どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2020年4月6日(月)新発売のカップ麺、明星食品「大砲ラーメン 醤油とんこつ」の実食レビューです。
1953年(昭和28年)創業「大砲ラーメン」全店の中でも限られた店舗でしか食べられない “醤油とんこつ” をカップラーメンで再現!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
大砲ラーメン 醤油とんこつ
大砲(たいほう)ラーメンとは、豚骨ラーメン発祥の地・久留米(くるめ)に本店を構える老舗のラーメン店で、創業者・香月昇(かつき のぼる)氏が久留米市明治通りに開業した一軒の屋台が始まり。今回の新商品「大砲ラーメン 醤油とんこつ」は、明星食品との共同開発商品で、九州に12店舗ある大砲系列の中でも若者が多い「天神今泉店」の限定メニューをカップ麺で再現したもの。
「久留米 大砲ラーメン 天神今泉店」は、2007年9月20日にオープンした福岡県福岡市中央区の路面店で、旧「大砲ラーメン 天神イムズ店」の契約終了に伴い立ち上がった店舗。さらに遡ると福岡県福岡市博多区にあった「大砲ラーメン キャナルシティ博多ラーメンスタジアム店」が天神イズム店の前身で、その頃から店舗限定メニューとして “醤油とんこつラーメン” を提供していました。
「大砲ラーメン」といえば、現代久留米とんこつラーメンの特徴として全国的な知名度も上がってきた「呼び戻しスープ」発祥の店として有名なラーメン店。それは創業から半世紀以上 “一度も釜を空にすることなく” スープを炊き続け、火力や水位の調整、さらには豚骨を攪拌するタイミングなどを見極めながら、創業以来の古いスープと若い(新しい)スープを絶妙にブレンド。
豚骨スープ専用の羽釜には、常に “タネ” と呼ばれる古いスープを必ず洗面器1杯分は残し、そこへ新しいスープと豚骨を足していくと、創業当時から受け継がれてきたタネが “いつものスープを呼び戻す” というのが「呼び戻し」の由来。その技術を取得するには最短でも3年かかるらしく、創業者の実子であり、大砲ラーメンの二代目店主・香月均史(ひとし)氏が “呼び戻し” と名付けます。
カップラーメンの再現元になっている「大砲ラーメン 天神今泉店」限定メニュー “醤油とんこつラーメン” は、大砲ラーメン特製の呼び戻しスープを軸に、とんこつラーメンで定番の黒マー油ではなく「焦がしネギ油」と「醤油ダレ」を合わせ、具材には青梗菜(ちんげんさい)を細かく切らずにトッピングしているのも個性的なポイント。
「天神今泉店」には “食べ比べセット” というハーフサイズの「ミニラーメン」と「ミニ昔ラーメン」をセットにした人気メニューがあるので、たとえば「食べログ」を見ても “食べ比べセット” の評判・口コミは多いのですが、比較して「醤油とんこつラーメン」の感想は少なめ(※ちなみに食べログでは “臭みは感じないラーメンなので女性にオススメ” と公式が紹介)。
なお、大砲ラーメンの「天神今泉店」といえば「KITTE博多店」の開業1周年祭限定メニューとして開発された「呼び戻しレッド(YOBIMODOSHI RED)」をレギュラー商品として取り扱っている支店。この「呼び戻しレッド」については、2017年9月25日と2019年6月10日に「大砲ラーメン 赤とんこつ」と題し、明星食品がカップラーメンで再現しています。
上記の画像は2019年6月10日発売の「明星 大砲ラーメン 赤とんこつ」で、製品スタイルは今回と同じコンビニ向けの縦型ビッグ(※ただしコンビニ専売ではない)。当時も明星食品のニュースリリースで “系列店の中でも、若者が多く集まる天神店、KITTE博多店で提供している——” と紹介されていたので、今回の「醤油とんこつ」は「赤とんこつ」の流れで開発されたのかもしれません。
開封
さて、別添の小袋は後入れの「調味油」が1袋。明星食品曰く “大砲ラーメン独特のコクのあるとんこつ感をイメージし、ポークエキスに濃口醤油を合わせた濃厚な醤油とんこつスープです。食欲そそる香ばしさが特長の焦がしネギ油の風味が効いたポークオイルの調味油付き” とのことなので、この中に焦がしネギ油の風味が効いたポークオイルが仕込まれているようです。
具材はチップ状のチャーシューにチンゲン菜、卵、ねぎの4種類。実店舗の「醤油とんこつラーメン」にトッピングされている紅生姜や海苔は入っていませんし、たまごもインスタント感の強いスクランブルエッグですが、醤油とんこつ系のラーメンにチンゲン菜を合わせる個性的なポイントは踏襲しているため、そこは素直に好印象。
メーカー希望小売価格は税別220円、今回はイオンリテールで198円(税込213円)のところを捕獲しましたが、コンビニで購入した場合の税込価格は232円が2020年4月現在の標準的な実売価格(軽減税率8%適用)。カップ麺の新商品がコンビニに並ぶのは火曜日からなので、そちらで購入予定の方は2020年4月7日(火)以降に探してみてください。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:明星 大砲ラーメン 醤油とんこつ 製造者:東日本明星株式会社 埼玉工場 製造所:埼玉県比企郡嵐山町川島2360 内容量:103g(めん75g) 商品コード:4902881438612(JAN) |
発売日:2020年04月06日(月) 実食日:2020年04月06日(月) 発売地域:全国(全チャネル) 取得店舗:イオンリテール・兵庫県 商品購入価格:213円(税込) 希望小売価格:220円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙 湯量目安:350ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:1袋(調味油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、しょうゆ)、スープ(豚脂、ポークエキス、でん粉、糖類、食塩、しょうゆ、たん白加水分解物、小麦粉、香辛料、香味油、香味調味料)、かやく(チャーシュー、チンゲン菜、卵、ねぎ)/ 加工デンプン、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、炭酸カルシウム、増粘多糖類、かんすい、乳化剤、香料、酸化防止剤(ビタミンE)、カロチノイド色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に卵・乳成分・小麦・えび・牛肉・ごま・さけ・さば・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
麺は縮れのついた油揚げ麺で、湯戻し時間は熱湯4分と長めの設定。前回の「赤とんこつ」にも熱湯4分の油揚げ麺を採用しているため、もしかすると同じかもしれません。実際の「大砲ラーメン」で使用されている麺は、自社が運営している「大砲 麺工房」で製麺した加水率の低い細めのストレート低加水麺なので、それとは印象が大幅に異なります。
あとは熱湯を注いで4分待機、調味油は後入れなので、かならず食べる直前に。それから粉末スープの量が多いため、溶け残りがないように注意してください。で、ご覧の通りスクランブルエッグやネギは大した量ではないものの、チャーシューチップとチンゲン菜の量が多く、特にチンゲン菜の量は実食前から高評価確定の多さ。
いまのところ焦がしネギ油の存在感は控えめですが、ほのかに葱油系の芳ばしい香りが漂い、豚骨の香りも癖を抑えながら軽くありません。それでは、引き続き焦がしネギ油の個性と醤油・豚骨のバランスに注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(103g)あたり |
カロリー:475kcal たん白質:9.7g 脂 質:20.2g 炭水化物:63.5g 食塩相当量:5.9g (めん・かやく:2.3g) (スープ:3.6g) ビタミンB1:0.30mg ビタミンB2:0.35mg カルシウム:126mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:475kcal(めん・かやく:392kcal)(スープ:83kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
カップ麺としては悪くないが——
明星食品のニュースリリースには “しなやかな食感でスープのりのよい細麺です” とあるのですが、実際の太さは中細サイズの平打ち麺で、スナック的な風味も遠慮なく上がってくるインスタント感の強いタイプ。これをカップラーメンらしい魅力と肯定的に捉えることができれば問題ないものの、大砲ラーメンらしい麺とはいえないため、再現度は高くありません。
調理後も引き続き縮れは強く、湯戻し時間は熱湯4分きっちり守ってみたところ、部分的な戻りムラは気になりませんでしたが、あえて食感を茹で加減に例えるなら “ふつう” くらい。オープン価格の廉価版ほど頼りない食感ではないですし、今回のスープと単純に合っているか合っていないかでいえば前者ではあるものの、あまり記憶に残る麺ではないと思います。
今回のような縦型ビッグの有名店監修カップラーメンは、一部のブランドを除いて基本的に麺量70gを平均としているのに対し、今回は75gと若干ながら多めに入っているのは好印象。けれども明星食品は “スチームノンフライ製法” という縦型カップめん用の高いノンフライ製麺技術を持っているため、最近だと「極(きわみ)のチャルメラ」に使われている “バリカタ麺” で決めてほしかったですね。
スープ
濃厚だけど食べやすいバランス型
まずは調味油を入れる前、粉末スープだけの状態で味わってみたところ、けっこう醤油感の強そうな色合いですが、豚骨と醤油のバランスは対等関係にあって——いや、若干ながら豚骨が優勢なフレームワーク。果たして “呼び戻し” かといわれたらイメージほどの深みではないですし、小麦粉で粘度を高めているのですが、それを不自然に思わせないだけの豚骨感は備えています。
調味油は温めずに入れてみたところ、中には低温で白く濁った豚脂(ラード)が入っていて、すぐにスープの熱で透明になります。パッケージにも “焦がしネギ油と豚のコクが——” と書いてあったので、真っ黒ではないにしろ焦げ茶色っぽい調味油を想像していたのですが、ぜんぜん。しかし、ちゃんと葱油っぽい独特の芳ばしさは印象に残るレベル。
そこまで焦がしの主張は強くないものの、単なる豚脂では出せない香味油特有の芳ばしさがあり、それと同時に豚脂が適度な “こってり” を演出。それでもベクトルは縦型カップ麺らしいインスタント感が平行する味わいですが、豚骨・しょうゆ・葱油のバランスが整っていて、総合力の高いスープに仕上がっていました。
具材
とにかくチンゲン菜が多い
いずれの具材もクオリティとしてはカップラーメンの枠を超えることはなく、チャーシューはチップ状で情緒のない肉具材なのですが、いつもの甘辛い味付けが今回の醤油とんこつスープと異様にフィット。チンゲン菜も新開発の具材ではないものの、個性を演出する上で効果的ですし、チンゲン菜特有の甘みがスープに映え、量も多く申し分ありません。
一方、甘いスクランブルエッグは明星食品の縦型ビッグにおける常連さんで、全体のジャンクな雰囲気を加速。ネギも多くありませんが、こだわりの斜め切りで小葱よりも加工感は控えめ。とにもかくにも具材のハイライトはチンゲン菜、これだけ入っていれば上出来ですよ。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4)
麺が実店舗のストレート麺から大幅に掛け離れた仕上がりだったので、正直まったく再現度は意識されておらず、そのため全体のインスタント感も強くなるのですが、結果的にマイナスだったのは再現度の観点から評価した場合の話。単純に一つのカップラーメンとしてみるとスープとの相性はよかったので、スッパリと割り切れば悪いカップ麺ではありません。
麺の再現度こそ皆無に等しかったものの、濃厚なのに食べやすい醤油とんこつスープに焦がしネギ油の芳ばしいアクセントが個性的で、さらに具材のチンゲン菜が個性を表現。もうちょい麺は工夫できたと思うので、その分ちょっと総評から差し引いていますが、単純に美味しいかまずいかでいえば美味しかったです。