どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2024年12月9日(月)新発売、日清食品のカップ麺「カップヌードル バターチキンカレー ビッグ」(271円+税)の実食レビューです。
日本で愛されているインドカレーの王道を「カップヌードル」流にアレンジ “13種のスパイスが華やかに香る„ 濃厚バターチキンカレー登場!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
カップヌードルBIG バターチキンカレー
カップヌードル(CUPNOODLE)とは、1971年(昭和46年)9月18日の発売以来、日本の即席カップめん市場で圧倒的な占有率を誇っている日清食品のブランドで、発売50年目に世界累計販売500億食を突破。安心と信頼の味わいはもちろん、多種多様な変わり種の展開や遊び心あふれる先進的なWEBプロモーションも含め、唯一無二のポジションを確立しています。
今回の新商品「カップヌードル バターチキンカレー ビッグ」は、日本で愛されている「バターチキンカレー」の味わいを “カップヌードル流„ にアレンジした一杯で、チキンの旨みと13種のスパイスを使用とのこと。約6秒に1つ売れていると話題になった無印良品(MUJI)のレトルトカレーしかり、すっかり市民権を獲得している「バターチキンカレー」ですが‥‥
あらためましてバターチキンカレーとは、1920年にパキスタンのペシャーワルで創業し、1947年(印パ分離・独立)からニューデリーに移転した「Moti Mahal(モティ・マハル)」を発祥の店とする——いや、これ実は諸説ありまして。まだ「Moti Mahal」がパキスタンで営業していた頃、3人のシェフ(Kundan Lal Jaggi, Kundan Lal Gujral, Thakur Das)がバターチキンのレシピを考案。
そのため「Moti Mahal」が発祥の店である、との説が有力とされているのですが、Kundan Lal Jaggi(クンダン・ラル・ジャギ)シェフを祖先とするレストラン「Daryaganj(ダリヤガンジ)」も伝統的なレシピを受け継いでいるため “我々にもバターチキンの元祖を名乗る権利がある„ と裁判沙汰に発展するなど。なんというか、こういう類いの問題って国を問わず多いんですね。
※ちなみに余談なんですけど、インドの法的手続きは恐ろしいほど遅く、裁判の第一審が終了するまでに7年〜10年かかることもザラらしいです。
インド裁判事情についてはさておき、バターチキンは現地の言葉でムルグマカニ(Murgh Makhani)と呼ばれ、その起源とされる「Moti Mahal」は “タンドリーチキン発祥の店„ としても知られる老舗。同店で先に提供されていたのはタンドリーチキンで、その売れ残りを効率よく消費するために考案されたレシピがムルグマカニ、つまり日本で「バターチキンカレー」と呼ばれているメニューのルーツになります。
そんな「バターチキンカレー」の味わいを再現した「カップヌードル」といえば、2018年(平成30年)9月24日に当時のエスニックシリーズ(現「世界のカップヌードル」)待望の新フレーバーとして、レギュラーサイズの「カップヌードル インド風バターチキンカリー」を発売していた日清食品。
それは6年前に当ブログで高評価(★5)を叩き出しているため、今回の「カップヌードル バターチキンカレー ビッグ」にも期待を寄せているのですが、レギュラーサイズの「インド風バターチキンカリー」には7種のスパイスを使用していたのに対し、ビッグサイズの「バターチキンカレー」には13種のスパイスを配合。
カップヌードルBIGの新作といえば、最後まで飽きないように? レギュラーサイズと比較して味を抑えているような印象で、しばしば不完全燃焼が起きている近年。はたして今回の仕上がりや如何に、せっかく例に引いたので「インド風バターチキンカリー」との違いにも注目しながらレビューします。
開封
6年前の「インド風バターチキンカリー」にはフタの上に “バターの風味をきかせたオイル„ が貼り付けられていたのですが、今回の「バターチキンカレー ビッグ」に小袋は別添されていないため、フタを開けたら熱湯を注ぎ、3分でOKの簡便性に優れたスペック。それでもバターのコクを出せるのかどうか、日清食品の手腕が問われるポイント。
かやくは鶏肉ベースの白謎肉(なぞにく)を中心に、ニンジンとネギの組み合わせで、いつも具沢山なカップヌードルのイメージを思うと頼りないファーストインプレッション。6年前の「インド風バターチキンカリー」には白謎肉じゃない鶏肉に、赤ピーマンとネギを組み合わせていたので、構成としては劣化が否めません。
ちなみに白い謎肉が初めて登場したのは、2017年(平成29年)6月26日。当時「チリトマトヌードル」発売35周年の節目を機に従来の鶏肉から白い謎肉に切り替わったのですが、その翌年に登場した「インド風バターチキンカリー」には “白い謎肉に変わる前の「チリトマトヌードル」に入っていたチキンダイス„ が使われていました。どうも、マニアックな情報を惜しみなく提供しているブログ『本日の一杯』です。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:カップヌードル バターチキンカレー ビッグ 製造者:日清食品株式会社 製造所:関西工場(滋賀県栗東市下鈎21-1) 内容量:106g(めん80g) 商品コード:4902105283967(JAN) |
発売日:2024年12月09日(月) 実食日:2024年12月13日(金) 発売地域:全国 取得店舗:ミニスーパー 小売価格:271円(税別) 購入価格:246円(税込) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:別添なし |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、糖類、しょうゆ、チキンエキス、ポークエキス、香味調味料、ポーク調味料)、スープ(糖類、豚脂、小麦粉、でん粉、クリーミングパウダー、乳等を主要原料とする食品、食塩、トマトパウダー、香辛料、チキン調味料、酵母エキス、プロセスチーズ、チーズパウダー、バターオイル、メッチ調味料)、かやく(味付鶏ミンチ、にんじん、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、乳化剤、増粘多糖類、カラメル色素、酸味料、香料、炭酸Ca、かんすい、香辛料抽出物、カロチノイド色素、酸化防止剤(ビタミンE)、甘味料(スクラロース、アセスルファムK)、くん液、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
実食開始
麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は標準の3分。詳しくは後述しますが、原材料名の構成から察するに「担担」や「味噌」と同じ麺を使っています。そういえば先月に言及した「パーム油」の表記、今のところ「カップヌードル 味噌キムチ ビッグ」から動きがないですね。なんだったんだろう‥‥。
今回のカップ麺に小袋は別添されていないため、あの忌々しいWタブ(※個人の感想です)から慎重にフタを剥がし、熱湯を注いで待つこと3分。時間になったらフタを開け、よく混ぜ合わせたら出来上がり。白謎肉の数は極端に少ないわけではないけれど、この商品にネギって必要なんですかね?
調理後はトマトの香りが強く、香辛料の複雑な要素も漂ってくるのですが、思っていた以上にバターは控えめ。それでもバターチキンカレーの魅力がバシッと伝わってくるのかどうか、引き続き6年前との違いにも注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(106g)あたり |
カロリー:504kcal たん白質:10.4g 脂 質:24.3g 炭水化物:60.8g 食塩相当量:6.5g (めん・かやく:3.2g) (スープ:3.3g) ビタミンB1:0.24mg ビタミンB2:0.31mg カルシウム:127mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:504kcal(めん・かやく:427kcal)(スープ:77kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
スープとの相性は可も無く不可も無し
今回は「担担」や「味噌」と同じ麺を使っていると前述したように、約3mm幅のサイズに切り出されているため、世界初の即席カップめん「カップヌードル」の油揚げ麺(約2mm幅)よりも太く、裏を返せば “このテンプレを使っている商品はスープが濃厚„ ということ。
他の定番商品を例に挙げると「チリトマトヌードル」や「カレー」にも約3mm幅の太麺を使っているのですが、前者は比較的に白っぽい見た目なので、ちょっと特殊なパターン。片や「担担」や「味噌」に使われている油揚げ麺は「カレー」にルーツを持っているため、今回の「バターチキンカレー」も同じ系譜に連なっている、との認識で問題ありません。
ちなみに約3mm幅の太麺は、関東工場(茨城県取手市清水667-1)製造だと比較的に気泡が粗く、加水率も低め。片や関西工場(滋賀県栗東市下鈎21-1)製造の場合、つるみのある滑らかな口当たりが印象に残るなど、なかなか興味深い差が生じているため、気になる方は意識してみてください。というわけで、クオリティは間違いないんですけど、スープとの相性は可も無く不可も無しでした。
スープ
だいぶデフォルメされている
味を解説する前に、ちょっと触れておきたいのが「メッチ調味料」という見慣れない原材料について。この業界では滅多に見ない表記なのですが、カレーやチャツネに使われるフェヌグリーク[fenugreek:マメ科の一年生草本, 和名は胡盧巴(ころは)]の別名が「メッチ」なので、それを主原料とした調味料とみて間違いないでしょう。
さて、肝心の味わいなのですが、クミンやジンジャー、カルダモンなど、13種の香辛料から成るスパイス感は複雑で、それと同じくらいトマトも強く、日本でお馴染みの「カレー」とは一線を画したテイスト。さらにクリーミングパウダーや乳等を主要原料とする食品、プロセスチーズ、チーズパウダーを配合し、マイルドな味わいを演出しているのですが、バターちょっと弱すぎんか?
メッチ調味料と出会えたのはマニア的に大きな収穫でしたが、バターが頼りないことに加え、パッケージには “チキンの旨み„ と書いてあるのに、豚脂の自己主張がチキン調味料を上回るなど、だいぶ湾曲的にデフォルメされています。単純に「おいしい」「まずい」の二択で答えるなら前者ですけど、レギュラーサイズだったらスープの印象も大きく違っていたのかな‥‥。
かやく
あかん
スープとの兼ね合いなのか、それともサイレントで改悪が入ったのか‥‥などと、そのように勘繰ってしまうほど白謎肉の風味がイマイチ。タンドリーチキンらしさもちろん、鶏肉らしいの旨みも希薄。それよりも加工肉特有の臭みが全面に出ていたので、13種類の香辛料もっと仕事しろー! じゃないですねコレは、白謎肉が悪い。
ニンジンも6年前のパプリカほど効果的なアイテムではなく、そもそも量が少なかったので、あーなんか言われてみれば入ってたような? くらいの存在感。ネギは「カップヌードル」のイメージに寄せたのかもしれませんけど、なんの相乗効果も生み出していなかったので、量は少なくても蒸し鶏+パプリカとか、もっと意味のある具材を入れてほしかったです。
総評
スープの項目でも触れたように「おいしい」「まずい」の二択で答えるなら前者ではあるものの、バターチキンカレーなのにバターとチキンの要素が弱すぎて、目立っていたのは日本の家庭的なカレーとは違う(とはいえ人を選ばない程度の)香辛料の組み方とトマトの強さ。後者については的外れな要素ではないけれど、肝心のチキンとバターどこいった? というのが致命的な落とし穴。
それと白謎肉が邪魔でしかなかったので、けっこう辛口な感想になってますけど、繰り返すようにマズイわけではありません。ただ、バターチキンカレーとしてはイマイチ。前述したBIG特有の不完全燃焼が否めない仕上がりだったので、次は「世界のカップヌードル」(CUPNOODLES)シリーズからゴリゴリ本格的なヤツお願いします。【author・taka :a(大石敬之)】