どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2025年10月13日(月)新発売、エースコックのカップ麺「千年こうじや監修 八海山酒粕仕立て 濃厚味噌ラーメン」(236円+税)の実食レビューです。
魚沼を代表する銘酒『八海山』の酒粕を贅沢に使用したカップめん!? 八海山の蔵元が展開する「千年こうじや」監修の実力とは——。
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
千年こうじや監修 八海山酒粕仕立て 濃厚味噌ラーメン
千年こうじやとは、南魚沼の豊かな自然と雪国の文化に育まれた銘酒『八海山』を代表銘柄とし、清酒・焼酎・梅酒・クラフトビール・麹甘酒などの製造を生業としている八海醸造株式会社(HAKKAISAN BREWERY CO.,LTD.)が立ち上げた食品ブランドで、発酵文化の継承地・魚沼の豊かな食と文化を伝えるべく「米・麹・発酵」をテーマに様々な商品を販売しているのですが‥‥

このページでレビューする「千年こうじや監修 八海山酒粕仕立て 濃厚味噌ラーメン」は、酒粕×料理の相性を知り尽くした「千年こうじや」監修のもと、日本有数の酒処・新潟が誇る銘酒『八海山』の酒粕で贅沢に仕立てたカップラーメンで、製造者は大阪府吹田市に本社を置くエースコック。スープの隠し味に酒粕を使った即席カップめんはチラホラと出ていますけど、ここまで大々的に訴求した商品は多くありません。
あらためまして『八海山(はっかいさん)」とは、1922年(大正11年)初代・南雲浩一(なぐも こういち)氏が南魚沼市旧城内地区にて創業した八海醸造の代表銘柄で、開山1200年余の歴史を持つ越後最大の霊峰が名前の由来。仕込み水に八海山の伏流水 “雷電様の清水„ を使い、最高の条件と洗練された技術で醸し出される味わいは、けっして食事の魅力を妨げることなく、それでいて酒らしい旨みは充分に備えた酒質が真髄。
創業300年以上の酒蔵が複数現存する日本酒業界において、八海醸造は比較的に若い会社に分類されますが、それゆえの柔軟性か老舗の酒蔵よりも視野が広く「魚沼の里」や「HAKKAISAN RYDEEN BEER」「麹だけでつくったあまさけ」「reint(スキンケアシリーズ)」「IZAKAYA×KAMAMESI 筍(リゾート居酒屋)」など、幅広いブランドを展開しており “SAKEを世界飲料に„ するため海外事業にも力を入れていることでも知られます。

直近のニュースを引くと今年3月13日、ロサンゼルス・ドジャースと2年間のパートナーシップ契約を締結し、同球団の “公式日本酒„ として『八海山』が採用されるなど、快進撃を続けている八海醸造。そんな同社が2012年(平成24年)に立ち上げたのが「千年こうじや」で、前述のように数多くのオリジナル商品も取り扱っているのですが、同ブランドの即席カップめんは現時点でエースコックとの共同開発商品のみ。
昨年10月21日に「千年こうじや監修 八海山酒粕仕立て 濃厚味噌ラーメン」と「同 担担麺」を発売しているため、これが初のコラボ商品ではないけれど、今年は「担々麺」ではなく「鶏塩白湯ラーメン」を相棒に、バリエーションの強化と新たな魅力の発見を図ってきました。
ちなみにワンカップ大関の酒粕を使用した「明星 チャルメラ 兵庫大関 酒粕香る豚旨しおまぜそば」(2021年1月25日発売品)だったり、最近だと玉乃光の酒粕を使用した「凄麺 京都伏見酒粕ラーメン」(2025年2月24日に関西限定発売、同年11月17日より「凄麺 京都伏見酒粕ラーメン」として全国発売)が存在したりしますけど、八海山の酒粕を使用した即席カップめんはエースコック×千年こうじや以外の前例がありません。

商品のパッケージやエースコックの公式ウェブサイトにも「八海山の酒粕粉末を製品中にn%使用」などの表示は見当たらなかったのと、同社のニュースリリースに記載されていた “名酒「八海山」の酒粕で贅沢に仕立てたラーメン„ という訴求から察するに、スープの「酒粕パウダー」に八海山の酒粕を100%使用している様子。それだけのインパクトが体感できるのか、酒粕のアプローチに注目しながらレビューします。
開封

今回のカップ麺に別添されている小袋は、フタの上に貼り付けてある「液体スープ」1パックのみで——と、他社のカップラーメンをレビューするときには書き記すのですが、エースコックの縦型カップに別添されている小袋がフタの上に貼り付けてあった場合、容器の中にも別の小袋が仕込まれ、もれなく粉まみれになっているのが恒例のパターン。

しかし、フタを開けてみたところ2つめの小袋が見当たらず、もしや製造過程で入れ忘れたのかと容器側面の調理方法を確認してみたところ「①フタの上の液体スープを取る」「②フタを半分まで開き、熱湯を内側の線まで-・」‥‥マジかよエースコック。いや、このパターンも稀にあるんですよ。けっこうレアなケースですけど。
ちなみにメーカー希望小売価格は236円(税別)に設定されているため、2025年10月現在のレギュラーサイズ製品における標準的な値段。販売店はスーパーマーケットやドラッグストア、ディスカウントストアなどが主な経路になっているため、コンビニでのエンカウント率は低いと思います。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:千年こうじや監修 八海山酒粕仕立て 濃厚味噌ラーメン 製造者:エースコック株式会社 製造所:+K 東京工場(埼玉県川越市大字今福461-1) 内容量:63g(めん50g) 商品コード:4901071408398(JAN) |
発売日:2025年10月13日(月) 実食日:2025年10月21日(火) 発売地域:全国 小売価格:236円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型レギュラー 容器材質:紙 湯量目安:290ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(液体スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、しょうゆ、たん白加水分解物)、スープ(粉末みそ、みそ、砂糖、酒粕パウダー、豚脂、植物油脂、ポークエキス、食塩、おからパウダー、ポーク調味料、香辛料、酵母エキス、チキンエキス、ジンジャーペースト、全卵粉)、かやく(鶏・豚味付肉そぼろ、コーン、ねぎ、唐辛子)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸Ca、増粘多糖類、香料、カラメル色素、酒精、かんすい、カロチノイド色素、微粒二酸化ケイ素、酸化防止剤(ビタミンE)、甘味料(スクラロース、アセスルファムK)、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始

麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は標準の3分。普段なら “エースコックの揚げ油に由来する特有のニオイが気になる„ などと書くところですが、それよりも酒粕パウダーの主張が分かりやすく上回っていてビックリ。さすがに八海山の酒粕かどうかを香りだけでは判別できませんけど、かなり期待できるファーストインプレッション。

別添の小袋は後入れなので、それを引っ剥がしてから熱湯を注ぎ、フタの上で「液体スープ」を温めながら待つこと3分。時間になったらフタを剥がし「液体スープ」を入れ、よく混ぜ合わせたら出来上がり。救いようがない具材のラインナップは(悪い意味で)エースコックらしいといわざるを得ないポイントになりますが、引き続き酒粕パウダーのアプローチが激しい調理直後。
はたして味覚に訴えかけてくる効果も大きいのか、引き続き八海山の酒粕使用による恩恵に注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(63g)あたり |
カロリー:269kcal たん白質:5.9g 脂 質:10.0g 炭水化物:38.9g 食塩相当量:3.4g (めん・かやく:1.1g) (スープ:2.3g) ビタミンB1:0.42mg ビタミンB2:0.28mg カルシウム:162mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:269kcal(めん・かやく:214kcal)(スープ:55kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん

適度な弾力と滑らかさを併せ持った太めんです。めんに適度な味付けを行い、スープと相性良く仕上げました。
出典:https://www.acecook.co.jp/news/003174/

まったく手を抜いてない
エースコックの縦型レギュラーサイズに使われるフライ麺といえば、揚げ油に由来する特有のニオイはもちろん、食感も軽いパターンが珍しくないためポジティブにいえばスナック的、ディスると悪い意味でチープな印象を受けることも多いのですが、今回のフライ麺は比較的に高密度。

同社が誇る「真空仕立て麺」や「多加水真空仕立て麺」ほどの密度感ではないけれど、例えるなら「スーパーカップ1.5倍」に近いベクトルで、しっかりとした噛み応えが印象的。それは時間の経過に伴って穏やかになってきますが、中心部には最後までモチッとした弾力が残っている、量販店や小売店向けのレギュラーサイズ製品としては上等も上等のクオリティ。
むしろスープとの相性は、麺の弾力が和らいでくる後半のほうが上向きで、エースコックといえばの油揚げ麺臭も最後まで悪目立ちすることはなく、むしろ穏やかに感じたほど。麺の自己主張はハッキリとしているのに、後述する酒粕パウダーの魅力を最後までマスキングしてこない取り合わせには想像以上の手応えを感じました。
スープ

チキンとポークをベースに、ジンジャーやガーリックでアクセントをつけた味噌スープです。酒粕の風味を活かした、味わい深い一杯に仕上げました。
出典:https://www.acecook.co.jp/news/003174/

タテロング級の作り込み
まずは「液体スープ」を入れる前に味を確かめてみたところ、この時点で酒粕パウダーの個性が明確で、甘酒とか粕汁が苦手な方は手を出さないほうが賢明なレベル。それ以外の要素はエースコックらしいというか、香味野菜の使い方を除いて特筆すべき要素は見当たらなかったんですけど‥‥

別添の「液体スープ」を加えた途端、グッとコクを増す動物系の厚みも然る事乍ら、白味噌を中心とする味噌のコクが格段に深まって、いっきにリッチな味わいに。それこそ濃厚な味噌仕立ての粕汁の如く、実に奥床しい味わいで、おからパウダーのザラついた舌触りも効果的。酒粕以外に目立った個性はないけれど、かなり自然に溶け込んでいて、カップラーメンとしても違和感なく成立している、この緻密なバランスには驚かされました。
かやく

程良く味付けした肉そぼろ、彩りの良いコーン、ねぎ、唐辛子を入れました。
出典:https://www.acecook.co.jp/news/003174/

諦めよう
エースコックのニュースリリースに “程良く味付けした肉そぼろ„ と記載されている鶏・豚味付肉そぼろには、大きく分けて2つのパターンがあり、片方は程良い味付けや肉の旨みも楽しめる高品質な肉そぼろなのですが、もう片方の肉そぼろはスポンジみたいな食感で味付けもショボすぎる粗悪品。残念ながら今回は後者だったので、これなら食感のアクセントに刻み玉ねぎでも放り込んでおいてほしかったなと。
ネギもFD(フリーズドライ)加工ではなく、それよりもランニングコストが低いAD(エアドライ)加工だったので、ジャキジャキとした繊維質と乾いた風味が目立つタイプ。それらについてポジティブなコメントはできませんが、甘みの強いコーンと少しだけピリッとくる唐辛子の刺激はスープと好相性だったのと、八海山の酒粕が実に効果的だったスープの出来栄えに免じて及第点とします。
総評
酒粕パウダーを除いて特筆した個性はないけれど、その個性を突主させた仕上がりで、なおかつエースコックが得意とする香味野菜の使い方や味噌の配合にもシンデレラフィット。本文中にも触れたように、甘酒や粕汁のクセが苦手な方にはオススメできない商品になりますが、その逆なら必食の価値あり。
具材は救いようのない内容でしたけど、それを踏まえても上出来の五ツ星は即決でした。同時発売品の新フレーバー「鶏塩白湯ラーメン」も同じ波に乗れるのか、次の更新をお待ちください。【author・taka :a(大石敬之)】
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