、家系ラーメンを語る上で欠かせない存在。
そんな直系・分家とは直接的な関係を持たず、独自の進化を遂げた店舗は “亜流系” と呼ばれ、その代表格といっても過言ではない「壱六家(いちろくや)」の影響から、うずらの卵をトッピングしている店舗が多いイメージ。また圧倒的に豚骨の純度が高く、乳化感の強いスープを特徴としているため、コアなファンの間では賛否両論あるようですが、従来のスタイルとの差別化で確固たる地位を築きました。
ほかにも広範囲にチェーンもしくはフランチャイズ展開することで勢力を拡大してきた “資本系” と呼ばれる店舗もあり、その大半がセントラルキッチンで製造したスープを使用するなど、家系とは似て非なる区分として扱われることも多いのですが、それも全国に「家系」の存在を広めた要因の一つ。
そもそも「家系ラーメン」とは元来、総本山である「吉村家」と “その系列にある店舗の総称” とされていたのですが、いつしか “ラーメンのジャンル” として認知されるようになり、いわゆる資本系の進出はもちろん、即席カップめん業界が家系を模した商品に力を入れてきたことも多大に影響してきました。というわけで、そろそろ「本気盛」のレビューに戻りましょう。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、フタの上に貼り付けてある「特製スープ」が1袋。東洋水産のニュースリリースに “家系” の文字はなかったのですが、麺硬め(カタメ)と味濃いめ(アジコメ)は家系ラーメンにおける定番の注文方法で、○○家(や)という屋号の店が赤い看板を掲げる傾向にあることから、それをイメージしたカップラーメンなのだと推測。
またスープも濃厚な豚骨醤油味と “家系” を想起させる雰囲気を醸しているのですが、それに必須の海苔は別添されておらず、具材のラインナップも味付豚肉・キャベツ・ネギということで、ほうれん草は入っていません。スープに鶏脂を使っているようなので、やはり意識はしているようですが、その再現度が云々と評価に響かせないために、あえて家系を名乗らなかったのかもしれません。
メーカー希望小売価格は220円(税別)なので、2021年9月現在における縦型ビッグ製品の標準的な値段となっているのですが、東洋水産が公表している販売ルートは “CVS(コンビニエンスストア) 他” とのこと。筆者が立ち寄ったコンビニ大手4社の中では「ファミリーマート」と「ミニストップ」での取り扱いを確認しているため、販売店の参考にしてください。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん 本気盛 カタメコイメ濃厚豚骨醤油 販売者:東洋水産株式会社 製造所:株式会社酒悦 房総工場 内容量:113g(めん80g) 商品コード:4901990369589(JAN) |
発売日:2021年09月06日(月) 実食日:2021年09月09日(木) 発売地域:全国(CVS 他) 取得店舗:コンビニ(ファミリーマート) 商品購入価格:232円(税込) 希望小売価格:220円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙+プラ 湯量目安:440ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:1袋(特製スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、植物性たん白、卵白)、添付調味料(しょうゆ、ポークエキス、植物油、食塩、香味油脂、香辛料、砂糖、豚脂、鶏脂、発酵調味料、たん白加水分解物、酵母エキス)、かやく(味付豚肉、キャベツ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、カラメル色素、かんすい、pH調整剤、酒精、乳化剤、増粘多糖類、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC)、クチナシ色素、香料、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・りんご・ゼラチンを含む) |
実食開始
麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は熱湯4分。同社の「マルちゃん正麺(せいめん)」よろしく短めにカットされていた場合、家系らしさを演出することに寄与してくれそうですが、そうでなければ「本気盛」汎用の油揚げ麺である確率大。ひとまず “麺硬め” をテーマにしているため、力強い噛み応えに注目したいところ。
あとは内側の線まで熱湯を注ぎ、待つこと4分——。別添の「特製スープ」は後入れなので、フタの上で小袋を温めながら待ち、食べる直前に小袋の中身を加えて混ぜたら完成です。ほうれん草や海苔がトッピングされていないので、見た目の家系らしさは控えめですが、濃度の高い豚骨と鶏油の芳ばしい香りが食欲を刺激してくる実食前。
なお製造所は株式会社酒悦の房総工場(千葉県長生郡長南町美原台1-34)となっていますが、酒悦は東洋水産が1983年(昭和58年)7月から資本参加している連結子会社で、それを機にマルちゃんのカップ麺を製造するようになりました。それでは、引き続き「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(113g)あたり |
カロリー:504kcal たん白質:12.7g 脂 質:23.6g 炭水化物:60.3g 食塩相当量:6.8g (めん・かやく:2.2g) (スープ:4.6g) ビタミンB1:0.37mg ビタミンB2:0.39mg カルシウム:203mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:504kcal(めん・かやく:397kcal)(スープ:107kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
本気盛らしい油揚げ麺
「本気盛」は湯戻し5分の太麺も保有しているのですが、それと比較して密度が高いのは湯戻し4分の中太麺で、中心部までギュッと詰まっているような歯応えが魅力。その特徴は今回の油揚げ麺にも継承されており、食べ始めはコシのある歯応えが楽しめたものの、麺を啜り上げる際のストロークは既存の「本気盛」と大差なかったので、おそらく使い回しの汎用麺。
しかし、ひとつの油揚げ麺としてのクオリティが低いわけではありません。東洋水産の縦型ビッグに使われる油揚げ麺といえば、スープを蹴散らすほど無骨な自己主張の持ち主で、特に有名店の再現モノでは評価の足を引っ張る大きな要因となっていたのですが、それも過去の話。近年は食べ応えを打ち出しつつ、ご当店カップ麺にも汎用できるくらい、その根本から品質を見直しました。
麺に練り込まれた植物性たん白と卵白がコシの秘訣かな? ゆっくり食べると後半ちょっとフカフカしてくるのですが、逆にフライングするとスナック的な食感になってしまうので、熱湯4分きちんと守るのが安全。むしろ別添の特製スープを馴染ませた後、さらに1分ほど休ませたほうがナチュラルだったので、調理の際は参考にしてください。
スープ
それっぽいといえばそれっぽい
特製スープを入れる前、まずは粉末スープだけの味を確認してみたところ、豚骨醤油のバランスは圧倒的に豚骨が優勢で、まったりとした乳化系のクリーミーなテイスト。ポークエキスが粉末なので、その枠を出ないタイプの旨みではあるものの、鼻に抜ける香りだったり、余韻として残る骨っぽさだったり、きちんと豚骨らしさを感じます。
そこに別添の「特製スープ」を加えると、やや多めの動物油脂(ラード、鶏油)に由来する芳ばしい風味と粉末スープ単体では出せないコク、さらにロースト感のある濃口醤油のキレが重なって、なるほど「家系」っぽい雰囲気が無きにしも非ず。あえて区分するなら “資本系” に位置するタイプになってしまうのですが、濃いめの味とニンニクのエッジで中毒性は高く、白ご飯が欲しくなる味わいでした。
ときに今回の「本気盛 カタメコイメ濃厚豚骨醤油」と同じ週に “ファミリーマート先行” で発売された「吉祥寺武蔵家 家系MAX 豚骨醤油ラーメン」(寿がきや食品)は、アジコメ(味濃いめ)アブラオオメ(脂多め)カタメ(麺硬め)の王道を地で行くような家系ラーメンだったので、やはり比較すると見劣りしてしまうものの、これはこれと割り切れば悪くなかったです。
具材
ほうれん草は入れてほしかったなぁ‥‥
満足感のある “がっつり具材” もブランドコンセプトに含まれる「本気盛」なので、すこし量的な頼りなさを受けるのですが、東洋水産の得意とする甘辛い味付豚肉を筆頭に、みずみずしいキャベツとフリーズドライ加工のネギを採用と危なげないラインナップ。しかし、こっちの勝手な思い込みといわれたら、それまでの話ではあるものの、ほうれん草は入れてほしかったのが本音。
たとえばメインの味付豚肉にスモーク感を施すなど、そういった特別感もなく、もうちょっと個性的な具材を採用するとか、圧倒的な量で攻めるとか、もうひと工夫ほしかったのが正直なところ。明らかに「家系」を想起させるデザインのパッケージなので、それが違うと評価も変わっていたかもしれません。
総評
というわけで、パッケージのデザインや味のテーマも明らかに「家系」を意識した商品なのに、あえてグレーゾーンを狙ってきたような、コンセプトに中途半端な印象を受ける仕上がりといわざるを得ない今回。公式が「家系」と明記しているわけではなかった分、それを差し引いて評価したとしても「本気盛」的に具材のボリューム感が乏しいなど、もうすこし思い切りがほしかったです。
などと好き勝手に書きましたけど、単純に「おいしい」か「まずい」かでいえば前者。スープの項目で触れた「吉祥寺武蔵家 家系MAX 豚骨醤油ラーメン」と並べて販売しているファミリーマート店舗も多かったので、これを気に食べ比べてみると、味の好みだけでいえば「本気盛」かも‥‥という発見があるかもしれません【author・taka :a(大石敬之)】