どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2022年7月11日(月)新発売、東洋水産のカップ麺「トイ・ボックス 醤油ラーメン」の実食レビューです。
業界最高権威『TRYラーメン大賞 2021-22』における最高賞に輝いた “今現在、最も輝いている人気行列店” ラーメン屋「トイ・ボックス」のカップラーメン堂々降臨!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
トイ・ボックス 醤油ラーメン
トイ・ボックスとは、2013年(平成25年)12月15日の創業以来、東京都荒川区(三ノ輪橋)で人気を博すラーメン店で、都内における鶏水系(鶏と水だけ)の代表格。いつしか同じようなラーメンを提供する新規出店が相次ぎ、飽和状態になった結果 “第2のまたおま系” などと呼ばれることもある鶏水系ですが、その中でも別格に位置するのが「トイ・ボックス」で、マニアからも高く評価されています。
今回の新商品「トイ・ボックス 醤油ラーメン」は、講談社発行『第22回 業界最高権威 TRYラーメン大賞 2021-2022』において「TRY大賞 総合1位」及び「名店部門 しょうゆ1位」に輝いた「トイ・ボックス」監修のカップラーメンで、マルちゃんのブランドで知られる東洋水産と共同開発。東洋水産×TRYのカップ麺は長年続いている企画ですが、トイ・ボックスとのコラボは前例がありません。
トイ・ボックス(トイボックス / TOYBOX)という個性的な名前は、読んで字の如く「おもちゃ箱」が由来。店主の山上貴典(やまがみ たかのり)さんは、3歳の頃からラーメンが好きで、祖母が作ってくれる「サッポロ一番 みそラーメン」に感銘を受けたらしく、それを待つワクワク感は “おもちゃ箱を開けるときのワクワクと同じ感覚だった” とか。
ラーメンと同じくらい大好きな超合金ロボットが入っている箱の中から、お気に入りの一つを取り出して遊ぶ、幼少期に感じた至福のひととき——。おもちゃ箱を開けるときのような、ワクワクする気持ちを大人になってからも味わってほしい、そんなラーメン屋さんでありたい‥‥という店主の想いが「トイ・ボックス」に込められています。
もともとは企業の営業マンとして働き、趣味の食べ歩きを楽しんでいた山上店主ですが、本当に自分がやりたい仕事は何なのかと自問自答していた30代前半の頃。神奈川県相模原市で絶大な人気を博していた「ラァメン家 69’N’Roll ONE」(※現在は兵庫県尼崎市に移転している「ロックンビリーS1」)の “鶏と水だけ” で作る「2号ラーメン」に衝撃を受け、それを切っ掛けに転身することを決意。
2号ラーメン(にごうらーめん)とは、現「ロックンビリーS1」の店主・嶋崎順一(しまざき じゅんいち)その人が確立した “比内地鶏と水だけ” のスープを特徴とする醤油ラーメンで、かの「らぁ麺 飯田商店」や「中華そば 四つ葉」の店主らにも多大な影響を与えた至高の逸品。前述した “鶏水系” の草分け的な存在で、ラーメン業界に一つの時代を築き上げました。
「トイ・ボックス」監修によるカップ麺といえば、2020年(令和2年)11月23日、大阪府吹田市に本社を置くエースコックが「一度は食べたい名店の味 ラーメン屋トイ・ボックス 黄金鶏油の鶏醤油ラーメン」というNB(ナショナルブランド)のカップラーメンを発売しているため、初の即席カップめん化ではないものの、東洋水産とのコラボレーションは「トイ・ボックス」史上初の展開。
エースコック(左)は簡便性の高い縦型容器と油揚げ麺を採用してたのに対し、東洋水産(右)は大判どんぶり型の容器に “生麺ゆでてうまいまま製法” のノンフライ麺を搭載しているため、製品スタイルは真逆といっても過言ではありません。お店のラーメンとカップ麺は自動車とラジコンくらいの差があるので、それなりのデフォルメは仕方ないとしても、本格的な味わいに期待できそうです。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」1袋に、後入れ「液体スープ」と「特製油」の計3種。パッケージには調理のポイント! と題し “特製油を最後にかけますと、一層香りが引き立ちます” とのアドバイスがあるため、調理の際は留意したいところ。
麺は油で揚げずに乾燥せさる「生麺ゆでてうまいまま製法」の麺で、厳密にカテゴライズすると “ノンフライ麺ではない” のですが、大きく分けるとノンフライ麺に該当します。調理前の見た目は「マルちゃん正麺 カップ 芳醇こく醤油」と似ていますが、仕上がりや如何に。
メーカー希望小売価格は288円(税別)に設定されているため、たとえばコンビニで購入した場合の税込価格は311.04円が相場になるのですが、スーパーやドラッグストアなど、コンビニ以外のルートも販売店に含まれます。それでも税込価格は250円以上になると思うので、費用対効果も意識しながら評価しなければいけません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん トイ・ボックス 醤油ラーメン 製造者:東洋水産株式会社 製造所:関東工場(群馬県館林市赤生田本町3831-1) 内容量:119g(めん70g) 商品コード:4901990372022(JAN) |
発売日:2022年07月11日(月) 実食日:2022年07月11日(月) 発売地域:全国 取得店舗:スーパー 商品購入価格:267円(税込) 希望小売価格:288円(税別) |
麺の種類:ノンフライめん スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:450ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(液体スープ・特製油・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、植物性たん白、こんにゃく、大豆食物繊維、植物油脂、乳糖)、添付調味料(しょうゆ、チキンエキス、植物油、鶏脂、ポークエキス、香味油脂、醸造酢、酵母エキス、発酵調味料)、かやく(焼豚、メンマ、ねぎ、デキストリン)/ 加工でん粉、酒精、かんすい、カラメル色素、炭酸カルシウム、調味料(アミノ酸等)、レシチン、酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンE)、増粘多糖類、クチナシ色素、香料、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・りんご・ゼラチンを含む) |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、ひときわ大きなチャーシューが目を引くのですが、これも「マルちゃん正麺 カップ 芳醇こく醤油」に通じる要素。ただ、比較的にサシが多く、開封した時にワクワクしたファーストインプレッション(※ただし、脂身の比率には個体差が生じます)。
添付調味料は後入れなので、お湯を内側の線まで注ぎ、フタの上で「液体スープ」と「特製油」の小袋を温めながら待つこと5分。容器側面の調理方法には “5分後、液体スープ、特製油を加え、よくかきまぜてお召しあがりください” とありますが、それとは別の場所に小さく “調味油は、液体スープを加えよくかきまぜた後にかけますと、一層香りが引き立ちます” というアドバイスの記載がありました。
カップラーメンの性質上「液体スープ」を完全に馴染ませるのは重要な項目になりますが、よく混ぜ合わせてから「特製油」をスープの表面に広げ、それ以降は 混ぜないほうがいい かもしれません。それでは、引き続き「トイ・ボックス」監修ならではの特別感に注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(119g)あたり |
カロリー:411kcal たん白質:12.4g 脂 質:15.1g 炭水化物:56.3g 食塩相当量:6.6g (めん・かやく:1.7g) (スープ:4.9g) ビタミンB1:0.28mg ビタミンB2:0.32mg カルシウム:155mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:411kcal(めん・かやく:289kcal)(スープ:122kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
おそらく「正麺カップ」のテンプレを流用
生麺ゆでてうまいまま製法* とは、東洋水産きってのカップ入り即席めんブランド「マルちゃん正麺(せいめん)カップ」のために開発された独自の特許製法(特許 第5719064号)で、当初は正麺カップだけのステータスとなっていたのですが、今回のように有名店監修のカップラーメンにも積極的に使ってくれるようになった近年。
「小麦粉、でん粉、食塩、植物性たん白、こんにゃく、大豆食物繊維、植物油脂、乳糖」という原材料名は、現行の正麺カップに共通する構成で、2021年9月6日に実施されたリニューアル以降、新たに “乳糖” を配合した、あの並びと完全に一致。それ以前の正麺カップよりも加水率が低く、箸で持ち上げた際の重量感は衰えてしまったものの、内側から跳ね返してくる反発性が強くなっています。
その特性は「トイ・ボックス」監修のカップラーメンにも受け継がれていたので、お店の質感を忠実に再現したというよりも、現在の東洋水産が保有する “生麺ゆでてうまいまま製法” の麺から醤油に合うタイプを選んだような‥‥というわけで、それだけにスープとの親和性に問題はありません。たしかな自己主張を放ちながら、スープの繊細な部分を邪魔することはない、ポジティブな取り合わせでした。
*「生麺ゆでてうまいまま製法」に関する詳細な特徴や「生麺うまいまま製法」との違いが気になる方は、関連ページ「この味、値段以上【マルちゃん正麺】最新作『濃厚もやし辛味噌』は “シャッキリもやし入り” で本格さ爆上げ!!」の解説を参考にしてください。
スープ
まさに鶏と醤油が主役の繊細かつ大胆な味わい
実店舗のスープは、比内地鶏・山水地鶏・名古屋コーチン等の鶏ガラと丸鶏から旨味を抽出し、10種の醤油を加えて旨味やコク、香りを重ねているそうですが、それをイメージしている液体スープに銘柄鶏のアピールはありません。しかし、まず印象的だったのが醤油感。それは同社が製造する「セブンプレミアムゴールド 飯田商店 しょうゆらぁ麺」のスープにも通じるような、フレッシュでキレのある風味。
特有のコクだったり、フレッシュでありながらも奥行きのある熟成感だったり、ほのかにツンとくる酸味だったり、醤油のリアルさを大切に表現しつつ、動物系の旨味を丁寧に引き出しながら、同時に動物系も醤油の個性を引き出してくれる緻密な骨組み。シンプルかつ計算された味の組み立てだったので、まずは “液体スープだけで味わってみる” のがオススメの食べ方。
液体スープの動物系にはポークエキスを併用しているため、鶏だけのスープではなく、特製油にも植物油をブレンドしているのですが、スープに浮かべた途端にグワッ、と押し寄せてくる鶏油(鶏脂)の存在感たるや。そのインパクトはスープを口に運ぶときよりも、麺を啜り上げた際のほうが明確で、ふわぁ〜っと鶏油の芳ばしさが鼻に抜けた後、味覚に残る旨味と醤油のコントラストに舌鼓を打ちました。
ちなみに実店舗のスープも “最後に鶏油を浮かべて仕上げるスタイル” を特徴としているので、より雰囲気を高めるために、カップ麺を食べるときも “特製油は浮かべるだけで混ぜないのが正解” だと思います。
具材
スープの満足度を思えば充分かも
おそらくチャーシューは「マルちゃん正麺 カップ 芳醇こく醤油」と共通で、今回は脂身の多い部位が入っていましたが、同じ店で購入した別の個体では赤身が主体。メンマはコリコリと妙に歯触りが強く、ネギはフリーズドライよりも安価な熱風乾燥の青ネギで、もう一踏ん張りしてほしい気持ちが無きにしも非ず。ただ、スープから得られる満足度の高さにより、ほとんど気になりませんでした。
総評
おそらく麺は既存品するテンプレの一つを使い、かやくも値段的に可もなく不可もなしに思えたのですが、とにもかくにもスープの完成度が高く、鶏水系らしい魅力と構成が伝わってくる一杯。簡素な原材料名が表しているように、実際の仕上がりもシンプルで、だからこそ誤魔化しが効かないジャンルを真っ直ぐに追求したような、特にスープの美味しさについては記憶に残ると思います。
それを最大限に楽しむために、まずは「液体スープ」を入れた段階で醤油感を、次に「特製油」をスープの表面に浮かべてからは “かき混ぜない” で、鶏と水だけ系の最高峰が放つ、取り繕いがない世界観を堪能してみてください【author・taka :a(大石敬之)】