どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年8月21日(月)新発売、東洋水産のカップ麺「マルちゃん 黒い豚カレー焼そば でか盛」の実食レビューです。
例の細めん採用で今年は過去最高傑作!? マルちゃんの和風丼カップめん「黒い豚カレー」の汁なしアレンジに新展開 “2023年は熱湯1分のスピード調理” を実現!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
黒い豚カレー焼そば でか盛 2023
黒い豚カレーとは、マルちゃんの東洋水産が展開する「赤いきつね」や「緑のたぬき」らと同じ “和風丼カップ麺シリーズ(旧・色シリーズ)” に属しているブランドで、1995年(平成7年)発売の「豚カレーうどん」にルーツを持つロングセラー。その後、1998年(平成10年)から正式に「黒い豚カレーうどん」という名称になり、現在に至ります。
今回の新商品「黒い豚カレー焼そば でか盛」は、マルちゃんの和風丼カップ麺シリーズにおける派生品として開発された一杯で、通年販売のカップうどん「黒い豚カレーうどん」の味わいを湯切りタイプのカップ焼きそばにアレンジ。ご存知の方も、そうでない方もいらっしゃるかと思いますが、この企画そのものは何年も前から続いているため、すこし歴史を振り返っておきましょう。
カップうどんの「黒い豚カレーうどん」は四半世紀前から存在していますが、その汁なし版である焼きそばタイプが登場したのは現在を遡ること14年以上、2009年(平成21年)6月1日の話。ターメリックやシナモン、カルダモン、バジル、ガーリックなどの香辛料を計14種類も使い、オリジナルよりもスパイス感を強めていましたが、隠し味に醤油を忍ばせることで「黒い豚カレーうどん」の魅力を踏襲。
2010年(平成22年)6月7日のリニューアル発売で従来よりもカレーの風味を活かす方向性に切り替え、具材に玉ねぎを追加し、一旦は生産を終了したものの、2011年(平成23年)6月13日に “お湯を2度入れして餡掛け風にする” 当時としては大胆な手法を取り入れた「黒い豚カレーとろつゆ焼そば」を発売するなど、定番のカップうどんとは異なる趣向を凝らしつつ、ブランドの伸長に貢献していました。
アイディア商品の「黒い豚カレーとろつゆ焼そば」がリリースされたのは1回だけと記憶しているのですが、その後も「黒い豚カレー焼そば」自体はコンスタントにリリースされているため、あの味わいを焼きそばにアレンジする企画そのものに目新しさはありません。しかし、2023年の注目すべきポイントは “湯戻し時間が熱湯1分に変わっている” こと。
東洋水産のカップ焼きそばにおける熱湯1分の商品といえば、1997年(平成9年)7月に “即席カップめん業界初の塩焼きそばカテゴリー” を開拓した「俺の塩(おれのしお)」が台頭で、セブンプレミアムの人気商品「1分湯戻し大盛ソース焼そば」にも使われている近年。そのため熱湯1分という湯戻し時間そのものにも新鮮味はないのですが、この「黒い豚カレー焼そば」に採用されたのは初めて。
定番の「黒い豚カレーうどん」には、隠し味に “マグロエキス” を使用しているのに対し、湯切りタイプの「黒い豚カレー焼そば」では基本的に魚介系のエキスを使わない方針なので、そこは異なるポイントになりますが、日本人の味覚嗜好性に配慮し “醤油で味を調えている” というのはオリジナルに共通するフレームワーク。
とろみの有無だったり、めんの種別だったり、もはや別物に変わっている項目もありますが、それでも「黒い豚カレーうどん」らしい魅力が伝わってくるのかどうかに注目しつつ、そもそも私この「黒い豚カレー焼そば」シリーズが大好きなのでw 己のバイアスにも注意しながらレビューします。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」に、後入れ「液体ソース」と「粉末ソース」によるWソース仕様も “こだわり” の一つ。東洋水産の湯切りタイプに粉末ソースが採用されていた場合、多くの商品で潤滑油となる特製油を組み合わせているのですが、このシリーズでは14年前から液体ソース+粉末ソースを採用しています。
麺は油で揚げたフライ麺で、パッケージにもあるように、湯戻し時間は1分と短め。調理前の見た目は先述の「1分湯戻し大盛ソース焼そば」や「俺の塩」などに共通する雰囲気で、精製ラードに由来する芳ばしさも東洋水産らしいと思える個性的なポイント。ちなみに商品名では「でか盛」となっていますが、麺重量は120gなので、たとえば廉価版の「ごつ盛り ソース焼そば」(めん130g)よりも少なめ。
湯切りタイプの汁なしカップ麺における麺重量は、90gだとレギュラーサイズ、大盛りサイズだと130gが事実上の標準となっているため、コスト調整で減量された感が否めません。ただ、直近だと袋麺の「カレーうどん 甘口」をベースにした「汁なしカレーうどん 大盛」(ファミリーマート限定・数量限定)の麺重量も120gだったので、今後は四の五の言えない状況になってくるかもしれません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん 黒い豚カレー焼そば でか盛 製造者:東洋水産株式会社 製造所:関東工場(群馬県館林市赤生田本町3831-1) 内容量:149g(めん120g) 商品コード:4901990375474(JAN) |
発売日:2023年08月21日(月) 実食日:2023年08月24日(木) 発売地域:全国(CVS・量販店・一般小売店 他) 取得店舗:スーパー 小売価格:271円(税別) 購入価格:235円(税込) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:角型ビッグ 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:720ml 調理時間:熱湯1分 小袋構成:3袋(液体ソース・粉末ソース・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、精製ラード、食塩、しょうゆ、卵白)、添付調味料(植物油、砂糖、しょうゆ、香辛料、デキストリン、たん白加水分解物、ポークエキス、食塩、野菜エキス)、かやく(味付豚肉、にんじん)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、カラメル色素、増粘多糖類、酒精、かんすい、乳化剤、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC)、香料、クチナシ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・豚肉を含む) |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、内容物は味付豚肉とニンジンのみ。めちゃくちゃ量が多いわけではないけれど、原料の高騰で大豆たん白加工品(フェイクミート)が当たり前のように横行している現在の即席カップめん業界において、本物の豚肉を使っているところは高得点。それに、思い返せば初代「黒い豚カレー焼そば」と完全に同じ構成なので、ある意味けっこうスゴいこと。
添付調味料は後入れなので、お湯を内側の線まで注ぎ、フタの上で「液体ソース」を温めながら待つこと1分。時間になったら麺の戻し湯を捨て「液体ソース」を軽く絡めてから「粉末ソース」を投入し、よく混ぜ合わせたら完成です。見た目は地味な色合いですが、こうやって見ると豚肉やニンジンの数は多く、深みのあるカレーの香りが食欲を刺激してくる調理直後。
さらに麺から滲み出る精製ラードの芳ばしさが相俟って、ぐんぐん期待値が上昇中なんですけど、そういえば味付豚肉ちゃんと戻ってるのかな‥‥w というわけで、そこらへんにも注目しつつ「めん」「ソース」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(149g)あたり |
カロリー:700kcal たん白質:14.0g 脂 質:34.6g 炭水化物:83.1g 食塩相当量:5.1g ビタミンB1:0.58mg ビタミンB2:0.46mg カルシウム:253mg |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
ほぼ確実に「俺の塩」と同じ
1997年(平成9年)に登場した初代「俺の塩」発売当時の湯戻し時間は “3分” で、1998年(平成10年)発売の三代目「俺の塩90」から “90秒” になり、2000年(平成12年)発売のトヨタ・2000GTパッケージ「俺の塩 2000GT」で “80秒” に短縮。その後、2002年(平成14年)発売の「新・俺の塩(青塩)」で “60秒” の湯戻し時間を実現し、現在に至ります。
以前は熱湯1分の焼きそば=俺の塩、そのイメージが強く根付いていましたが、先述したセブンプレミアムの「1分湯戻し大盛ソース焼そば」然り、他のブランドにも使われるようになってきた近年。今回の「黒い豚カレー焼そば でか盛」の例に漏れず、原材料名の構成や仕上がりから察するに「俺の塩」と同じ油揚げ麺という認識で問題ありません。
加水率が低めの質感から、粉末ソースを完全に馴染ませるまでに時間を要したり、全体的にモサッとしたり、好みによってはデメリットに感じるポイントもあるかとは思いますけど、後述するドライなソースとの相性は良好。精製ラードの芳ばしさも生麺や蒸し麺にはない魅力的なポイントで、それも含めて「黒い豚カレー焼そば」の世界観に合っていました。
ソース
醤油の使い方にワザあり
湯切り後、粉末よりも先に絡める「液体ソース」もカレー風味で、激しく人を選ぶようなスパイスは使用していない、どこか懐かしいタイプのテイスト。ただ、これ単体で味わってみると、液体しょうゆ特有のコクとキレがオリジナル以上に主張してくるので、冷静に味わってみると個性的。オイルも多めに充填されていますが、動物油脂のラードは使用していないため、内容量のわりに重たくありません。
味の決め手となる「粉末ソース」は、まさに「黒い豚カレーうどん」を彷彿とさせるカレー味で、マグロエキスの隠し味や魚介エキスも使っていないけれど、まろやかなスパイス感が心地好い、タイプでいうと袋麺の「カレーうどん 甘口」にも通じるフレームワーク。とろみは皆無に等しいというか、むしろドライな口当たりなので、ほぼ真反対のテクスチャーになりますが、文句なしでウマい。
ええ、文句なしで‥‥に関しては遠慮なくバイアスかかってますけどw 最終的に醤油のクセは隠し味の範疇に収まりながら、ささやかに日本人の本能に問い掛けてくる、などと小難しいことを考えながら食べるのも楽しいけれど、ただ漠然と食べても美味しいと思える普遍的な味わい。もしかすると、この絶妙な匙加減が「マルちゃん」の “妙” だったりするのかもしれません。
かやく
ちょっと豚肉が硬いけど許容範囲内
カップ麺に入っているニンジンといえば、多くの商品でコリコリとした食感が楽しめるのに対し、東洋水産のニンジンは基本的にクッタクタ。フランス産だからかな?(※他社のニンジンは中国産が多いけど、東洋水産はフランス産をメインに使用)。なにはともあれ食感が楽しめるタイプではないけれど、あらためて向き合ってみると甘みが強く、その優しい風味がドライなカレーソースにフィット。
片や味付豚肉は部分的に硬かったので、もうちょっと長めに戻したい気持ちにもなりましたが、歯にダメージを負うほど硬いわけではありません。醤油と砂糖による甘辛い味付けは、醤油で味を調えたカレーソースとの親和性が高く、商品名の「豚」を成立させることにおいても効果的。焼きそばで定番のキャベツは熱湯1分だと戻らないことが多いため、そういった意味でも好感が抱けるラインナップです。
総評
東洋水産のカレー味は、どうにも無条件で3割増くらい美味しく感じてしまうので、かなりセーブしたつもりなんですけど、可能な限り客観的に評価した結果、上出来の「★5」が適切だと判断した次第。添付調味料の方向性は従来と大きく変わっていませんが、熱湯1分の細麺に変わったところは劇的で、待ち時間が短くなったり、サクッと食べられる感じだったり、これまで以上に夏らしい仕様になりました。
これまで以上に喉が渇きやすくなりましたけどw メリットを思うと来年以降、夏は引き続き熱湯1分で問題ないと思いますし、可能であれば “特製カップスープ付き” みたいなリニューアルにも期待したいところ。そして、秋・冬向けに夏の1分と対を成す「黒い豚カレーとろつゆ焼そば」を復活させるなど、さらなる展開にも期待しています。マジで、お願い【author・taka :a(大石敬之)】