どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2022年5月30日(月)新発売、のカップ麺「マルちゃん正麺 カップ 濃二ボ(三代目)」の実食レビューです。
煮干し感満載!? 正麺カップの “がっつり系” 濃厚煮干しラーメン「濃ニボ」第3弾は麺とスープをリニューアル!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
マルちゃん正麺 カップ 濃二ボ 2022
マルちゃん正麺(せいめん)とは、東洋水産が “いま抜群に美味しく、そして10年後・20年後も古びることなく愛され続ける即席麺” をコンセプトに展開しているブランドで、2011年(平成23年)11月7日発売の袋麺を皮切りに、専任のチームが5年の歳月をかけて開発した特許技術「生麺うまいまま製法(特許 第5153964号)」で市場を席巻。
即席カップめん類の飛躍的な伸長にシェアを奪われ、数年にわたるベアトレンドが続き、無風状態だった当時の袋めん市場を活性化したマルちゃん正麺。それは後に関係者から “マルちゃんショック” と呼ばれ、ひとつの革命として語り継がれることになるのですが、2015年(平成27年)10月5日に満を侍す「正麺カップ」を打ち出し、今度は即席カップめん市場に “第2のマルちゃんショック” を与えました。
今回の新商品「マルちゃん正麺 カップ 濃二ボ(こいにぼ)」は、ある意味 “即席麺としての一線を越えてしまった” 特許技術「生麺ゆでてうまいまま製法(特許 第5719064号)」で作り上げた麺に、背脂入りの煮干しスープを合わせた濃厚煮干しラーメンで、2020年4月27日発売の初代「マルちゃん正麺 カップ 濃二ボ」から毎年恒例となっている人気フレーバー。
2021年5月31日にも同じ商品名の「二代目」を発売しているため、ほぼ同時期に現れた2021年5月発売品は「三代目」に該当するのですが、従来のモチモチとした弾力のある多加水麺から一変。煮干しラーメンが主力商品の専門店よろしく硬めで歯切れの良い麺に変更し、それに合わせてスープにおける煮干し・醤油・ポークの旨味も強めるなど、まったくテコ入れなしの再販ではありません。
即席めん業界における麺の乾燥方法といえば、あらかじめ蒸した麺を1食分ずつ金属枠に落とし、その金属枠ごと140~160℃の油で揚げる「フライめん」あるいは蒸した麺に80℃前後の熱風を当てて水分を飛ばす「ノンフライめん」が主流となっているところ、そこに一石を投じたのが「マルちゃん正麺」の “生麺うまいまま製法” で、最大の特徴は “麺を蒸す工程が入らない” こと。
しかし、その約4年後に現れた「正麺カップ」では、特許の名称が “生麺ゆでてうまいまま製法” となっているように、蒸し麺ではなく茹でた麺を乾燥させているのですが、簡単な話ではありません。即席麺は原則、長期保存のために麺の水分値を約10%まで下げる必要があり、しかしながら麺を茹でると水分値が約65%まで上がるため、蒸し麺よりも乾燥に時間を要する、つまり生産効率が悪い——。
そこで当時の専任チームは乾燥技術の高度化に取り組み、短時間で水分値を下げることに成功したのですが、今度は麺の内部が発泡して大きな気泡が残ってしまう問題が浮き彫りに——。さらに試行錯誤を重ねた結果、麺にマイクロサイズの “微粒子” を配合し、多数の細かい穴を分散(多孔質化)させ、熱湯を注ぐだけで生麺と見紛うような食感が楽しめる麺の開発を実現しました。
その微粒子こそが “こんにゃく” で、お湯を注ぐと微粒子そのものが水分を含み、熱伝導を高めるだけでなく、多孔質化させた際の小さな穴に被覆するため、伸びにくい質感になったのも特徴的なポイント。かくして当初は多加水麺を基本とし、加水率の高さからスープを選ぶ側面もあった「正麺カップ」ですが、すこしずつバリエーションが増えてきたので、従来品からの進化に注目しながらレビューします。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、2つの先入れ「かやく」に、後入れ「液体スープ」と「粉末スープ」の計4種。二代目と比較して構成は変わっていませんが、粉末スープの小袋が大きくなっていることに加え、それぞれのカラーリングも変わりました(※従来品と小袋のデザインが異なる場合、おおむね中身にも変更点があることを意味しています)。
麺は前述の “生麺ゆでてうまいまま製法” で作り上げた乾燥麺で、正麺カップの中では色白の部類。定番ラインナップの麺重量(調理前)は75gを基本とし、二代目「濃ニボ」の内容量も125g(めん75g)だったのですが、三代目は “70g” と若干ながら少なめで、原材料の高騰を理由にコストを調整する必要があったのでしょう。
メーカー希望小売価格は270円(税別)ということで、二代目「濃ニボ」と同じ値段に設定されているのですが、ぎりぎり “5月30日(月)出荷分に間に合った” ラッキーに過ぎません。というのも2022年6月1日(水)出荷分以降、東洋水産は「正麺カップ」のメーカー希望小売価格を “11%値上げしている” ため、今後は基準が変わります。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん正麺 カップ 濃二ボ 製造者:東洋水産株式会社 製造所:関東工場(群馬県館林市赤生田本町3831-1) 内容量:122g(めん70g) 商品コード:4901990371612(JAN) |
発売日:2022年05月30日(月) 実食日:2022年06月05日(日) 発売地域:全国 取得店舗:スーパー 商品購入価格:235円(税込) 希望小売価格:270円(税別) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:420ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:4袋(液体スープ・粉末スープ・かやく2袋) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、植物性たん白、こんにゃく、大豆食物繊維、植物油脂、乳糖)、添付調味料(煮干しエキス、しょうゆ、豚脂、ポークエキス、乳糖、香味油脂、粉末煮干し、植物油、こんぶエキス、食塩、香辛料、砂糖、酵母エキス、発酵調味料、たん白加水分解物)、かやく(背脂加工品、焼豚、メンマ、ねぎ)/ 調味料(アミノ酸等)、増粘多糖類、加工でん粉、酒精、カラメル色素、かんすい、炭酸カルシウム、レシチン、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC)、香辛料抽出物、ビタミンB2、ベニコウジ色素、ビタミンB1、(一部に小麦・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、オレンジの小袋には背脂加工品とメンマを、もうひとつの小袋に焼豚とメンマが入り、けっこう多めの背脂加工品が頼もしいファーストインプレッション。メーカー希望小売価格を加味すると当然にも思えますが、それぞれ二代目から特に減らされた様子はありません。
別添の小袋は2つとも後入れなので、お湯を内側の線まで注ぎ、フタの上で「液体スープ」の小袋を温めながら待つこと5分。時間になったらノンフライ麺を箸でほぐし “粉末スープを完全に溶かしてから液体スープを馴染ませる” とスムーズかつ公式の調理方法にも記載してあるため、調理の際は留意してください(※添付調味料に含まれる “とろみ成分” の溶け残りに注意)。
ちなみに栄養成分表示の総カロリーは二代目(414kcal)よりも低い値を示しているのですが、スープ単体のカロリーは111kcalから136kcalに増えていたので、ちょっと期待できる展開。それでは、引き続き「めん」「スープ」「具材」の項目に分けて特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(122g)あたり |
カロリー:409kcal たん白質:15.0g 脂 質:11.6g 炭水化物:61.1g 食塩相当量:6.9g (めん・かやく:2.0g) (スープ:4.9g) ビタミンB1:0.26mg ビタミンB2:0.32mg カルシウム:220mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:409kcal(めん・かやく:273kcal)(スープ:136kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
スープとの相性は悪くない
初代・二代目の「濃ニボ」には、やや加水率が高く、当時の定番だった黄色みの強い中太麺を合わせていましたが、白っぽい見た目に加え、加水率も明らかに下げるなど、まったく違う表情を見せてきた三代目。さらに “乳糖” を追加しているのも着目すべきポイントで、これは2021年9月6日に実施されたリニューアル以来、現在の「正麺カップ」に共通する特徴の一つ。
かつての「正麺カップ」で印象的だった “箸で持ち上げたときの重量感” は失われ、しっとりとした口当たりや粘りの強さも鳴りを潜めてしまい、アイデンティティといっても過言ではない要素が薄れてしまったようにも感じるのですが、小麦の風味は適度な粉っぽさが心地よく、なるほど歯応えの強さと適度な歯切れは煮干しラーメンのイメージにフィットする質感。
濃厚な煮干しラーメンで名を馳せる某店のように、ザクッとした食感とは異なるものの、後述するスープとの相性は悪くありません。箸で持ち上げたときの重量感と粘りの衰えは現在の「正麺カップ」全体を通して共通する特徴ですし、醤油や味噌以外のフレーバーにも合わせやすくなったので、そこは評価すべき部分になります。
スープ
まったり感は増しているが‥‥
先に馴染ませた「粉末スープ」は、ダブルアサインメントのわりに量が多く、開封した途端に煮干しの香りが強く主張してくるのですが、口に含むと味覚に訴えかけてくる煮干し感は控えめ。あくまでも液体スープを支えるポジションに徹しているのですが、二代目よりも煮干しやトロミ成分の配合を増やしているような変化を感じたので、そこがリニューアルポイントの一つ。
続けて加える「液体スープ」も量が多く、濃口しょうゆベースのタレに加え、乳化感の強いポークエキスと煮干しオイルで全体の重心がグッと下がり、味覚に訴えかけてくる煮干し感も強くなります。でも、こんなに大人しかったっけ‥‥というのが率直なイメージ。まったりとした部分は前回よりも増していて、それに煮干しがマスキングされているというか、うーん。
単純に「おいしい」か「まずい」の二択でいえば前者ではあるものの、前回以上に優等生な路線に寄っていたので、結果的に保守的な印象を抱きました。
具材
背脂加工品も具材の一つ
丸い焼豚は成型肉特有の風味が強く、270円(税別)のカップラーメンに入る具材としては物足りなさを感じるところもありますが、大きめのサイズ感は企業努力を感じるところ。ネギもフリーズドライかつ斜め切りで、煮干しスープと相性がいいメンマは風味が強く、意識して食べると箸休めに効果的。
さすがにエースコックが誇る背脂パックには及びませんが、背脂加工品の量は多く、本来であればメイン具材の焼豚を上回る存在感。これも具材の一つであり、スープの一部でもあるのですが、パッケージの “がっつり背脂入り” は充分に体現できています。
総評
2021年5月発売品(二代目)対比もっとも大きな違いは麺の加水率と原材料名の変更で、それに伴う質感の変わり様も凄まじく、もはや別人。それはそれとして割り切れば悪くなかったものの、スープにおける煮干しの体感が大人しくなったというか、おいしかったけど感動するほどではなかったので、評価を見直しました。
おそらく2023年5月下旬に四代目「濃ニボ」がリリースされるのではないかと睨んでいるのですが、2022年6月1日(水)出荷分からの価格改定により、四代目のメーカー希望小売価格は296円(税別)に値上げされると思うので、どのように顧客を納得させるのか、今後の施策も楽しみにしています【author・taka :a(大石敬之)】