どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年6月17日(月)新発売のカップ麺、ヤマダイ「ニュータッチ 凄麺 澄んだスープの豚骨ラーメン」の実食レビューです。
九州「一番食品」と共同開発したニュータッチ初の澄んだ豚骨スープ「清湯(ちんたん)系豚骨ラーメン」を再現!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
凄麺 澄んだスープの豚骨ラーメン
「とんこつラーメン」といえば透過率の低い「白く濁ったスープ」が基本、それは今の時代で常識と言っても過言ではなく、カップラーメンでも実際のラーメン店でも豚骨を選ぶと出てくるのは「白濁系」のラーメンが当たり前。しかし、今回の新商品「凄麺(すごめん)澄んだスープの豚骨ラーメン」は “豚骨なのに透明なスープが特徴” となっている「清湯系」のカップ麺です。
製造者のニュータッチことヤマダイ株式会社曰く、2018年は透明系(クリア系)の飲料が話題になったこともあり、それに触発されて “白濁したスープのイメージが強い豚骨ラーメンのスープを透明にした” とのこと。「常識を覆す美味しさ!」とパッケージでもアピールされているように、まさかの淡麗系とんこつラーメンという意外性に満ちた新商品となっているのですが、実を言うと “本来の豚骨ラーメンは透明” でした。
「とんこつラーメン発祥の地」は九州・久留米といわれているのですが、その由来は昭和12年(1937年)創業の老舗「南京千両(なんきんせんりょう)」の歴史にあり、初代店主・宮本時男さんが生まれ育った長崎の「ちゃんぽん」と横浜で流行っていた「支那そば」をもとに久留米で考案。豚骨100%のラーメンを日本で初めて提供し、それが「とんこつラーメン発祥の地」とされている理由です。
当時は鶏が高価だったので、代わりに安い豚を選んだそうですが、最初に生まれた豚骨スープは「清湯」と呼ばれる淀みのない透明なもの。当時その澄んだ豚骨スープが界隈でも主流となっていたのですが、南京千両の創業から10年後の昭和22年(1947年)、後に “元祖白濁系” の源流となる屋台「三九(さんきゅう)」で起きた “とある事故” が「豚骨」の歴史を塗り替えました。
というのも「三九」の店主・杉野勝美さんがスープの仕込み中に “火をつけたまま” 買い出しに出かけたところ、うっかり知り合いと買い出し先で話し込んでしまい、急いで帰宅した頃には時すでに遅く、自慢の澄んだスープはじっくりと炊き出され、その姿は無残にも真っ白に変わり果てた状態で発見されます‥‥
しかし、その煮込み過ぎて失敗したスープが「うまい!」と巷で大評判。たちまちブームを巻き起こし、それまで主流だった清湯系豚骨から「白濁系豚骨」に流れが変わったので、今回のテーマは原点回帰。そんな本場の味作りを目指し、九州で企業向け調味料を開発している「一番食品」と共同開発しているのですが、福岡・宮若の老舗「来々軒」(三九の店主が開業)や博多・中洲の新店「豚そば 月や」など、いま九州でも清湯系豚骨が “新文化” として注目されています。
その「豚そば 月や」を例にとると、豚骨100%の澄んだ豚骨スープの作り方は、徹底的な血抜きとアク取りをひたすら繰り返すことが大切で、ぐつぐつ煮え立たせないのも重要とのこと。しかし、その丁寧なアク取り作業で旨味やコクを最大限に引き出しつつ透明なスープを実現するも、同時に豚骨が持つ特有のパンチまで取り除かれてしまいました。
試行錯誤の末、チャーシューに使う「豚バラ肉」をスープと一緒に煮込んでみたところ、ついに思い描いていた理想の豚らしさも感じられる澄んだ豚骨スープが完成。2018年9月のオープン以来、九州・中洲における新時代の幕開けとして、各メディア媒体や県外のラーメンマニアからも熱い視線を注がれています。
「豚骨清湯」「清湯系豚骨」「淡麗系豚骨ラーメン」とも呼ばれ、近年のラーメンブームを牽引してきた濃厚白湯系とは一線を画す、ある意味 “今もっともアツいジャンル” といえるテーマ。ちゃんとスープは「澄んだ」色で、なおかつ「豚骨」らしさも実現できているのかどうかに注目です(関連商品の白濁系「凄麺 熟炊き博多とんこつ」のスープも一番食品との共同開発です)。
開封
さて、今回のフタ裏にも凄麺シリーズでおなじみとなっている「フタの裏ばなし」が書いてあるのですが、「No.澄-1」は「じっくり丁寧に作りました」という開発者からのメッセージ。福岡出張で出会った一杯のラーメンから始まり、ヤマダイにとっても挑戦的な商品だったことから揉めに揉め、多くの関係者が頭を抱えながら開発されたことが記されていました。もしやモデルになったラーメン店は、福岡・宮若の「来々軒」でしょうか——
お店の名前までは書いてありませんでしたが、小袋の数は先入れの「かやく」と後入れの「液体スープ」、別添の「紅生姜」で合計3袋。液体スープは大量に入っていて、紅生姜も生タイプと気合い充分なんですけども、澄んだ豚骨スープに生タイプの紅生姜‥‥どのくらいスープが濃いのかにもよりますが、スープのニュアンスが崩れないかが心配なポイントです。
それから2019年6月1日(土)の出荷分より、即席麺業界全体で各メーカーの希望小売価格が3〜8%ほど値上がりしているのですが、ヤマダイの「凄麺」シリーズも例外ではなく、値上げ前の税別210円から税別220円に改定。これによってコンビニでの実売価格は確実に変わってきますけど、私の購入店舗(兵庫県のローカルスーパー)では、値上げ前と同じ税込170円のままでした。
販売エリアは全国、販売店はスーパーマーケットやドラッグストア、ヤマダイの公式通販サイトなど、また「セイコーマート」や「ニューデイズ」でも取り扱いがあるとのことです。まだまだ売ってない店も多いニュータッチの新商品ですが、セイコーマートやニューデイズだと見つかる確率が高いかもしれません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:ニュータッチ 凄麺 澄んだスープの豚骨ラーメン 製造者:ヤマダイ株式会社 内容量:103g(めん60g) 商品コード:4903088014128(JANコード) 商品サイズ:縦175mm×横175mm×高さ78mm 発売日:2019年06月17日(月) |
麺の種類:ノンフライ麺(かんすい使用) スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:430ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:3袋(紅生姜・かやく・液体スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉、食塩、大豆食物繊維)、スープ(動物油脂、食塩、たん白加水分解物、ポークエキス、糖類、酵母エキス、昆布粉末)、かやく(紅生姜、味付豚肉、キクラゲ、ねぎ)/ 調味料(アミノ酸等)、増粘剤(加工でん粉、増粘多糖類)、酒精、かんすい、香料、酸化防止剤(ビタミンE)、カラメル色素、pH調整剤、クチナシ色素、アカキャベツ色素、酸味料、(一部に卵・乳成分・小麦・ごま・大豆・豚肉・ゼラチンを含む) |
【アレルゲン情報】卵・乳成分・小麦・ごま・大豆・豚肉・ゼラチン(本品原材料でアレルギー物質の表示が義務付け及び推奨されているもの 27品目中) |
実食開始
麺は「凄麺」シリーズなのでノンフライ麺を採用、調理前の見た目は「熟炊き博多とんこつ」のストレート細麺(熱湯2分)と似ていますが、今回の麺は熱湯3分となっているため、まったく同じではない模様。かやくの量は少なく、とはいえ今回の主役は澄んだ豚骨スープですし、紅生姜も生タイプですからね。
あとは熱湯を注いで3分待機、お好みで紅生姜をトッピングすれば完成——なんですけど、お湯を入れたらフタをする前に “めんをしっかりと沈めてください” と調理方法に記載されているので留意してください(実際に熱湯を注いで直後に麺が浮かび上がってきたので、軽く箸で沈めました)。後入れの液体スープはフタの上で温め、3分経ったら “液体スープを入れる前に” 麺をほぐすのもポイントです。
ちょっと写真では麺の色合いでスープが濁って見えますが、調理後の見た目はパッケージ通り澄んだスープの豚骨清湯ですね。それでは、常識を覆す美味しさと豚骨感に注目しつつ、「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(103g)当たり
熱 量:313kcal(カロリー) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
豚骨ラーメンらしさを麺質で追求した本格細ストレートノンフライ麺。
(出典:ヤマダイ株式会社オフィシャルWEBサイト「トップページ > ニュース一覧 > 豚骨なのに透明なスープ『凄麺 澄んだスープの豚骨ラーメン』6月新発売!」)
縮れのない真っ直ぐな麺線が美しい低加水麺(加水率の低い麺)で、淀みのない澄んだスープに繊細な白い肌が映えている、なんとも美しくて情緒のある雰囲気。もしかすると麺自体は同じで、繊細なスープに合わせるために表記時間を延ばし、ちょっと柔らかめになるように仕上げているのでは——などと思っていたのですが、そうではありません。
お湯入れ3分後に麺をほぐし、液体スープを入れてから再び混ぜ、結果的に熱湯4分前後で食べ始めることになったのですが、まだまだ中心部に適度な芯を残しているカタめの食感。博多とんこつラーメンで一般的な極細バリカタストレート麺よりも微妙に太く、博多より太めの麺を合わせる久留米の特徴を意識しているように感じました。
久留米で食べるラーメン店(特に老舗)の麺は、注文時に麺の茹で加減を指定しないとスープの馴染みを重視して、やや柔らかめの状態でサーブされるのに対し、今回の硬さレベルはカタ(バリカタほど硬くない)。でもスープとのバランスは適切で、細いノンフライ麺に有り勝ちな素麺っぽい風味も気にならず、低加水麺ならではの歯切れや小麦の甘味が心地よい、さすが「凄麺」本格的。
スープ
厳選した豚骨を丁寧に炊きだした、風味豊かな清湯スープをベースに背脂を加え、濃厚なコクを付与した味わいに仕上げました。また隠し味に北海道産昆布の粉末を加えることで、まろやかな旨味を付与しました。
(出典:ヤマダイ株式会社オフィシャルWEBサイト「トップページ > ニュース一覧 > 豚骨なのに透明なスープ『凄麺 澄んだスープの豚骨ラーメン』6月新発売!」)
スープの原材料は「動物油脂、食塩、たん白加水分解物、ポークエキス、糖類、酵母エキス、昆布粉末」とシンプルな内容で、たん白加水分解物(コクや旨味をもたらす目的で使われるアミノ酸混合物)のサポートありきではあるものの、「鶏」や「牛」などの原材料は一切不使用・豚骨100%の動物系。小さな背脂も飾りではなく、独特の芳ばしい風味と甘味を感じるのですが、とにかく余韻がすごい‥‥
まず液体スープを最初に混ぜ合わせている時、白濁系とはベクトルが異なるものの、けっこう “ちゃんとした豚骨臭” が漂ってきて、思わずハッとなったファーストインプレッション。それは主にオイルから感じたので、攪拌直後から食べ進めるうちに弱まっていきますが、とても効果的。文字では豚骨 “臭” と表現していますが、生臭いのではなく “豚が豊潤” なイメージです。
豚骨というと白濁系のイメージが強く思い浮かぶかもしれませんが、鶏に例えると鶏白湯ではなく澄んだ鶏の出汁(だし)、つまり豚骨や豚肉を含む多数の部位から丁寧に取った出汁をブレンドしたもの——といえば伝わりやすいでしょうか。たしかに「ラーメン」のスープなんだけど、和食の料理人から出汁の取り方を教わった職人が作ったような、淡麗系とは思えない濃密な旨味。
最初に感じた豚骨臭は早い段階から大人しくなりますが、適度に豚骨ならではのパンチは残り、濃密な旨味から物足りなさを感じることはなく、北海道産昆布の旨味も隠し味どころではないのですが、その多重奏な旨味を引き立てる絶妙な塩加減も決め手。ちょっと強めに後口を引き締めてくれるキレと同時に塩の甘味を感じさせてくれる、とても上質なタイプでした。
かやく
乾燥具材(チャーシュー、キクラゲ、ねぎ)
別添(紅生姜)(出典:ヤマダイ株式会社オフィシャルWEBサイト「トップページ > ニュース一覧 > 豚骨なのに透明なスープ『凄麺 澄んだスープの豚骨ラーメン』6月新発売!」)
調理前に縮こまっていたチャーシューは意外と脂身の部分が多く、じゅわっと口の中に特有の甘みが広がって、よくある形だけのチャーシューではありません。スープの豚出汁とも相性がよく、醤油と砂糖の甘辛い味付け。キクラゲは思いのほか柔らかく、ちょっと物足りなさを感じたものの、ネギは主張し過ぎない小葱で好印象。
懸念していた紅生姜の影響はネガティブではなく、とんこつラーメンに紅生姜というよりも、京都の吸い物に浮かぶ茗荷(みょうが)のようなイメージでしょうか。あくまでイメージですよw 真っ赤なうちに食べると強烈な酸味が主張してくるので、その後しばらくスープのニュアンスが分からなくなるおそれがあります。
けれどもスープに沈めていると、すこしずつ色が抜けると同時に酸味がスープに程よく移り、それが段階的に豚の癖を抑えつつ、それでいて豚骨出汁のコクや特徴的な旨味の個性を掻き消すことはありません。紅生姜は蛇足的な要素になるかと思いきや、その変化が滋味深く、最後までスープの軸がブレないため、移りゆく味のニュアンスを素直に楽しむことができました。
総評
★★★★★★☆☆☆☆(★6)
私は以前から清湯系豚骨ラーメンの存在を知っていたのですが、それを忠実に表現したカップラーメンに出会ったことはなく、しかしながら今回の「澄んだスープの豚骨ラーメン」は、まさしく “清湯豚骨” に該当します。塩ラーメンとも微妙に違いますし、商品名をどうするかについても社内で揉めたそうなんですけど、分かりやすくて中身とのギャップもない、とても綺麗な響きのタイトルですね。
ただ、「熟炊き博多とんこつ」のような白濁系とは対極にあるため、豚骨と昆布から取った出汁(だし)をイメージしながら食べてみてください(※紅生姜は途中で入れてスープに馴染ませるのがオススメです)。西日本一の繁華街とされる博多・中洲で話題の清湯系豚骨ラーメンを再現した今回のカップ麺は、飲んだ後に食べる〆(しめ)の一杯にも最高ですよ。