どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2022年10月10日(月)新発売、日清食品のカップ麺「日清ラ王 Kamo Dashi 中華そば」の実食レビューです。
鴨がネギを担いで「ラ王」のもとに!? これは “上質×濃厚” な逸品‥‥カモ? 日清ラ王の発売30周年記念商品・第2弾は縦型BIGの鴨だし中華そば!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
日清ラ王 Kamo Dashi 中華そば
日清ラ王(にっしんらおう)とは、1992年(平成4年)9月21日の発売以来、変化の大きいラーメン業界において “その時代の王道とされる味” に進化し続けてきた本格ブランドで、名前の由来はラーメンの王様。2022年10月現在は即席カップめん及び即席袋めん並びに常温保存を可能にしたアルミ鍋タイプの鍋焼ラーメンを展開し、いずれも本格的な麺とスープの味わいに定評があります。
今回の新商品「日清ラ王 Kamo Dashi(かもだし)中華そば」は、鶏や豚のコクを効かせた淡麗(たんれい)しょうゆスープに、合鴨エキス入りの「特製Kamo Oil(鴨オイル)」を加えて仕上げる一杯で、独自のノンフライ製法による “まるで、生めん。” のような中細ストレート麺を搭載。今年で発売30周年を迎えた「日清ラ王」の記念商品ということで、すこしブランドの歴史を振り返ってみましょう。
初代「日清ラ王」の発売日は、前述のように現在を遡ること30年以上、1992年(平成4年)9月21日の話。発売当初の味は「しょうゆ」と「みそ」の2種類で、当時の革新技術である「スーパーネットワーク製法」と「三層めん製法」を組み合わせた “生タイプめん” を搭載し、翌1993年(平成5年)には1億5360万食もの売り上げを叩き出すなど、即席めん史上に残る爆発的なヒットを記録。
生タイプめんとは、生の麺を茹で or 蒸した後、酢酸などでpH(ペーハー)を調整し、密封・加熱殺菌することで長期の常温保存を可能にした、いわゆるLL麺(Long Life麺 – ロングライフ麺)と呼ばれる麺の一種。うどんは現在の市場でも見かけますが、中華麺はアルカリ性の食品添加物である梘水(かんすい)を使用するため、pHの調整が難しく「日清ラ王」のヒットは衝撃的な技術革新の裏付けでした。
しかし、日進月歩の即席カップめん業界なので、1992年の最新技術が過去の遺物になってしまうのも時間の問題。初代「日清ラ王」に搭載されていた “生タイプめん” は、容器の中で個包装にされた状態で、それと各小袋を取り出すところからスタート。次にフタの湯切り口にある爪を起こし、麺を容器の中にあけ、熱湯を注ぐのですが、いったん麺をほぐしてからプラ製のフタをして湯切りするのが通過儀礼。
それから具材と添付調味料を加え、再び熱湯を入れてスープを作る、なかなかに面倒な手順が必要でした。その後は1999年(平成11年)8月2日のリニューアルで湯切り不要に変えてみたり、2002年(平成14年)11月18日のリニューアルで従来の被せフタから “ジェット湯切り” 可能なアルミキャップに変えてみたり、いろいろと試行錯誤を重ねていましたが、その間にも向上を続けるのがノンフライめん。
2000年(平成12年)以降はノンフライめんタイプの高級なカップ麺が注目を集め、他社や自社のブランド間でも競合が激化し、簡便性の観点から見ても “生タイプめん” の需要が低下。年を追うごとにシェアを落とす結果となり、2010年(平成22年)8月2日の生産をもって初代「日清ラ王」は終売しました。しかし、生産終了から1ヶ月後——。
2010年9月6日発売の新生「日清ラ王」から “ノンフライめん” に切り替わり、八角型の個性的な容器を採用することで、コンビニやスーパーでも天面が目立つ縦置きディスプレイを可能にしたのですが、すこし‥‥などと前置きしておきながら長くなってますねw そろそろ本題の「日清ラ王 Kamo Dashi 中華そば」に戻りましょう。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、後入れの「特製Kamo Oil」が1袋。2022年9月19日にリリースされた「日清ラ王」発売30周年記念商品・第1弾「濃厚担々」及び「台湾まぜそば」は八角どんぶり型の容器を使っていましたが、第2弾の製品スタイルは縦型ビッグということで、簡便性の高さについては軍配です。
具材は鶏つくね、たまご、ネギとシンプルで、残念ながらメインは鴨つくねではなかったのですが、近年の日清食品が多様している大豆たん白加工品(フェイクミート)ではないところは好印象。縦型カップに使われる具材としてはサイズも大きめですし、ネギもフリーズドライかつ斜め切りなので、今のところ悪くないファーストインプレッション。
ちなみにコンビニ大手4社(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ)すべてに営業が掛かっているようですが、メーカー希望小売価格は276円(税別)と高く、コンビニで購入した場合の税込価格は298円が相場。スーパーやドラッグストアなども販売店に含まれるため、コンビニ以外でも購入可能ではあるものの、それでも税込250円前後が相場になるかもしれません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:日清ラ王 Kamo Dashi中華そば 製造者:日清食品株式会社 製造所:静岡工場(静岡県焼津市相川17-2) 内容量:95g(めん70g) 商品コード:4902105278390(JAN) |
発売日:2022年10月10日(月) 実食日:2022年10月14日(金) 発売地域:全国 取得店舗:コンビニ(ローソン) 商品購入価格:298円(税込) 希望小売価格:276円(税別) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:420ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:1袋(特製鴨オイル) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、食塩、チキンエキス、植物油脂、大豆食物繊維)、スープ(豚脂、食塩、糖類、粉末しょうゆ、でん粉、鶏脂、香味調味料、ポークパウダー、チキン調味料、しょうゆ、酵母エキス、たん白加水分解物、合鴨エキス、合鴨調味油、発酵調味料)、かやく(鶏つくね、卵、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、香料、かんすい、カラメル色素、炭酸Ca、増粘多糖類、酸味料、乳化剤、酸化防止剤(ビタミンE)、カロチノイド色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
麺は油で揚げずに乾燥させたノンフライ麺で、日清食品のニュースリリースには “まるで、生めん。” と記載されている自信作。このキャッチフレーズは「麺の達人」に始まり、その後身である「麺職人」のパッケージでも訴求されていたのですが、最近は「日清ラ王」での使用率が高いです。どうでもいいですかねw
別添の小袋は後入れなので、まずはフタの上に貼り付けてある「特製Kamo Oil」を取り、熱湯を内側の線まで注いだら、フタの上で「特製Kamo Oil」を温めながら待つこと5分。なんで流暢な筆記体なのに “duck oil” や “duck broth” じゃないんだろう‥‥などと、くだらないことを考えながらw それはさておき特製鴨オイルから漂う香りは上品で、厚みはあるけど荒々しさはありません。
前述のようにメーカー希望小売価格は276円(税別)と縦型ビッグにしては高級品なので、きちんと値段に見合ったクオリティなのか、コストパフォーマンスにも注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(95g)あたり |
カロリー:358kcal たん白質:9.2g 脂 質:7.6g 炭水化物:63.1g 食塩相当量:7.0g (めん・かやく:2.5g) (スープ:4.5g) ビタミンB1:0.32mg ビタミンB2:0.44mg カルシウム:192mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:358kcal(めん・かやく:285kcal)(スープ:73kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
スープに合ってない
ゆるやかな縮れが見られるため、完全なストレート麺ではないのですが、どちらかといえばストレート。油揚げ麺のように揚げモノ特有のニオイを放つことはなく、透明感のある見た目も功を奏し、ある程度の高級感は備わっています。ただ、後述するスープに対し、ちょっと自己主張が強すぎる側面が気になるところ。
熱湯5分しっかり待ってからフタを開け、特製鴨オイルを投入し、全体を混ぜ合わせてから実食したとしても、部分的にゴムっぽい質感が残るところも玉に瑕。さらに日清食品の高価格帯に使われるノンフライ麺といえば、しばしば戻りムラが気になる例の穴も補完されておらず、ブランド発売30周年記念ならではの特色が見えません。
ゴムっぽい質感については調理後から7分(お湯を注いでから計12分)ほどで気にならなくなりますが、それでも所々に硬い部分が残るため、ひとまずフライングは厳禁。これが5年ほど前であれば許容範囲内ではあるものの、後述するスープに対して強すぎる主張も引っ掛かったので、もうすこし細く、しなやかさに注力した麺を合わせてほしかった、というのが正直な感想です。
スープ
パッケージの訴求ほど鴨は主張してこない
まずは「特製鴨オイル」を入れる前に味を確かめてみたところ、この時点で鴨の存在感は皆無に等しく、動物系の要素は豚脂と鶏脂、さらにポークパウダーとチキン調味料くらいなので、Kamo Dashi(鴨だし)かといわれたら否。しょうゆも粉末なので、独特の刺激を伴うのですが、それ以上に邪魔だったのが麺から滲み出る小麦の風味。
時間が経てば経つほど小麦の風味がスープに侵食してくるため、それが繊細な部分をマスキングし、どうにもピンボケな印象が否めません。液体しょうゆのキレが強ければ、この小麦感がオアシスに思えるものの、残念ながら今回は不躾に思えました。
続けて別添の「特製鴨オイル」を加えた途端、スープをマスキングしていた小麦の風味を掻き消すほどに、強烈な鴨の芳ばしさが‥‥プラスされるわけでもなく、原材料に合鴨エキスと合鴨調味油を使っているようですが、たとえば「日清のどん兵衛 鴨だしそば」のように強く主張してくることはありません。
たしかに鴨の存在は感じるものの、それと同等に‥‥いや、それ以上に香味野菜のキレと麺から滲み出る小麦の風味が目立っていたので、鴨の旨みや鴨脂の芳ばしさ・甘みが前に出てくるスープに期待していた場合、けっこうな確率で肩透かしを食うことになると思います。
具材
鶏つみれは美味しいけどギリギリ及第点
メインの鶏つくねは生姜を効かせた味付けで、前述のスープや鴨オイルとの相性もよく、想像していたよりもリアルな作り。ネギもフリーズドライ(凍結乾燥)なので、エアドライ(熱風乾燥)のネギみたいに激しく主張してくることはなく、たまごは‥‥なんで入ってるんだろうw たまごについては存在価値が見出せなかったんですけど、鶏つくねは印象に残りました。
ただ、コンビニで購入すると税込298円の商品なので、鴨肉の使用はコストが許さなかったとしても、鶏つくねとネギに振り切って量を増やすとか、ブランド30周年を記念して新規に開発した具材を使うとか、もうちょっと特別感が欲しかったです。
総評
日清ラ王の発売30年記念商品というハードルの高さも評価を伸び悩ませた要因の一つになりますが、戻りムラが気になるノンフライ麺に、思いのほか鴨の存在感が頼りなかったスープ、さらにメーカー希望小売価格を加味すると、残念ながらイマイチといわざるを得ません。もしもコンビニでの購入を検討しているのであれば、先にスーパーやドラッグストアを探してください。
もちろん “まずいわけではない” けれど、コンビニで298円(税込)のカップラーメンを購入するのであれば、ほかに選択肢がある‥‥というのが正直なところ。しかし、まだまだ「日清ラ王」発売30周年記念の真っ只中。さらなる可能性を秘めた新作が出るかもしれないため、今後これまでにない企画が飛び出るかもしれません【author・taka :a(大石敬之)】