即席カップめん業界では、リニューアルを含めると年間およそ1000種類以上の商品がリリースされ、なかでもスポット商品と呼ばれる数量・期間限定フレーバーは販売期間が短く、それが定番商品として市場に残る確率は極めて低い世界。特にインパクトが求められる変わり種になると、早ければ1ヶ月もしない間に終売というパターンも珍しいことではありません。
このページでは、2021年(令和3年)1月〜12月の期間中、実際にブログで紹介してきた新商品を厳選し、印象に残ったカップ麺をランキング形式で紹介します。年間1000食以上のカップ麺を実食した筆者(@honjitsunoippai)の独断と偏見に基づくランキングなので、個人的な嗜好及び主観的な考えも含みますが、よろしければ最後までお付き合いください。
カップ麺ランキング 総集篇 2021ver. 前編
はじめましての皆様、カップ麺をレビューするブログ「本日の一杯 -Cupmen review blog-」の筆者・taka :a(たか)こと大石敬之(おおいし たかゆき)です。これまではペンネームで活動し、素顔はもちろん年齢や性別、名前も公表していませんでしたが、2021年は初めてメディアに露出したこともあり、それらの情報を公開しました。
以前からブログをご存知の皆様、いつも長文のレビューをご覧いただき、ありがとうございます。どうしても1日の時間が限られているため、目紛しいペースでリリースされる新商品の数に追い付けず、取り零しも多かったのですが、それでも多くの方からアクセスがあり、モチベーションを保つことができました。
年末恒例のランキングとしては、先に【二郎インスパイア篇】と【激辛篇】を公開済み。今年は「汁なし篇」を組んでいませんが、2021年を締め括る【総集篇】と題し、12月30日公開の前編(第10位〜第6位)と31日公開の後編(第5位〜第1位)に分け、印象に残っているカップ麺を紹介します。ただ、取り零しを除いても数が多かったので、いくつかのルールを設定しました。
たとえば東洋水産が通年販売している「麺づくり 鶏だし塩」及び「マルちゃん正麺 カップ 濃厚こくソース焼そば」に、セブン&アイグループ限定の「セブンプレミアム ゴールド 一風堂 赤丸新味 博多とんこつ」など、いずれも2021年に高く評価しているのですが、リニューアルされたタイミングなどを見計らってレビューしたもの。
またセブンイレブンのレンジ麺「中華蕎麦とみ田監修 三代目豚ラーメン」に、同じくセブンイレブンのチルド弁当「蒙古タンメン中本白根誠監修 中本丼」といった中食もレビューしてきましたが、このランキングではスポット商品の即席カップめんを中心に、最初から定番商品でも “今年初めてリリースされた前例のない新商品は候補に含む” というルールを設け、ランキングを作成しました。
すでに毎年恒例となっている有名店監修の即席カップめん及び季節限定のフレーバー並びに目立ったテコ入れなしの再販などにつきましては、年中いつでも購入できるレギュラー商品に切り替わっていない限り “スポット商品” としてランキングの候補に入りますので、ご了承ください。
例)2021年7月19日に発売された日清食品の「カップヌードル レッドシーフードヌードル」は、毎年恒例の準レギュラー商品で、毎年ほとんど中身は変わっていませんが、販売期間は “夏季限定” のため「スポット商品」です。
第10位「ペヤング オムそば風やきそば」
カップ麺ランキング【総集篇】第10位のカップ麺は、2021年10月25日発売の「ペヤング オムそば風やきそば」(まるか食品)で、最近は “おふざけ” が目立つペヤングですが、いつもインパクトに感けた商品ばかりリリースしているわけではありません。もうひとつの良品「シーフードやきそば」と迷ったんですけど、僅差で「オムそば風やきそば」をランクインさせました。
麺は既存の「ソースやきそば」にも使われている汎用の油揚げ麺で、そこに新鮮味は微塵もなく、実はソースも「超超超大盛GIGAMAX関西風天かす」の添付調味料と同じ味かつ原材料名も完全に一致したのですが、なんのなんの。たっぷりと入っていた具材の卵に、関西風の甘辛いソースとマヨネーズのコクが絡み合う様は、なるほど「オムそば風」という表現にも納得の仕上がり。
過去に他の商品で使用した添付調味料をシレッと使い回してくる‥‥これって実は「ペヤング」の常套手段なので、今に始まったことではないのですが、カップ焼きそばでオムそば風というのは斬新なアイディア。想像以上に美味しかったのはもちろん、ある意味 “最強の焼き直し” というか、こんなアレンジの仕方もあるんだなと。例の「ペタマックス」や「獄激辛」とは違う、硬派で真面目な商品でした。
関連ページ:ペヤングの新作「オムそば風やきそば」を食べてみた結果【過去最高傑作】レベルの “超正統派” だった件
第9位「ごつ盛り きつねうどん」「同 天ぷらそば」
カップ麺ランキング【総集篇】第9位のカップ麺は、2021年6月28日発売の「ごつ盛り きつねうどん」及び「ごつ盛り 天ぷらそば」(東洋水産)で、厳密にいうとスポット商品ではないのですが、このシリーズとしては初の和風めん。結論からいうと「赤いきつね」や「緑のたぬき」の廉価版(オープン価格の安売り用)なんですけど、2021年を振り返る中で外せない商品。
オープン価格の大盛り和風カップ麺といえば、明星食品の「旨だし屋」が台頭で、その売り上げはコロナ禍における購買層の変化で伸長を見せていました。しかし、メーカー希望小売価格が220円(税別)の「赤いきつねうどん でか盛」と「緑のたぬき天そば でか盛」の味わいを継承しつつ、実売価格100円前後の「ごつ盛り」に落とし込んだような新作が現れてしまった2021年。
発売当初はオムニ7(イトーヨーカドーのネット通販サイト)でも取り扱われていましたが、いまだに販路地域は関東と甲信越に限定されているので、ある意味そこが明星食品にとっての救い。ただ、かなりポテンシャルの高い商品なので、品質を落とすことなく全国販売に切り替わった場合、市場の勢力図が変わってくるかもしれません。
関連ページ:コスパ最強【ごつ盛り】が「きつねうどん」と「天ぷらそば」を市場に投下!! 業界の勢力図が変わる可能性も——
第8位「らーめん山頭火 ガーリック豚骨塩」
カップ麺ランキング【総集篇】第8位のカップ麺は、2021年9月6日発売の「セブンプレミアム らーめん山頭火 ガーリック豚骨塩」(日清食品)で、らーめん山頭火の中でも「旭川本店」でしか食べられない「ペペロンチーめん(Peperoncino Ramen)」を再現したカップ麺。これまでにも何度か変わり種のスポット商品を出していましたが、筆者の知る限り「ペペロンチーめん」の再現は初の試み。
セブンプレミアムゴールドの「山頭火 旭川とんこつ塩」には大判どんぶり型の容器を使用していますが、スポット商品の「ペペロンチーめん」では縦型ビッグの容器を採用し、コンビニでも手に取りやすいように配慮。しかし、麺は油で揚げずに乾燥させたクオリティの高いノンフライ麺で、なんといってもスープの出来が反則クラス。
ふわっと鼻に抜ける酒粕っぽい風味など、既存の「旭川とんこつ塩」が持つ個性と魅力を液体スープなしで再現しているところが素晴らしく、土台は乳化感の強いクリーミーなテイスト。そこにピリッと刺激的なガーリックオイルを重ねることでペペロンチーノライクな味を演出し、多めのフライドガーリックで攻撃性を高めている、インパクトのある個性と「山頭火」らしさを見事に融合させた一杯でした。
関連ページ:セブン限定「山頭火シリーズ」史上最高傑作!? にんにく強烈「ペペロンチーめん」を再現したカップ麺がヤバかった件
第7位「豚ラ王 ヤサイ、アブラ、ニンニク」
カップ麺ランキング【総集篇】第7位のカップ麺は、2021年1月4日発売の「豚ラ王 ヤサイ、アブラ、ニンニク」(日清食品)で、2020年と2021年のカップ麺ランキング【二郎インスパイア篇】で2年連続1位を勝ち取った二郎インスパイア系の絶対王者。昨年の【総集篇】では第2位にランクインしていたので、結果的に順位は下がってしまったのですが、それでもTOP10の中に食い込んだ実力の持ち主。
日清ラ王が展開する即席カップめん史上もっとも太い “踊る極太麺” に、背徳感マシマシの “アブラ増し袋” を搭載した一杯で、流行りの二郎インスパイア系が持つ魅力を可能な限り再現。メーカー希望小売価格は税別で368円、コンビニで購入した場合の税込価格は397円と高額な商品になりますが、その価値は充分にある商品です。
ちなみに2022年1月10日「日清ラ王」史上初となる “ニンニク練り込み極太ノンフライ麺” を搭載し、麺・スープ・具材のすべてにニンニクを使用した「日清トリプルニンニク豚ラ王 ヤサイ、アブラ、ニンニク」(実質 “三代目” 豚ラ王 ヤサイ、アブラ、ニンニク)が発売されるようなので、これまで以上の高評価を叩き出してくれることになるか、それとも——。
関連ページ:背徳の極み【豚ラ王】最強の二郎系カップ麺「ヤサイ、アブラ、ニンニク」再降臨!!
第6位「カップヌードル 魔法のレストランコラボ トマトスープ→担々麺」
カップ麺ランキング【総集篇】第6位のカップ麺は、2021年11月3日発売の「カップヌードル 魔法のレストランコラボ トマトスープ→担々麺」(日清食品)で、関西の人気ローカル番組『水野真紀の魔法のレストラン』とのコラボ商品。最初に「洋風コンソメトマトスープ」を楽しんだ後、カップヌードル史上初となる付属のレトルト資材で “味変え” できる、かなり斬新なカップ麺。
神戸北野ホテルの山口シェフ、エスサワダの澤田シェフ、il luogo di TAKEUCHI (イル ルォーゴ ディ タケウチ)の竹内シェフ監修のもと、試行錯誤を繰り返しながら実現した一杯で、値段は前述の「豚ラ王」よりも高い500円(税別)に設定されていたのですが、なんのなんの。これまでの常識を覆すアイディア商品で、カップヌードルリッチ以上に高級かつ値段以上の価値を感させてくれた逸品。
正規の販売店「阪急百貨店うめだ本店地下1階ツリーテラス」では、初日に朝の6時半から約500人もの行列を作り、日清食品の公式オンラインストアもアクセス過多。阪急百貨店の公式通販サイトでも数時間で完売と入手困難な商品だったので、そこだけは問題でしたが、カップヌードルのポテンシャルを大幅に広げてくれた企画です。
まとめ
というわけで、まずは第10位〜第6位を紹介しましたが、おいおい○○が入ってないぞ! という異論は全力で認めます。そのカップ麺が後編のランキングに入っているかもしれないし、入っていないかもしれません。筆者もランキングを作成する上で「あれも美味しかったし、これも‥‥」と、かなり頭を抱えました。
逆に “へー、こんなカップ麺もあったのか” という思わぬ発見が得られたのであれば幸い。このページが公開されてから24時間後、カップ麺ランキング【総集篇】後編をアップする予定なので、そちらも楽しんでいただけたら嬉しいです【author・taka :a(大石敬之)】