どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2020年7月21日(火)新発売のファミリーマート限定カップ麺、明星食品「鬼金棒監修 カラシビ味噌らー麺」の実食レビューです。
ファミマ限定「鬼金棒」監修のカップラーメンが製造者を鞍替えして復活!!
辛い? 辛くない? 実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
鬼金棒 カラシビ味噌らー麺 2020
鬼金棒(きかんぼう)とは、東京都千代田区・神田に本店を構える “カラシビ味噌らー麺” が名物の人気店で、創業は2009年9月17日。鬼金棒の創業者である三浦正和(みうら まさかず)店主は、2002年9月1日にオープンした「麺屋武蔵 二天(めんやむさし にてん)」の初代店長という経歴を持ち、そこから独立するかたちで満を持す「カラシビ味噌らー麺 鬼金棒」をオープンしました。
「カラシビ味噌らー麺 鬼金棒」のコンセプトは、辛くて痺れるスパイスを駆使し、人に伝えたくなるような “五感で楽しむ” らー麺。その本店で提供していた期間限定の “つけ麺” が予想を遥かに上回る反響を呼んだ結果、2010年11月13日に初の支店である2号店「カラシビつけ麺 鬼金棒 神田店」を本店の3軒隣に開業し、2011年10月に三浦店主が代表取締役を務める運営母体「株式会社鬼金棒」を設立。
2014年7月31日には3号店の「カラシビ味噌らー麺 鬼金棒 池袋店」を立ち上げ、2015年3月には台湾で海外進出となる「カラシビ味噌らー麺 中山店」及び「カラシビつけ麺 松江南京店」を同時に展開し、日本のみならず海外でも根強いファンを獲得。2020年7月に「カラシビ味噌らー麺 神田本店」と「カラシビつけ麺 神田店」を店舗統合し、名称を現在の「カラシビ味噌らー麺・つけ麺 神田本店」に変更しました。
そんな「鬼金棒」から初めてカップ麺が発売されたのは、2号店の「カラシビつけ麺 鬼金棒 神田店」がオープンした月と同じ2010年11月で、製造は凄麺(すごめん)シリーズを展開している “ニュータッチ” ことヤマダイ株式会社。初代カップ麺は「激辛KING 鬼金棒 カラシビ味噌らー麺」という商品名で、販路はコンビニのスリーエフとミニストップ限定のPB商品として展開。
しばらく鬼金棒のカップ麺はヤマダイの担当で、2013年12月10日にファミリーマート限定商品として「凄旨 鬼金棒 カラシビ味噌らー麺」を発売し、2015年8月25日にも同じ商品名のカップ麺を再びファミリーマート限定でリリース。どちらも麺はノンフライ麺で、スープは唐辛子の辛さよりも花椒の痺れが強く、2013年12月発売品には実店舗でも特徴的な “ヤングコーン” を使用していましたが、2015年8月発売品ではカット。
続けて2016年7月19日にシリーズ初の湯切りタイプ「鬼金棒 カラシビまぜそば」が登場し、当時のカップめん業界でもブームになっていた “パクチー” を採用。2017年7月25日発売の「凄旨 鬼金棒 カラシビ味噌らー麺」からカップラーメンに戻り、それまで別添されていたシビレ油だけでなく、新たにカラシビスパイスを別添するなど、いずれもファミリーマート限定発売でマイナーチェンジを繰り返していました。
2018年11月6日発売の「凄旨 鬼金棒 カラシビ味噌らー麺」もファミリーマート限定発売のPBカップ麺で、前作に別添されてうた “カラシビスパイス” は2015年8月にカットされた具材のヤングコーンが復活。2019年にはカップ麺の販売がなかったので、おそらく2020年には再販されるだろうと楽しみにしていたのですが、ヤマダイの製造は2018年11月発売品をもって幕を閉じます——
今回の新商品「鬼金棒監修 カラシビ味噌らー麺」は、株式会社鬼金棒と明星食品株式会社の共同開発商品で、引き続き同店の “カラシビ味噌らー麺” を再現したファミリーマート限定商品として発売されたのですが、製造者の鞍替えだけでなく容器の形状も大判どんぶり型から縦型ビッグに刷新。事前に調べてみたところ、これまでに明星食品と鬼金棒がコラボした記録は見当たりませんでした。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、後入れの「調味油」が1袋。鬼金棒では厳選された6種類の唐辛子を特徴に合わせて調合しているらしく、そこに香辛料をブレンドしたオリジナル唐辛子スパイス「カラ」及び和歌山産ぶどう山椒と四川産花山椒(花椒)に香味野菜を合わせて作り上げた痺れ油の「シビ」が特徴で、カップ麺のパッケージにも “小さなお子様や辛味が苦手な方は充分ご注意ください” と定番の警告文を記載。
実店舗の “カラシビ味噌らー麺” には、鬼の金棒に見立てた前述のヤングコーンをはじめ、角煮のように柔らかい豚バラ肉のチャーシューに青ネギや白ネギ、生のニラ、もやしは中華鍋で炒めたものをトッピング。対する今回のカップ麺にヤングコーンは入っていませんが、もやしとニラは共通で、肉具材にはダイス状のミンチ肉を使用しています。ただ、ちょっと量は少なめ。
2020年7月現在、今回と同じような縦型ビッグのカップラーメンをコンビニで購入すると、税込価格は232円が平均となっているのに対し、ファミリーマート通常価格は212円(税込228円)と良心的な値段。ファミリーマートでしか売ってないカップ麺なので、販売ルートは限られますが、人気店監修のため取り扱っている店舗は多いかと思います。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:鬼金棒監修 カラシビ味噌らー麺 販売者:明星食品株式会社 製造所:西日本明星株式会社 神戸工場 兵庫県神戸市東灘区深江浜町34-2 内容量:103g(めん70g) 商品コード:4902881475938(JAN) |
発売日:2020年07月21日(火) 実食日:2020年07月23日(木) 発売地域:全国 取得店舗:コンビニ(ファミリーマート) 商品購入価格:228円(税込) 希望小売価格:212円(税別) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙 湯量目安:380ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:1袋(調味油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、植物性たん白、卵粉)、スープ(みそ、糖類、食塩、デキストリン、豚脂、香辛料、ポークエキス、香味油、大豆加工品、香味調味料、植物油脂、乳等を主要原料とする食品、酵母エキス、たん白加水分解物、チーズ、かつおぶし粉末)、かやく(味付豚肉、キャベツ、もやし、ニラ)/ 加工デンプン、トレハロース、調味料(アミノ酸等)、増粘多糖類、香料、かんすい、炭酸カルシウム、乳化剤、香辛料抽出物、カロチノイド色素、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンE)、炭酸マグネシウム、酸味料、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に卵・乳成分・小麦・えび・ごま・大豆・鶏肉・豚肉を含む)※本品製造設備では、かにを含む製品を生産しています。 |
実食開始
今回は利便性の高さを考慮したコンビニ向けの縦型カップ麺ですが、油で揚げたフライ麺ではなく、本格さを兼ね備えたノンフライ麺を採用しているのは嬉しいポイント。パッケージに “スチームノンフライ製法” などの記載はありませんが、現在では “中華三昧” やセブンイレブンの “銘店紀行” をはじめ、明星食品の縦型ビッグ製品に使われているノンフライ麺には定評があります。
別添の調味油は後入れなので、熱湯を注いでから待つこと5分。調理前から畜肉エキスや味噌の食欲そそる香りが強く、けれども花椒(かしょう、ホワジャオ)の清涼感は目立っていなかったのですが、別添の調味油を加えると畜肉系の香りが増して、花椒の‥‥いや、花椒よりも和山椒の香りが強い実食前。ヤマダイ製造の “カラシビ味噌らー麺” は花椒に特化していたので、ちょっと新鮮なアピールでした。
ちなみに長年の付き合いがある有名店がメーカーを鞍替えするのは今回が初めての事例ではないのですが、念のためヤマダイと鬼金棒の契約が切れた理由を確認してみたところ、非公開情報となっているため残念ながらノーコメントでした(ですよね困らせてスミマセンw)それでは、鬼金棒の特徴とされるカラシビのバランスに注目しつつ「めん」「スープ・調味油」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(103g)あたり |
カロリー:419kcal たん白質:10.5g 脂 質:11.0g 炭水化物:69.6g 食塩相当量:6.6g (めん・かやく:2.4g) (スープ:4.2g) ビタミンB1:0.29mg ビタミンB2:0.38mg カルシウム:147mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:419kcal(めん・かやく:335kcal)(スープ:84kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
高品質な多加水ノンフライ麺
実店舗の麺は、三浦店主が「鬼金棒」を創業する前に務めていた「麺屋武蔵 二天」時代から付き合いのある「カネジン食品」製造の特注麺で、三浦店主が “麺を知り尽くしたプロ中のプロ” と信頼を寄せている高橋工場長が考案。3種の異なる切刃番手(12番、14番、16番)で切り出した中太麺混合麺を使い、それぞれ中太麺・中細麺・細麺を混ぜ合わせた “三種混合麺” を特徴としています。
対して明星食品が製造しているノンフライ麺は、ほとんど均一なサイズの縮れた平打ち麺で、縦型ビッグの中では太めのサイズ。部分的に幅の狭い箇所や薄く、麺の中央に縦筋が見えたところもあったのですが、故意に切り分けた混合麺というよりも単純に製麺工程で生じた個体差といった印象で、けっこう表面は滑りを帯びた口当たり。
麺の加水率は高く、もちもちとした弾力と適度な歯応えを両立した多加水麺で、力強いスープに埋没することはありません。欲をいえばサンヨー食品(サッポロ一番)の「らーめん改監修 極貝だし塩らーめん」や「麺創研紅監修 濃厚辛味噌ラーメン 紅」に使われていた混合麺(3種の乱切り麺)みたいな麺がベストではあるものの、ひとつのノンフライ麺としての品質は低くありませんでした。
スープ
かなり食べやすくなった
実店舗のスープは鬼金棒を代表する唐辛子の「カラ」と花椒の「シビ」をはじめ、味噌ダレには40種類以上の味噌から厳選した白味噌(100年ちかく使用した独特の樽癖が残る木樽で天然醸造・熟成させた信州味噌)を使い、チーズやピーナッツペースト、ナンプラー、さらに複数のスパイスを時間差で加えながら何度も練り上げた、こだわりの調合味噌を使用とのこと。
対して今回のスープ(調味油を投入する前)は、白味噌と赤味噌をバランスよく配合しているような印象で、しかしながら可能な限り味噌が持つ尖りを抑えているような味わい。まだ花椒の痺れは目立っておらず、唐辛子の辛さも中辛に到達するか否かといったところ。まったく刺激に関するインパクトはなかったのですが、ポークの旨味が丁寧で、ほんのりチーズの隠し味を効かせていたのが印象的。
別添の調味油を加えた後は、前述の和山椒を彷彿とさせる香りをはじめ、もやしを炒めたような調理感が本格さを加速。実際の風味には花椒の痺れと特有の清涼感を感じたのですが、やはりバランスとしては鼻を抜ける和山椒が強めに香り、唐辛子の辛さもアップ。
けれども「カラ」は “ふつうに辛口” を逸脱しないライン、花椒や山椒の「シビ」も常識の範囲内だったので、ヤマダイが製造を担当していた頃のスープよりも親しみやすく、裏を返せば「鬼金棒」監修ならではのインパクトが鳴りを潜めてしまったのは残念に思えてなりませんでした。
※とろみ成分が多めに含まれていたので、溶け残りがないよう念入りに混ぜ合わせてください。
具材
カップ麺ならではの背徳感が魅力
具材のキャベツは特筆すべき点のない、よくある乾燥キャベツで量も少なかったのですが、単純に濃厚なスープとの相性はよく、パンチの効いたニラの風味もベストマッチ。もやしもシャキシャキとした食感が楽しめる、乾燥もやしにしては太めのサイズが好印象ではあったものの、全体的に野菜系の具材は量が少なかったので、たとえば同社が製造するセブンプレミアムの「銘店紀行」のように具沢山ではありません。
味付豚肉は日清食品の「カップヌードル」に入っている “謎肉” みたいなダイスミンチですが、そこまでジャンクな肉具材ではなく、しかしながら明らかに実店舗のラーメンでは楽しめない背徳感が魅力的。どう頑張っても角煮のようなチャーシューには及ばないけれど、カップ麺ならではチープさも醍醐味ですよね。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4)
味だけでいえば上出来の星5でも差し支えないのですが、よくも悪くもヤマダイが製造していた頃の「鬼金棒 カラシビ味噌らー麺」とは完全に別物だったので、2018年発売品を含む以前の「鬼金棒」に期待していた場合、ほぼほぼ確実にズッコケると思います。けれども味だけでいえば前述のように悪くないため、単純に “おいしい” か “まずい” かでいえば前者。
この万人ウケにシフトした路線を親しみやすくて “善し” とするか、それとも人を選ぶ痺れの強さで有名な鬼金棒ならではのインパクトが鳴りを潜めてしまったことを “悪し” とするか——個人的には「鬼金棒」監修の恩恵が見えなくなり、とても残念に感じたのですが、以前から痺れが強すぎるとの苦情も多かったようなので、そこがネックだった方は再挑戦しやすいと思います。