どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2022年10月24日(月)新発売、エースコックのカップ麺「ワンタンメンの満月 魚介だし醤油味」の実食レビューです。
極上のワンタンメンを完全再現!? 山形県酒田市を代表する老舗「ワンタンメンの満月」監修によるカップラーメンが数年ぶりに登場!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
ワンタンメンの満月 魚介だし醤油味
ワンタンメンの満月(まんげつ)とは、日本海に面した港町・山形県酒田市は東中の口町に本店を置く老舗のラーメン店で、1960年(昭和35年)の創業以来、こだわりのワンタンメンを提供すること60余年。創業当初から追求し続けている極薄の雲呑(ワンタン)は、先代である斎藤省吾その人が確立し、その仕上がりは読んで字の如く “まるで雲を呑むような食感” と形容されるほど。
今回の新商品「ワンタンメンの満月 魚介だし醤油味」は、山形県酒田市を代表する老舗「ワンタンメンの満月」監修によるカップラーメンで、製造者は大阪府吹田市に本社を構えるエースコック。同社のニュースリリースには “山形で愛される老舗「ワンタンメンの満月」の人気メニュー「ワンタンメン」を完全再現” と強気な訴求があるため、否が応でも期待が高まります。
「ワンタンメンの満月」で提供されている「ワンタンメン」は、日和山の付近にあった大衆食堂「港月食堂」(現在閉店)にルーツを持ち、そこで後に「満月」の創業者となる斎藤省吾氏が9年8ヶ月に亘る修行の末に考案した一杯で、改良に改良を重ねた結果 “極薄のワンタン” を主軸に据える現在のスタイルを不動のものに定めました。
皮の生地に使われる材料は、3種の小麦粉と水・塩・梘水(かんすい)のみとシンプルで、湿気や気温に合わせながら量を調節。かるく調べてみたところ、一部のサイトや複数の個人ブログで “1kgの生地を650mに伸ばす” と紹介されていたのですが、公式ウェブサイトには “力のかけ方を調節しながら計5回の圧延作業を繰り返し、1kgの生地から20mの長さまで伸ばす” とあったので、こっちが正解。
さらに最終工程専用の圧延機で微妙な力を加えながら、新聞が透けて見えるほどの薄さになるまで巻き重ね、その生地を均等な大きさに切り分けた後、余分な水分を飛ばして生地を馴染ませるため、マイナス20度の冷凍庫で熟成させるのもポイント。餡はチャーシューの細切れを混ぜ合わせた豚肉にスパイスを加え、皮が破れないように素早く包み込み、雲を呑むような食感のワンタンが生まれます。
そんな「ワンタンメン」を再現したカップラーメンといえば、2006年(平成18年)にサークルKサンクス限定のPB商品として、マルちゃんこと東洋水産が「満月のスタミナワンタンメン」を販売しており、その8年後となる2014年10月には、サッポロ一番のブランドで知られるサンヨー食品が “プライムワン” の商品として「スタミナワンタンメン」を販売するなど、実は今回が初の試みではありません。
しかし、販売店を限定しないNB(ナショナルブランド)としてのカップラーメンは、おそらく「ワンタンメンの満月」史上初の試みで、エースコックとのコラボレーションも初。1963年(昭和38年)8月27日の発売以来、現在もオリジナルの「ワンタンメン」を販売しているエースコックですが、それとは一線を画す商品であることは言うまでもないでしょう。
というわけで、ワンタンのノウハウについては「ワンタンメンの満月」に匹敵する歴史を持っているエースコックではあるものの、即席カップめんカテゴリーにおけるエースコックのワンタンは、どうにも皮の繋ぎ目が戻りにくい‥‥というのが玉に瑕。それをクリアできているのかどうか、仕上がりや如何に。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」2袋に、後入れ「液体スープ」の計3種。ピンクの小袋にはワンタン、メンマ、ネギが入っているのですが、青い小袋は1つに収まり切らなかった分のワンタンで、数は計6個。パッと見た感じは、既存の「ワンタンメンどんぶり」と共通に思えます。
麺は油揚げ麺よりも本格的な質感が打ち出しやすいノンフライ麺で、湯戻し時間は熱湯5分。エースコックは加水率の高い麺に強く、今回のノンフライ麺も多加水系に見えるため、ここは期待したいところ。ただ、ちょっと高めに設定されているメーカー希望小売価格も見逃せません。
スーパーやドラッグストアなど、販売店を限定しないNB商品ですが、メーカー希望小売価格は280円(税別)となっているので、たとえばコンビニで購入した場合の税込価格は302円が相場。おそらくコンビニ以外の店舗でも250円前後での販売が予想されるため、それも視野に入れながら評価します。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:ワンタンメンの満月 魚介だし醤油味 製造者:エースコック株式会社 製造所:関西滝野工場(兵庫県加東市河高1816-175) 内容量:94g(めん65g) 商品コード:4901071211899(JAN) |
発売日:2022年10月24日(月) 実食日:2022年10月25日(火) 発売地域:全国 小売価格:280円(税別) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:450ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(液体スープ・かやく2袋) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、食塩、たん白加水分解物、大豆食物繊維、卵白粉)、スープ(たん白加水分解物、しょうゆ、魚介エキス、食塩、砂糖、発酵調味料、チキンエキス、魚介パウダー、カラメルソース、香味油、醸造酢、酵母パウダー、粉末しょうゆ、香辛料)、かやく(ワンタン、ねぎ、メンマ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸Ca、かんすい、乳化剤、カラメル色素、増粘剤(加工でん粉、キサンタンガム)、香料、酸化防止剤(ビタミンE)、酸味料、カロチノイド色素、香辛料抽出物、(一部に小麦・卵・ごま・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、やはり漂ってくる香りは「ワンタンメンどんぶり」などに使われている例の油揚げワンタンと同じベクトル。ワンタンメンの満月が誇る “つるとろ” な食感を打ち出したいのであれば、これまでの経験上、袋麺の「ワンタンメン」よろしく具なしワンタンのほうが適切なのでは‥‥などと考えてしまうのですけど、はたして——。
別添の「液体スープ」は後入れなので、お湯を注いでから5分後に加えるのですが、給湯の際は “ゆっくりとワンタンの上を狙いながら” 注ぐのがポイント。お湯を入れ終わったらフタをして、フタの上で後入れの小袋を温めながら待つこと5分。時間になったら「液体スープ」を加え、よく混ぜ合わせたら出来上がり。
口径が広い大判どんぶり型の容器を使用していますが、6個のワンタンが表面を多い、なかなか迫力のある調理直後。はたしてメインのワンタンは適切に戻っているのかどうか、ここから先は「めん」「スープ」「かやく」の項目に分けて特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(94g)あたり |
カロリー:286kcal たん白質:8.2g 脂 質:2.3g 炭水化物:58.1g 食塩相当量:4.7g (めん・かやく:1.2g) (スープ:3.5g) カルシウム:281mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:286kcal(めん・かやく:247kcal)(スープ:39kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
ベクトルはノンフライ麺だけど品質は低くない
店舗の「ワンタンメン」に使われているのは自家製麺で、スープやワンタンとの相性を第一に考えているらしく、見た目と形状はシンプルでありながら、製造工程は極めて複雑。使用している小麦粉は4種に分けられ、なおかつ小麦ごとに塩と梘水を別々にブレンド。さらに2013年の春から繋ぎにシルクを練り込み、それらの生地を4層に貼り合わせ、独特の弾力と滑らかな口当たりを実現させたようです。
それをイメージしたノンフライ麺は、店舗の自家製麺(シルク麺)とは完全に異なるベクトルを歩んではいるものの、口当たりは滑らかで、加水率は高めの質感。食べ始めは密度が高く、小麦感は芳醇で、油揚げ麺のように雑味が滲み出ないところも “完全再現” を謳うカップラーメンにおいて評価すべきポイントです。ただ、残念なことに後述するスープとはアンマッチ。
単体でのクオリティが高いので、ノンフライ麺そのものを味わうスタンスで向き合えば、ひとまず許容範囲内ではあるものの、スープを弾く嫌いを持つ多加水麺ならではの特性が‥‥というか、麺とスープの相性についてはスープ側に問題ありですね。
スープ
想像と期待を容赦なく裏切ってきた
けっこうネガティブなワードを使いますけど、最初に感じた印象は “生臭い” で、言葉を選ばずにコメントすると質の悪い魚粉とりあえず放り込みました的な味。動物系はチキンエキスを軸にしているようですが、たん白加水分解物の主張が強く、そこに独特の生臭さが重なって、残るのは風化した感じの魚介感。正直なところ、品のあるスープとはいえません。
たまたまハズレを引いただけなら‥‥いや、そもそもハズレが出ること自体、致命的なエラーなんですけど、ぜったい完全再現じゃないですよねコレ。店舗のスープにも賞味期限を過ぎた煮干しや鰹節を使っているなら話は変わってきますけど、そんなわけないでしょうし、なにがしたいのかよく分かりませんでした。
かやく
ワンタンは後半までスープに沈めておくのが吉
メンマとネギはエースコックのカップ麺で頻繁に使われている汎用性の高い具材なので、これといって書くこともないのですが、主役のワンタンは問題あり。おそらく「ワンタンメンどんぶり」に使っているワンタンと共通で、しっかり待っても皮(繋ぎ目の部分や端っこ)が適切に戻りません。
3個ずつ別々に入っていたので、片方は肉、片方は海老、みたいな感じで2種類だと嬉しかったのですが、中の餡は6個すべてスナック的な風味の肉‥‥これ肉ですよね? 皮の口当たりは滑らかで、それは好印象だったんですけど、噛んだら部分的にバキッ、みたいな。あらかじめ麺の下にワンタンを仕込み、それから熱湯を注ぐと多少はマシになるかもしれないけれど、期待しないほうがいいです。
総評
加水率が高いノンフライ麺のクオリティは高く、そこだけ見たら好印象ではあったものの、生臭いファーストインプレッションから入り、余韻は風化した味が残る液体スープはイマイチといわざるを得ません。主役のワンタンも「ワンタンメンどんぶり」の使い回しなので、こだわりの新開発とかではなく、山形の老舗「ワンタンメンの満月」監修による恩恵が伝わってきませんでした。
ゴーサインを出した人にも責任があるように感じますけど、たとえばノンフライワンタンを保有している明星食品が商品化していたら、まったくイメージが違う商品に仕上がったんじゃないですかね。再現度を度外視しても、正直この味では‥‥という思いが拭えなかったので、今回は厳しめに評価しています【author・taka :a(大石敬之)】