どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2022年4月18日(月)新発売、日清食品のカップ麺「日清のどんどん兵衛 沖縄風そば」の実食レビューです。
どん兵衛史上初の沖縄そば!? 本場の臨場感を再現するために手揉み風の太ウェーブ麺を新規に開発 “ありそうでなかった” 沖縄(うちなー)気分が味わえる「どんどん兵衛」初登場!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
日清のどんどん兵衛 沖縄風そば
日清のどん兵衛(にっしんのどんべえ)とは、1976年(昭和51年)8月9日の発売以来、即席カップめん市場の和風どんぶり型うどん・そばカテゴリーにおいて圧倒的な占有率を誇るブランドで、麺の種別は「うどん」「日本そば」「そうめん」を基本とし、皮切りの即席カップ麺からチルド(冷蔵)に冷凍、お椀で食べる袋麺など、様々な形態でラインナップを充実させています。
今回の新商品「日清のどんどん兵衛 沖縄風そば」は、沖縄の郷土料理として全国的な知名度を誇る「沖縄そば」を “どん兵衛流” にアレンジした変わり種で、意外にも「日清のどん兵衛」史上初となるテーマ。ブランドのイメージ的に、最初は “沖縄そば風の味付けを施した夏向けのカップうどん” なんでしょ? などと安易に予想していたのですが、そう単純な商品ではありません。
念のため「沖縄そば」とは、琉球王国(1429年 – 1879年)の宮廷料理にルーツを持つ沖縄の国民食で、それは沖縄本島のみならず、いつしか宮古島・八重山諸島・大東諸島などの離島にも広がり、それぞれの地域で独自に発展。そのため「宮古そば」や「八重山そば(石垣そば)」「大東そば」など、島の名を冠した独自の「そば」も存在し、地域ごとに異なる特性を備えています。
なかでも一般的に「沖縄そば」と呼ばれるのは、沖縄本島で食べられるポピュラーなスタイルで、名称は「そば」でも蕎麦粉は不使用。麺は「うどん」のように見えますが、梘水(かんすい)を使っているためカテゴリーとしては “中華麺” に該当します。梘水が貴重だった戦前は、ガジュマルの灰を水に溶かし、その上澄みにできる天然のアルカリ水=灰汁(はいじる)を梘水の代用にしていました。
現在も昔ながらの手法を守り、灰汁を梘水の代わりにして打った沖縄そばを「木灰(もっかい)そば」と呼ぶのですが、それはさておき「日清のどんどん兵衛 沖縄風そば」で注目したいのは “原材料に「かんすい」を使っている” こと。つまり、45年以上の歴史を誇る和風カップ麺のトップブランドでありながら、まさかの中華麺を搭載という異例の展開。
たとえば直近だと四川花椒の刺激を特徴とする「日清のどん兵衛 シビ辛麻辣(まーらー)うどん」に、いつのまにかシレッと定番入りを果たしていた「日清のどん兵衛 鶏白湯(とりぱいたん)うどん」など、以前から脱・和風めん系の創作うどんにも力を入れていましたが、前述のように「沖縄そば」を “どん兵衛流” にアレンジしてきたのはブランド史上初の試み。
沖縄そば特有の食感をイメージした手揉み風の太ウェーブ麺に、つゆは鰹節と昆布のWだしに豚の旨味を効かせた王道のスタイル。残念ながら肉に見えるチップ状の具材は大豆たん白加工品なので、いわゆるソーキ(スペアリブ)や三枚肉(豚バラ肉)の再現度は後回しになっているのですが、生タイプの紅生姜を別添しているのは嬉しいポイント。
ちなみに商品名が「日清のどん兵衛」ではなく「日清のどんどん兵衛」となっていますが、どんどんは沖縄の方言で “胸が高鳴る(わくわくする)様子” を意味する “チムドンドン” に由来し、沖縄を象徴するシーサーやハイビスカスをデザインすることで気分を盛り上げています。もしかするとNHKの連続テレビ小説にも引っ掛けているのかもしれないけれど、それについては憶測に過ぎません。
開封
さて、今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「粉末スープ」と「かやく」に、後入れ「紅生姜」の計3袋。老舗の沖縄そば店では昔ながらの針生姜を使う店が多いのに対し、カップ麺では汎用性の高い紅生姜が一般的です。ちなみに即席カップめん業界で生タイプの紅生姜を別添した定番商品は、サンポー食品の「焼豚ラーメン」など、指折り数える程度しか存在しません。
麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は熱湯5分。サイズは定番の「きつねうどん」よりも幅が狭く、ランダムな縮れが施され、すこし黄色みを帯びているのも印象的。沖縄そば系のカップ麺といえば、毎年夏になると明星食品・東洋水産・サッポロ一番の3社が鎬(しのぎ)を削っているイメージが強いので、そこに食い込めるかどうか腕の見せどころ。
メーカー希望小売価格は193円(税別)なので、レギュラーサイズの「きつねうどん」や「天ぷらそば」などと同じ値段。コンビニで購入した場合の税込価格は198円が相場になりますが、スーパーやドラッグストアなど、コンビニ以外の店舗であれば、普段から取り扱っている「どん兵衛」と同じ販売価格、あるいは変わり種のため若干ながら安く販売しているかもしれません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:日清のどんどん兵衛 沖縄風そば 製造者:日清食品株式会社 製造所:下関工場(山口県下関市小月小島1-1-12) 内容量:79g(めん66g) 商品コード:4902105271919(JAN) |
発売日:2022年04月18日(月) 実食日:2022年04月19日(火) 発売地域:全国 取得店舗:スーパー 商品購入価格:138円(税込) 希望小売価格:193円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:標準どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:370ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(粉末スープ・かやく・紅生姜) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩)、スープ(食塩、ポーク調味料、糖類、かつおぶし調味料、魚粉、こんぶ調味料)、かやく(紅しょうが、大豆たん白加工品、かまぼこ、味付卵、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、かんすい、香料、炭酸Ca、増粘多糖類、グリセリン、pH調整剤、酸味料、酸化防止剤(ビタミンE)、マリーゴールド色素、野菜色素、ベニコウジ色素、乳化剤、カラメル色素、クチナシ色素、チャ抽出物、ビタミンB2、ビタミンB1、カロテン色素、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・さば・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
実食開始
別添の小袋は「粉末スープ」と「かやく」のみ先入れで、鰹節と昆布に由来する和風だしの香りが強く漂い、それと同時に動物系の要素も強く感じます。沖縄そばと一口に言っても店や地域によって特徴が違うため、一括りにはできないのですが、県外のイメージとしては漠然と和風だし+豚だしの組み合わせが引き金になりますよね。
生タイプの紅生姜は後入れなので、粉末スープを溶かしながら内側の線まで熱湯を注ぎ、麺が戻るまで待つこと5分。時間になったらフタを剥がし、粉末スープを完全に溶かしたら、紅生姜をトッピングして出来上がり。いかにもカップ麺の沖縄そば的な雰囲気に仕上がりますが、それだけに取っ付きやすく、いい意味で敷居が低めのファーストインプレッション。
ちなみに天面のシズルには “かまぼこ” が写っていたのに、かやくの小袋には入ってないぞ‥‥と、すこし焦ったのですが、高確立で麺の下に潜り込んでいると思うので、ご安心ください。それでは、引き続き沖縄そば風の太ウェーブ麺の仕上がりや沖縄気分が楽しめるかどうかに注目しつつ「めん」「つゆ」「かやく・紅しょうが」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(79g)あたり |
カロリー:348kcal たん白質:7.5g 脂 質:13.9g 炭水化物:48.2g 食塩相当量:5.4g (めん・かやく:2.1g) (スープ:3.3g) ビタミンB1:0.23mg ビタミンB2:0.27mg カルシウム:124mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:348kcal(めん・かやく:330kcal)(スープ:18kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
お、それっぽい!
ごわごわと野趣に富んだ強付きのある質感から、いつもの「きつねうどん」に使われている洗練されたストレートうどんとは完全に別物で、やや加水率は低く、ペラペラなのに最後まで楽しめるガッシリとしたコシの強さが魅力的。手揉み風の縮れによるランダムな口当たりも効果的で、なるほど沖縄そばっぽい雰囲気の質感が楽しめます。
また麺を啜るときに生じる音も面白く、粘りの強い多加水うどんを啜るときの音とは違う “無骨な沖縄そばを彷彿とさせる比較的に乾いた音” が耳に心地よくて、沖縄気分をブースト。なんかこう、つるつるっ‥‥じゃなくて、ずぞぞぞっ!! みたいな。伝わりますかねw
「日清のどん兵衛」らしい洗練さは控えめですが、ある意味この路線としては真っ直ぐな仕上がりで、それっぽい臨場感が楽しめました。熱湯5分きちんと待っても強めのコシが楽しめるので、ひとまず時間を守ること。逆に “10分どん兵衛” よろしく長めにケアした場合、せっかくの無骨な魅力が半減してしまうため、時間通りに食べるのがベストだと思います。
つゆ
王道を地で行く路線だけど奥深い
原材料は「食塩、ポーク調味料、糖類、かつおぶし調味料、魚粉、こんぶ調味料」と誤魔化しが利かない構成で、和風カップ麺のトップブランドがアレンジした‥‥というイメージ的に、けっこう和風を強調させたテイストかと思いきや、なんのなんの。
魚粉は強めに効かせてありますが、それに匹敵するほど豚の旨みも強く、ポーク調味料のベクトルが豚骨ではなく豚の出汁(だし)を思わせるのも肝。塩分濃度と糖類の兼ね合いも適切で、優等生な路線にありながらもツマラナイ味ではありません。
たとえば唐辛子の辛味と酒精のアルコール感でコーレーグス(コーレーグース / 沖縄の島唐辛子を泡盛に漬け込んだ調味料)っぽさを演出するとか、石垣島で愛される島胡椒・ヒバーチ(ヒハツ)の甘いスパイス感をプラスするとか、ちょっとクセのあるアクセントがあっても面白そうだなと思いつつ、どん兵衛というブランドの立ち位置的に、あえて人を選ぶ個性を削ったのでしょう。
かやく・紅しょうが
紅生姜のキレとタマゴの甘みがクセになる
前述のようにチャーシューチップ状の具材は大豆たん白加工品(フェイクミート)なので、残念ながら肉の旨みは楽しめません。しかし、噛み応えなどの歯触りについては大豆たん白と思えないほどナチュラルで、生タイプの紅生姜は圧巻の存在感。かなり強めに主張してきますが、優等生な粉末スープとの相性に問題はなく、その攻撃性と対比を描くスクランブルエッグの優しい甘さがクセになる感じ。
ちなみに実際の沖縄そばにトッピングされている沖縄かまぼこは「チキアギ」という練り製品で、本土の蒸す蒲鉾とは異なり、魚の擂り身にゴボウや人参を混ぜ合わせて揚げたもの。つまり、鹿児島の薩摩揚げ(つけあげ)に近い食べ物なので、和風カップ麺で定番の半月蒲鉾とは異なるベクトルにあるのですが、この見慣れた半月蒲鉾もカップ沖縄そばらしさを象徴する上で普遍的ともいえるアイテムです。
総評
日清のどん兵衛らしく万人受けを狙った仕上がりだったので、奇を衒った要素こそなかったものの、王道を地で行く「沖縄そば」を “どん兵衛流” にアレンジした-・そのイメージを裏切らない仕上がり。この完成度であれば、カップ沖縄そばの金字塔といっても過言ではない、沖縄限定の「明星 カップ 沖縄そば」や「マルちゃん カップ 沖縄そば」にも引けを取りません。
カップ沖縄そば未体験の方でも基準が掴みやすい商品なので、このカテゴリーが好きな方はもちろん、沖縄そばのカップ麺ってどんな感じか分からないから‥‥と消極的だった方は、自分の好みを確かめるために試してみるのもアリだと思います【author・taka :a(大石敬之)】