どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2022年7月4日(月)新発売、サンヨー食品のカップ麺「つけ麺道監修 濃厚豚骨魚介らーめん」の実食レビューです。
競合ひしめく東京のラーメン激戦区・亀有で絶大な人気を誇る全国屈指の名店「つけ麺 道」監修によるカップラーメンが “メーカーを変えて” 数年ぶりに復活!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
つけ麺道監修 濃厚豚骨魚介らーめん
つけ麺 道(つけめん みち)とは、2009年(平成21年)7月24日の創業以来、東京都葛飾区亀有5丁目で不動の人気を誇る行列店で、超極太麺を豚骨魚介スープに潜らせて食べる「つけ麺」が看板。いつも長蛇の列を作り、なおかつ混雑時には “完全四名入れ替え制” に切り替わるため、お店に行くときは覚悟を決めて挑まなければいけないのですが、その味を求めて集う客足が途絶えたことはありません。
今回の新商品「つけ麺道監修 濃厚豚骨魚介らーめん」は、日本屈指の名店に数えられる亀有の行列店「つけ麺 道」監修のもと、日本で “いちばん美味しい” との呼び声も高い「つけ麺」の味わいをカップラーメンにアレンジした一杯で、サッポロ一番のブランドで知られるサンヨー食品と共同開発。シックな印象のパッケージに身を包み、全国のコンビニやスーパーなどを対象にリリースされました。
亀有で人気を博すラーメン店といえば、以前にサンヨー食品とカップラーメンを共同開発したこともあるミシュラン掲載店「手打式超多加水麺 ののくら」を筆頭に、今を時めく二郎インスパイア店「ラーメン 〇菅(まるすが)」ほか「らーめん 一辰(いったつ)」「中華そば 敦(あつし)」「ラーメン 輝(てる)」「和歌山ラーメン まる岡」「濃厚鶏白湯専門 らーめん志(cocoro)」等々‥‥
様々なジャンルのラーメン店が軒を連ねているのですが、その中でもトップクラスの知名度と人気を誇るのが「つけ麺 道」で、店主の長濱洸也(ながはま こうや)氏は麺屋こうじグループ(東十条「麺処 ほん田」)出身。ラーメンの神様と謳われた故・山岸一雄(やまぎし かずお)氏の孫弟子に当たり、23歳の若さで「つけ麺 道」を開業するや否や、彼の山岸氏をして「参った」と言わしめた実力の持ち主。
長濱店主が貫いている “こだわり” は、最高の麺とスープを味わってほしい-・という「つけ麺」の理念。店舗で「つけ麺」を提供する際は、自慢の “超極太麺” を完璧な状態で味わってもらうために、お店の命ともいえる回転率を犠牲にしてでも “基本的にはワンオペで、麺を茹で上げるのに最短12分(日によっては12分以上)もの時間を要する” など、業界の常識を覆す信条で不動の地位を築き上げました。
そんな「つけ麺 道」監修のカップラーメンといえば、サンヨー食品のグループ企業でもあるエースコックが2012年(平成24年)8月27日に「山岸一雄継承の味わい 麺絆(めんばん)」を、翌2013年(平成25年)5月27日にはネクストブランド(二毛作営業)のラーメンを再現した「道の塩 長濱洸也監修 クリーミー塩ラーメン」を発売しているため、今回が即席カップめん業界初進出ではありません。
ほかにもエースコックとの共同開発商品がリリースされる前、マルちゃんのブランドで知られる東洋水産が2011年(平成23年)2月14日に「『つけ麺 道』監修 魚介豚骨つけ麺 2人前」という要冷蔵のチルド麺(なまラーメン)を発売していたり、直近だとローソンの「冷し豚骨魚介つけ麺」や「濃厚豚骨魚介らーめん」を監修していたり、持ち前の手腕を遺憾無く発揮している「つけ麺 道」の長濱店主。
しかし、長濱店主がカップラーメンを監修したのは9年以上も前の話で、なおかつサンヨー食品とのコラボレーションするのは初めての展開。同社の縦型ビッグは “油揚げ麺の仕上がりが総評を大きく左右する” ため、一抹の不安が否めない展開でもあるのですが、はたして仕上がりや如何に——。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、フタ上に貼り付けてある「仕上げの小袋」が1袋。容器の材質には、紙やポリスチレン樹脂(PS)よりも強度が高いポリプロピレン樹脂(PP)を採用しているため、お湯を注いでからも外側が熱くなりにくいのがメリット。それに伴って保温力も変わるので、麺の戻りにも影響します。
かやくは味付豚肉、ねぎとシンプルで、スープの邪魔をしないといえばポジティブに聞こえますが、ずいぶんと頼りないファーストインプレッション。お店で「つけ麺」を注文すると、自慢の麺とスープだけを味わってもらうために、薬味のネギに至るまで、すべてのトッピングが別皿で提供されるのですが、そういった “こだわり” は反映されていません。
メーカー希望小売価格は245円(税別)なので、2022年7月現在の縦型ビッグにおける標準的な値段。販売店を限定しないNB(ナショナルブランド)商品ですが、コンビニ大手4社の中では「ミニストップ」での取り扱いが多く、私は「ウエルシア」で購入したので、どこに売ってるのか気になっている方は、最寄りのイオングループ店舗が狙い目かもしれません(※販売状況は地域によって異なります)。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:つけ麺道監修 濃厚豚骨魚介らーめん 販売者:サンヨー食品株式会社 製造所:太平食品工業株式会社 関西工場(奈良県大和郡山市額田部北町944) 内容量:97g(めん70g) 商品コード:4901734046707(JAN) |
発売日:2022年07月04日(月) 実食日:2022年07月05日(火) 発売地域:全国 取得店舗:ウエルシア 商品購入価格:246.24円(税込) 希望小売価格:245円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ(P)) 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:1袋(仕上げの小袋) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、食塩、野菜エキス、しょうゆ)、スープ(糖類、ポークエキス、食塩、しょうゆ、乳等を主要原料とする食品、魚粉、ゼラチン、たん白加水分解物、香辛料、酵母エキス、昆布粉末、植物油脂)、かやく(味付豚肉、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、増粘剤(増粘多糖類、加工でん粉)、炭酸カルシウム、カラメル色素、酒精、甘味料(カンゾウ)、微粒二酸化ケイ素、かんすい、クチナシ色素、酸化防止剤(ビタミンE)、乳化剤、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・乳成分・さば・大豆・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
麺は油で揚げたフライ麺で、けっこう太めのサイズ感。そのため湯戻し時間は熱湯5分と長めの設定ですが、お店で「つけ麺」を注文した場合、最短でも12分は待たなければいけないため、それよりも早く食べられます。ただ、やはり心配なのは “サンヨー食品の縦型BIG” という鬼門——。
「仕上げの小袋」は後入れなので、お湯を内側の線まで注ぎ、フタの上で小袋を温めながら待つこと5分。時間になったら小袋の中身を加え、よく混ぜ合わせたら出来上がり‥‥なんですけど、お店の公式Twitterアカウントが “食べる直前に20秒数えながらよく混ぜて下さい!!” と注意喚起していたので、とろみ成分の溶け残りがないように、最短でも20秒は混ぜ続けてください。
ちなみに製造所は太平食品工業の関西工場(製造所固有記号 +W)となっていますが、太平食品工業はサンヨー食品が1963年(昭和38年)1月に設立した製造部なので、どちらも “サッポロ一番” という認識で問題ありません。それでは、引き続き全国屈指の名店監修による特別感に注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(97g)あたり |
カロリー:405kcal たん白質:9.3g 脂 質:13.3g 炭水化物:62.1g 食塩相当量:6.6g (めん・かやく:2.1g) (スープ:4.5g) ビタミンB1:0.36mg ビタミンB2:0.50mg カルシウム:282mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:405kcal(めん・かやく:332kcal)(スープ:73kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
再現度は限りなく低い
「つけ麺 道」の店舗で12分(麺の状態によっては12分以上)もの時間をかけて茹で上げられる超極太麺は、他店と一線を隠す弾力と粘りの強さを特徴とし、このクオリティであれば12分待ってでも食べる価値がある‥‥!! と、多くのマニアにも絶賛されているのですが、それをイメージしている今回の油揚げ麺は正直 “いまいち” といわざるを得ません。
これは「つけ麺 道」監修どうこうに問題があるのではなく、完全にサンヨー食品のチョイスと製麺技術の問題で、もちもち感は皆無。むしろ終始、ゴワゴワとした加水率低めの強付いた質感で、食べ始めは中心部にかけて戻りムラが酷く、後半はフカフカとした軽さと歯切れが目立つなど、お世辞にも再現度が高いとはいえない仕上がり。
それならと再現度を抜きに評価したとしても、かなり強く主張してくる油揚げ麺特有の雑味も大きなマイナスファクターで、スープの味に干渉してくるほど。ふと思い返せばファミリーマート限定商品「中華蕎麦うゑず監修 濃厚豚骨魚介中華そば」(2020年4月28日発売品)の油揚げ麺と質感が酷似していたので、それを使い回したのかもしれません。
※余談ですが、2022年2月15日発売品「中華蕎麦うゑず監修 濃厚豚骨魚介中華そば(三代目)」の油揚げ麺は素晴らしかったです。
スープ
とろみが不自然
とろみ成分が含まれている粉末スープは、またおま系のカップラーメンに有り勝ちな “ぽってり” とした口当たりで、うっかり油断すると喉に張り付きそうなくらい。念には念をと45秒ちかく混ぜ続けましたが、それでも容器の底に少量の溶け残りが発生していたので、1分くらい混ぜ続けたほうが安全。
そんな土台の粉末スープは糖類と甘味料(カンゾウ)の甘さが強く、しょうゆ感は控えめで、魚粉(節系が軸)を使用しているのですが、バチッとパンチを与えるアイテムではなく出汁(だし)のベクトル。さらに昆布粉末を併用しているため、和の面持ちが強く、ほぼほぼ攻撃性はありません。
そこに「仕上げの小袋」を加えると、体感的には鯖(さば)の旨味が強く、それが個性となっているのですが、如何せん人工的なトロミが味覚をマスキングしてきます。お店のスープ(つけ汁)も豚骨魚介系の中では食べやすいとの評判なので、あえて動物系のクセや魚粉のパンチを抑えているのだとは思いますが、それに対して粘度の高さが伴っていないのが致命的。
タイトルは「濃厚豚骨魚介らーめん」でも濃厚さの指標を履き違えているというか、いかにもゼラチンと増粘剤(増粘多糖類、加工でん粉)を駆使してボテッ、とさせた不自然すぎる粘度の高さなので、せっかく名店に監修を仰いだスープなのに、味は悪くなかったのに、ちょっと品がなかったです。
具材
‥‥
メイン(?)の味付豚肉は、小さくて四角いチップ状の成型肉で、けっして量が多いとはいえず、高級感もありません。ネギも使い回しのエアドライ(熱風乾燥)と特別な具材ではなく、おまけ程度に過ぎないラインナップでした。これで麺とスープが絶品! だとすれば話も変わってきますけど、前述の通り。
総評
思わず酷評になってしまいましたが、それについては「つけ麺 道」の責任ではありません。サンヨー食品が保有している、既存のパターンを組み合わせて作ったような仕上がりだったから‥‥というのが敗因。お店の “こだわり” は伝わってこなかったし、それこそ “またおま(またお前か)系” の悪い部分を拾い集めてしまった感じだったので、もっと真面目に作り込んでほしかったです。
ちなみに「つけ麺 道」といえば、定休日(月・火曜日)に屋号を変えた二毛作営業店「らーめん 道の塩」を展開していることでも知られ、実は1週間遅れの2022年7月11日、セカンドブランドのラーメンを再現した「道の塩監修 濃厚塩らーめん」も発売予定となっています。そちらも熱湯5分の太麺を採用しているため、かなり不安なのですが、真相については次週——。【author・taka :a(大石敬之)】