どうも、taka :a です。
本日の一杯は、2021年1月25日(月)新発売のカップ麺、サンポー食品「博多華味鳥(はなみどり)監修 博多極上鶏白湯ソバ」の実食レビューです。
九州産銘柄鶏・華味鳥から生まれた “水炊き専門店” の「鶏ソバ」をカップラーメンで再現!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
博多華味鳥監修 博多極上鶏白湯ソバ
博多華味鳥(はなみどり)とは、トリゼンダイニング株式会社が運営している「水たき料亭」で、現名誉会長の創業者・河津善陽(かわつ よしはる)氏が1949年(昭和24年)に開業した鶏肉の卸店「鳥善(とりぜん)」が前身。吉塚商店街(現「吉塚市場 リトルアジアマーケット」)にオープンした「鳥善」は、シベリアや中国に出征していた創業者考案の「オイル焼」を主力商品とし、地元の方に愛されました。
その「鳥善」から博多を代表する老舗の水炊き専門店「水たき 長野」にも鶏肉を配達していた善陽氏は、水炊き専門店の繁盛ぶりに自身も水炊きの店を始めることを思い立ち、とり善の2階にオープンしたのが後の「博多 華味鳥」という流れ。さらに水炊きの味を極めるべく、その秘訣は鶏自身にあることに気づいた善陽氏は自ら養鶏に携わり、1988年(昭和63年)銘柄鶏・華味鳥を生み出します。
銘柄鶏・華味鳥とは、ぶどうの搾り滓(しぼりかす)や海藻、ハーブ、木酢液(もくさくえき)など、腸内環境を整える飼料を与え、なおかつストレスを軽減するために “平飼いの開放鶏舎” で育てた鶏のこと。肉の色が鮮やかなピンク色であることから「華味鳥」と名付けられ、水たき料亭「博多 華味鳥」で使用しているのですが、その水炊きスープを応用したラーメン事業「博多鶏ソバ 華味鳥」も展開しているトリゼンダイニング。
今回のカップ麺「博多華味鳥監修 博多極上鶏白湯ソバ」は、佐賀県三養基郡に本社を構えるサンポー食品株式会社とトリゼンダイニングの共同開発商品で、鶏ソバ専門店「博多鶏ソバ 華味鳥」監修のもと、九州産銘柄鶏・華味鳥の鶏ガラから生まれた看板メニュー「鶏ソバ」を大盛りバケツ型のカップラーメンで再現。福岡の魅力の一つは食文化であり、その味を全国にお届けしたいという思いから、今回のコラボが実現したとのこと。
サンポー食品といえば、同社の絶対的エース「焼豚(やきぶた)ラーメン 九州とんこつ味」を筆頭に、通年商品として姉妹品の「長浜とんこつ」や「熊本とんこつ」や九州ご当地シリーズ「久留米ラーメン」「高菜ラーメン」「長崎ちゃんぽん」など、加えてコストパフォーマンスに優れた「ばりよか」シリーズを通年商品として展開。
さらに「丸幸ラーメン」や「初代秀ちゃん」「井手ちゃんぽん」などの有名店ともタイアップしているのですが、いずれの商品も「焼豚ラーメン」にルーツを持つ豚脂とポークエキスをベースにした豚骨スープが基本。しかしながら今回のタイアップ先は鶏ソバ(鶏白湯)の専門店、サンポー食品が保持している豚骨のノウハウには絶対的な信頼を置いている筆者ですが、鶏に関するイメージは薄かったので、けっこう意表を突かれました。
たとえば2015年9月14日に発売された「焼豚ラーメン トロ旨鶏白湯風」に、最近だと九州産みつせ鶏のコラーゲン粉末を使用したヤオコー限定商品「特製鶏油香る白濁スープ 鶏白湯ラーメン」を2020年11月9日に発売するなど、実は鶏白湯(とりぱいたん)系のカップ麺も開発しているサンポー食品ですが、前述のように同社のカップ麺(ラーメン)は豚骨味のスープが基本。
そのため今回の「博多華味鳥監修 博多極上鶏白湯ソバ」にも豚脂やポークエキスをスープに使用しているのではないかと思い、実食前に原材料名を確認してみたところ「チキンエキス、しょうゆ、植物油脂、チキンオイル、粉末油脂、食塩、柚子胡椒、香辛料、クリーミングパウダー、ガーリックオイル、酵母エキス」ということで、スープに “豚骨由来の成分は使っていません” でした。
開封
さて、今回のカップ麺に別添されている小袋は「あといれ粉末スープ」「かやく」「調味油」「あといれ柚子胡椒」の合計4袋。これを見て “ん‥‥?” と思ったアナタ、鋭い。というのもサンポー食品のカップ麺に別添されている “粉末スープは基本的に先入れ” なので、わざわざ後入れを指定したパターンは珍しく、さらに柚子胡椒で味の変化が楽しめるのもポイント。
しかし、麺はサンポー食品らしい油揚げ麺で、スープにはポークエキスや豚脂(ラード)を使っていないと前述しましたが、同社の「焼豚ラーメン」と同じように “ラードを使用した油で麺を揚げている” のが特徴。そのため独特の芳ばしい香りが漂い、それもカップラーメンならではのステータスなのですが、同時に鶏白湯とのバランスが気になるところ。
ちなみに販売店はコンビニだと九州のセブンイレブンで取り扱っているようですが、筆者の住む近畿エリアの店舗には売ってない状況だったので、イトーヨーカドーのネット通販サイト(オムニ7)を利用しました。ほかにもイトーヨーカドーの実店舗やヨークベニマル、ヨークマートなど、セブン&アイ系列の店舗で意欲的に取り扱われているようですね。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:博多華味鳥監修 博多極上鶏白湯ソバ 製造者:サンポー食品株式会社 製造所:本社工場(佐賀県三養基郡基山町長野230) 内容量:118g(めん85g) 商品コード:4901773100668(JAN) 商品サイズ:φ146×103mm |
発売日:2021年01月25日(月) 実食日:2021年01月30日(土) 発売地域:全国(全チャネル) 取得店舗:ネット通販サイト(オムニ7) 商品購入価格:203円(税込) 希望小売価格:220円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:大盛りバケツ型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:500ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:4袋(あといれ粉末スープ・かやく・調味油・あといれ柚子胡椒) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、ラード、食塩、植物たん白)、スープ(チキンエキス、しょうゆ、植物油脂、チキンオイル、粉末油脂、食塩、柚子胡椒、香辛料、クリーミングパウダー、ガーリックオイル、酵母エキス)、かやく(鶏肉、たまねぎ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、増粘多糖類、かんすい、酒精、乳化剤、微粒二酸化ケイ素、クチナシ色素、酸化防止剤(ビタミンE、ローズマリー抽出物)、カラメル色素、フラボノイド色素、pH調整剤、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ごまを含む)※本品は、えびを使用した設備で製造しています。 |
実食開始
実際の「鶏ソバ」には、チンゲン菜やレッドオニオン、鶏チャーシュー、タケノコなどの具材をトッピングしているのに対し、カップ麺の具材は乾燥の鶏肉、たまねぎ、青葱と高級感のない構成なので、これについては妥協しなければいけないポイント。しかしながら流行りの大豆加工品ではなく、本物の鶏肉を使っているのは好ましい選択で、具材が弱い分だけスープの味に期待できそうなフレームワーク。
あとは熱湯を注いで3分間、調味油の小袋をフタの上にのせて温めながら待ち、時間になったら粉末スープを馴染ませて、仕上げに調味油と柚子胡椒をトッピングして出来上がり。調味油の中身は鶏油かと思いきや、熊本発祥のマー油(焦がしニンニク油)を想起させる香りが漂ってくる、そこに強い個性を感じました。
ちなみに2021年1月30日(土)現在、オムニ7では売り切れ(ご指定の商品はお取り扱いしておりません)となっていたので、注目度の高さがうかがえました。それでは引き続きサンポー食品が打ち出す鶏白湯の方向性に注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(118g)あたり |
カロリー:566kcal たん白質:11.8g 脂 質:30.5g 炭水化物:61.0g 食塩相当量:8.1g (めん・かやく:3.0g) (スープ:5.1g) ビタミンB1:0.46mg ビタミンB2:0.33mg カルシウム:184mg |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
サンポー食品らしさ全開
実店舗の「鶏ソバ」に使われている麺は、やや加水率の高い中太の縮れ麺で、製麺所は長野県茅野市に本社を置く渡辺製麺株式会社(一風堂を運営している「力の源カンパニー」の主要グループ会社)というから驚き。数年前まで渡辺製麺もカップ麺の製造・販売を行っていましたが、すでにカップ麺の製造事業からは手を引いているため、サンポー食品とのコラボが実現したのかも‥‥
などと思いつつ、それはさておき話を戻しまして——。今回のカップ麺に使われている油揚げ麺は、丸刃で切り出された縮れの強い中細麺で、けっこう加水率は低く、食感も風味もスナック的。それこそサンポー食品を代表する「焼豚ラーメン」と同じようなベクトルにあったので、再現度は高くないといわざるを得ませんが、なんのこれしきスープとの相性は申し分なく、結果的な印象としては悪くありません。
油揚げ麺特有のスナック的な風味も目立ちますが、それも今回のスープと相性がよく、後述する調味油の芳ばしさが重なることで、ある種の相乗効果を感じたくらい。大手メーカーが製造するノンフライ麺のような本格さこそないけれど、スナック的な食感と風味はサンポー食品の魅力といえるポイントですし、それをネガティブに思わせないところにワザを感じました。
スープ
大幅にカップ麺サイドの味付けだが‥‥
サンポー食品における粉末スープの後入れは珍しいと書きましたが、他社のカップラーメンと比較して粉末の量が多いのはサンポー食品らしく、正直な感想を述べると博多の水炊きに通じる洗練さは感じられません。しかし、まるで豚骨スープのような濃厚さを感じさせる芯の強い旨みが味わい深く、小手先のトロミで濃厚さを演出していないのもポイント。
たとえばサンポー食品の公式ウェブサイトやパッケージに、ヤオコー限定商品よろしく銘柄鶏・華味鳥コラーゲン粉末使用などのアピールポイントはなかったので、チキンエキスやチキンオイルに華味鳥を使用しているわけではなく、やや塩気の強さが気になるところではあるものの、きちんと主体は鶏の旨み。
そこに重ねる調味油の量も多く、特徴を要約すると “鶏油(ちーゆ)に焦がしニンニクを合わせた” ような内容で、粉末スープだけでは出せない鶏油のコクと焦がしニンニクの芳ばしい風味が個性を表現。通常、マー油はニンニクなどの香味野菜をラードで揚げて作るので、その鶏油版といえる今回の調味油には面白味とポテンシャルの高さを感じました。いいですね、これは他のカップ麺にも使ってほしい。
具材
柚子胡椒の別添を思えば
前述のように具材は頼りない構成ですが、鶏肉は大豆加工品のように不自然な食感ではなく、なんといっても玉ねぎが効果的。そこまで歯触りの強い具材ではないですし、お店のレッドオニオンを再現しているわけでもないけれど、芳ばしい調味油と玉ねぎの甘みは相性がよく、柚子胡椒の別添(コスト)を思えば納得できなくもありません。
その柚子胡椒はペーストで、そんなに青唐辛子の辛味は強くなかったのですが、直接ちょっと舐めただけでガツンと塩気を感じるくらい、けっこう強烈な存在感を放っているアイテム。それからパッケージのイラストにもあったように、青柚子とは違う黄柚子の風味を感じたので、それも印象に残りました。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4)
たとえばサンポー食品らしさMAXの油揚げ麺に、カップラーメンの枠を出ないスープや頼りない具材の構成など、博多鶏ソバ「華味鳥」の視点からみた場合、もっと厳しめに評価するべきかもしれません。しかし、いい意味でサンポー食品らしいと思える仕上がりだったので、個人的には星ひとつプラスしたいくらい(筆者がサンポー食品のファンというのも理由の一つですが‥‥w)
ちなみに別添の柚子胡椒は存在感が強いので、最初は入れずにスープと調味油の個性を楽しんだ後、任意のタイミングでトッピングするのがオススメ。サンポー食品が作る鶏白湯というのも珍しいですし、鶏油と焦がしニンニクを組み合わせた調味油も個性的だったので、気になっている方は最寄りの販売店をチェックしてみてください(author・taka :a)