どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2021年8月23日(月)新発売、エースコックのカップ麺「セアブラの星 W背脂豚骨醤油ラーメン」の実食レビューです。
濃厚なラーメンに欠かせない花形「背脂」に特化した “W仕様の背脂豚骨醤油ラーメン” 降臨!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
セアブラの星 W背脂豚骨醤油ラーメン
エースコック(Acecook Co.,Ltd.)とは、大阪府吹田市に本社を置く非上場の株式会社で、現在はサッポロ一番のブランドで知られるサンヨー食品のグループ企業ですが、1963年(昭和38年)年8月27日発売の「即席ワンタンメン」や1983年(昭和58年)6月発売の「わかめラーメン」など、他社にはない独自の目線で様々な大ヒット商品を生み出し、現在も即席めん市場を支えています。
今回の新商品「セアブラの星 W(ダブル)背脂豚骨醤油ラーメン」は、濃厚なラーメンに欠かせない「背脂」をテーマに、しっかりした濃厚感とボリュームで満足できるカップラーメンとして新規に開発。鮮やかな黄色い背景のパッケージに身を包み、豚骨醤油とアブラをプッシュしているのですが、今を時めく “二郎系・二郎インスパイア系” と呼ばれるジャンルの商品ではありません。
たとえば京都市中京区壬生に本店を置く背脂煮干そば専門店「セアブラノ神」とか、兵庫県尼崎市長洲西通にある豚骨と水だけの人気店「ぶたのほし(TONKOTSU BABY)」とか、どちらも以前にカップラーメンを監修していたことがあったので、それっぽい商品名から今回も「セアブラの星」という有名店が何処かに存在し、その店主が監修した商品かと思ったのですが、調べてみると違う様子。
念のためエースコックの公式ウェブサイト内にあるニュースリリースを確認してみたところ、そこに有名店の名前や監修などの文字も見当たらなかったので、あくまでもエースコックのオリジナル商品。とにもかくにも「背脂」に特化した一杯に仕上がっているらしく、タイトルにも「W背脂」とあるように、異なる2種の背脂を別添とのこと。
どんぶり型のカップラーメンに複数の小袋が別添されることは一般的で、縦型カップだと1袋が基本とされているところ、エースコックの縦型カップで小袋が2種類に及ぶことは珍しい話ではありません。それは今回も然り、なにやら「液体スープの背脂」と「粒感のある背脂」を別々に別添しているらしく、こんなことをシレッと導入できるのはエースコックくらい。
なかでも “液体スープの背脂” についてはエースコックの得意分野で、たとえばNB(ナショナルブランド)の「飲み干す一杯」や「MEGA(メガ)」シリーズなどに別添されている “深うまいの素” と書かれた白い小袋は驚異的な存在。あくまでも名称は液体スープとしていますが、そこには塩で味を調えた粒状の背脂と豚脂が入り、独特の粒感や芳ばしさなど、いずれも他社の追従を許さない完成度の高さ。
それは販路を問わないNB商品のみならず、ローソン限定商品として開発された、麺屋武蔵(めんやむさし)監修のカップラーメン「大蒜(にんにく)背脂味噌ら〜麺」に、直近だとファミリーマート限定の「来来亭 旨辛麺(2021年8月発売品)」など、PB(プライベートブランド)の縦型ビッグでも大活躍。さらに、今回は “後入れかやくにも背脂を使っている” のが興味深いポイント。
フタの上には原材料名や調理方法などが印刷されており、そこに記載されている「液体スープ」に背脂を加えているようですが、ニュースリリースを見ると「後入れかやく」にも “固形状の背脂を封入” とあったので、後者については珍しい手法です。
開封
さて、今回のカップ麺に別添されている小袋は、後入れの「液体スープ」と「後入れかやく」の合計2袋。液体スープは “深うまいの素” で決まりだろうと勝手に予想していたのですが、ぜんぜん違いましたねw うーん、ちょっと残念かも。とはいえ両方とも小袋の中身が見えない分、どんな感じに仕上がるのか楽しみ。
かやくとしての背脂は「後入れかやく」に入っているようなので、最初から入っている具材は大豆加工品を筆頭に、汎用のネギと少量の唐辛子だけ。正直、現段階のファーストインプレッションは頼りないといわざるを得ないのですが、まだ “W仕様” の背脂を入れる前なので、この時点では判断できません。
ただ、2021年8月現在——。縦型ビッグ製品のメーカー希望小売価格は220円(税別)が標準となっているのに対し、今回は230円(税別)と若干ながら高いので、それだけ背脂にコストを注いでいる様子。ちなみにコンビニでの税込価格は246円になりますが、スーパーやドラッグストアなど、コンビニ以外の店舗であれば、198円(税込213円)が相場だと思います。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:セアブラの星 W背脂豚骨醤油ラーメン 製造者:エースコック株式会社 製造所:W・関西滝野工場(兵庫県加東市河高1816-175) 内容量:103g(めん80g) 商品コード:4901071247317(JAN) |
発売日:2021年08月23日(月) 実食日:2021年08月25日(水) 発売地域:全国 取得店舗:スーパー 商品購入価格:213円(税込) 希望小売価格:230円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ(PP) 湯量目安: 450ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:2袋(液体スープ・後入れかやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、しょうゆ)、スープ(背脂加工品、食塩、鶏油、ポーク調味料、乳化油脂、粉末しょうゆ、ポークコラーゲン、香辛料、たん白加水分解物、しょうゆ、砂糖、大豆たん白、ポークエキス、全卵粉)、かやく(背脂加工品、大豆加工品、ねぎ、唐辛子)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸Ca、カラメル色素、増粘多糖類、酒精、かんすい、香料、カロチノイド色素、酸化防止剤(ビタミンE)、微粒二酸化ケイ素、酸味料、甘味料(カンゾウ、スクラロース、アセスルファムK)、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は熱湯3分。すでにエースコック特有の芳ばしい油揚げ麺の香りが漂ってくるのですが、前述のように有名店が監修したカップラーメンとは違うため、スナック感が足を引っ張るリスクは高くありません。あとは熱湯を注いで3分間、後入れかやくを温める必要はないのですが、液体スープの小袋は待っている間にフタの上で温めてください。
あとは熱湯3分後にフタを剥がし、液体スープと後入れかやくを加えるのですが、フタの上にある調理方法には “液体スープ、後入れかやくを入れ、スープがとけ残らないようによくかきまぜて-・” とあったので、後入れかやくを入れてから混ぜるのが正解。ちょっと色味に欠ける仕上がりですが、背脂の芳ばしい香りが食欲を刺激してくる実食前。
筆者は地元のローカルスーパーで購入しましたが、コンビニの中ではセブンイレブンでの取り扱いが多いようなので、販売店の参考にしてください。それでは、引き続き背脂のインパクトや麺との相性などにも注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(103g)あたり |
カロリー:473kcal たん白質:10.9g 脂 質:22.7g 炭水化物:56.3g 食塩相当量:6.5g (めん・かやく:2.0g) (スープ:4.5g) ビタミンB1:0.39mg ビタミンB2:0.48mg カルシウム:341mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:473kcal(めん・かやく:385kcal)(スープ:88kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
スープを尊重するスタンス
形状は丸刃で切り出された中細ちぢれ麺で、けっこう油揚げ麺の風味は強く、もし有名店の味を再現したカップラーメンだったら足を引っ張る要素。また食べ始めはスナック的な食感で、部分的に戻っていなかったのですが、すこし時間を置いてスープに馴染んでくると、けっこう印象は変わってきます。
エースコックが製造する油揚げ麺特有の風味が完全に消えることはないのですが、それについては後述。戻りムラについては全体を混ぜた後、粉末スープを完全に溶かしてから1、2分ほど放置してケアすれば解消できますし、粘りのある弾力も増してくるので、すこし放置するのがオススメの食べ方。
粉末スープだけの状態で味を確認した場合、けっこうフロントに油揚げ麺臭を感じるのですが、液体スープを加えた後は背脂の芳ばしさが優勢になるため、いい意味で同化。これといって特別な麺ではないけれど、その没個性感がスープの特徴を引き立てていたので、印象は悪くありませんでした。
スープ
液体スープの威力が凄まじい
とろみ成分が粉末スープに含まれていたので、それが人工的に思えたものの、ややカドのある粉末しょうゆのキレに、けっこう強めのガーリックパウダーが頼もしく、そこに重ねられた胡椒と化学調味料のアクセントも悪くありません。高級は皆無に等しく、かなり “非健康的な味” なんですけどw いいじゃないですか。
そこに別添の「液体スープ」を加えると、途端に雰囲気は一変。小袋に “深うまいの素” の文字はありませんでしたが、ほぼほぼ同じ背脂パックとみて間違いありません。それと比較して若干ながら背脂の粒が大きめに見えたので、微妙に違う可能性もありますが、芳ばしい風味の豚脂(ラード)と粒状の背脂に、食塩をブレンドしているのは “深うまいの素” と同じフレームワーク。
ぷにっとした背脂の粒感と甘みもさることながら、植物油脂では出せない芳ばしい風味も素晴らしく、ことリアリティにおいてはエースコックの右に出る者はいないといっても過言ではありません。たとえば直近だと「EDGE 鬼背脂 濃厚こってり油そば」しかり、今回の背脂も間違いないですね。
具材
大豆たん白も悪くない
歪な形状の大豆たん白は、エースコックのカップ麺でも定期的に見かけるようになった大豆そぼろ(フェイクミート)で、クニッとした独特の弾力なのですが、例のスポンジみたいな食感の “程よく味付けした肉そぼろ” よりもマシな素材。ふつうに美味しい肉そぼろもありますが、けっこう当たり外れが激しいので、それを思えば安牌を切ったチョイス。
そこに汎用の乾燥ネギだけだと頼りないのですが、スープの背脂感を底上げしてくれるのが「後入れかやく」の乾燥背脂。液体スープの背脂みたいにリアルなタイプではないけれど、これが多めに入ることで “人工的な口当たり(とろみ)が気にならなくなる” というのがテクニック。最初は後入れであることの必要性が想像できなかったのですが、とろみ成分との兼ね合いが理由なのかもしれませんね。
総評
油揚げ麺に特別な要素はなく、具材にも大豆たん白(フェイクミート)を使っていますが、反して液体スープのリアルな背脂については一見の価値あり。その背脂も既存の “深うまいの素” からの流用かと思いますけど、こういったクオリティの高い素材は使い回しウェルカムですし、後入れかやくの背脂顆粒も効果的で、きちんと「セアブラ」の魅力を遺憾無く表現した良品でした。
さて、このまま「セアブラの星」単発で終わるのか、それとも「○○の星」として引き続き別の星(スター)を送り込んでくるのか、後者の場合は「MEGA」シリーズとの差別化が重要になってきますけど、次の新作が楽しみになるような一杯だったので、次の「星」にも期待しています【author・taka :a(大石敬之)】