どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2021年5月31日(月)リニューアル新発売、セブンプレミアムのカップ麺「蔦 醤油ラーメン」の実食レビューです。
4年連続ミシュランを獲得した名店「Japanese Soba Noodles 蔦」のカップラーメンが2年ぶりにリニューアル!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
Japanese Soba Noodles 蔦 醤油ラーメン
Japanese Soba Noodles 蔦(じゃぱにーず そば ぬーどる つた)とは、東京都豊島区巣鴨を発祥の地とする世界的に有名なラーメン店で、創業は2012年(平成24年)1月26日。もともとは小料理屋の居抜き物件からスタートしましたが、後に4年連続『ミシュランガイド東京』の “一つ星” を獲得し、その名を全国に轟かせます。
今回のカップ麺「セブンプレミアム 蔦 醤油ラーメン」は、マルちゃんのブランドで知られる東洋水産株式会社とセブン&アイグループの共同開発商品で、日本を代表する「Japanese Soba Noodles 蔦」監修のもと、同店の味を大判どんぶり型のカップラーメンで再現。4年以上前から続いているタイアップ商品なので、カップラーメンの存在を既知の方も多いでしょう。
「Japanese Soba Noodles 蔦」を立ち上げた大西祐貴(おおにし ゆうき)店主は、温度が下がるにつれて変化する七重の味のスープを特徴とし、ラーメンの鬼と呼ばれた故・佐野実(さの みのる)氏のライバルとして、1990年代に湘南(神奈川県)で名を馳せた伝説の店「七重の味の店 めじろ」の創業者・大西良明氏を父に持ち、実家である「めじろ」で修行すること4年間。
その後はアパレル業界に身を置くことになり、5年ほどラーメンの現場から離れていたそうですが、再び「めじろ」で修行すること3年間。後に『ミシュランガイド東京 2019』で “ラーメン業界では3店舗目の一つ星” を獲得することになる「SOBA HOUSE 金色不如帰(こんじきほととぎす)」の店主・山本敦之(やまもと あつゆき)氏にアドバイスを受け、東京は巣鴨の地に「Japanese Soba Noodles 蔦」を創業します。
以降は破竹の勢いで頭角を現し、2014年(平成26年)12月5日発行の『ミシュランガイド東京 2015』でビブグルマンを獲得。さらに翌2015年(平成27年)12月4日発行の『ミシュランガイド東京 2016』では “ラーメンで世界初の一つ星” に選出され、そのまま『ミシュランガイド東京 2017 – 2019』の “一つ星を4年連続で獲得した” 実力の持ち主。
引き続き『ミシュランガイド東京 2020』にも掲載されるのかと思いきや、2019年(令和元年)11月19日を巣鴨での最終営業日とし、もう “巣鴨で出来る事がない” と電撃閉店。すこしの充電期間を設けた後、同年12月13日に東京都渋谷区西原(代々木上原)の地で営業を再開するや否や、1杯あたり3,350円のラーメンで「1,000円の壁」を打ち破るなど、常に革新的な変化をもたらすことで話題になっている名店です。
そんな「Japanese Soba Noodles 蔦」と東洋水産及びセブン&アイグループのカップ麺が初めて発売されたのは、2017年(平成29年)1月9日と比較的に最近の話。大判どんぶり型の「醤油Soba」を筆頭に、縦型ビッグの「味噌Soba 味噌の陣」や「塩Soba」など、期間限定商品もリリースしているのですが、本店を代々木上原に移転してからカップ麺を監修するのは今回の「蔦 醤油ラーメン」が初めて。
おおむねパッケージのデザインは変わっていませんが、2019年(令和元年)6月24日にリニューアルした前身「セブンプレミアム 蔦 醤油Soba」と比較して、パッケージからミシュランのロゴが消えたこと、加えて商品名が「醤油ラーメン」に変わり “ポルチーニ香る-・” を新たにアピールしているのも大きな違い。お店の味も常に進化を続けているため、前回の「醤油Soba」との違いに注目しながらレビューします。
開封
2021年リニューアル後のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」に、後入れの「液体スープ」「特製油」「かやく調理品」で合計4袋。構成としてはリニューアル前と変わっていませんし、かやく調理品の中身も同じように見えますが、液体スープ・特製油・かやく(乾燥具材)の小袋は色を変更済み(※小袋の色やデザインが変わっていた場合、おおむね中身も調整されていることを意味します)。
麺は油で揚げずに乾燥させたノンフライ麺(熱風乾燥)で、湯戻し時間は熱湯5分。湯戻し時間は変わっていませんし、リニューアル前もノンフライ麺を使っていましたが、一見して明らかに色と形状が違うこと、加えて原材料名にも大幅な変更が見られたので、これについても調理前から分かる大きな変化。
ノンフライ麺の重量は70gから65gに減っていたので、それについてはコスト調整が否めないところではあるものの、本体価格は258円(税込278円)のまま据え置き。一部の地域では売ってない場合もあるかと思いますが、販売店はコンビニのセブンイレブンをはじめ、イトーヨーカドーやヨークベニマル、ヨークマートほか、イトーヨーカドーのネット通販サイト(オムニ7)でも販売されていたので、ご参考ください。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:セブンプレミアム 蔦 醤油ラーメン 製造者:東洋水産株式会社 製造所:関東工場(群馬県館林市赤生田本町3831-1) 内容量:120g(めん65g) 商品コード:4901990368902(JAN) 商品サイズ:縦180mm×横180mm×高さ77mm |
発売日:2021年05月31日(月) 実食日:2021年06月06日(日) 発売地域:全国(セブン&アイ限定) 取得店舗:ネット通販サイト(オムニ7) 購入価格:278円(税込) 本体価格:258円(税別) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:420ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:4袋(液体スープ・特製油・かやく・かやく調理品) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん〔小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、植物性たん白、こんにゃく、大豆食物繊維、植物油脂〕、添付調味料(しょうゆ、チキンエキス、植物油、鶏脂、ポークエキス、魚介エキス、たん白加水分解物、砂糖)、かやく(味付メンマ、焼豚、ねぎ、デキストリン、香辛料)/ 酒精、かんすい、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、レシチン、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンE)増粘多糖類、香料、酸味料、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・さば・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、中に長方形のチャーシューと斜め切りのネギ(フリーズドライ)が入っている仕様はリニューアル前と比較して変更なし。あとは熱湯を注いで5分間、後入れの小袋(液体スープ・特製油・かやく調理品)はフタの上にのせ、温めながら待つのがポイント。
時間になったら “添付調味料を入れる前に” ノンフライ麺をほぐし、それから液体スープを馴染ませて、特製油を浮かべた後、かやく調理品をトッピングしたら出来上がり。ちなみに総カロリーはリニューアル前(415kca)と比較して17kcal低い398kcalとなっており、黒トリュフの香りも穏やかになっているのですが、なるほど新たに追加されたポルチーニ茸の香りは印象的。
なおリニューアル前の製造所は「麺づくり」などを生産しているユタカフーズ(東洋水産のグループ企業)となっていたのに対し、リニューアル後(2021年5月発売品)の製造所は群馬県館林市にある東洋水産の自社工場に変わっていたので、麺の仕様変更が関係しているのかもしれません。というわけで、引き続きリニューアル前後の違いに注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(120g)あたり |
カロリー:398kcal たん白質:11.9g 脂 質:13.4g 炭水化物:59.0g (糖 質:56.0g) (食物繊維:3.0g) 食塩相当量:5.5g (めん・かやく:2.0g) (スープ:3.5g) ビタミンB1:0.29mg ビタミンB2:0.30mg カルシウム:136mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:398kcal(めん・かやく:310kcal)(スープ:88kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
マルちゃん正麺カップの流れを汲むノンフライ麺
パッケージに “生麺ゆでてうまいまま製法” の記載は見当たらなかったのですが、原材料に「こんにゃく」を使用しているのが最大の特徴で、これは2015年(平成27年)10月5日に発売された「マルちゃん正麺(せいめん)カップ」の特許製法(特許5719064号)を代表する特徴の一つ。
しかし、たとえば「マルちゃん正麺カップ」の定番「芳醇こく醤油」や「香味まろ味噌」に使われているノンフライ麺ほど加水率の高い質感ではなく、むしろ加水率は低めの設定で、仕上がりとしてはカタめの茹で加減をイメージ。そのため箸で持ち上げたときの重量感は劣りますが、生の麺を茹で上げたかのような臨場感と鼻に抜ける小麦の風味は心地よく、以前よりも洗練された雰囲気に。
リニューアル前の「醤油Soba」には「麺づくり」で培ってきたノウハウを、リニューアル後の「醤油ラーメン」には「マルちゃん正麺」で培ってきたノウハウを反映しているような仕上がりだったので、同じ「Japanese Soba Noodles 蔦」監修のカップ麺でも雰囲気は別物。どちらが好みかについてはさておき、後述するスープの表情も穏やかになっていたので、その雰囲気に合わせたのかもしれません。
スープ
これがコラボ第1弾なら話は変わってくるんだけど‥‥
リニューアル前の食塩相当量は7.1g(スープ 4.3g)だったのに対し、リニューアル後の食塩相当量は5.5g(スープ 3.5g)と低く、実際の味わいも然り。液体スープには濃口しょうゆベースのタレを使っているので、大掴みの骨組みは踏襲されているのですが、濃口しょうゆ特有のキレは弱く、鰹(かつお)や鯖(さば)を中心とした節系の旨味(だし感)も穏やかに‥‥。
味のジャンルとしては、ラーメンのスープというよりも上品な「蕎麦(そば)つゆ」で、それも更科(さらしな)系の日本蕎麦を合わせたくなる優しいテイスト。
そこに浮かべる「特製油」にも大きな変化が生じており、黒トリュフ・ポルチーニ茸ともに香料を使用しているのですが、あの強烈な主張を放っていた黒トリュフの攻撃性が感じられません。たしかに香りのベクトルは白トリュフではなく黒トリュフ、けれども “いい意味で人工的だったインパクトの強さ” が鳴りを潜め、ずいぶんと穏やかな主張に。
また見た目もリニューアル前は(香料の関係か)虹色に反射していたのに対し、今回そういった個性もなく、リニューアル後に追加されたポルチーニ茸(きのこ)の香りは印象に残ったのですが、それ以上に黒トリュフの個性が弱くなったことにショックが隠せませんでした。お店の名前が「Japanese Soba Noodles」となっているように、和洋折衷なフレームワークが個性になってはいるものの、リニューアル前を思えば残念な変化です。
具材
体感的にリニューアル前と同じ
かやくの小袋はリニューアル前と違う色に変わっていましたが、おおむね中身は変更なし。長方形にカットされたチャーシューは、豚のバラ肉を彷彿とさせるジューシーさがあり、ちょっと濃いめの味付けですが、醤油と味醂(みりん)をベースにしているような味付けなので、違和感なく「蔦」のスープにフィット。
かやく調理品のメンマも乾燥具材では打ち出せない厚みがあり、噛むと自然な歯触りで、独特の発酵感もリアル。たとえば「激めん」などに使われているレトルト調理品にも共通する、つまり新開発の具材ではないと思いますが、ほのかな甘みがスープを引き立てるバイプレイヤーで、税込278円のカップラーメンに入っていても見劣りしない、とても素晴らしい具材です。
総評
黒トリュフのインパクトを全面に押し出していたリニューアル前の「醤油Soba」に対し、リニューアル後の「醤油ラーメン」は全体的に洗練された仕上がりで、ある意味 “結果的に食べやすくなった” と感じたのですが、それと同時に没個性な印象も否めないところ。好みについては人それぞれなので、リニューアル後のほうが好きという意見もあるかとは思いますが、あの攻撃的な黒トリュフの香りに期待していると肩透かしを喰らいます。
筆者は他に類を見ない黒トリュフ香料のインパクトに魅力を感じていたので、正直ちょっと残念なリニューアルに思えたのですが、逆に “リニューアル前は黒トリュフが強すぎて‥‥” と感じていた方にとっては朗報の変化。代々木上原に移転してからの味を知らないので、お店でも以前よりもインパクトを抑えたラーメンを提供しているのだろうか‥‥と、思いを馳せながらの実食になりました【author・taka :a(大石敬之)】