どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年2月6日(月)新発売、明星食品のカップ麺「ザ・バリカタ55 金田家 濃厚とんこつ」の実食レビューです。
業界最短!? 明星食品の「バリカタ」新たなステージに‥‥これぞ本場の臨場感「ザ・バリカタ55」第1弾は福岡の名店「黒豚とんこつ 麺処 金田家(かなだや)行橋本店」監修!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
ザ・バリカタ55 金田家 濃厚とんこつ
バリカタとは、明星独自のノンフライ乾燥設備に、長年のノウハウと製麺技術を駆使して実現させた、とんこつラーメン専門店さながらの粉っぽい麺質を特徴とする “バリカタ麺” を主役に据えたシリーズで、同社が14年以上前から追求しているジャンルの一つ。近年は「博多バリカタ」や「極(きわみ)のチャルメラ」など、いくつかブランドの変遷を経ているのですが‥‥
今回の新商品「明星 ザ・バリカタ55 金田家 濃厚とんこつ」は、最短でも60秒(1分)を限界としていた「バリカタ」史上最も短い “55秒” の湯戻し時間を特徴とする新ブランド「ザ・バリカタ55」の記念すべき第1弾で、福岡県行橋市の人気店「黒豚とんこつ 麺処 金田家」が誇る「黒豚らーめん」を縦型ビッグのカップラーメンで再現した一杯。
金田家(かなだや)とは、2009年(平成21年)3月16日の創業以来、福岡県行橋市大橋に本店を置き “極上のホワイトラーメン” を提供している黒豚とんこつ専門店で、創業者の金田和浩(かねだ かずひろ)店主は元競輪選手。1985年(昭和60年)5月3日の初出場(花月園競輪場)から2005年(平成17年)11月27日開催レース(和歌山競輪場)まで、通算1,658回の出走数を記録した経歴の持ち主です。
けれども2005年(平成17年)12月8日、自動車との交通事故を理由に引退せざるを得ない状況になり、首から下が微動だにしない状況に陥ったそうですが、3ヶ月の入院と1年半にわたるリハビリに取り組んだ結果、なんとか身体が動くまでには回復。競輪選手としての生命は絶たれ、これからは好きなものに全力で打ち込もう‥‥と、飲食経験ゼロの状態で群雄割拠のラーメン業界に身を投じました。
すでに40歳も半ばを過ぎていたことから、修行を切望した某店の面接で採用を断られ、もう独学しかないとラーメンに関するレシピ本を買い漁り、自宅にスープ室を設けてラーメン作りをスタート。骨のバランスや炊き込む時間、微妙な火の加減など、そのすべてを調整しながらスープの作り方を研究し、タレも100以上の試作を重ねた結果、ほかに類を見ない “ホワイトラーメン” の基盤を構築。
日本国内で数々の賞に輝き、今では香港やイギリス、スペイン、シンガポールなど、海外にも複数の店舗を展開するなど、みごと成功を収めました。そんな「金田家」が即席カップ麺を監修するのは「ザ・バリカタ55」が初めての試みで、濃厚かつ極上でクリーミーな味わいを特徴とするスープの再現度も然る事乍ら、明星史上初となる “熱湯55秒” のバリカタ麺に関する仕上がりも実に興味深いところ。
かれこれ40年以上前の商品を引き合いに出しますけど、1982年(昭和57年)10月に登場するや否や、即席カップめん市場に衝撃を与え、凄まじい反響を得た「MYOJO 60秒ヌードル Quick-1(クイックワン)」というシリーズがあり、しかしながら調理時間の短さに起因する “スープが熱すぎて食べられない” や “麺が伸びやすい” などの問題が露呈した結果、1984年(昭和59年)には姿を消すことに——。
しかし、明星史上最短の湯戻し時間を実現した「ザ・バリカタ55」のパッケージには “激熱(舌のやけどにご注意!)” の警告文を記載していることから、40年以上前とはユーザーの嗜好が変わっているのだなと、なんか漠然と感慨深い気持ちになりました(※余談ですけど私は猫舌です)。さて、そんな激熱スープでも伸びにくい麺なのか、また秒刻みによる効果も含め、お手並み拝見と参りましょう。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、フタの上に貼り付けてある「調味油」のみで、お召し上がりの直前に加えてくださいタイプの後入れ仕様。天面には “福岡の名店「金田家」の濃厚でクリーミーな豚骨スープはクセになるまろやかさ。歯切れのよいバリカタ麺を熱湯55秒の戻し時間でスープと共に存分にご堪能ください。” という商品の魅力についての訴求があります。
かやくはチップ状のチャーシューに、ねぎ(FD)とキクラゲの組み合わせで、以前にも何度か見ているラインナップ。ただ、そこそこ量が多いことに加え、モデルになった「黒豚らーめん」のトッピングも基本はチャーシュー、ねぎ、キクラゲ、海苔とシンプルな構成から、あながち的外れなチョイスではありません。
ちなみに2023年2月現在、明星食品の縦型ビッグ製品におけるメーカー希望小売価格は245円(税別)が標準となっているのですが、今回は248円(税別)と微妙に高め。たった3円の差に思えるかもしれませんけど、即席めん業界は1銭(100分の1円)単位で資材コストを調整しなければいけない世界なので、3円の値上げは地味なようで大きな決断です(あるいはロイヤリティの問題かも?)
製品詳細情報・購入価格等
製品名:明星 ザ・バリカタ55 金田家 濃厚とんこつ 販売者:明星食品株式会社 製造所:東日本明星株式会社 埼玉工場(埼玉県比企郡嵐山町川島2360) 内容量:90g(めん65g) 商品コード:4902881454711(JAN) |
発売日:2023年02月06日(月) 実食日:2023年02月13日(日) 発売地域:全国 取得店舗:コンビニ(ファミリーマート) 小売価格:248円(税別) 購入価格:267円(税込) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙 湯量目安:400ml 調理時間:熱湯55秒 小袋構成:1袋(調味油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、植物性たん白、香味調味料、卵粉)、スープ(ポークエキス、食塩、香味調味料、豚脂、デキストリン、チキンエキス、香味油、乳等を主要原料とする食品、酵母エキス、香辛料、たん白加水分解物、でん粉、糖類、植物油脂、昆布エキス、しいたけエキス)、かやく(チャーシュー、ねぎ、キクラゲ)/ 調味料(アミノ酸等)、加工デンプン、増粘剤(キサンタンガム)、炭酸カルシウム、香料、乳化剤、かんすい、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンE)、甘味料(スクラロース)、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に卵・乳成分・小麦・えび・ごま・大豆・鶏肉・豚肉を含む)※本品製造設備では、かに・落花生を含む製品を生産しています。 |
実食開始
麺は油で揚げずに乾燥させたノンフライ麺で、繰り返しになりますが、湯戻し時間は明星史上最短の55秒を記録。たった5秒の差で熱湯60秒のバリカタ麺と雲泥の差が生じているのか、それとも秒刻みの表示にすることで “しっかり時間を守ってもらいたい” という意識の働き掛けが目的なのか、個人的には後者の理由が濃厚だと睨んでいるのですけど、なんせレビュアーとしては焦る焦るw
別添の小袋は後入れなので、熱湯を内側の線まで注ぎ、フタの上で「調味油」の小袋を温めながら待つこと55秒。——ええ、そんなに温まりませんが、時間になったら「調味油」を投入し、よく混ぜ合わせたら完成です。引き続き以前にも見たことある感じの仕上がりではあるものの、やや多めの具材と調味油の適度な獣臭はイイ感じ。
というわけで、熱湯55秒を実現したバリカタ麺の仕上がりも然る事乍ら、豚骨の打ち出し方にも注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(90g)あたり |
カロリー:362kcal たん白質:12.4g 脂 質:10.2g 炭水化物:55.2g 食塩相当量:6.6g (めん・かやく:2.2g) (スープ:4.4g) ビタミンB1:0.69mg ビタミンB2:0.39mg カルシウム:226mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:362kcal(めん・かやく:282kcal)(スープ:80kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
結論:熱湯55秒だと足りない
「金田家」の国内店舗で使われている麺は、北九州にある老舗の製麺所「安部製麺」から取り寄せている低加水麺で、店舗によってはカタい順から「きじ」「こな」「はりがね」「バリかた」「かた」「ちょいかた」「ふつう」「やわ」「ずんだれ」計8段階の茹で加減をリクエストできたようですが、今回の「ザ・バリカタ55」が追求しているのは文字通りバリカタ食感。
とはいえカップラーメンでは、蒸熱後に熱風で乾燥させた麺を熱湯で戻す、そのプロセスを確実に踏まなければいけないため、リアルな「バリかた」とは異なる質感。加水率は低めの設定ではあるものの、食べ始めの食感はバリカタというよりも “ただ戻ってないだけ” みたいな。実際の食べごろは熱湯55秒+かきまぜ+30秒ほど放置=計2分くらいだと感じたのですが、それでも特有の凝りが残ります。
それでいて計2分を過ぎてから伸びるまでのスピードは早く、あっという間に “ちょっと硬めに茹でた素麺” みたいな質感に。調理前の麺重量は、レギュラーサイズの「カップヌードル」と同じ65gなので、伸びる前に食べ切るのは容易かと思いますけど、結果的に歯切れ感や風味に関しても熱湯60秒だった「バリカタ」のほうが自然だと感じました。
スープ
鶏・乳等を主要原料とする食品・和風だし等を組み込んだ白湯
まずは「調味油」を入れずに味を確認してみたところ、ふと鼻に抜ける骨っぽい香りが心地よく、それと同時にクリーミーなコクが口の中に広がるのですが、余韻は豚骨よりも和風のテイストが優勢で、昆布と椎茸の旨みも強めに主張してきます。ただ、実際のスープも秘伝のタレに北海道産の板昆布や大分県産の椎茸を使っているようなので、なるほど和風だしっぽいのも個性なのかと納得。
実際のスープには、エスプレッソのクレマよろしく表面に小さな気泡が発生し、豚骨臭は控えめながらも濃度が高く、クリーミーな味わいとの評判ですが、それを再現したカップラーメンのスープに脂泡(しほう)は浮かびません。またトロミの加減も人工的かつ鶏白湯的な要素も強く出ていますけど、まったり乳化した白濁スープに昆布&椎茸の組み合わせは面白く、そこに「金田家」の個性が見えました。
別添の「調味油」は動物油脂をメインに、ちょっとクセの強い豚脂を使っているため、粉末スープだけでは出せない獣臭とオイル特有をプラスしてくれるアイテム。ただ、それが全面に主張してくるのではなく、あくまでもスープの質を底上げしてくれるような立ち位置で、骨の要素に頼りなさを感じた節もありますが、いい意味で後に残るスープです。
かやく
ちゃんと55秒で戻ります
チップ状のチャーシューに、細切りのキクラゲ、フリーズドライのネギは、他の商品にも使われている汎用性の高い資材なので、残念ながら新開発の驚きは得られません。しかし、注目すべきは “ちゃんと熱湯55秒でも食べられる” こと。熱湯60秒の「バリカタ」でも感じていたのですが、特にキクラゲの戻りは素晴らしく、適度なコリコリと歯切れのよさが食感のアクセントに効果的。
それにしてもスーパーなんかに売ってる乾燥キクラゲとか、ちゃんと戻すのに時間けっこう必要なのに、いくら細切りとはいえスゴいですよね。
総評
明星史上最短の “熱湯55秒” を実現したバリカタ麺は、ぶっちゃけ熱湯2分前後が食べごろで、スープや具材も縦型カップの限界を感じる仕上がり。舌が肥えた地元民からはもちろん、海外でも高い評価を得ている「金田家」監修だったので、せっかくなら大判どんぶり型のハイクラス系で商品化してほしかった‥‥というのが正直な感想です。しかし、けっしてイマイチなわけではありません。
荒々しい豚骨ラーメンに期待していた場合、ずいぶんと優しい印象を受けるかと思いますが、実際の「黒豚らーめん」におけるスープも臭みがなく、クリーミーとの評判なので、無難といえば無難な着地だと感じました。さて、引き続き「ザ・バリカタ55」第2弾に繋がるのか、それとも熱湯60秒に戻るのか、今後の展開も楽しみにしています【author・taka :a(大石敬之)】