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サンポー食品の挑戦「焼豚ラーメン 和歌山豚骨しょうゆ」を実食 → 和歌山じゃなくね?? ただし潜在能力は高い!!

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サンポー食品

どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。

本日の一杯は、2022年4月25日(月)新発売、サンポー食品のカップ麺「焼豚ラーメン 和歌山豚骨しょうゆ」の実食レビューです。

九州の「うまい」をカタチに‥‥じゃなくて “関西” の「うまい」をカタチに!? サンポー食品の絶対的エース「焼豚ラーメン」に “和歌山の人気ご当地ラーメン” を再現した新作登場!!

実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。

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焼豚ラーメン 和歌山豚骨しょうゆ

焼豚(やきぶた)ラーメンとは、1978年(昭和53年)8月の発売以来、佐賀県三養基郡基山町のサンポー食品を支え続ける屋台骨で、ローカルご当地カップ麺の豚骨カテゴリーにおける代表格。まだ全国的な知名度は低いかと思いますが、根強いファンを持つ “こだわり” の一杯で、同社がスローガンとして掲げている “九州の「うまい」をカタチに” を象徴する存在といっても過言ではないのですが‥‥

九州の焼豚ラーメンに “和歌山インスパイア” 爆誕

今回の新商品「焼豚ラーメン 和歌山豚骨しょうゆ」は、九州で長年愛され続けている「焼豚ラーメン」を他県の “ご当地ラーメン” にアレンジした変わり種で、全国的な知名度を誇る和歌山の「中華そば」を再現。どちらもスープは豚骨をベースにしているため、まったくの畑違いではないけれど、サンポー食品の焼豚ラーメン(九州とんこつ味)と和歌山の中華そば(豚骨しょうゆ)は比較すると別の次元。

全国的には「和歌山ラーメン」という呼び名で浸透していますが、地元ではシンプルに「中華そば」と呼ばれており、伝統的なスープには大きく分けて2つの系統があります。ひとつは他県のマニアから “車庫前系” といわれている “醤油メインの醤油とんこつ味” で、1940年(昭和15年)に故・高本光二さんが創業した「本家 アロチ* 丸高(ほんけ あろち まるたか)」が元祖。*アロチ(新内)は和歌山市の繁華街

「丸高」の創業当時は冷蔵設備が整っておらず、スープの主原料となる豚骨を日持ちさせるため、鍋いっぱいの醤油で豚骨を煮込み、保存性を高めたことが和歌山における「中華そば」の原点。その豚骨を必要な分だけ別の鍋に移し、スープ用に炊き込んで出汁(だし)を取る技法が当時の同志に広く伝えられ、和歌山市内の中心部を通っていた路面電車の “車庫前” に中華そばの屋台が軒を連ねました。

写真は “井出商店” 出身「中華そば 丸田屋」の一杯

和歌山の中華そば専門店に「○」や「丸」が付く屋号の店が多いのは、そのルーツとなる「本家 アロチ 丸高」に由来し、現在も本場では醤油ベースの醤油とんこつ味が主流となっているのですが、全国的に有名なのは通称 “井出系” と呼ばれる濃厚なタイプ。こちらは “豚骨メインの豚骨しょうゆ味” で、井出系という呼称は「新横浜ラーメン博物館」が和歌山の中華そばを調査中に提唱した呼び名。

井出系のルーツは、1953年(昭和28年)に井出つや子さんが創業した「井出商店(いでしょうてん)」にあり、2代目の井出紀生さんが偶然にも豚骨を炊き過ぎてしまった結果、コクのある豚骨白湯(ぱいたん)を発見。そこに濃口醤油を合わせた豚骨ベースのラーメンは、1998年(平成10年)元日放映のTVチャンピオン『日本一うまいラーメン決定戦』で優勝に輝き、その名を全国に轟かせました。

ジャンル分けの呼称については賛否両論あるので、これ以上は言及しませんが、和歌山における多くの中華そば専門店では “なれ寿司” の対極に位置する、会計が自己申告制の「早すし」や「ゆで卵」が机の上に置いてあり、伝統的な中華そばには梅の花を模った蒲鉾(かまぼこ)がトッピングされるなど、いくつかの共通する特徴と特有の風習が存在します。

濃厚豚骨まろやか醤油仕立て

そんな歴史ある和歌山の中華そば(和歌山ラーメン)をイメージした「焼豚ラーメン 和歌山豚骨しょうゆ」のパッケージには “濃厚豚骨まろやか醤油仕立て” とあるので、モデルになっているのは醤油ベースではなく「井出商店」の流れを汲むタイプと見て間違いありません。はたして「焼豚ラーメン」の “九州とんこつ味” と上手く噛み合っているのか、お手並み拝見と参りましょう。

開封

焼豚ラーメンに必須の “アレ” が入ってない

今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「粉末スープ」が1袋に、焼豚ラーメンのアイデンティティとなっているハート型の「焼豚」と調味油が‥‥あれ、調味油が入ってない。そんなわけないと麺の下まで入念にチェックしましたが、そもそも調理方法に調味油の文字がないので、入れ忘れたわけではない様子。焼豚ラーメンにおいて調味油は重要な位置を占めているため、先行きが不安な展開。

麺は “いつもの” 油揚げ麺っぽい雰囲気

麺は揚げ油にラードを配合したフライ麺で、湯戻し時間は熱湯3分。この時点でラードに由来する独特の芳ばしい香りが漂い、丸刃で切り出された形状も相俟って、いつもの「焼豚ラーメン」を彷彿とさせます。和歌山の中華そばに使われるタイプの麺とは異なりますが、あくまでも「焼豚ラーメン」からの商品化なので、ここはサンポー食品らしさを楽しむスタンスが正解。

メーカー希望小売価格は通常の「焼豚ラーメン」と同じ193円(税別)で、販売エリアは全国区。今回は関係者から厚意を賜り、商品を提供していただいたのですが、このブログでは “どんな商品でも「忖度なし」で評価する” を信条にしているため、いつも通りに評価します。

製品詳細情報・購入価格等

製品名:焼豚ラーメン 和歌山豚骨しょうゆ
製造者:サンポー食品株式会社
製造所:本社工場(佐賀県三養基郡基山町長野230)
内容量:86g(めん65g)
商品コード:4901773101313(JAN)
発売日:2022年04月25日(月)
実食日:2022年04月29日(金)
発売地域:全国
希望小売価格:193円(税別)
麺の種類:油揚げ麺
スタイル:標準どんぶり型
容器材質:プラ(PS)
湯量目安:340ml
調理時間:熱湯3分
小袋構成:2袋(粉末スープ・焼豚)

原材料名とアレルギー表示

【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、ラード、食塩、植物たん白)、スープ(ポークエキス、しょうゆ、デキストリン、ナルト、香辛料、ねぎ、食塩、植物油脂)、かやく(焼豚)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、pH調整剤、乳化剤、増粘剤(キサンタン)、炭酸カルシウム、カラメル色素、セルロース、かんすい、クチナシ色素、酸化防止剤(ビタミンE)、香辛料抽出物、紅麹色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む)

実食開始

たっぷりの粉末スープはサンポー食品のこだわり

別添の小袋は2つとも先入れで、標準どんぶり型の平均を上回るほど粉末スープの量が多く、いかにもサンポー食品らしい “こだわり” を感じるところ。この粉末スープを適切に溶かすために「焼豚」を麺の上にのせてから「粉末スープ」の順に入れ、ゆっくりと粉末スープを溶かしながら熱湯を注いでください。

‥‥ん?w

内側の線まで熱湯を注ぎ、待っている間にフタの上で調味油の小袋を‥‥というのも「焼豚ラーメン」を食べる上での醍醐味なんですけど、その手順は省かれてしまった和歌山豚骨しょうゆインスパイア。しかし、11年以上前の「焼豚ラーメン」には入っていた(2022年4月現在は入っていない)ナルトの復活は、すこし涙腺が緩むくらいファンの心をくすぐるポイント。ただ、なにこの泡立ちw

ちなみに過去「宮崎辛麺」や「横浜家系ラーメン」にも手を出していたサンポー食品ですが、おそらく和歌山に絡みを掛けたのは初めての試み。はたして和歌山における中華そばの雰囲気と焼豚ラーメンらしさは違和感なく融合しているのか「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。

栄養成分表示:1食(86g)あたり
カロリー:395kcal
たん白質:9.8g
脂  質:16.7g
炭水化物:51.4g
食塩相当量:5.3g
(めん・かやく:2.3g)
   (スープ:3.0g)
ビタミンB1:0.34mg
ビタミンB2:0.30mg
カルシウム:140mg
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。

めん

たぶん「焼豚ラーメン」と同じ

4.0

井出商店をはじめとする和歌山の中華そば専門店では、切刃番手22(溝巾1.36mm)の角刃で切り出されたストレート麺を主流とし、加水率は28~33%程度。対して今回の油揚げ麺は比較的に加水率が低く、丸刃で切り出された丸断面の中細ちぢれ麺という形状から、和歌山の中華そばを思わせる要素はありません。

これクセになるんですよね

食べ始めは中心部にコリッとした歯応えを残す食感と原材料の構成から察するに、おそらく通常の「焼豚ラーメン」と同じ油揚げ麺で、ラードの芳ばしい風味がノスタルジックでイイ感じ。和歌山の中華そば目線で評価すると及第点以下ではあるものの、焼豚ラーメンが好きなら手放しで楽しめるタイプ。

単純にスープとの相性も悪くなかったので、個人的には違和感なく楽しめました。ちなみに通年販売されている「焼豚ラーメン」の麺重量は72gなのに対し、今回は65gに減らされていますが、同ブランドの姉妹品「長浜とんこつ」や「熊本とんこつ」と同じ麺量なので、焼豚ラーメンの変わり種における標準的な量になります。

スープ

伝統的な2系統とも第3の新興勢力とも違う

2.0

粉末スープの原材料は「ポークエキス、しょうゆ、デキストリン、香辛料、食塩、植物油脂」とシンプルで、いつもの “九州とんこつ味” よりも胡椒の刺激は弱く、使用しているポークエキスもクリーミーでマイルド。しょうゆは “九州とんこつ味” よりも強めに主張してきますが、それでも全体的に柔らかいテイストで、ほとんど攻撃性はありません。

熱湯を注ぐ前はチーズっぽい発酵臭を感じたのですが、乳等を主要原料とする食品などは使用しておらず、ぽってりとした口当たりも不自然ではない、クセを抑えながらも炊き出し感のある濃厚な豚骨感には好感が抱けました。しかし、これが和歌山の「中華そば」なのかと聞かれたら、泡系とか別のジャンルに該当する印象で、焼豚ラーメン的に見ても別添の調味油がないのは寂しいところ。

確かに豚骨しょうゆ(豚骨ベース)系の和歌山ラーメンには、提供時のスープ表面に泡が浮く店もありますけど、ここまで泡だらけだと完全に “泡系” の領域。たとえばマルタイの「元祖泡系一幸舎監修豚骨ラーメン」よろしく仕上げの小袋(泡の素)を使わずに、ここまで泡を立て、なおかつ食べ終わる頃まで持続する、それについては素晴らしいの一言ではあるものの、結論として再現度は低いです。

具材

十数年以上前の焼豚ラーメンを思い出す

3.0

「焼豚ラーメン」のアイデンティティといっても過言ではないハート型の焼豚は、サンポー食品の “心を込めてつくりました” という想いを表現したもので、そこまで形状の厚みはないのですが、濃いめの味付けで食べ応えあり。そして、和歌山の中華そばを象徴する上で効果的な花形ではないけれど、注目すべきはナルトの存在です。

なるとぉぉぉおおお!!!

2011年3月11日の東日本大地震により、サンポー食品と取り引きしていた福島の工場が被災した結果、ナルトの安定的な供給の目処が立たず、オリジナルの「焼豚ラーメン」からナルトが消え、代打のコーンが入りました。

もう一つ “製造過程でナルトが粉末スープの小袋を破る危険性がある” との懸念もあり、2022年4月現在も引き続きオリジナルの「焼豚ラーメン」にはコーンを使っているのですが、今回のナルトは粉末スープの小袋に同梱されていたので、もしかすると近々‥‥? というのは憶測に過ぎませんけど、ファンにとっては感慨深いものがありますよね。

総評

3.0

というわけで、単純に「焼豚ラーメン」の変わり種として評価するなら面白い商品なのですが、問題は “和歌山ラーメンの再現” を謳っていること。もしも事前に “泡系” をアピールしていたら「★5」は堅い仕上がりで、スープの豚骨感も個人的にはバシッとストライクだったんですけど、和歌山に結びつく要素は希薄。ただ、マニアとしては得るものが多く、まずは粉末スープの中にナルトを同梱できたこと。

また他社のように特殊な小袋を別添せずに、持続力のある泡立ちを見せてくれたので、それについてはポテンシャルを感じる一杯でした。ちょっと今回は企画的に厳しく評価していますけど、クリーミーで濃厚な泡系スープは美味しかったので、和歌山のバイアスを外し‥‥というのも変なアドバイスかもしれませんがw サンポー食品のカップ麺が好きならオススメです【author・taka :a(大石敬之)】

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