どうも、taka :aです。
本日の一杯は、セブンイレブンのカップラーメン「日清名店仕込み すみれ 札幌濃厚味噌」vs.要冷蔵のコンビニラーメン「すみれ監修 札幌濃厚味噌ラーメン」の比較・実食レビューです。
札幌濃厚味噌ラーメンの重鎮「すみれ」が監修したセブン&アイ限定の「カップラーメン」と「コンビニ専用チルド麺(レンジ麺)」を徹底比較!!
何が違うのか、どっちが美味しいのか、けっきょくコスパが高いのは——実際に食べ比べてみた感想と経験に基づいて評価し、商品の特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。よろしければ、最後までお付き合いください。
すみれ監修 “カップ麺vs.チルド麺”
「すみれ」とは、昭和39年(1964年)8月2日に創業した札幌・中の島に本店を構える名店で、札幌ラーメンといえば “濃厚こってり味噌” の礎を築き上げた立役者。開業当時、まだ札幌では “あっさり” とした淡麗系のラーメンが主流だった頃、初代店主・村中明子さんは “こってり” 濃厚な味噌ラーメンを提供し、ラーメン界のトレンドを大きく揺るがしました。
開業当時の屋号は「純連」と書いて「すみれ」と読み、現在は明子さんの実子である長男・村中教愛氏の「純連」と三男・村中伸宜氏の「すみれ」が初代の味を継承、それにインスパイアされたラーメンは「純すみ系」「村中系」などと呼ばれています。今回比較する商品は、どちらも三男「すみれ」の村中伸宜氏が監修していて、テーマも同じく「札幌濃厚味噌」。
カップラーメンの「日清名店仕込み すみれ 札幌濃厚味噌」は、セブン&アイグループと日清食品の共同開発商品で、初めて発売されたのは2000年4月18日。同年8月22日に生タイプ、11月7日に冷凍ラーメンを発売し、カップ麺は発売当初からセブンプレミアムの最上級ブランドと思い込んでいたのですが、申し訳ありません誤認識‥‥実は “2012年11月13日から「ゴールド」に昇格していた” ことが分かりました。
2000年4月に初めて発売されたのは間違いなく、当時から製造は日清食品が担当し、 “有名ラーメン店のおいしさを家庭にいながらにして味わえる” をコンセプトに開発。2000年4月に「すみれ」と「一風堂」を販売、翌2001年5月には「山頭火」を新たなラインナップに加え、お店の味を再現した高級カップラーメンの金字塔を打ち立てます。
そして2012年11月13日、13年目の大革新と題し「すみれ」「一風堂」「山頭火」を “セブンゴールド初のカップラーメン” として認定。「さらなる店味(みせあじ)の追求」をテーマに麺・スープ・具材の細部まで見直し、当時の日清食品が培ってきた独自技術を結集することで、圧倒的な品質を誇る商品にブラッシュアップ。
2012年のリニューアル当時は「セブンゴールド」で、いつの間にか「セブンプレミアム ゴールド」に変わっていたのですが、その立ち位置は常に揺るぐことなく頂点にあり、日清名店仕込み御三家として絶賛販売中。2019年8月現在の最終リニューアルは2018年5月28日、「この味 “さらに” 店味」として、スープに使用している炒め油の旨みがアップしました。
さて、今回の比較対象であるセブンイレブン専用のコンビニラーメン「すみれ監修 札幌濃厚味噌ラーメン」は、電子レンジで加熱するため “レンジ麺” とも呼ばれているチルドタイプのカップ入り商品で、株式会社武蔵野の京都工場で製造されています。この会社、実はコンビニおにぎりで定番の人気商品「ツナマヨおにぎり」を “世界で初めて作った企業” なんですよ。
その付近にある要冷蔵のカップ入りコンビニラーメンも、ほぼ「(株)武蔵野 京都工場」の管轄。どちらも同じ「すみれ」が監修している商品で、製造者や保存方法の違いはもちろん、開発コンセプトにも根本的な違いがあるのですが、まずは両者の「メリット」と「デメリット」を比較してみましょう。
メリット・デメリット
まず保存方法と期間について、カップラーメンは常温保存が可能なのに対し、コンビニ用のチルドラーメンは文字どおりチルド(要冷蔵商品)なので、原則10度以下で保存しなければいけません。さらに前者は “賞味期限” ですが、後者は “消費期限” という大きな違いがあり、保存期間も片や常温で “製造から6ヶ月” 、片や冷蔵で “店頭に並んでから約3日程度” と歴然の差。
“賞味” 期限と “消費” 期限の違いは読んで字の如く、前者は “賞味(味わいながら食べること)” が可能かどうかの目安なので、ちょっとくらい期限過ぎたって食べられます。しかしながら後者は “消費可能かどうか(食べても身体に悪影響が出ないかどうか)” 生産者側が製品の性能・品質を保証し得る期限なので、基本的に期限が切れたら廃棄しなければいけません。
というわけで保管の容易さと保存期限(喫食可能期間)については “カップ麺の圧勝” なんですけど、調理方法については片や熱湯4分で、片や500Wの電子レンジで6分30秒(1500Wなら2分10秒)、どちらも調理器具と熱源が必要です。その際、カップ麺は熱湯を沸かして小袋いろいろ入れなければいけませんが、基本的にチルドタイプのコンビニラーメンは電子レンジに入れてチンするだけ。
小袋を入れたり念入りに混ぜたりしなくていい分、調理方法の簡便性という点においては実際に “レンジ麺のほうが楽” でした。ちなみに余談なんですけど、「電子レンジ」という名称は1961年(昭和36年)12月、国鉄の食堂車(サハシ153形)で東芝の製品をテストした際に国鉄の関係者が名付けた和製英語で、正しくは「microwave oven(マイクロウェーブ・オーブン)」といいます。
販売期間・取扱店情報・カロリー等の違い
長期保存のため可能な限り水分を避けているカップ麺の内容量は139g(めん80g)、カロリーは559kcal。対して保存期間の長さよりも調理直後の美味しさを優先しているチルド麺の内容量は570g(めん150g)、カロリーも730kcalと圧倒的な差。カップ麺に熱湯(お湯の目安量440ml)を注げば579gと同じくらいの重さになりますけど、熱量には170kcal以上の差が生じています。
そして2019年8月16日現在、カップラーメンは “通年商品” として取り扱われているのですが、「中華蕎麦とみ田監修豚ラーメン(豚骨醤油)」を除く武蔵野製造のカップ入りコンビニラーメンは基本的に “期間限定商品” で、だいたい販売期間は1〜2ヶ月程度。後者は今週発売されたばかりの新商品ですから、おそらく9月の中旬〜10月下旬には製造終了商品になっているかもしれません。
どちらもセブンイレブンの公式サイトに掲載されている発売地域は「全国」で、カップラーメンの販売店はコンビニのセブンイレブンだけでなく、セブン&アイ系列のスーパーマーケット(イトーヨーカドー、ヨークベニマル、ヨークマート)でも販売されているのですが、チルド麺は “コンビニラーメン” なので、スーパーでは売ってないセブンイレブン限定商品です。
実売価格もカップ麺は最上級ブランドらしく258円(税込270円)といい値段してますけど、チルド麺は500円(税込540円)と262円もの差。そして日清食品サイドのコンセプトは “お店の味を再現したもの” になるのですが、武蔵野サイドは “あくまで監修商品” を主張しており、厳密にいうと同じ「すみれ」監修でも後者は “再現商品ではない” とのこと(※武蔵野の京都工場に確認)。
実食開始
カップ麺は熱湯を沸かしてから最初に「かやく」を開封、お湯を入れて待っている間に液体スープの小袋をフタの上で温め、4分後に麺をほぐし、粉末スープを入れて混ぜて液体スープを入れて混ぜて——と、地味にバタバタしなければいけません。対するチルド麺は電子レンジに入れたら時間を設定して放置するだけですし、セブンイレブンで加熱してもらえば2分10秒で調理完了です。
それでは、「めん」「スープ」「具材」の特徴と違いを解説し、どっちが美味しいのか、どっちが得なのか判定します。ひとつ前の記事で「純連(すみれ」)の歴史や「すみれ」と「純連(じゅんれん)」の違い、作り方や注意事項なども書いているので、チルド麺の詳しい製品情報と感想・評価については「すみれ監修 札幌濃厚味噌ラーメン」の記事をご参考ください。
めん
カップ麺は縮れの強い平打ちノンフライ麺で、黄色い見た目が札幌ラーメン特有の「たまご麺」らしいのですが、麺に卵は練り込まれていません。表面は滑らかでも麺の加水率は低く、ブリンッとスープを弾くような質感で、如何せん “戻らない” のが致命的な問題。ところどころ麺が癒着していて、頑固な部分は食べ終わる頃になってもパキッと硬いまま——これについては要改善です。
そのため歯応えは良くも悪くもノンフライ麺のほうが上ですし、チルド麺の茹で中華麺は「炊出し鶏ガラスープの冷し醤油ラーメン」などにも使用されている汎用麺なので、「すみれ」のために開発された専用の麺ではありません。しかしながら比較的に黄色味が弱くても麺には卵加工品が練り込まれ、さすが鼻を通り抜ける小麦の芳醇な香りもノンフライ麺と比べて桁違い。
ひとつ前の記事でレビューした時には麺の表面が乾いていたのですが、今回そういったこともなく、生タイプならではの重量感と小麦の香りには常温保存品との間に高い壁を感じざるを得ませんでした。もちろん値段が倍ちかいわけですから圧倒的に美味しくないと困りますし、とうぜんの結果ではあるものの、それを差し引いてもノンフライ麺の戻りムラは早急に改善してもらいたいです。
スープ
カップ麺のスープはチルドタイプよりも味噌の主張が柔らかく、生姜は意識されていませんが、ほんのりと和山椒のアクセントを効かせています。けっこう食塩相当量は高いのに(※スープだけで5.8g)まったりとした旨味が優勢で、とろみの付け方も不自然に感じません。すりごまの量が多いのも特徴的な違いですし、長ねぎ・ニンニクなどの香味野菜を炒めて抽出したオイルが華やか。
対するチルド麺のスープは味噌の濃度が比較にならないほど濃く、ずっしりと低姿勢で構えているのですが、攻撃的ではありません。鼻を抜ける鮮度の高い赤味噌と白味噌の香りに加え、釜で味噌を焼いた独特の芳ばしい風味と生姜のキレが臨場感を演出。実店舗ほどではないけれど、ラードの量も比較して多めに含まれており、山椒ではなくS&B製造の別添一味唐辛子がアクセント。
あらためて同時に飲み比べてみると両者のベクトルは別物で、再現度の高さや臨場感もファーストインプレッションから余韻に至るまで要冷蔵の電子レンジ加熱スープに軍配。中でも具材がスープに対して及ぼしている影響力は真逆の印象に近く、挽肉の旨味が大きくプラスに作用しているチルド麺に対し、カップ麺では乾燥挽肉から滲んでくる雑味が気になりました(※したがって “かやくを入れずに調理する” と、かなり印象が変わります)。
具材
カップ麺の具材は何気に多い味付肉そぼろ、味付メンマ、ねぎ、フライドオニオンで、札幌ラーメンを象徴する “もやしが入っていない” のが切ないところではあるものの、これについては数年前から変わっていません。同じ価格帯の製品の中では充実した内容ですが、それぞれの具材は小さく、どうしても乾燥具材の限界を感じます。
正直、チャーシュー単体で見ると、日清食品の「ラ王」や「行列のできる店のラーメン」シリーズに使われている厚切焼豚と対決させればコスパ的に “カップ麺でも勝てます” 。しかしながら本物のシャキシャキもやしに大きな玉ねぎとメンマ、なんといっても大粒の挽肉が卑怯なほど大量に入っているため、費用対効果を加味しても実質的な満足感は要冷蔵のコンビニラーメンに勝てません。
本店の定番メニュー「味噌ラーメン」に入っているチャーシューは、一枚ものではなく細切れで、大きなチャーシューは別売りなんですけど、今回の商品には店主・村中伸宜氏の発案で一枚ものが追加されました。セブンプレミアムの要冷蔵商品に「すみれ チャーシュー(2枚入)」というトッピング用の商品もありますけど、内容量75g(187kcal)で税込321円とプレミアムです。
まとめ
いうなれば今回の比較は、300円未満かつ本格的な再現カップ麺を食べてから本店に行き、800円〜1000円の店ラーメンを実食。やっぱりカップラーメンよりもお店のラーメンが美味しいよねー、などと当たり前なことを言っているような状態にちかいかもしれませんし、カップ麺も実売価格540円(税込)を想定した予算で作れば冷蔵商品に負けない逸品に仕上がるかもしれません。
電子レンジ加熱タイプと比較して約半額かつ半年の常温保存が可能なのはカップ麺ならではのメリットですが、ノンフライ麺の戻りムラが致命的なので、今回の「すみれ監修」勝負は「チルド麺」のほうが “お得で美味しい” と判定します。差額分でカップラーメン+ななから×ななチキとか、コンビニおにぎり×焼き鳥とかになってくると悩ましいですけど、カップ入りレンジ麺も侮れなくなりましたね。