どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年9月30日(月)新発売のカップ麺、エースコック「全国ラーメン店マップ 旭川編 蜂屋 特製旭川醤油ラーメン」の実食レビューです。
鯵(あじ)と豚骨のWスープ×焦がしラードが特徴的な北海道・旭川の老舗ラーメン店「蜂屋(はちや)」の味わいを再現したカップラーメンが再登場!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
全国ラーメン店マップ「蜂屋」のカップ麺
「全国ラーメン店マップ」とは、全国各地に点在する人気ラーメン店のおいしさを手軽に味わえるエースコックの “ご当店カップ麺” シリーズで、「旭川編 蜂屋」監修のカップラーメンが出るのは2度目。2018年4月9日に発売された前回の商品名「特製焦がし醤油ラーメン」から今回は「特製旭川醤油ラーメン」に変わっていますが、どちらも同店の看板メニューを再現したものです。
「蜂屋(はちや)」とは、戦後間もない1947年(昭和22年)、加藤枝直という方が北海道旭川市で創業したラーメン店で、現在は旭川市内に「旭川本店」と「五条創業店」の2店舗を構えている “旭川ラーメン” の創世記を支えたと言っても過言ではない老舗。もともと “蜂蜜入り” のアイスクリーム店を開業していた経緯があり、それが「蜂屋」という名前の由来になりました。
札幌の味噌、函館の塩、旭川の醤油——いわゆる “北海道三大ラーメン” の一つに数えられる「旭川ラーメン(あさひかわラーメン)」の特徴は、もともと養豚業が盛んだった旭川市の土地柄を活かし、それまで廃材扱いされていた豚の骨をなんとか活用できないか‥‥と、考えられたのが歴史の始まりで、まず代表的な特徴は「Wスープ(ダブルスープ)」と呼ばれるもの。
Wスープとは、豚の骨から出汁(だし)を取った動物系スープの臭みを和らげるために、海産物から取った魚介系の出汁をブレンドしているスープのこと。港町として栄えた函館市とは違い、旭川市は海に面した土地ではありませんが、北海道の中心に位置する場所にあるため、古くから物流の拠点として流通網が発達し、魚介類を容易に入手できたのもWスープに至った背景とされています。
そして冬季には氷点下30度を記録することもある極寒の地——札幌の味噌ラーメンと同じく、スープが冷めにくいようにラードの油膜が張っているのも特徴的なポイント。戦前は1922年(大正11年)創業の「竹家食堂」という中華料理店の支店が1933年(昭和8年)に旭川で「芳蘭(ほうらん)」という店を開業し、そこから徐々に中華麺文化が広がり始めました。
しかし、戦前の旭川ラーメンは札幌ラーメンの亜流とも言われ、現在のスタイルとは違うアッサリ系の中華そばを提供していたそうですが、戦後「蜂屋」と同年に開業した「旭川らぅめん青葉(あおば)」の2店舗が動物系×魚介系のWスープを牽引。その結果、ラードを浮かべた醤油ベースのWスープが「旭川ラーメン」の王道であり、代名詞的存在になったんですけど——
旭川市内にあるラーメン店の中でも「蜂屋」の提供する「しょうゆラーメン」は一線を画す存在で、豚骨から取った動物ダシとアジ節をメインに使用した魚介ダシを合わせたWスープに “数種類の節と背脂で作る「焦がしラード」を浮かべている” のが最大の特徴。その独特な風味が人を選ぶ反面、常習性のある焦がしラードの芳ばしさと魚の癖がリピーターを呼んでいます。
また、旭川市内にあるラーメン店は製麺会社との結び付きが強く、およそ8割以上が製麺所から麺を仕入れているのに対し、「蜂屋」は加水率の低い “ぼそぼそ” とした自家製麺(低加水麺)を使用しているのもポイント。2018年4月に発売された同店監修のカップラーメン「特製焦がし醤油ラーメン」は、このブログで高評価の星5つを叩き出しているので、今回も実食を楽しみにしていました。
開封
別添の小袋は「液体スープ」が1袋、あいかわらず最初から容器の中に放り込んであるエースコック式の別添方法です。最近はエースコックの親会社・サンヨー食品(サッポロ一番)の縦型カップ麺からも先入れ式を導入した商品がリリースされていますが、とりあえずエースコックの粉末スープまみれの小袋については “なれてください” としか言えません。なれてくださいw
メーカー希望小売価格は税別220円、2019年10月現在の縦型ビッグ製品における平均的な値段設定です。カップラーメンは軽減税率制度の対象商品なので、加算される消費税率は8%のままステイ。スーパーやドラッグストア、ディスカウントストアなどであれば税込190円前後、コンビニで購入すると税込価格は232円が相場になります。
具材は程良く味付けした焼豚、色調の良いねぎ、コリコリとした食感の良いメンマの3種類。前回の肉具材は丸型の焼豚でしたが、今回は四角くカットされています。たぶんエースコックの縦型カップ麺で時々見かける気の抜けたベーコンみたいな具材だと思いますけど、すくなくともスカスカ食感のスポンジ肉そぼろと比較して月とスッポンなのは言うまでもありません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:全国ラーメン店マップ 旭川編 蜂屋 特製旭川醤油ラーメン 製造者:エースコック株式会社 製造所:関西滝野工場(W)兵庫県加東市河高1816-175 内容量:94g(めん70g) 商品コード:4901071246532(JANコード) 商品サイズ:縦111mm×横111mm×高さ118mm 発売日:2019年09月30日(月) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙 湯量目安:440ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(液体スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、植物性たん白、しょうゆ、砂糖)、スープ(動物油脂、ポーク調味料、しょうゆ、食塩、植物油脂、ポークエキス、魚介パウダー、粉末しょうゆ、おからパウダー、香味油、チキンエキス、チキン調味料、果糖ぶどう糖液糖、香辛料、発酵調味料、デキストリン、魚介エキス、酵母エキス、しょうゆ加工品、でん粉、全卵粉)、かやく(焼豚、ねぎ、メンマ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、カラメル色素、香料、酒精、増粘多糖類、重曹、かんすい、酸化防止剤(ビタミンE)、フラボノイド色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・さば・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
実食開始
麺は熱湯3分の油揚げ麺で、見た目は加水率が低そうな色白の肌。2018年4月発売品の麺も同じように白い見た目の油揚げ麺を採用していたのですが、低加水麺よりも弾力が強く、硬めの食感が特徴的でした。それから調理前の状態は麺と麺の間に隙間が多く、あまりギュッと詰まってないんですけど、この状態も前回と同じ共通点です。
調理前(粉末スープ)の香りは圧倒的に魚介系が優勢で、けっこうエッジのある香り。それと同時に油揚げ麺特有の芳ばしい香りも並行して漂ってくるのですが、それも嫌味ではありません。あとは熱湯を注いで3分間、液体スープは “後入れ” なので、待っている間にフタの上で温めてから食べる直前に投入しましょう。
やや写真では赤みがかっているので、もうちょっと表面の焦がしラードは黒っぽい色なんですけど、しっかり芳ばしい香りが漂っている実食前の現在。それでは、魚介ダシと豚骨ダシのWスープと焦がしラードの兼ね合いに注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(94g)当たり
カロリー:400kcal |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:400kcal(めん・かやく:306kcal)(スープ:94kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
角刃でカットされている断面の四角い油揚げ麺で、表面は滑らかな口当たり。お店の評判・クチコミでは “ボソボソした低加水麺” という意見が多く、中には “沖縄そばを思わせる” といったコメントもネット上にアップされていたのですが、カップラーメンの麺は前回と同じように適度な弾力があって、むしろ多加水寄りの中加水麺といった印象。
中盤〜終盤に差し掛かった頃、プリッとした歯切れの良さも目立ってくるのですが、もちもちとした弾力には持続性があり、しなやかで粘り気のある食感が特徴となっています。タテ型カップラーメンの麺としてはレベルの低い油揚げ麺ではないけれど、「蜂屋」の特徴である “ぼそぼそ” とした印象は皆無に等しいため、再現度が高いとは言えません。
ただ、麺の表面は滑らかでも緩めの縮れと適度な味付けが施されているので、スープとの一体感は悪くないです。それに、液体スープを入れる前に麺の食感と風味を確認したところ、かなり油揚げ麺特有の風味が強めに干渉していたのですが、液体スープを入れてからは鯵の焦がしラードによる芳ばしさが先行し、それについての懸念は払拭されました。
スープ
鯵節(あじぶし)とは、基本的に室鯵(ムロアジ)を原魚に製造された節のこと。味の特徴は鯖節(さばぶし)よりもマイルドで、名古屋の「きしめん」や「味噌煮込みうどん」の出汁を取る際にも重宝されています。今回は鯵節の他に鯖節や鰹節(かつおぶし)もブレンドされているように感じたのですが、けっこう煮干しの含有量も多め。
そして液体スープの中身は、いわゆるマー油(焦がしニンニク油)的な焦がしラードと粘度の高いタレ、そして魚特有の “生臭さを感じるくらい” 魚介感がブーストする仕様でビックリ。焦がしラードの量は湯気が立たなくなるほど入っていて、投入直後は焦がしラードが優勢なのに、いい意味で実際のテイストは後にも先にも魚臭さを前に感じます。
土台の豚骨と鶏ガラは軽いのですが、魚の癖と焦がしラードの個性は明白。お店のスープは北国らしく塩分濃度が高いのに対し、カップラーメンのスープは比較的に攻撃性が控えめで、とにもかくにも “あえて丁寧に下処理しなかった” ような魚の癖が面白く、もっとも印象に強く残ったのは魚介の打ち出し方でした。けっこう後味に残るので、魚臭いのが苦手な方は気をつけてください。
具材
原材料名上は「焼豚、ねぎ、メンマ」と前回から変わっていませんが、前述したように丸型の焼豚はチップ状の肉具材に変わり、メンマも明らかに小さくなっています。ただ、チップ状になった焼豚すべて集めれば汎用の丸型焼豚と同じくらいの面積になりますし、それでいて厚みは上。イメージ的には燻製の味がしないベーコンといったところではあるものの、悪質な具材ではありません。
(2018年4月発売品・調理後)
メンマのサイズも小さくなりましたが、コリコリとした歯ごたえが箸休めに嬉しく、ちょいちょい口の中に飛び込んできて効果的。本物のチャーシューもネギもメンマも細切れではないので、再現度が高いとは言えないけれど、具材それぞれ各々の役割は果たしていました。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4+)
昨年の「蜂屋」監修カップ麺は、「ロースト醤油」と「焦がしラード」の芳ばしさが強く、ちょっとスープの粘度がわざとらしかったんですけど、まろやかな豚骨と煮干しの丁寧かつシャープな旨みが印象的な一杯でした。しかし、今年の「蜂屋」はスープの粘度が控えめで、ロースト醤油の芳ばしさは目立っておらず、しかしながら “魚の癖” が強く記憶に残る仕上がりでビックリ。
ことスープに関しては、ちょっと生臭いかも——くらいの人を選ぶインパクトがあったので、魚介系ラーメンが苦手な方は要注意です。反面、ちょっとエグみや癖のある魚介系が好きなら試す価値あり。お店の再現度的には麺を筆頭に完璧とは言えず、前回のカップラーメン版からもギャップが生じていたけれど、今回も個性的なスープが記憶に残る一杯でした。