どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年7月3日(月)新発売、東洋水産のカップ麺「やみつき屋 “60秒湯戻し” 辛味噌キムチ」の実食レビューです。
価値基準の多様化に挑む “マルちゃん” の新たな可能性を握るのはZ世代!? 最新作はタイムパフォーマンスに着目してブランド史上最短タイム更新!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
やみつき屋 辛味噌キムチ 2023
やみつき屋とは、2006年(平成18年)5月1日発売の「辛味噌ラーメン」に端を発するシリーズで、当初は商品ごとに魅力的な訴求ポイントを持つ、商品設計の高いカップ麺として登場しましたが、時代の流れに合わせてコンセプトを刷新。現在は「味濃いめ」をキーワードに、やみつきになるフレーバーをスポット的に展開しています。
今回の新商品「やみつき屋 辛味噌キムチ」は、コクのある辛味噌スープに、キムチを合わせた “やみつきになるラーメン” がコンセプトの一杯で、2010年(平成22年)1月11日発売の発売以来、定期的に登場しているフレーバーですが、2023年の見どころは『タイパ重視のあなたに』という訴求があること。群雄割拠の即席めん市場において、こんなにも堂々とタイパをアピールした新作は前例がありません。
即席カップめんに求められる要素は多々あるものの、代表的なのは “費用対効果” と呼ばれる概念。投入した費用(コスト)に対し、得られる価値や効果の度合い(味・ボリューム・多幸感などのパフォーマンス)を示すコストパフォーマンス=コスパが重要視される傾向があるため、いかに販売価格を安く、いかに高いクオリティを感じていただけるか、それを命題に据えた商品は数多く存在します。
対して「タイパ」とは、タイムパフォーマンス(時間対効果)の略称で、得られる価値や効果に対し、費用(コスト)ではなく時間(タイム)を指標とする概念。たとえば読書を例に挙げると、コスパを重視する方は図書館を利用するのに対し、タイパを重視する方は本の要約サービス flier(フライヤー)を利用する、といったところでしょうか。
1997年(平成9年)7月に発売されるや否や、即席カップめん業界における塩焼きそばの草分けとなった「俺の塩」に、セブンプレミアムの人気商品「1分湯戻し 大盛ソース焼そば」ほか、現在はローソンの留型(とめがた)に移行している「ハリガネ」など、熱湯1分で戻る油揚げ麺についてのノウハウは保有している東洋水産。ただ、汁あり・汁なしの間に大きな品質の差が生じているところが問題。
湯切りタイプだと安定してハイクオリティなのですが、まだ「ハリガネ」が東洋水産のNB(ナショナルブランド)だった頃、2017年(平成29年)11月13日に登場した、シリーズ第20弾の「スパイシー豚骨」が事の発端。それ以前は “極細の丸麺” を特徴としていたのに、突如として “角刃” にシフトしたかと思えば悪い意味でスナック的すぎる仕様に変わったので、ひどく落胆したことを覚えています。
さらに、その残念な仕様は他のブランド、さらには有名店監修のカップラーメンにまでも適用され、ローソンの留型に切り替わって以降の「ハリガネ」も例に漏れず。直近だと2023年5月30日発売の「やみつき旨辛ガーリック豚骨(黒マー油入り)」をレビューしているのですが、まったく改良の意思が感じられなかったので、このブログでの評価は伸び悩みました。
そんなこんなで不安が否めない部分もあるのですが、東洋水産のニュースリリースに記載されている商品特徴(めん)を確認してみたところ “なめらかで歯切れのよい丸刃で切った麺” と記載されている、つまり例の角刃で切った麺が改良されていた場合、今後の「ハリガネ」や有名店監修シリーズにも希望が降り注ぐ可能性が高いので、この「やみつき屋」が重要な転機になるかもしれません。
開封
今回のカップ麺に小袋は別添されていないため、フタを開けたら熱湯を注ぐだけで食べられる簡便性の高さが魅力。私なんかは小袋が多ければ多いほどリッチな感じがするというか、テンションあがる性質(たち)なのでw ちょっと寂しかったりもするんですけど、わざわざ小袋を取ったり、温めたり、加えたり、そういった手間が必要ないのは、様々な場面でメリットになる部分。
かやくは白菜キムチ、味付鶏肉、ネギの組み合わせで、2018年(平成30年)11月19日発売の「やみつき屋 激辛 辛味噌キムチ」には入っていた、FD(フリーズドライ)ブロックの白菜キムチは残念なことに‥‥っていうか、思い返すと4年半ぶりの「辛味噌キムチ」だったんですね。その間に原材料の高騰が相次いだ結果、3度に亘る価格改定も実行されたので、致し方ない変更なのかもしれません。
ちなみにメーカー希望小売価格は271円(税別)なので、1ヶ月ちょっと前なら245円(税別)に設定されていた商品。2023年6月1日出荷分からの価格改定に伴い、コンビニでの販売価格(税込)を例に挙げると従来の264.60円から292.68円に値上がりしているのですが、スーパーやドラッグストアなども販売店の対象になっているので、コスパ重視の方は量販店や一般小売店を優先的に狙ってください。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん やみつき屋 辛味噌キムチ 販売者:東洋水産株式会社 製造所:株式会社酒悦 房総工場 内容量:90g(めん70g) 商品コード:4901990375085(JAN) |
発売日:2023年07月03日(月) 実食日:2023年07月04日(火) 発売地域:全国(CVS・量販店・一般小売店 他) 取得店舗:スーパー 小売価格:271円(税別) 購入価格:235円(税込) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ+紙 湯量目安:450ml 調理時間:熱湯1分 小袋構成:別添なし |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、植物性たん白、卵白)、添付調味料(みそ、食塩、ポークエキス、砂糖、香辛料、ごま、たん白加水分解物、酵母エキス、香味油脂)、かやく(味付鶏挽肉、白菜キムチ、ねぎ)/ 調味料(アミノ酸等)、加工でん粉、増粘多糖類、炭酸カルシウム、着色料(カラメル、クチナシ、パプリカ色素、パプリカ粉末、紅麹)、かんすい、乳化剤、酸化防止剤(ビタミンE)、酸味料、香辛料抽出物、香料、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・りんご・ゼラチンを含む) |
実食開始
麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し60秒の設定から、だいぶ細めに切り出されています。しかも、前述した「ハリガネ やみつき旨辛ガーリック豚骨(黒マー油入り)」の油揚げ麺とは違う、それこそ6年以上前(改悪前)の「ハリガネ」を彷彿とさせる形状で、否が応でも期待が高まる展開。
お湯を入れると容器の外側が異様に熱くなるので、やけどに注意しながら内側の線まで熱湯を注ぎ、フタをして待つこと60秒。時間になったらフタを開け、よく混ぜ合わせたら出来上がり。特製スープや特製油は別添されていないため、豚脂の厚みやラー油の芳ばしさには期待できないけれど、調理時間の短さと手間の少なさはステータス。
ちなみに製造所は酒悦の房総工場(千葉県長生郡長南町美原台1-34)となっていますが、酒悦は1983年(昭和58年)7月から東洋水産が資本参加している連結子会社で、房総工場については “マルちゃんの工場” という認識で問題ありません。それでは、引き続き麺の具合と念のため辛味の強さにも注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(90g)あたり |
カロリー:389kcal たん白質:11.8g 脂 質:16.2g 炭水化物:49.0g 食塩相当量:6.8g (めん・かやく:2.2g) (スープ:4.6g) ビタミンB1:0.36mg ビタミンB2:0.34mg カルシウム:180mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:389kcal(めん・かやく:317kcal)(スープ:72kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
改悪前の「ハリガネ」を彷彿とさせる質感
後入れの小袋は別添されていないため、60秒待機+20秒ほど混ぜてから即座に食べてみたところ、粉末スープと接していた部分は完全に戻っておらず、ところどころパキッとした食感。しかし、それが気になるのも最初だけ。そのまま続けて軽く混ぜていると、フタを開けてから計1分くらいで全体の食感が均一になり、プツッとした歯切れのよさが楽しめます。
この業界で低加水麺を作らせたら、なんといっても明星食品のノンフライ麺(「博多バリカタ」「極のチャルメラ」など)が最強なので、それと比較‥‥いや、それと比較するのは可哀相ですけどw ちょっと素麺(そうめん)っぽい雰囲気が気になる感じ。ただ、少なくとも改悪後の「ハリガネ」よりも圧倒的にマシな仕上がりで、特有のスナック感も嫌味ではありません。
けっこう早い段階でヘタること、それからスープとの相性が “ふつう” だったこともあり、ひとまず評価は及第点としましたが、今後またリリースされるであろう「ハリガネ」の新作に希望が見えてくる、そういった意味では得るものが大きいリニューアルでした。そして、これを辛味噌ラーメンに合わせちゃうんだ‥‥などと、冷静に考えると目から鱗が落ちるような組み合わせですよね。
スープ
すっきりライトな方向性が新しい
東洋水産の縦型ビッグに「特製スープ」あるいは「特製油」が別添されていた場合、ほぼ例外なく効果的に働いてくれる(ときには劇的な変化を与えてくれる)のですが、今回のスープは粉末だけの一本勝負。そのためラー油の芳ばしさだったり、豚脂のコクだったり、液体みそのキレだったり、そういった要素は皆無に等しく、キーワードが「味濃いめ」のわりにアッサリというか、うん。
また2018年の「辛味噌キムチ」には使っていた花椒(ホワジャオ)のアクセントも感じられない、ずいぶんと方向性が様変わりしたように思えたのですが、キムチの酸味は印象的。片やポークの旨味は無難で、味噌についても軽く、きわめて辛さも安全圏。辛味噌の観点から見ると、かなり透明度の高い味わいですが、スッキリした酸味が心地好く、チゲっぽいキムチ味と夏の雰囲気は合っていました。
——あ、それと熱湯3分で作るカップラーメンよりもスープがアッツアツなので、ながら作業などのシチュエーションにもよりますけど、猫舌の方にとってはタイパが悪いかもしれません。
かやく
もうちょっと頑張ってほしかった
味付鶏挽肉のサイズは小さく、具材としての存在感は頼りないけれど、そのサイズを活かした立ち回りでスープの旨味を効果的に援護。これは「ごつ盛り」シリーズにも多く用いられている手法で、なかなか侮れません。ただ、やはりFD白菜キムチブロックの不採用は痛いといわざるを得ない方針の転換。
東洋水産のFD白菜キムチブロックは、それ単体で「★6」を叩き出すレベルの(値段との兼ね合いによっては「★7」も夢ではないほど)秀逸な具材なので、メーカー希望小売価格を底上げしてでも令和の「辛味噌キムチ」に受け継がせてほしかったポイント。バラの白菜キムチも製法はFDで、味と食感については高く評価できるのですが、結果的な印象としては可も無く不可も無しです。
総評
熱湯60秒のスピード調理はタイパ的に嬉しいポイントで、しかしながら伸びやすい麺とアッツアツのスープは逆に‥‥みたいな。タイパついての評価は賛否両論ありそうですけどw とんこつラーメンさながらの細麺をキムチ風味の辛味噌スープに合わせていたり、その辛味噌スープもスッキリとした味わいだったり、いわゆる辛味噌ラーメンに抱かれるであろう既成概念とは完全に別物。
それがタイパを重要視する「Z世代」にバシッと刺さる仕様なのかと聞かれたら、断言できないところはありますけど、ひとまず麺についてはポジティブな変化。そして “辛味噌ラーメンの可能性を広げてくれる、新しいスタイルの開拓” も高く評価できるポイントだったので、さらなるブラッシュアップに期待しています(※余談ですが、私は「Z世代」ではなく「さとり世代」です)【author・taka :a(大石敬之)】