どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年11月25日(月)新発売のカップ麺、東洋水産「マルちゃん 謹製 松茸香る鱧だしそば」の実食レビューです。
2019年に生まれ変わった「謹製」新シリーズ第3弾は高級な秋の味覚を贅沢に味わう “土瓶蒸し” がテーマ!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
謹製 松茸香る鱧だしそば
マルちゃんの「謹製(きんせい)」シリーズとは、「鶏だし水炊き風うどん レトルト鶏肉入り」(2001年1月発売・どんぶり型)や「豚コク味噌ラーメン」(2001年前期発売・縦型ビッグ)を前身とする息の長いシリーズで、当時のパッケージに “謹製” というロゴマークは印刷されていたのですが、あくまでもデザインとして採用されていたもの。
東洋水産が初めて商品名に「謹製」の名を冠し、ひとつのシリーズとして正式にスタートさせたのは、2001年8月6日発売の初代「謹製 濃厚白濁とんこつラーメン」からの話。それから約14年間、コンスタントに新商品が開発されていたのですが、2015年5月4日発売の「謹製 辛ダレ鶏しお」を境にピタッと新作のリリースが止まります。
2015年5月までの「謹製」は、スープの美味しさにこだわりながらも男性向けの商品として食べ応えを重視する傾向にあり、同社の「本気盛(マジモリ)」シリーズとコンセプトのカニバリを起こしていました。しかし、一時的な休止から4年ぶりの復活を遂げた2019年4月15日発売「謹製 山椒香る塩そば」から “女性層やあっさり系を好むユーザーにぴったりな一品” としてコンセプトを刷新。
まさに狙い通り「本気盛」とコセンプトの差別化を図ることに成功したのですが、2019年10月7日に発売された続編の第2弾「謹製 山椒香る塩焼そば」では “女性” や “あっさり” といった2019年版のテーマとは裏腹な食べ応えのある汁なしカップ麺で、味は悪くないけど生まれ変わった謹製シリーズ的にいいのかな? という豪快な一杯でした。
そして今回の2019年版・第3弾「謹製 松茸香る鱧だしそば」は、製品スタイルを再び縦型ビッグに戻し、「謹製」の名に相応しい秋の料理「土瓶蒸し」をテーマに掲げ、素材も土瓶蒸しの王道「松茸」に「鱧(はも)」と豪華な布陣。松茸の旬(9月〜10月)は過ぎてしまいましたが、名残の鱧は晩秋(10月下旬〜12月初旬)が旬なので、発売日ギリギリセーフといったところ。
遡ること1953年(昭和28年)3月、当初は横須賀水産株式会社として築地市場に創業した現在の東洋水産は、社名の通り水産物の取引及び輸出と加工食品(魚肉ソーセージ等)の製造・販売が主な事業内容で、1962年(昭和37年)より「マルちゃん」ブランドでインスタントラーメンの製造・販売を開始しています。つまり、昔から魚介系の出汁(だし)に強いメーカーなのがマルちゃん。
定番の煮干しや鰹(カツオ)はもちろん、鯖(サバ)や鯛(タイ)、中には珍しい河豚(ふぐ)の出汁を採用したカップうどんを出したこともあるのですが、実は現在しれっと廃盤になった「四季物語(しきものがたり)」シリーズより、「マルちゃん 四季物語 夏限定 はもだし塩らーめん 梅風味」という鱧だし系のカップ麺を2016年6月27日にリリースしたこともありました。
なので、実は今回がカップめん史上初の鱧だし系ではないですし、松茸は香料(松茸フレーバー)使用となっているのですが、原材料名を見ると添付調味料の筆頭に「はもエキス」を立たせ、さらに「かつおエキス」「さばエキス」「むろあじエキス」と魚介で畳み掛けるような構成の今回。また四季物語ではスーパー向けの商品だったので、今回は気合の入れようが違います。
開封
別添の小袋は、後入れ仕様の「液体スープ」が1袋。東洋水産の公式ニュースリリースに記載されている発売エリアは、全国のCVS(コンビニエンスストア)や量販店、一般小売店他となっているため、特に販路が限定されているわけではないのですが、縦型ビッグ(大盛)製品はコンビニでの需要を想定して開発されているのが基本。
それに今回は各社コンビニでも取り扱い店が多く、実際に立ち寄ったコンビニ大手4社の中では「セブンイレブン」「ファミリーマート」「ローソン」「ミニストップ」すべての企業で販売を確認しました。一部地域によっては売ってない店舗もあるかとは思いますが、いずれのコンビニでもエンカウント率が高かったです。で、いざ開封した瞬間——
永谷園w(※松茸の味お吸い物系)香りのベクトルは、例の顆粒出汁に熱湯を注ぐ前の香りと同じようなタイプで、厳密にいうと松茸の香りじゃないんだけど、なんの香りかと聞かれたら松茸の香り。もはや遺伝子レベルで組み込まれている松茸の香り風たるや‥‥と、それだけでなく意外と海老も大きめで、なかなかの謹製具合。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん 謹製 松茸香る鱧だしそば 販売者:東洋水産株式会社 製造所:株式会社酒悦 房総工場(千葉県長生郡長南町美原台1-34) 内容量:95g(めん70g) 商品コード:4901990364720(JANコード) 商品サイズ:縦108mm×横108mm×高さ122mm 発売日:2019年11月25日(月) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙+プラ 湯量目安:460ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(液体スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、しょうゆ、卵白)、添付調味料(魚介エキス(はもエキス、かつおエキス、さばエキス、むろあじエキス)、しょうゆ、乳糖、食塩、チキンエキス、ポークエキス、たん白加水分解物、粉末かつおぶし、植物油、こんぶエキス、しいたけエキス、砂糖)、かやく(味付鶏肉だんご、えび、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、かんすい、増粘多糖類、酒精、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC)、クチナシ色素、カラメル色素、香料、パプリカ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部にえび・小麦・卵・乳成分・ごま・さば・大豆・鶏肉・豚肉・りんご・ゼラチンを含む) |
実食開始
麺は熱湯3分の油揚げ麺を採用しているのですが、同じ縦型ビッグでも脱・本気盛を果たした「謹製」に使用されている麺は現在の次世代型フライ麺。おそらく新生第3弾にして麺が退化しているとは考えにくいため、油揚げ麺でも松茸の香りや鱧の出汁を大幅に阻害することなく伝えてくれることでしょう。
東洋水産の商品概要曰く “食べごたえのある角麺に、昆布、かつお、鱧の旨味に松茸の香りを利かせ、土瓶蒸しをイメージしたあっさりスープがマッチします。日本の秋の山の幸・松茸と、海の幸・鱧を合わせ、季節を感じていただける高級感ある味わいに仕上げました。” とのこと。液体スープは後入れなので、うっかり熱湯を注ぐ前に入れないように注意してください。
さて、おおむね容器側面のイメージ写真どおりに仕上がった調理直後。すでに松茸フレーバーは明白なので、鱧だしの打ち出し方に注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。前回と前々回の詳細につきましては、関連記事「謹製 山椒香る塩そば」及び「謹製 山椒香る塩焼そば」のレビューをご参考ください。
栄養成分表示:1食(95g)当たり
カロリー:385kcal |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:385kcal(めん・かやく:310kcal)(スープ:75kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
食べ始めは緩やかに縮れていますが、後半にかけて馴染んでくるとストレート麺に近く、かつて暴君と呼ばれていた——ことはないかもしれないけれど、旧・本気盛の麺でネックとなっていた粗暴で無骨な油揚げ麺の面影はありません。むしろ「上品」という表現がよく似合う、最先端の技術が導入された「謹製」の名に相応しい質感です。
食べ始めから食べ終わるまで、しなやかなアシ(伸び)と力強いコシ(弾力)が続き、油で揚げた麺にもかかわらず、しっかりと内部の気泡は外に押し出されているような密度の高さ。油揚げ麺特有の風味が皆無とは言えないけれど、その風味ですらコクとして楽しめるような打ち出し方で、旨味のニュアンスを阻害しないのが最大の利点かもしれません。
ただし、麺の持つポテンシャルを最大限に引き出すためにも “ぜったいにフライングしない” のが条件。この麺は30秒でも早く開けてしまうと縮れが強く残り、加えて部分的に戻りムラが生じてしまいます。むしろ1分くらい長めに待つ(※いったん3分で麺をほぐしてから1分ほど休ませる)くらいがベストなので、ちょっと気長に調理してみてください。
スープ
液体スープを入れる前から意外と塩気が強く、繊細な土瓶蒸しの雰囲気を表現しながらも “ちゃんとラーメン” で、しょうゆは薄口につきジャンルは塩ラーメン。最初から粉末かつお節が仕込んであるため、このまま意外と最後まで違和感なく食べ切れちゃいそうな味わいではあるものの、液体スープを入れた途端に独特の魚介エキスがイッキに主張を始めます。
小袋の中身は乳白色の高粘度な液体で、タレと油脂が分離しているようなタイプではありません。チキンとポークが土台を支えてはいるものの、圧倒的に魚介エキスが旨味成分の筆頭で、その中でも一際目立つのが鱧(はも)の旨味。イメージとしては、身ではなく “炙った鱧の中骨から出汁を取っている” ような味わい。
ほんのりと芳ばしい中骨特有の旨味が軸にあるのですが、その芳ばしさは鯛出汁ほど強いものではなく、脂っぽさもありません。上品で淡白な、けれども乾物系の出汁を思わせる芳ばしさが一般的な鮮魚出汁やフグ出汁との違いを明白にしています。とりあえず地味に塩気が強かったので、ほんのすこし熱湯を余分に沸かしておくと安心かもしれません。
具材
具材は味付鶏だんご、えび、大きめカットのネギとシンプルな構成で、たまたま今回は3尾の海老が大・中・小きれいに揃いましたが、海老の数とサイズは基本的にバラバラです。それに、味付鶏だんごの数やサイズにもバラつきが生じてくるかとは思いますが、いずれのサイズでも鶏だんごの味と食感については間違いありません。
ふわふわとした優しい歯触りで、しかしながら悪い意味でのザラついた舌触りを覚えさせるような安っぽい弾力ではなく、味付けは生姜が効いた濃いめの味。鶏肉の臭みがスープの鱧出汁を駆逐することもないですし、塩味の和風スープとも相性がよくて、毎度お馴染み安心と信頼の実績を誇る東洋水産クオリティです。
しかし、ちょっと海老については良し悪しのところがあります。松茸フレーバーの存在感は海老以上なので、あくまでもスープ全体における海老の立ち位置はサブではあるものの、小さい海老を食べた時に感じた雑味が舌を曇らせてきて、それがすこし残念だったかなと。それに、雑味が気になったのは最小サイズの1尾だけでしたが——
同じ店で同じ日に買った「謹製 松茸香る鱧だしそば」(2つ目)には小さいエビが7尾くらいだったので、ちょいちょい雑味の主張が多かったです。中には海老の芳ばしさとスープの鱧(中骨)が相乗効果を発揮していた瞬間もあったんですけど、鱧と松茸を活かすのであれば、海老をカットして鶏団子1.3倍増し+柚子皮 or すだち系のアクセントが無難だったかもしれません。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5)
鱧だしは身を湯引きにして取った出汁というよりも中骨の旨味だったので、土瓶蒸しの出汁とはイメージが異なるのですが、だからこそ全体のベクトルが「ラーメン」らしく、松茸の香りについては某お吸い物よろしく香料でバッチリ。途中で一部のエビがフェイントかけてきましたが、麺は現状これといって文句の付け所が見当たらないクオリティの高さですし、よくできた良品だと感じました。
鱧は日常的に慣れ親しみのある旨味ではないけれど、それだけに特別で、一般的なカップラーメンに使われている節系・煮干し系はもちろん、鯛やフグとも違う淡泊で上品な旨味に鱧の個性を感じました。次回、2019年12月9日発売の第4弾「謹製 豚そば」は、近年の新トレンド “豚清湯(透明な豚骨ラーメン)” をテーマにした変わり種なので、引き続き注目のブランドですよ。