どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年3月13日(月)新発売、セブンプレミアムのカップ麺「山頭火 辛みそ味」の実食レビューです。
セブンプレミアム15周年「すみれ 味噌キムチ味」と「IPPUDO NY クラムチャウダーヌードル」に続く “歴代最も売れた○○の味” 第3弾は「山頭火」のカップラーメンを展開!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
山頭火 辛みそ味
らーめん山頭火(さんとうか)とは、株式会社アブ・アウト(ab-out Co., Ltd.)が運営する「しおらーめん」の名店で、創業は1988年(昭和63年)3月10日。現在は同社の会長を務める畠中仁(はたなか ひとし)氏が発起人で、伊丹十三監督の映画『タンポポ(ラーメン・ウエスタン)』を観た帰り道、とある店で食べたラーメンの味に落胆して「山頭火」をオープンさせた、というのは有名な話。
今回の新商品「山頭火 辛みそ味」は、過去にリリースされたタテ型スポット品の中で “歴代最も売れた山頭火の味” を再現した一杯で、2022年11月発売品「すみれ 味噌キムチ味」及び2023年1月発売品「IPPUDO NY(from New York)クラムチャウダーヌードル」の流れを汲んだ企画。実は17年前に発売されたカップラーメンがモデルになっているのですが、もうすこし歴史を遡ってみましょう。
「山頭火」監修のカップラーメンが初めて発売されたのは、2001年(平成13年)5月15日なので、かれこれ22年ほど前の話。記念すべき第1弾は「日清名店仕込み 山頭火 とんこつ塩」というタイトルで、それは後にセブン&アイが展開するPB(プライベートブランド)の最上級「セブンプレミアム ゴールド(SEVEN&i PREMIUM GOLD)」の通年商品「山頭火 旭川とんこつ塩」として定着します。
その間にタテ型カップのスポット品(長期契約に拘束されず、必要に応じて単発的な商売や仕入れが可能な数量限定の商品)も何度かリリースしており、直近だと2021年9月6日に発売された「らーめん山頭火 ガーリック豚骨塩」が記憶に新しく、このブログでは超絶高評価となる「★7」を叩き出したのですが、それ以上に売れた「辛みそ味」の復活ということで、かなり仕上がりが気になるところ。
ちなみに2023年3月17日現在、セブンプレミアムの公式サイトには “2002年に発売し好評だった山頭火の「辛みそ味」がさらに美味しくなって登場。お店の大人気メニューを再現した、豚骨ベースに味噌の優しい味わいが広がるスープ、食べ応えのある太ちぢれ麺をお楽しみください。” と記載されているのですが、発売日に関しては正しくありません。
「山頭火」監修によるタテ型スポット品が初めて発売されたのは、初代「日清名店仕込み 山頭火 とんこつ塩ラーメン」のデビューから4年後となる2005年(平成17年)6月8日。それ以前は店舗のメニューを再現していましたが、お店にはないオリジナル商品として「山頭火 淡(あわ)醤油味」を展開することで、山頭火ブランドの浸透促進及びタテ型カップめん市場の活性化を図っていました。
その当時、どんぶり型カップめんの購買時間は週末の夜が中心となっていたのですが、タテ型カップめんは平日の朝から購買されている、そんな消費者の購買行動が「山頭火」監修シリーズ初となるタテ型スポット品「山頭火 淡醤油味」の開発に繋がり、第2弾として2006年(平成18年)2月28日に発売されたのが「山頭火 辛みそ味」なので、公式が発表している “2002年に発売し好評だった” は誤報です。
※余談ですが、2002年にリリースされた「山頭火」監修の一杯は「日清名店仕込み 山頭火 しょうゆ」(4月9日発売品)のみで、どんぶり型のカップラーメンでした。
タテ型スポット第1弾の「淡醤油味」は即席カップめんオリジナルの味わいでしたが、その次にリリースされた「辛みそ味」は店舗の「辛味噌らーめん」を再現したカップラーメンで、復活版のパッケージにもあるように “歴代最も売れた山頭火の味” とのこと。実際の「辛味噌らーめん」は、秘伝の味噌ダレに厳選した3種の唐辛子を加えているため、深みのある辛さと豊潤な味噌に注目しながらレビューします。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、食べる直前に加える「特製香味油」1袋のみで、2006年2月発売品の別添(調味オイル)から名称こそ変わってはいるものの、フタ上に小袋を貼り付けているところは変わっていません。ただ、17年前の内容量は83g(めん50g)だったのに対し、復活後の内容量は105g(めん70g)にサイズアップしているため、そこは大きな違い。
かやくは味付肉そぼろ、ごま、きくらげ、味付メンマ、ねぎ、赤ピーマン、赤唐辛子の組み合わせで、17年前の資材(肉そぼろ、キクラゲ、メンマ、イリゴマ、ネギ、レッドベルペパー)と完全に同じではないと思いますが、大まかなラインナップは変わっていません。そして、もうひとつ注目しておきたいのが販売価格。
2023年3月現在、NB(ナショナルブランド)の縦型ビッグ製品におけるメーカー希望小売価格は245円(税別)が標準的で、それをセブンイレブンで購入した場合の税込価格は264円になるのですが、今回の販売価格は228円(税込246.24円)と相場よりも低めの設定。ちなみにイトーヨーカドーやヨークベニマル、ヨークマートなど、セブン&アイグループのGMSも販売店の対象となっています。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:セブンプレミアム 山頭火 辛みそ味 製造者:日清食品株式会社 製造所:静岡工場(静岡県焼津市相川17-2) 内容量:104g(めん70g) 商品コード:4902105278581(JAN) |
発売日:2023年03月13日(月) 実食日:2023年03月17日(金) 発売地域:全国 取得店舗:コンビニ(セブン-イレブン) 小売価格:228円(税別) 購入価格:246円(税込) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙 湯量目安:440ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:1袋(特製香味油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、食塩、チキンエキス、植物油脂、大豆食物繊維)、スープ(粉末みそ、豚脂、ポーク調味料、でん粉、食塩、香味油、小麦粉、植物油脂、酵母エキス、香辛料、ごま、魚醤、糖類)、かやく(味付肉そぼろ、ごま、きくらげ、味付メンマ、ねぎ、赤ピーマン、赤唐辛子)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、かんすい、炭酸Ca、増粘多糖類、香料、セルロース、カラメル色素、カロチノイド色素、乳化剤、酸化防止剤(ビタミンE、ローズマリー抽出物)、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)、香辛料抽出物、ビタミンB2、ビタミンB1、酸味料、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
実食開始
麺は油で揚げずに乾燥させたノンフライ麺で、湯戻し時間は熱湯5分。先に復活を遂げた「すみれ 味噌キムチ味」と「IPPUDO NY クラムチャウダーヌードル」は、復活前:油揚げ麺 → 復活後:ノンフライ麺と進化を遂げていたのに対し、17年前の「山頭火 辛みそ味」には “しなやかでつるみのあるノンフライめん” を採用していたので、当時からノンフライだったのかと少し驚きました。
別添の小袋は後入れなので、熱湯を内側の線まで注ぎ、フタの上で「特製香味油」を温めながら待つこと5分。時間になったら「特製香味油」を加え、よく混ぜ合わせたら完成です。日清食品のノンフライ麺は膨張率が低いため、どうしても具材が沈んでしまうのですが、それでも具沢山でビックリ。
パッケージに辛さレベルの表示や辛味の強さに関する警告文の記載もなかったので、おそらく刺激は控えめかと思いますが、念のため唐辛子の効き目にも注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(104g)あたり |
カロリー:414kcal たん白質:11.6g 脂 質:13.0g 炭水化物:64.9g (糖 質:60.4g) (食物繊維:4.5g) 食塩相当量:7.2g (めん・かやく:2.6g) (スープ:4.6g) ビタミンB1:0.44mg ビタミンB2:0.56mg カルシウム:198mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:414kcal(めん・かやく:285kcal)(スープ:129kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
ちょっと放置したほうがいいかも
開封前は「ガーリック豚骨塩」と同じノンフライ麺を予想していたのですが、それと比較して黄色味は弱く、鋭利な角断面から丸みを帯びた形状に変更。また原材料のチキンエキスと植物油脂の配合も調整するなど、まったく同じノンフライ麺ではありません。かといって新開発の確証もないんですけど、たとえば “まるで、生めん。” を標榜している「日清ラ王」に匹敵‥‥いや、それ以上かも。
日清食品のノンフライ麺は容器の形状を問わず、コシの強さと引き換えに戻りムラが発生しやすいため、ほぐれにくさが気になることも珍しくないのですが、そういったストレスを感じることはなく、しかしながらギュッと詰まっているような密度の高さを実現。食べ始めはノンフライめん特有のゴムっぽさが気になるものの、旧世代な質感ではありません。
後述するスープの系統的に、もうちょっと柔らかめに仕上がってくれたほうが‥‥などと感じた節もありましたけど、それについては好みの問題もあるかと思いますし、柔らかくしたい分には放置すれば解決。豊かに香る小麦感も主張し過ぎず適切で、密度感のある噛み応えから実際の麺量以上に食べ応えがありました。
スープ
「山頭火」らしいと思える “辛みそテイスト”
まずは「特製調味油」を加える前に味を確認してみたところ、動物系は丁寧に炊き出した豚骨の旨みが軸を担い、粉末みその配合は赤味噌よりも白味噌のほうが多く、商品名は「辛みそ味」となっていますが、実際の辛味はピリ辛にも満たない程度。ただ、この時点で完成系と思えるほどに、もっぱら味について物足りなさを感じることはなく、なかでも印象的だったのは余韻に感じる酒粕のような風味。
実際に酒粕を使用しているわけではないようですが、7PGの「山頭火 旭川とんこつ塩」で印象的な余韻と似たコクが味蕾に残り、そこそこニンニクの風味も効かせながら、まったく下品ではない、その巧妙なバランスにも「山頭火」監修ならではのDNAを感じました。あと、ふわっと泳ぐ魚醤のアクセントもイイですね。
続けて「特製調味油」を入れてみたところ、引き続き辛さはピリ辛にも満たない程度だったので、刺激の強さに期待してはいけません。しかし、ごま油っぽい芳ばしさと豚脂の厚みが程よくプラスされ、よりコク深い味わいに。最近の日清食品といえば、豚臭いオイルを多様していた期間もありましたけど、そういったクセもなく、なんとも上品な味わいで、同時に濃密。
「山頭火」の原点は色白で細身の女性をイメージした “らーめん” なので‥‥などと気軽に書けない風潮の昨今ではあるものの、ガサツな印象や攻撃的な要素は皆無に等しく、パッケージと実際の味わいにプラスの意味でのギャップがあるというか、そういった部分にも「山頭火」らしさを感じました。
かやく
とにかく賑やか
小さな肉そぼろはジャンクな味付けで、しかしながら上品なスープの邪魔をするような存在ではなく、スープにはない野生的な表情を見せてくれるアイテムで、キクラゲのコリコリとした歯応えは食感のアクセントに効果的。ネギは大きめの斜め切りかつフリーズドライで、白い部分は加熱したネギ特有の甘さが楽しめる繊細なタイプ。
一見するとイレギュラーな赤ピーマンは、西洋の風を吹かせながらも浮くどころかスープに調和して、まったく違和感を覚えることはありません。やや味付メンマは特有の発酵感が強く、それが前述の酒粕っぽい風味と相乗効果を奏で、たっぷりの胡麻もプチプチ食感と芳ばしい風味が心地よい、すべてが主役と思えるような組み合わせでした(赤唐辛子は埋没してたけどw)
総評
スープの方向性を踏まえると、もうすこし麺の食感が弱いほうが‥‥などと感じた節もありましたが、野趣に富んだ “辛みそ味” とは一線を画す「山頭火」らしい上品さと洗練さが滲み出たスープの味わいに、なんとも賑やかな具材も楽しくて、販売価格は228円(税込246円)というコストパフォーマンスの高さも光る一杯です。もしも購入を迷っている方は、とりあえずカゴに突っ込んじゃってください。
さて、これで “歴代最も売れた○○の味” 御三家すべて出揃い、なおかつ「すみれ」と「IPPUDO(一風堂)」の復活カップ麺には印刷されていたセブンプレミアム15周年の記念ロゴも消えたので、これを最後に打ち止めなのか、それとも2ヶ月後に新しい企画がスタートするのか、今後の動向にも注目です【author・taka :a(大石敬之)】