どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2020年5月26日(火)新発売のローソン限定カップ麺、日清食品「名店 日清 中華そば勝本 芳醇煮干ししょうゆ」の実食レビューです。
上品な味わいで知られる東京屈指の名店「中華そば 勝本」のカップラーメンついにコンビニ限定で商品化!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
中華そば勝本 監修カップ麺
中華そば勝本(かつもと)とは、京都全日空ホテル(現・ANAクラウンプラザホテル京都)で総料理長を務めていたフレンチの巨匠・松村靖氏が立ち上げたラーメン店で、創業は2015年(平成27年)3月14日。それまでホテルの一流料理人として腕を振るっていた松村氏ですが、2013年(平成25年)2月1日、京都全日空ホテルがANAクラウンプラザホテル京都にリブランドしたタイミングにあわせて退職を決意。
京都全日空ホテルで料理長を務めていた全盛期、2万円ほどのコース料理を中心に高級フレンチを提供していた松村氏は、一杯の丼で前菜からメインディッシュまで完結し、なおかつ1,000円前後で食べられるラーメンに魅力を感じたそうです。それが当時55歳の頃、フレンチの巨匠と呼ばれたホテルの料理長から一変、ラーメン職人としてのキャリアをスタートしました。
松村氏が長年にわたり培ってきたスープの技法は、高級フレンチに幅広く応用されているブイヨン。しかし、繊細な西洋料理では真価を発揮する雑味のないブイヨンですが、その上品なスープに麺を入れるとラーメンにならない、これまでフレンチの世界では徹底的に取り除いてきた「雑味」こそ “ラーメンでは旨味に変わる” と解釈した松村氏は、上品さを保ちながらラーメンとして成立するスープの研究を開始。
試行錯誤の結果、極めるべき素材は “煮干し” に定め、東京都杉並区の名門「永福町大勝軒」をはじめとする煮干しを使った都内のラーメン店を食べ歩き、フレンチの一般的なブイヨンには使われることがない煮干しの扱い方を会得。そして京都全日空ホテル退職から約2年後の2015年3月14日、現在の本店を構える東京都千代田区神田三崎町・水道橋にて「中華そば 勝本」を開業します。
勝本(かつもと)という屋号の由来は、俳優・渡辺謙氏が映画『ラストサムライ(The Last Samurai )』で演じた勝元盛次(かつもと もりつぐ)の名に因み、武士道精神と “東京で勝つ” という店主の決意を表したもの。開業当初は「つじ田インスパイア」と呼ばれ、客足が遠退いた時期もあったようですが、試行錯誤を繰り返し、1年後には都内屈指とされる行列の絶えない名店に成長しました。
2016年2月20日には東京・神保町で2号店「神田 勝本」を立ち上げ、浅草橋にあるミシュラン掲載店「饗 くろ㐂(もてなし くろき)」の店主・黒木直人氏が絶賛。2018年12月8日には東銀座の一角に3号店「銀座 八五(はちごう)」をオープンし、ラーメン業界の非常識といっても過言ではない “タレ不使用のラーメン” を完成させて打ち出すなど、破竹の勢いを見せています。
話を戻しまして現在の「勝本」を代表する一杯「中華そば(煮干し醤油スープ)」は、開業当初の “つじ田インスパイア” から離れ、正統派の中華そばと現代風のトレンドを噛み砕いた鶏しょうゆ清湯に刷新。日本三大地鶏の名古屋コーチンをはじめ、鶏の様々な部位から抽出した動物系スープを軸に、煮干しや節などの魚介を上品にブレンドした素朴な味わいは “自称日本一ラーメンを食べた男” 大崎裕史氏をも唸らせました。
そんな「中華そば 勝本」の味をカップラーメンで再現したのは、泣く子も黙る天下の日清食品。今回はローソン名店シリーズからの展開されているPB(プライベートブランド)のカップ麺なので、他のコンビニでは売ってないローソン限定商品になるのですが、一部の店舗を除くほとんどのローソンで取り扱われていると思います。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は「液体スープ」「調味オイル」「かやく」「ねぎ」「焼きのり」と豪華5袋構成で、液体スープと調味オイルは “中華そば勝本” 専用デザインの小袋に封入。ちょっと上記の写真では分かりづらいのですが、調味オイルの量は液体スープに匹敵する‥‥いや、重ねてみると調味オイルのほうが液体スープの小袋よりも大きいため、これも今回のキーポイントになりそうな予感。
麺は比較的に色白で光沢のあるノンフライ麺で、湯戻し時間は熱湯5分。その見た目もさることながら、大豆食物繊維やチキン調味料を練り込んでいるのも日清食品が頻繁に用いてくる製法です。ただ、最近は改善傾向にあるものの、日清食品が製造する高価格帯のカップラーメンにノンフライ麺が採用されていた場合、十中八九ほぐれにくいのが現状なので、そこが実食前の不安要素。
ローソン標準価格は税込285円と強気な値段設定で、ノンフライ麺を採用した大判どんぶり型のカップラーメンとしてもハイエンド。その為ある程度はコストパフォーマンスについても言及しなければいけないのですが、実際の「中華そば勝本」で提供されている「中華そば」は税込730円(2020年5月現在)。カップ麺として一定の水準を超えていれば、頭ごなしに高いとはいえません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:名店 日清 中華そば勝本 芳醇煮干ししょうゆ 製造者:日清食品株式会社 関東工場 製造所:茨城県取手市清水667-1(A) 内容量:119g(めん70g) 商品コード:4902105261392(JAN) |
発売日:2020年05月26日(火) 実食日:2020年05月28日(木) 発売地域:全国 取得店舗:コンビニ(ローソン) 商品購入価格:285円(税込) ローソン標準価格:264円(税別) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:440ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:5袋(液体スープ・調味オイル・かやく・ねぎ・焼きのり) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、食塩、植物油脂、卵粉、大豆食物繊維、チキン調味料)、スープ(豚脂、しょうゆ、鶏脂、食塩、魚介調味油、にぼしエキス、糖類、魚粉、チキンエキス、にぼし、かつおぶし調味料、チキン調味料、たん白加水分解物、酵母エキス)、かやく(チャーシュー、味付メンマ、のり、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、かんすい、香料、酒精、リン酸Ca、カラメル色素、乳化剤、増粘剤(キサンタンガム)、カロチノイド色素、酸化防止剤(ビタミンE)、フラボノイド色素、ビタミンB2、ビタミンB1、香辛料抽出物、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
実食開始
熱湯を注ぐ前に入れる小袋は「かやく」と「ねぎ」の2袋、かやくの小袋には適度にサシの入った豚バラ系のチャーシューとメンマを同梱、ねぎの小袋には大きめにカットされたFD(フリーズドライ)のネギを別添しています。メンマの量は少なめですが、今回は焼き海苔が2枚入っているため‥‥いや、ちょっと具材は寂しいですね。
とりあえず先入れの小袋を開封したら、熱湯を注いで5分待機、その間に後入れの「液体スープ」と「調味オイル」の小袋をフタの上にのせて温めます。さきほど日清食品のノンフライ麺は戻りにくいと書きましたが、後入れの液体スープ・調味オイルを先に入れた場合、それこそ麺が戻らなくなってしまうので、かならず小袋を投入する順番は守ってください。
今回のパッケージには鶏と煮干しの “特製Wエキス” が強調されていたので、それらの旨味とバランスに注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。それにしても、この調味オイルの量はインパクトありますね。
栄養成分表示:1食(119g)あたり |
カロリー:461kcal たん白質:9.0g 脂 質:20.6g 炭水化物:60.0g 食塩相当量:6.9g (めん・かやく:1.4g) (スープ:5.5g) ビタミンB1:0.22mg ビタミンB2:0.38mg カルシウム:135mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:461kcal(めん・かやく:307kcal)(スープ:154kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
致命的な戻りムラなし!
実店舗の「中華そば勝本」で使われている麺は、1950年(昭和25年)4月1日設立の製麺所「浅草開化楼」に特注したオリジナルの中細麺で、2号店の「神田 勝本」では浅草開化楼に所属する元フリープロレスラーのカリスマ製麺師・負死鳥カラス(不死鳥カラス)こと石倉康晴氏とタイアップするなど、開業当初から浅草開化楼と深い関係にあります。
一方、カップ麺に使われているノンフライ麺は、珍しく四隅が丸みを帯びたフォルム。熱湯5分ジャストでフタを全部剥がし、かるく麺をほぐしてから‥‥と、ここで引っかかることなくスムーズに解けたので、もっとも懸念していた第一関門は突破。麺の端っこや中間地点など、若干ながら部分的に癒着している箇所もありましたが、日清食品の高価格帯カップ麺にありがちだった致命的な戻りムラは気になりません。
断面の四角い刃で麺を切り出していますが、前述のように角張っていないため口当たりは柔らかく、ふわっと香る小麦の優しい香りも今回のスープに馴染んでいます。ややノンフライめん特有のゴムっぽいアシが気になるところではあるものの、油揚げ麺のようにスープの繊細な味のニュアンスを壊してしまうことはないですし、きちんと値段に見合ったクオリティの高さでした。
スープ
え、ちょっと想像以上‥‥
調味オイルを入れる前の液体スープは想像以上に魚介が強く、膨よかで芳ばしい鰹節のサポートも大きかったのですが、節系の魚介要素では出せない煮干し特有のシャープな旨味が先行するテイスト。えぐみや苦味まで前面に押し出したタイプではないものの、ザラついた舌触りを感じるほど魚粉の量は多く、あえて “雑味” にもなりかねない煮干しの癖を適度に残しているのが好印象。
タレは濃口醤油を軸に甘味を帯びているのですが、まったく嫌な甘さではなく、適度に醤油のカドを包み込んでくれる自然で穏やかな甘さ。ベースにある動物系の旨味は目立って主張してきませんが、あえて液体スープでは脂っ気を抑えているような印象で、じんわりと丁寧な鶏の旨味が奥行きを演出してくれます。しかし、調味オイルを加えた後は一変‥‥
調味オイルの量は箸で混ぜなければ湯気も立たないほど多く、その主成分は豚脂(ラード)と鶏油(チーユ)のブレンドで、植物油脂は使用していません。同じ動物油脂でもベクトルの違う豚脂と鶏油の芳ばしさもさることながら、どうも魚介調味油にホタテやアサリなどの貝エキスを使用しているような味わいで、舌の脇と奥に訴えかけてくる独特の滋味が強く印象に残りました。これ、めちゃくちゃレベル高いですよ。
具材
焼き海苔ナイス
パッケージ(フタの上)のイメージ画像には適度に幅のあるメンマが写っていましたが、実際のメンマは縦型のカップラーメンに入っているような可も無く不可も無しの具材で、値段に伴ったクオリティとはいえません。しかし、斜め切りのネギは特有の甘みが強く、上品なスープにベストマッチ。
チャーシューはフワフワとした柔らかい食感で、個体差によるかもしれないけれど、箸で持ち上げた瞬間に破れました。同社は「日清ラ王」をはじめ側面に焼き目の入った厚切焼豚を所持しているので、もうちょっと気合の入ったチャーシューを採用してほしかった‥‥というのが正直な感想ではあるものの、ふわっと上がってくる直火焼きっぽい芳ばしさは印象的。
焼き海苔は各位お好きなように食べていただければと思いますが、もし食べ方に迷った時はスープに浸し、麺を巻くようにして食べるのがオススメ。これだけで麺の表情が大幅に変化するので、たった二枚の焼き海苔の存在感は絶大でした。今回のノンフライ麺とスープにも絶妙に合っていたし、具材におけるハイライトは間違いなく焼き海苔ですね。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5+)
かなり鰹節と煮干しの旨味が強かったので、とりあえず魚介系のラーメンや魚粉が苦手な方にはオススメできません。しかし、魚介のインパクトもさることながら、動物系の旨味も丁寧で、大量のオイルも適切に使いこなすなど、カップラーメンのスープとしては実にレベルの高いものでした。反面、具材は値段に釣り合っていなかったですけどねw
とはいえ具材についてはスープの出来を思えば許容できる項目かと思いますし、懸念していたノンフライ麺に致命的な欠陥もなかったので、これで税込285円なら “買い” だと思います。今後もしかすると「ローソン名店シリーズ」の通年商品に格上げされるかもしれませんが、逆に数量限定で店頭から消えるかもしれないため、気になった方は早めに最寄りのローソンをチェックしてみてください。