とんこつラーメン発祥の地・久留米に本店を構える「大砲ラーメン」が汁なしカップ麺を監修!!
本日の一杯は、2020年10月19日(月)新発売のカップ麺、明星食品「大砲ラーメン ネギとんこつ味まぜそば」の実食レビューです。
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
大砲ラーメン ネギとんこつ味まぜそば
大砲ラーメン(たいほうらーめん)とは、福岡県久留米市・櫛原(くしわら)に本店を構える豚骨ラーメン専門店で、創業は1953年(昭和28年)と半世紀以上前の話。
現在の運営母体である「株式会社大砲」及び店名となっている「大砲」の由来は、喧嘩っ早くて負けん気の強かった初代店主・香月昇(かつき のぼる)氏の “一旦こうと決めたら大砲の弾のように一直線に突き進む” という一本気な性格に因んだもの。
初代店主が久留米市明治通りに開業した一軒の屋台を前身とし、1967年(昭和42年)から屋台での営業をやめ、現在の本店所在地である久留米市通外町(櫛原)で店舗営業を開始。
1989年(平成元年)7月、初代店主の実子であり「大砲ラーメン」の代名詞にもなっている “呼び戻し” スープの名付け親・香月均史(かつき ひとし)氏が二代目店主を引き継ぎ、1996年(平成8年)7月からフランチャイズを展開しているのですが、九州内でのみ12店舗を運営しています。
今回のカップ麺「明星 大砲ラーメン ネギとんこつ味まぜそば」は、明星食品株式会社と株式会社大砲の共同開発商品で、大砲ラーメン監修の汁なしカップめん第3弾。大砲ラーメンで定番の味わいを汁なし麺(まぜそば)にアレンジした変わり種で、カップめん専用のオリジナルメニューとして企画された最新作。
以前は九州エリア限定商品だった2006年8月発売の通年商品「大砲ラーメン 昔ラーメン」は、ノンフライ麺を使用した大判どんぶり型のカップラーメンで、2015年3月23日発売のスポット商品「大砲ラーメン neo とんこつ+牛だし」以降、定期的に縦型ビッグのカップラーメンを開発してきた明星食品と大砲ラーメン。
以降は黒マー油が決め手の「黒とんこつ」と実店舗で人気の “呼び戻しRED” を再現した「赤とんこつ」を何度か商品化しているのですが、2018年9月24日にシリーズ初の湯切りタイプ「大砲ラーメン とんこつまぜそば」を新発売。お店では提供されていなかった賄い(まかない)を再現したもので、かなり液体ソースのクセが強く、いろんな意味で記憶に残る一杯に仕上がっていました。
当時、それまでバックヤードの食べ物だった「まぜそば」が実際の店舗でも期間限定で振る舞われ、2019年7月29日に豚骨の味わいを強めたリニューアル版「とんこつまぜそば」を再販。とはいえ実際の味としては、豚骨感よりも “むわっ” とくる香味油のクセが目立ち、やや指標がズレていたような気がしないではないものの、ある意味それが強烈な個性となっていたのを覚えています。
その流れを汲んだ大砲ラーメン監修の汁なしカップめん第2弾「赤とんこつまぜそば」は、スパイシーな辛味を特徴とする “赤とんこつラーメン” をアレンジしたもので、おそらく「大砲ラーメン KITTE博多店」の開業1周年記念商品として開発された “呼び戻しレッド(YOBIMODOSHI RED)” が元ネタ。
あいかわらず豚骨感よりも香味油のクセが目立つテイストで、TwitterなどのSNSを中心に賛否両論あったのですが、ラー油の辛味を強めるだけでなく、具材として新たにザク切り高菜を採用するなど、あきらかに総合力は上がっていました。
そして、大砲ラーメン監修の汁なしカップ麺 “第3のフレーバー” となる今回の「ネギとんこつ味まぜそば」は、豚骨オイルがベースの液体ソースに芳ばしいネギ油をプラスしているらしく、鮮やかな緑色のネギをメインにゴマ、ブラックペッパー、紅生姜、刻みのりを組み合わせた後のせかやくを別添。
はたして強烈な香味油のクセは健在なのかどうか——このページでは第3弾の「ネギとんこつ味まぜそば」を掘り下げていくので、前回・前々回の感想と評価が気になる方は、関連ページ「明星 大砲ラーメン とんこつまぜそば(二代目)」及び「明星 大砲ラーメン 赤とんこつまぜそば」をご覧ください。
開封
さて、今回のカップ麺に別添されている小袋は、後入れの「液体ソース」と「あとのせかやく」の合計2袋。前回の「赤とんこつまぜそば」と前々回の「とんこつまぜそば」が商品化された際、どちらも実際の店舗でリアル版の期間限定メニューが販売されていたのですが、2020年10月24日現在、そういった企画の実施予定は耳にしていません。
麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は熱湯5分。前回・前々回と同じように、量は食べ応えのある大盛り130gを搭載しています。ちなみに前回の麺と前々回の麺は酷似していたのですが、原材料から粉末油脂がカットされ、比較的に粘り気が強くなるなど、まったく同じ麺ではありませんでした。
メーカー希望小売価格は税別230円、コンビニで購入した場合の税込価格は248円。実際に立ち寄ったコンビニ大手4社のなかでは「ローソン」と「ミニストップ」での取り扱いを確認しているのですが、九州エリアの「セブンイレブン」でも取り扱いがあるそうなので、販売店の参考にしてください。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:明星 大砲ラーメン ネギとんこつ味まぜそば 販売者:明星食品株式会社 製造所:東日本明星株式会社 埼玉工場(R) 内容量:162g(めん130g) 商品コード:4902881438858(JAN) |
発売日:2020年10月19日(月) 実食日:2020年10月24日(土) 発売地域:全国(全チャネル) 取得店舗:MEGAドン・キホーテ 商品購入価格:204円(税込) 希望小売価格:230円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:角型ビッグ 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:770ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:2袋(液体ソース・あとのせかやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、ソース)、ソース(豚脂、しょうゆ、糖類、香味油、食塩、ポークエキス、たん白加水分解物、香辛料、香味調味料)、かやく(キャベツ、ごま、ねぎ、紅しょうが、香辛料、のり)/ 加工デンプン、調味料(アミノ酸等)、トレハロース、カラメル色素、炭酸カルシウム、香料、酒精、かんすい、増粘剤(加工デンプン)、酸味料、酸化防止剤(ビタミンE)、カロチノイド色素、炭酸マグネシウム、ビタミンB2、ビタミンB1、ムラサキイモ色素、香辛料抽出物、ベニバナ黄色素、(一部に乳成分・小麦・いか・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・りんご・ゼラチンを含む)※本品製造設備では、卵・えび・かにを含む製品を生産。原材料の海苔は、えび・かにが混ざる漁法で採取しています。 |
実食開始
容器の中には汁なしカップ麺で定番のキャベツが最初から入り、主役のネギは後入れ仕様。特別にキャベツの量が多いわけではないのですが、思っていたよりも少なくありません。ちなみに別添の液体ソースは動物油脂をメインに構成されていたので、熱湯を注いでから5分間、小袋をフタの上にのせて温めます。
でもって今回も強烈なオイニーご健在w かと思いきや、それだけではありません。たしかに歴代とんこつまぜそばに通じる野手に富んだ香りも漂ってくるのですが、同時にネギ油の香りも強く、なにより “とんこつラーメンらしい” 香りが印象的な実食前。いやはや、これはいいですよ。
さらに特製ふりかけの紅生姜や乾燥ねぎの香りも相俟って、とんこつラーメンらしい印象が強くなる、いい意味で予想外の展開でした。それでは、引き続き九州の老舗 “大砲ラーメン” 監修の恩恵に注目しながら「めん」「ソース」「具材・あとのせかやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(162g)あたり |
カロリー:727kcal たん白質:10.8g 脂 質:31.5g 炭水化物:100.0g 食塩相当量:6.6g ビタミンB1:0.31mg ビタミンB2:0.34mg カルシウム:211mg |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
食べ応えのある油揚げ麺
実店舗の「大砲ラーメン」で提供されている定番商品の麺は、水分量を抑えた加水率の低い細ストレート麺で、1993年(平成5年)に新設された自社の「麺工房」で製造。縮れのない細麺なので、スープの絡みを高めるために麺の加水率を下げているのですが、今回のカップ麺に使われている麺は真逆のタイプ。
形状は丸刃で切り出された平打ちの中太麺で、表面はソフトな口当たりでありながら、中心部には弾力のある歯応えを残し、それでいて適度な歯切れの良さも両立。とんこつラーメンらしい低加水麺ではないけれど、濃厚とんこつダレとの相性は良く、単純に印象は悪くありません。
液体ソースを馴染ませる前の色は薄めの白っぽい見た目で、なめらかな口当たりですが、実は生地にソースを練り込んでいるのもポイント。そのため液体ソースとの一体感は高く、ゆっくり食べても食感の劣化は控えめで食べ応えもバッチリ。新開発のクオリティではないけれど、メーカー希望小売価格に見合った品質です。
ソース
中毒性注意!!
実店舗のスープは “呼び戻し” と呼ばれる伝統の製法を取っており、刻一刻と変化していくスープの状況に対応すべく、社員が大きな羽釜の前に張り付きながら、古いスープと若い(新しい)スープをブレンドし続けること半世紀以上——
さすがに伝統の味を230円のカップ麺で完全に再現することは不可能に近いかもしれないけれど、前述のように今回のソースは歴代とんこつまぜそば史上もっとも “とんこつラーメンらしい” 仕上がりで、小手先の味ではありません。お店の豚骨臭とベクトルは異なりますが、これまで以上に豚骨の効かせ方が丁寧で、明確に主張してくる葱油のアクセントも見どころ。
ひとくち食べるだけでグロスを塗りたくったような唇になりますがw コクのあるポークエキスに背脂の芳ばしい風味を重ね、タレには深みのある濃口醤油を使用。さらにネギの香りとガーリックのアクセントが食欲を誘ってくる、これまで以上に練り上げられた味わいなのですが、別添の「あとのせかやく」も重要なポジション。
具材・あとのせかやく
あとのせかやくが賑やかで秀逸
キャベツは同社の「一平ちゃん夜店の焼そば」などに入っている汎用の野菜なので、なんの変哲もないキャベツなのですが、こってりした濃厚とんこつソースを程よく中和。そして、前述のようにネギ、ゴマ、ブラックペッパー、紅生姜、刻み海苔、それぞれのアクセントが役目を果たし、いずれも今回のソースと相性抜群。
何かの味が突出しているわけではないけれど、風味の強い青ネギ、芳ばしいゴマ、引き立て上手な黒胡椒。さらにソースと対比を描く紅生姜の酸味も効果的ですし、海苔も実店舗のラーメンにトッピングされている素材の一つ。あとのせかやくの存在がなかったら、後半ちょっと厳しかったかも。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5+)
豚脂たっぷりのアブラギッシュなソースに130gの大盛り麺、そしてクセのある調理後の香りから、誰にでもオススメできる商品ではないのですが、重心の低い豚骨の旨味、ネギの香り、あとのせかやくのアクセントなど、大砲ラーメン監修商品における “歴代とんこつまぜそば史上最高傑作” といっても過言ではありません。
ここに明星食品が誇るバリカタ食感の極細ストレート低加水麺が合わされば‥‥いや、それだと「極のチャルメラ」の立つ瀬がなくなるから差別化を図っているのかも——などと思いつつ、それはさておき今回の「大砲ラーメン ネギとんこつ味まぜそば」は、個性的かつ総合力の高い一杯だったので、気になっている方は販売期間中に試してみてください(author・taka :a)