どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年6月27日(火)新発売、サンヨー食品のカップ麺「中華そば青葉 東京 中野本店監修 濃厚魚介豚骨醤油味」の実食レビューです。
ラーメン界の常識を覆したダブルスープの火付け役「中華そば青葉 中野本店」監修によるカップラーメンが “セブンイレブン限定” で待望の復活!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
中華そば青葉 濃厚魚介豚骨醤油味
中華そば青葉(ちゅうかそばあおば)とは、1996年(平成8年)10月の創業以来、東京都中野区中野に本店を置くラーメン店で、わずか4.5坪の小さな店(現「中華そば 青葉 中野本店」)が震源地。同じく1996年に創業した「くじら軒」及び「麺屋武蔵」と共にラーメン界の常識を覆した、通称 “96年組” と呼ばれるエポックメーカーの筆頭格で、Wスープ(ダブルスープ)のパイオニアとして知られます。
今回の新商品「中華そば青葉 中野本店監修 濃厚魚介豚骨醤油味」は、中華そば青葉(店主:芳賀 良則)監修によるカップラーメンで、販売者はサッポロ一番のブランドで知られるサンヨー食品。実は20年以上前からコラボを続けているのですが、コンビニの中でもセブン-イレブン店舗にしか売ってない、専用モデルの留型(とめがた)商品で、中華そば青葉監修カップめんシリーズとしては初の試み。
近年のラーメン業界における濃厚魚介豚骨醤油といえば “またおま系” と呼ばれるジャンルが有名ですが、それとは一線を画す魚介×豚骨の元祖Wスープが「中華そば青葉」の代名詞。青葉を創業する以前の芳賀さんは、ラーメン作りに関して詳しい知識を持ち合わせておらず、しかしながら有名店で修行する道は選ばずに、独学で試行錯誤を重ね、既存の常識に囚われないスープの作り方を考案した人物。
もともと “香り高い和風だし” を特徴とする「東京」のラーメンには魅力を感じていたが、どうにも自分には淡泊で物足りない。片や “濃厚な豚骨のコク” を特徴とする「九州」のラーメンにも魅力を感じてはいたものの、豚骨臭や豚脂のクセが強すぎて苦手意識が働いてしまう。そんな対極といっても過言ではない、異なる魅力を備えたラーメンの “いいところだけ” を抽出して合わせられないか‥‥
そこで思い付いたのが後に「Wスープ」と呼ばれる手法で、魚介系の素材と動物系の素材では、スープを取る際に適した温度が違うことに着目。まずは “片方の寸胴” で豚骨と鶏ガラを煮込み、余分な脂は分離して、コクだけが残留するように計算。そのコクに負けないように “動物系とは別の寸胴” で、かつお節・さば節・煮干の力強い旨みを抽出し、それらを提供の直前に丼で合わせる手法を確立します。
店構えがシンプルなので、オープン当初は素通りされることもあったようですが、たしかな実力で評判・口コミが広がり、青葉のWスープに感銘を受けた「青葉インスパイア系」と呼ばれるラーメン店が登場するなど、ラーメン業界に多大な影響と功績を残しました。現在は品質を安定させるため、事前に寸胴で合わせているようですが、魚介系と動物系のスープを別々に取るスタイルは守っているそうです。
そんな「中華そば青葉」のカップラーメンが初めて発売されたのは、2001年(平成13年)12月3日の話。当初から販売者はサンヨー食品で、直近だと2021年(令和3年)5月31日に「中華そば青葉」の創業25周年を記念したカップラーメン「青葉 中野本店監修 中華そば 濃厚2.5倍」(コラボ第18弾)を発売しているのですが、その続編となる新作(コラボ第19弾)は前述のようにセブン-イレブン限定品。
はたして2年前の濃厚2.5倍(だし原料2.5倍)に匹敵にする濃さなのか、それとも濃厚さの指標が変わっているのか、そういった部分にも注目しながらレビューします。ちなみにセブン-イレブン店舗での販売価格は228円(税込246.24円)だったので、2023年7月現在の即席カップめん市場における縦型ビッグの相場(※コンビニで購入した場合の税込価格は292.68円)よりも圧倒的に安かったです。驚いたw
開封
今回のフタ上に小袋は別添されていなかったので、お湯を注ぐだけで調理可能な簡便性の高さが魅力。食べる直前に入れるタレやアブラなどの別添がない、それは粉末スープだけで濃厚な味を構成しなければいけないことを意味しているため、すこし不安な気持ちもありますけど、コンビニ業界でもサスティナブルが重要視されている現在、小袋を減らす=ごみの削減という観点では評価すべきポイントです。
などと思いながらフタを開けてみたところ‥‥入ってたあああww かやくと粉末スープを物ともせずに入ってたあああwww というのはエースコックの縦型カップ麺で定番のパターンなんですけど、ちょいちょいサンヨー食品もやらかしてきます。しかも名称が “仕上げの小袋” ではなく「調味油」となっているため、もしかしたら普段と下請けが違うのかも?
ちなみにセブン-イレブン限定のカップラーメンで、販売価格が228円(税込246.24円)の留型商品といえば、2023年5月30日に留型で復活した「麺屋さくら井 地鶏醤油味らぁ麺」及び「気むずかし家 濃厚鶏白湯ラーメン」が記憶に新しいところ。また価格改定の影響で値段は変わりますが、昨年11月22日発売の「きんせい総本家 夢風 焦がし風味噌ラーメン」も該当するため、何か狙いがあるようです。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:中華そば青葉 東京 中野本店監修 濃厚魚介豚骨醤油味 販売者:サンヨー食品株式会社 製造所:太平食品工業株式会社 本社工場 内容量:101g(めん70g) 商品コード:4901734050735(JAN) |
発売日:2023年06月27日(火) 実食日:2023年07月02日(日) 発売地域:全国 取得店舗:コンビニ(セブン-イレブン) 小売価格:228円(税別) 購入価格:246.24円(税込) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ(PP) 湯量目安:430ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(調味油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、食塩、粉末卵、ポーク調味料)、スープ(豚脂、糖類、かつお調味料、ポークエキス、植物油脂、魚粉、食塩、チキン調味料、ポーク調味料、しょうゆ、ポークコラーゲン、クリーミングパウダー、調味油脂、香辛料、たまねぎ調味料、こんぶエキス、酵母エキス、発酵調味料)、かやく(味付豚肉、ナルト、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、カラメル色素、かんすい、香料、乳化剤、クチナシ色素、増粘多糖類、微粒二酸化ケイ素、酸化防止剤(ビタミンE)、ビタミンB2、ビタミンB1、ベニコウジ色素、(一部に小麦・卵・乳成分・さば・大豆・鶏肉・豚肉・魚醤(魚介類)を含む) |
実食開始
麺は縮れの弱い油揚げ麺で、湯戻し時間は熱湯3分。サンヨー食品の縦型ビッグ製品に油揚げ麺が使われていた場合、同社の公式ウェブサイトに “当社独自製法” の文字があると安心できるのですが、留型のため製品情報そのものが存在しません。またセブン-イレブンの公式ウェブサイトにも製品に関する特徴が記載されていないため、仕上がりは実際に食べてみてからのお楽しみ。
別添の小袋は後入れなので、それを取り出してから内側の線まで熱湯を注ぎ、フタの上で「調味油」を温めながら待つこと3分。時間になったら「調味油」を加え、よく混ぜ合わせたら完成です。かやくは在り来りの構成ですが、2年前の濃厚2.5倍(だし原料2.5倍)を彷彿とさせる力強い魚介の香りが頼もしいファーストインプレッション。
ちなみに製造所は太平食品工業の本社工場(群馬県前橋市朝倉町555-4)となっていますが、太平食品工業は1963年(昭和38年)1月にサンヨー食品が設立した製造部なので、どちらも “サッポロ一番” という認識で問題ありません。それでは、引き続きコストパフォーマンスの高さと濃厚さの指標に注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(101g)あたり |
カロリー:461kcal たん白質:11.2g 脂 質:19.7g 炭水化物:59.7g 食塩相当量:6.8g (めん・かやく:2.4g) (スープ:4.4g) ビタミンB1:2.48mg ビタミンB2:0.35mg カルシウム:195mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:461kcal(めん・かやく:314kcal)(スープ:147kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
キました、キましたよコレは
サンヨー食品が販売する縦型ビッグのカップラーメンに油揚げ麺が‥‥というか、同社の縦型ビッグには十中八九で油揚げ麺が搭載されているわけなんですけれども、そのクオリティはピンからキリまで。しかもピン(上)とキリ(下)の差が激しく、たとえ有名店が監修した再現系のカップラーメンだったとしても、場合によっては遠慮なく “キリ” の品質で勝負してきます。いい根性してますよね。
反対にサンヨー食品が本気を出した “ピン” のクオリティといったら凄まじく、それは惜しむらくも販売を終了した「和ラー」というブランドが体現していました。ええ、今回の油揚げ麺は後者。まさに「和ラー」のDNAを色濃く感じる高水準な仕上がりで、間違いなく油揚げ麺なのに、ノンフライ麺と見紛うようなベクトルを歩んでいます。いやー、これはいけません、逆らえない。
容器の材質がポリプロピレン(PP)なので、ポリスチレン(PS)や紙製の容器と比較して麺が安定せず、お湯を注いだ途端にポコッと麺の表面が浮いてしまう ——食べ始めに部分的な戻りムラが気になる—— ところだけは残念なポイントになりますけど、それ以外の部分は密度が高く、しなやかで上品な質感。戻りムラについては途中で気にならなくなりますし、揚げ油の風味も控えめで、お値段以上です。
スープ
Brix値は歴代最強クラス
ひとくち含んだ途端、真っ先に飛び込んでくるのは、かつお節・さば節・煮干による魚介の波状攻撃。畳み掛けるように攻め込んでくる魚粉の力強さも然る事乍ら、出汁(だし)そのものが濃密で、どっぷり舌を包み込んできます。しかし、優しい包容ではありません。むしろ主張の加減は暴力的で、力こそパワーなタイプ。それなのに、まったく下品じゃないんですよ。やだ、こんなの初めて(※厳密には2回目)
それに負けじと動物系の要素も太く、一般的にネガティブとされる豚骨由来のクセは抑えながら、しっかりと重心を下げた白湯(ぱいたん)の分厚いコクを土台に据えているため、とろみの加減も不自然ではありません。——あ、調理の際は溶け残りに注意してください。
別添の「特製油」は量が多く、豚脂をメインに配合しているようですが、たしかに動物系の厚みを何枚か重ねながらも特有の芳ばしさは控えめ。それよりも鰹節から抽出しているような芳ばしさが印象的だったので、もしかすると2年前と同じ、あるいは近いオイルを使っているのかもしれません。
かやく
あーもーぜんぜん大丈夫です、これで
味付豚肉は安っぽいハムみたいな食感で、ネギはジャキジャキとした歯触り。小さいナルトが見た目に嬉しい要素ではあるものの、内容としては可も無く不可も無しといわざるを得ません。とはいえ麺とスープのクオリティが値段以上だったので、あまり気にならなかったです。
総評
濃厚さの指標は2年前の「青葉 中野本店監修 中華そば 濃厚2.5倍」と共通で、豚骨よりも魚介にウェイトを置いていたのですが、その荒々しい魚介どもを豚骨がドッシリと支えていたからこそ。具材から特別な個性は感じられない、麺とスープに振り切ったステータスではあるものの、それだけに圧倒的だった麺のクオリティも見どころで、販売価格は228円+税でしょ? さすがにヤバくないですかねw
スープの濃さは「中華そば青葉」監修カップめんシリーズ過去最高濃度といっても過言ではなく、おかげで口の中に残る酸味と塩味が気になった節もありましたが、それも魅力の一つだと素直に捉えることができた良品です。諸々の事情で我慢を強いられている方もいらっしゃるかとは思いますが、マストで白ごはん案件ですよ【author・taka :a(大石敬之)】