どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年10月21日(月)新発売のカップ麺、東洋水産「マルちゃん 大島×田中商店 辛味噌豚骨」の実食レビューです。
講談社発行「業界最高権威 TRYラーメン大賞」20周年を記念して “夢のWコラボ企画” スタート!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
大島×田中商店 辛味噌豚骨
人気ラーメン店とコラボした、マルちゃんこと東洋水産株式会社の再現カップ麺(ご当店カップ麺)にて、ちょいちょい出てくる「TRY」の3文字。この「TRY」とは、 “Tokyo Ramen of the Year(東京ラーメン・オブ・ザ・イヤー)” の略称で、講談社が発行するラーメンマニアのバイブル的な特集「業界最高権威 TRY ラーメン大賞」のことを指します。
「TRY ラーメン大賞」とは、講談社が1997年11月18日から2010年6月8日までの間、首都圏を中心に発行していた講談社初の情報雑誌『TOKYO★1週間』誌上で始まった企画で、東京で一番うまいラーメンを決めよう! がコンセプト。今回その20周年ということで、TRYと何度もコラボしている東洋水産が記念商品を開発しました。
株式会社ラーメンデータバンク取締役会長の自称日本一ラーメンを食べた男・大崎裕史氏を筆頭に、石神秀幸氏、青木誠氏、吉本匠将氏、しらす(斉藤光輝)氏、レイラ女史といった、名立たる著名ラーメン評論家が監修している1週間MOOK(雑誌と書籍の中間的な本)で、これが堂々と “業界最高権威” を自称している最大の所以。
評価・ランキングについては賛否両論あるようですが、それは仕方がないことなのでさておき、これまでに東洋水産は「TRYラーメン大賞」の「新人部門」や「名店部門」、さらには「みそ」「しお」「とんこつ」など、各部門で優勝したラーメン店の味を何度もカップ麺で再現しているので、TRYとは息の長い付き合いです。
今回その20周年記念特別版、「TRYラーメン大賞 2014-19 名店部門 みそ1位」5連覇の名店「大島」と「TRYラーメン大賞 2014-19 名店部門 とんこつ1位」の「博多長浜らーめん 田中商店」が夢のWコラボを実現させた新商品。全国に名を馳せる名店と組んで、カップ麺でしか食べられない限定の味を開発しました。
「大島(おおしま)」とは、北海道・札幌の巨匠「すみれ」が関東初となる正式な暖簾分けを許したラーメン店で、創業は2013年5月11日(東京都江戸川区船堀)。店主・大島剛史氏は、20歳の頃に「すみれ」の門を叩き、12年以上の修行を積んでから東京に「大島」をオープンしました。お店の「大島」という屋号は、「すみれ」の社長が名付け親。
「田中商店(たなかしょうてん)」とは、2000年12月20日(東京都足立区)創業の豚骨らーめん専門店で、厳選した豚の頭からつま先まで3日間(60時間)煮込んだ久留米スタイルの呼び戻しスープが特徴。店主・田中剛氏のモットーは、「くさい、かたい、うまい」という豚骨バカ歓喜のコンセプトです。あ、今回どちらも店主の名前は剛(剛史)さんですね。
ちなみに東洋水産のブランドには「夢のコラボ」という既存シリーズがあり、「博多新風」と「気むずかし家」がコラボしたシリーズ第10弾のカップ麺を今年1月7日に発売しているため、その第11弾でもある今回。麺はノンフライで、定評のある “生麺ゆでてうまいまま製法” 搭載です(関連記事「大島 味噌ラーメン 2019」「博多長浜らーめん 田中商店 旨辛濃厚豚骨」)。
開封
別添の小袋は、「液体スープ」「粉末スープ」「かやく」の3袋。製品スタイルは大判どんぶり型で、麺は前述した “生麺ゆでてうまいまま製法” のノンフライ麺を搭載。これまで「大島」と「田中商店」が監修した再現カップ麺は何度も発売されていますが、両店が横の関係でコラボしたことはなく、またノンフライ麺・どんぶり型で再現されるのも今回が初めて。
“生麺ゆでてうまいまま製法” とは、同社が誇る高品質・高コスパな「マルちゃん正麺カップ」で使用されている特許製法(特許5719064号)で、“マルちゃん正麺でカップ麺ができないか” という多数の要望に応えるべく研究を開始。袋麺の「生麺うまいまま製法」を軸に、4年の歳月をかけてカップめん専用の「生麺ゆでてうまいまま製法」が完成しました。
今回は札幌味噌ラーメンの名店「大島」と濃厚豚骨ラーメンの名店「田中商店」がコラボした新商品ですが、麺は札幌ラーメンで定番の卵麺でもなければ博多長浜ラーメンで一般的な極細ストレート低加水麺でもありません。コンセプトは生姜やニンニク、山椒、唐辛子などを効かせた「濃厚辛味噌豚骨ラーメン」で、麺のサイズは比較的にオーソドックスです。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん 大島×田中商店 辛味噌豚骨 販売者:東洋水産株式会社 製造所:関東工場(M1)群馬県館林市赤生田本町3831-1 内容量:130g(めん65g) 商品コード:4901990364430(JANコード) 商品サイズ:縦180mm×横180mm×高さ77mm 発売日:2019年10月21日(月) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(液体スープ・粉末スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、こんにゃく、小麦たん白、大豆食物繊維、植物油脂)、添付調味料(みそ、ポークエキス、香味油脂、香辛料、砂糖、ゼラチン、しょうゆ、植物油、豚脂、でん粉、食塩、発酵調味料、たん白加水分解物)、かやく(味付挽肉、ねぎ、メンマ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、かんすい、酒精、カラメル色素、増粘多糖類、炭酸カルシウム、レシチン、酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンE、ローズマリー抽出物)、pH調整剤、香料、クチナシ色素、パプリカ色素、香辛料抽出物、ベニコウジ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
お湯を入れる前に開封しなければいけない小袋は「かやく」のみ、具材構成は味付挽肉、ねぎ、メンマとシンプルで、大きめサイズの肉そぼろが予想以上に多く、ちょっと「田中商店」の “赤オニ” を予想させる雰囲気。液体スープと粉末スープは先に入れると麺が適切に戻らないおそれがあるので、かならず熱湯5分後に入れてください。
販売店は限定なしの全チャネル販売で、実際に立ち寄ったコンビニ大手4社(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ)の中では「ローソン」や「ミニストップ」、「ファミリーマート」でも意欲的に取り扱われていた今回のカップ麺。2019年11月11日には縦型ビッグのTRY20周年企画第2弾「凪×きら星 すごい煮干ど豚骨」発売ということで、気合は充分。
かやくを麺の上にあけたら熱湯を注ぎ、待っている間にフタの上で液体スープを温めて、5分後に粉末スープを溶かしてから液体スープの順に馴染ませるのがスムーズです。とろみ成分が粉末スープに仕込んであったので、溶け残りがないように注意してください。それでは、両店の特徴に注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(130g)当たり
カロリー:447kcal |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:447kcal(めん・かやく:289kcal)(スープ:158kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
「大島」は昭和25年創業の老舗製麺所「森住製麺」の中太ちぢれ多加水麺を使用、「田中商店」は福岡・博多の製麺所「トリオ製麺」の極細ストレート低加水麺を使用しているため、どちらかというと今回の麺は大島(みそラーメン側)に寄ります。やはり「マルちゃん正麺カップ」の流れを汲む縮れのない “こんにゃく入り” の多加水ノンフライ麺で、箸で持ち上げた時の重量感が最大の特徴。
麺の表面は口当たり・のどごし滑らかな摩擦抵抗ゼロの高密度な質感で、しっかりとしたコシの強さと弾力から、まるで鍋を使って茹で上げたかのような臨場感を表現。「正麺カップ」とは微妙に原材料が違うのですが、それをベースにしているのは間違いなく、税別270円のカップラーメンとして恥ずかしくない完成度の高さ。
それに、今回は有名店とのコラボ商品でも “お店のメニューを再現しているわけではない” オリジナル商品なので、大切なのは希望小売価格との釣り合いとスープに合っているかどうかが論点。前者については前述のとおり申し分なく、スープとの相性も問題ありません。税別225円で麺量75gの「正麺カップ」と比較して、今回の麺量は65gと控えめですが、上出来です。
スープ
けっこう多めに入っていた粉末スープの中には、すりごまをはじめ生姜や唐辛子、山椒などのスパイスをブレンド。粉末スープの味は旨み調味料(化学調味料)系統の人工的な味を手前に感じたのですが、これ単体で味見しても鼻に付くような効かせ方ではありません(※ただし、この粉末スープが部分的に空気を含んだまま浮いたりするので、溶け残りがないように注意してください)。
液体スープの量も多く、ずっしりと出てくる中身の味噌は完全に白味噌寄りですが、ぼんやりしないように味噌の輪郭も適度にあって、さらに信州産の白味噌を焼いてから練り上げる「大島」の芳ばしい焼き味噌の風味が個性的。湯気が立たなくなるほどのラードは入っていませんが、しっかり生姜のキレと山椒のアクセントを効かせ、焼き味噌の風味が「大島」らしさを見せます。
その芳醇で濃密な白味噌スープを支える土台の豚骨は「田中商店」の担当で、残念ながら豚骨臭は目立っていませんが、あえて癖ある風味を抑えているようなテイスト。かなり味の密度は高く、ちゃんと豚骨らしい骨っぽさも打ち出しながら、乳化感の強いミルキーな豚骨が白味噌と絡む、力強くも繊細なスタイルを構築していました。
オレンジ色の香味油脂は辣油系ですが、胡麻油の香りは目立っておらず、豚脂(ラード)に唐辛子の辛味成分(カプサイシン)を移しているようなイメージ。辛さレベルは見た目ほど辛くないピリ辛だったので、よほど辛い食べ物が苦手でなければ大丈夫。そのピリッとくる刺激と焼き味噌の芳ばしい風味は相性がよくて、まったりと柔らかいスープを適度に引き締めてくれていました。それに――
具材
味付挽肉、ねぎ、メンマ、いずれも今回のためだけに開発された新具材ではありません。おそらく味付挽肉については「マルちゃん正麺 カップ 香味まろ味噌」と同じ肉具材かと思いますし、メンマもネギも汎用。そのメンマも風味は控えめなのですが、コリコリとした歯応えが箸休めに効果的で、大量の味付挽肉が「田中商店」の「赤オニ」を思わせます。
何も知らずに食べたら “味噌ラーメンには挽肉が合うから入れたのだろう” で終わってしまうんですけど、「田中商店」の実店舗には「金太郎(田中商店の前身)」時代から受け継がれている辛いトッピング「赤オニ」があって、それは豚ひき肉に酒や砂糖、醤油、一味唐辛子、山椒などを加えて炒める麻婆豆腐にインスピレーションされたもの。
今回の味付挽肉は、いつもどおり砂糖や醤油で甘辛く味付してある鉄板の味付けで、そこにスープの山椒や辛味が重なった結果、「赤オニ」をトッピングしているようなイメージに繋がります。みたいなことを考えながら食べると、いつもの具材でも特別に感じますよね。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5+)
流れとしては、麺を筆頭に税別225円の「マルちゃん正麺 カップ 香味まろ味噌」を税別270円の高級バージョンに仕上げたような一杯だったので、そういった意味ではマルちゃんカラーの強い一杯と言えます。けれども焼いた白味噌の芳ばしい風味に生姜と山椒が「大島」を思わせ、濃厚な豚骨スープに適度な辛味と “赤オニ” っぽい挽肉が「田中商店」らしさを表現。
それでいて「そんなの知らんわ!」という予備知識のない方でも、単純に一つの濃厚な白味噌とんこつラーメンとして楽しめるのではないか——と、そう思えたことに完成度の高さを感じました。これならコンビニで288円も惜しくないですし、素晴らしいカップラーメンだと思います。