どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年5月22日(月)新発売、東洋水産のカップ麺「やみつき屋 セアブラック」の実食レビューです。
富山ブラックの亜種!? たっぷり背脂×ブラックスープの組み合わせを特徴とする “The背脂” な黒いカップラーメン新登場!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
やみつき屋 セアブラック
やみつき屋とは、現在を遡ること17年以上、2006年(平成18年)5月1日発売の「辛味噌ラーメン」に端を発するブランドで、商品ごとに魅力的な訴求ポイントを持つ “商品設計の高いカップ麺” として市場に投下。そのため当初はカップ麺に本格感を求める消費者の期待を裏切らない、上質で高級感のあるフレーバーに力を入れていました。
しかし、2009年(平成21年)からメインターゲットをCVS(コンビニエンスストア)ユーザーに切り替え、キーワードに「油多め」と「味濃いめ」を追加。以降は「やみつきになるラーメン」をコンセプトに、容器の形状や麺の種別などを固定せず、ラーメンはもちろん汁なし麺にも挑戦していましたが、令和元年を迎えて以降、現在にかけて “CVS向けの縦型ビッグ製品” をメインに展開しています。
今回の新商品「やみつき屋 セアブラック」は、粘りの中にも歯切れ感を兼ね備えている、硬くてコシが強い麺に、黒胡椒を効かせた黒い醤油味のスープを合わせた一杯で、たっぷりの背脂もポイント。そのため商品名は “セアブラ×ブラック” で「セアブラック」という、なんともド直球な表現になっているわけなんですけれども、素直に伝わりやすくてイイですね。
ラーメン業界における “ブラック” といえば、富山県富山市を発祥とする「富山ブラック」が全国的に有名で、それとは方向性が異なる黒いスープを特徴とした福島県郡山市の「郡山ブラック」に、滋賀拉麺維新会が誇る「湖国ブラック」ほか、北海道で深夜に行列をつくる人気店(いそのかづお)の「札幌ブラック」など、いくつかの “ブラック” が存在します。
で、試しにGoogleで “背脂 ブラック” を検索してみたところ、富山ブラックをアレンジした新潟県五泉市(中田製作所)の「背脂ブラック」が上位に表示されたり、高井田系と尾道ラーメンを融合させた大阪府大阪市(麺や 雅流)の「背脂ブラック」がヒットしたり、宮城県仙台市の人気店(麺屋とがし)が「セアブラック」という月替の限定麺を出していたり、すでに複数の店舗で商品化されていました。
しかし、即席カップめん業界ではメジャーな組み合わせではありません。基本的に万人受けを狙う傾向がある東洋水産なので、黒胡椒の効き目や背脂の量に少し不安はあるけれど、仕上がりが楽しみです。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、フタの上に貼り付けてある後入れの「特製スープ」1パックのみで、中にはタレに該当する成分なども入っている様子。というのも東洋水産の縦型ビッグに小袋が付随していた場合、内容がオイルのみだと名称が「特製油」になるため——ええ、まぁ小ネタ程度に聞き流してください。
かやくは「背脂加工品」「玉ねぎ」「ねぎ」の組み合わせで、なるほど背脂加工品は “たっぷり” と入っているのですが、あくまでも加工品。ここに多めのオイルが加担しないと臨場感に欠けるため、液体スープのオイル量が問われるところ。それに、背脂+玉ねぎといえば新潟5大ラーメンに数えられる “燕三条系” を彷彿とさせるため、もしかすると前述の‥‥?
ちなみにメーカー希望小売価格は245円(税別)なので、2023年5月現在の縦型ビッグにおける標準的な値段になるのですが、来月1日に適用される価格改定以降、いま245円(税別)のポジションに位置しているカップ麺は271円(税別)に値上がりします。つまり、コンビニでの販売価格(税込)も264.6円から292.68円に変わるため、また金銭感覚を整えなければいけません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:やみつき屋 セアブラック 販売者:東洋水産株式会社 製造所:株式会社酒悦 房総工場(千葉県長生郡長南町美原台1-34) ※(株)酒悦は、東洋水産(株)のグループ会社です。 内容量:99g(めん70g) 商品コード:4901990374774(JAN) |
発売日:2023年05月22日(月) 実食日:2023年05月27日(土) 発売地域:全国(CVS・量販店・一般小売店 他) 取得店舗:スーパー 小売価格:245円(税別) 購入価格:213円(税込) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙+プラ 湯量目安:440ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:1袋(液体スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、植物性たん白、卵白)、添付調味料(しょうゆ、チキンエキス、香辛料、食塩、ポークエキス、粉末野菜、砂糖、たん白加水分解物、植物油)、かやく(背脂加工品、たまねぎ、ねぎ)/ 加工でん粉、カラメル色素、調味料(アミノ酸等)、増粘多糖類、炭酸カルシウム、酒精、かんすい、レシチン、酸化防止剤(ビタミンE)、クチナシ色素、香辛料抽出物、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は熱湯4分。東洋水産の縦型ビッグといえば、本気盛(マジモリ)あらため「マジ盛」しかり、コンセプトを刷新した「謹製(きんせい)」しかり、数年前と比較して格段に麺のレベルが高くなっているため、けっこう楽しみなポイント。ただ、調理前の麺重量は70gなので、標準80gの「マジ盛」よりは少なめです。
別添の小袋は後入れなので、お湯を内側の線まで注ぎ、フタの上で「液体スープ」を温めながら待つこと4分。時間になったら「液体スープ」を加え、よく混ぜ合わせたら出来上がり。湯気の香りを嗅いだ途端、メンマも欲しかったなー、なんて漠然と思ったんですけど、たしかに背脂たっぷりのファーストインプレッションと黒胡椒の清涼感は悪くありません。そして、玉ねぎも想像以上に多かったw
しかし、なぜかニンニクに関しては容赦ない東洋水産ですが、前述のように他のフレーバーでは万人受けを狙ってくる傾向があるので、引き続き背脂や黒胡椒のインパクトに注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(99g)あたり |
カロリー:419kcal たん白質:10.9g 脂 質:17.4g 炭水化物:54.8g 食塩相当量:6.5g (めん・かやく:2.2g) (スープ:4.3g) ビタミンB1:0.90mg ビタミンB2:0.31mg カルシウム:168mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:419kcal(めん・かやく:354kcal)(スープ:65kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
加水率が低めの平打ち麺
形状は縮れの強い平打ちで、そこまで厚みはなく、加水率は低めの設定。食べ始めは小麦の密度が高くなかったのと、油揚げ麺ならではのスナック感が強かったこともあり、どうにも「軽いなぁ‥‥」という印象が先行してしまったのですが、さらに2〜3分くらい経過すると適切に吸水が済む感じ。
それでも基本的に粘りは弱く、ある程度の反発性を持たせながらも歯切れ感を重視しているような配合だったので、ジャンル的には煮干し系のスープに合うイメージでしょうか。さらに後半は和蕎麦に通じる歯切れの良さを感じたので、あっさりとした和風しょうゆ味のラーメンにも合うと思います。
——で、肝心なのは後述するスープとの相性なんですけど、結論からいうと悪くありません。しかし、ベストマッチなのかといわれたら、平打ちではなく丸断面で、やや加水率が高い中細ちぢれ麺でも食べてみたかったなと。好みの問題かもしれませんがw これがベストな選択だったのかと聞かれた場合、別の麺でも食べてみたかったと私は答えます。ただ、けっこうポテンシャルは高そうですよ。
スープ
醤油とコショーの清涼感はバッチリ
まずは液体スープを入れずに味を確認してみたところ、煮干などの魚介出汁(だし)は皆無の動物系スープだったので、ひとまず「燕三条系」のイメージは脳外に出ていったですが、なるほど「富山ブラック」を彷彿とさせる黒胡椒の清涼感は強く、ガーリックパウダーのアクセントと絶妙な砂糖の甘みで “やみつき” になる味わい。
やや粗挽きの黒胡椒は容器の底に沈みがちだったので、なかなかダイレクトに飛び込んでくることはなく、特有の辛味も特筆して強くはなかったものの(それについては私の黒胡椒耐性が原因かもしれませんが‥‥)一般的な中華そばに使われるであろう量は逸脱しており、その清涼感は一見して明白。
続けて別添の液体スープを加えてみたところ、中から出てきたのは真っ黒な液体。まさかのオイル分は皆無に等しく、それについての物足りなさは否めなかったものの、濃口醤油ならではのコクとキレ、さらに若干の酸味で醤油感が圧倒的にブースト。けっこう濃いめの味わいですが、食塩だけの鋭い刺激ではない、醸造された膨らみのある濃さだったので、その醤油感と黒胡椒の清涼感は印象に残りました。
かやく
画像ほど背脂は目立ちません(でも玉ねぎはスゴかった)
画像で見ると背脂たっぷりで、実際に少ないわけではないのですが、しっかり混ぜると散り散りになってしまうところが玉に瑕。別添の液体スープに背脂ないし豚脂が多めに入っていたら、だいぶ印象も変わってきたと思いますけど、体感的な背脂のインパクトは拍子抜けするほど強くありません。
上記の画像にはバッチリと写り込んでいる細切り玉ねぎも量が多く、シャキシャキとした食感とフレッシュな香味が濃いめの醤油味にマッチしていたのですが、黒胡椒と同様に容器の底に沈みがちだったので、定期的に混ぜながら食べる、あるいは “あえて玉ねぎを底に沈めておいたまま、麺を食べ終えた後に白めしドボン” もアリですね。
総評
濃いめの醤油と黒胡椒の清涼感がクセになる、その味わいだけで評価するなら「★5」でも差し支えない一杯なのですが、ひとつ気になったのが麺の仕様。そして、それ以上に引っ掛かったのが背脂の弱さ。たしかに背脂加工品は多かったし、玉ねぎにもインパクトを感じたものの、背脂を強く訴求しているわりに体感的な背脂の印象は弱かった、というのが星ひとつ引いた理由です。
しかし、繰り返しになりますが、単純に味だけで評価するなら悪い商品ではありません。これから汗をかきやすい季節に向けて、醤油が濃いめのスープに対する需要も上がってきますし、背脂に過度な期待さえ抱かなければ‥‥というのは的外れなコメントになるかもしれないですけどw 魅力が見出せない商品ではなかったです【author・taka :a(大石敬之)】