どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年10月15日(火)新発売のカップ麺、サンヨー食品「サッポロ一番 みそラーメン 濃厚札幌 タテビッグ」の実食レビューです。
サッポロ一番の「みそラーメン」を本家が濃厚な「札幌ラーメン」風にアレンジ!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
サッポロ一番 みそラーメン 濃厚札幌
「サッポロ一番 みそラーメン」とは、1968年(昭和43年)9月1日から販売されているロングセラーブランドで、しばしば会社(販売者)の名前もサッポロ一番と思われがちですが、群馬県前橋市で1953年(昭和28年)11月1日に創業した「サンヨー食品株式会社(SANYO FOODS.Co.,Ltd)」が販売者です。
2019年10月16日現在、 “抽選で非売品の七味スパイス缶&切り胡麻缶が当たる” Twitterのキャンペーン「サッポロ一番 みそ派塩派大論争」第二弾(2019年9月24日 – 10月31日)開催中で、公表されている本日の投票数は、「#アイラブみそ 262,365票」「#アイラブ塩 264,236票」「#アイラブどっちも 1,047票」で「サッポロ一番 塩らーめん」がリード(※30分おきに更新)。
実際に私の周りでも圧倒的に「塩らーめん」派が多かったりするのですが、袋麺の売上は毎年「サッポロ一番 みそラーメン」が優勢で、2018年に公開された「True Data」(日本最大級のID-POSデータマーケティング)の情報によると、即席袋めん売り上げ第1位は「サッポロ一番 みそラーメン」、第2位は「サッポロ一番 塩らーめん」とサンヨー食品のワンツーフィニッシュ。
続いて第3位「チキンラーメン」(日清食品)、第4位「マルちゃん正麺 醤油味」(東洋水産)、第5位「うまかっちゃん」(ハウス食品)と続くのですが、それはさておき今回のカップラーメンは「サッポロ一番 みそラーメン」からの変わり種。先ほど触れたようにサンヨー食品は群馬県の会社なので、北海道の企業ではありません。
1953年(昭和28年)11月1日、前橋市新町に「富士製麺株式会社」を設立。現在の「サンヨー食品株式会社」という社名になったのは1961年(昭和36年)7月1日——実は1981年(昭和56年)7月1日に「エースコック株式会社」と業務提携を締結、2009年10月22日には「株式会社マルタイ」とも資本・業務提携を締結し、現在は “エースコックとマルタイの親会社” になっている大企業。
社名の由来は3つの大洋(太平洋・大西洋・インド洋)に因み、いまや社名と思われているブランド名 “サッポロ一番” というネーミングは、当時の専務であり実質的な創業者と言っても過言ではない井田毅氏[1930年(昭和5年)1月13日 – 2013年(平成25年)8月20日]によるもの。氏が全国のラーメンを食べ歩き、北海道の「札幌ラーメン」に強く感銘を受けたことに由来しています。
さて、今回の新商品は「濃厚札幌」という一周回って帰ってきたようなテーマ。これまで「伊勢海老」を使ってみたり、「豚キムチ」バージョンにアレンジしてみたり、「旨み×辛さ3倍」にしてみたり、過去に今回と同じく縦型ビッグで何度も「みそラーメン」の変わり種を発売しているのですが、本家本元の「札幌濃厚味噌ラーメン」を再現したのは初めてのこと。
商品の容器側面には、「サッポロ一番 みそラーメン」の味わいをベースに生姜と芳ばしいニンニクの風味を効かせた “札幌風の” みそスープと記載されているように、出ました便利な○○風。サンヨー食品が○○風のカップ麺を作った場合、あーなるほどたしかに○○風(なんちゃって系)ね、となるパターンが多く、組み合わせは鉄板なのに不安が否めません。ほんと大丈夫かな——
開封
「札幌ラーメン」といえば、通称 “純すみ系” と呼ばれる「純連(すみれ)」発祥の濃厚な味噌ラーメンが定番。それはエッジの効いた濃いめの味噌スープに湯気が出なくなるほどのラード(豚脂)を浮かべているのが大きな特徴となっていて、今回の「サッポロ一番 みそラーメン 濃厚札幌」に別添されている「仕上げの小袋」がキーマンなのは言うまでもありません。
カップ麺の販売者はサンヨー食品の販売部・サンヨー食品販売株式会社[東京都港区赤坂3の5の2(サンヨー赤坂ビル7F)]となっているのですが、商品を製造しているのは群馬県前橋市朝倉町に本社を構える「太平食品工業株式会社」の各工場で、いま手元にある製品は太平食品工業の関西工場(製造所固有記号「W」)で製造されたもの。
太平食品工業はサンヨー食品が1963年(昭和38年)1月に設立した本社直属の製造部なので、つまり “サッポロ一番の工場” です。で、具材はキャベツ、鶏・豚味付肉そぼろ、ねぎ、ピーマン(赤)という、札幌ラーメンで定番の「もやし」や袋麺のパッケージ(イメージ写真)にも掲載されている人気トッピングの「コーン」も入っておらず、あまり具材は札幌っぽくありません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:サッポロ一番 みそラーメン 濃厚札幌 タテビッグ 販売者:サンヨー食品株式会社 製造所:太平食品工業株式会社 関西工場(W)奈良県大和郡山市額田部北町944 内容量:100g(めん72g) 商品コード:4901734038528(JANコード) 商品サイズ:φ112×118(mm) 発売日:2019年10月15日(火) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ(PP)/ ラベル(PET) 湯量目安:430ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(仕上げの小袋) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、食塩)、スープ(みそ、植物油脂、食塩、糖類、香辛料、豚脂、油脂加工品、野菜粉末、香味食用油、ポークエキス、酵母エキス、発酵調味料)、かやく(キャベツ、鶏・豚味付肉そぼろ、ねぎ、ピーマン)/ 調味料(アミノ酸等)、加工でん粉、炭酸カルシウム、カラメル色素、増粘剤(キサンタン)、レシチン、かんすい、香辛料抽出物、クチナシ色素、微粒二酸化ケイ素、酸化防止剤(ビタミンE)、酸味料、パプリカ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
実食開始
麺は熱湯3分の油揚げ麺で、サイズはオーソドックス。「西山製麺」や「森住製麺」といった老舗の製麺所をはじめ、札幌ラーメンといえば黄色い見た目で縮れの強い卵麺(たまご麺)も象徴的なアイテムの一つとなっているのですが、おそらく今までの変わり種みそラーメンに使われてきた油揚げ麺と同じような雰囲気で、そんなに見た目は黄色くありません。
カップの材質はプラスチック樹脂ですが、一般的なポリスチレン(PS)製ではなく、もっと頑丈なポリプロピレン(PP)製のプラ容器で、サンヨー食品の縦型ビッグで最近よく見られるようになってきたタイプ。今のところ札幌の濃厚な味噌ラーメンを決定付けけるようなポイントはないけれど、香りは「サッポロ一番 みそラーメン」らしい安心感全開なので、なんとも複雑な状態。
あとは熱湯を注いで3分待機、「仕上げの小袋」は後入れなので、先に入れてはいけません。また、とろみ成分が粉末スープに仕込んであったので、溶け残りがないよう念入りに混ぜてください。さて、引き続き札幌ラーメンらしさは弱めですが、札幌風の指標に注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(100g)当たり
カロリー:471kcal |
参考値(調理直後に分別して分析) 熱量:471kcal(めん・かやく:351kcal)(スープ:120kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
サッポロ一番の袋麺は、それぞれスープの味に合わせて麺の形状と配合を変えていて、「しょうゆ」は断面の四角い角刃の麺を採用し、スープとの一体感を高めるため醤油を練り込んでいます。「塩らーめん」には山芋粉を練り込んでいて、切った時の断面は丸く、「みそラーメン」は楕円形の麺に味噌を練り込んでいるのですが——
袋麺の原材料名は「小麦粉(国内製造)、食用油脂(ラード、植物油脂)、でん粉、食塩、しょうゆ、みそ」となっているのに対し、カップ麺の原材料名は「小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、食塩」で、醤油も味噌も練り込まれていません。断面は袋麺と同じように楕円形ではあるものの、味噌が練り込まれていないのは残念なポイント。
そもそも札幌ラーメンの特色である玉子麺とは似ても似つかぬ麺ですが、ペヤングやきそばよろしく「サッポロ一番」なので、麺の固定については仕方ありません。むしろ変えないのが正解とも言えますけど、熱湯3分きっちり守っても食べ始めはサクサクとした部分が多く、また麺に味噌を練り込む技術がないわけでもないので、もうちょっとこだわってほしいですね。
スープ
本家の袋麺は “ずっと味を変えていなかった” のに、現代の味覚に慣れてしまった客から “味が薄くなった” という声が多く寄せられたので、2010年に初めてリニューアル。で、今度は味が変わったとファンの間で賛否両論あったんですけど、引き続き味と香りに特徴のある8種類の味噌をブレンドしているのは昔から。そして、独特の味は「濃厚札幌」バージョンにも受け継がれています。
その「サッポロ一番 みそラーメン」らしい味噌感をベースにしているため、尋常じゃない安心感を打ち出しているのですが、なるほど生姜のキレとニンニクのアクセントが本家よりも強くなっていて、培ってきた伝統を守りながらポークエキスの使用量も増やしているような味わい。ちょっと人工的なトロミが気になるけれど、鼻に付くほどではありません。
別添「仕上げの小袋」に入っていたのはオレンジ色のオイルで、ごまラー油っぽい見た目ですが、ごま油の香りは目立っておらず、ほんのすこしピリッとしたアクセントあり。葱油(ねぎあぶら)を彷彿とさせる芳ばしい香味野菜の香りがあって、イメージとしては少量の唐辛子とネギや生姜を油で焦がさないように、じっくりと揚げ焼きにして香味と辣味を抽出しているようなオイルです。
ただし、中には豚脂(ラード)も配合しているようですが、ほぼ植物油脂なので、札幌ラーメンらしいオイルとは言えません。そこそこ量は多いものの、インパクトを感じるほどの量ではなく、風味は個性的で面白いし、結果的に味も悪くないんだけど札幌‥‥?? という疑問符が否めませんでした。
具材
コーンはともかく札幌ラーメンの世界観を構築する上で効果的な「もやし」が入っていないのが残念なポイントで、他に定番のメンマも入っておらず、ネギも白ネギではなく青葱。そこそこキャベツが膨れて食べ応えアップに寄与してくれますし、赤ピーマンで彩りも悪くないのですが、どちらも札幌ラーメンを象徴する具材ではありません。
しかし、ジャンクでスパイシーな味付けの肉そぼろは好印象。かなりインスタント感の強い肉具材ですが、けっこうワイルドで食べ応えがあります。この肉そぼろと乾燥もやしだけ入れたほうが札幌ラーメンらしかったんじゃないのかなと思いつつ、もやしってスーパーでは超お安いのに、カップ麺の乾燥もやしになると基本的に少ないので、加工が難しいのかもしれませんね。
総評
★★★☆☆☆☆☆☆☆(★3)
せっかくツイッターでキャンペーンやってるんだから、同時に “函館風” の「サッポロ一番 塩らーめん タテビッグ」も出したら盛り上がったのに‥‥と、それはさておき「札幌風」の指標は香味野菜のキレにあり、伝統的な味わいを守りながらもアレンジされていることが伝わってきた反面、麺を筆頭に具材の構成や油脂の種類など、札幌ラーメンらしさは実に曖昧でした。
したがって「濃厚札幌みそラーメン」的には★2(イマイチ)なんですけど、「サッポロ一番 みそラーメン」的には★4(無難に美味しい)かな——だったので、とりあえず今回の総評は「及第点」としました。結果的に味は悪くないけれど、「濃厚札幌」の文字に期待していると肩透かしを食うことになるので、事前にイメージを調節しておく必要があります。