どうも、taka :aです。
本日の一杯は、前回記事の「天ぷらそば」と前々回記事の「きつねうどん」に続きまして、「日清御膳」と「どん兵衛」の食べ比べ企画第3弾。2016年9月5日(月)から販売(2017年8月28日にリニューアル)されている安売り用のカップ麺、日清食品「日清御膳 肉だしうどん」と、本家「日清のどん兵衛 肉うどん」の実食・比較レビューです。
日清食品が独自の製法で開発した「大豆ビーフ」が入っているオープン価格(廉価版)の和風カップ麺「日清御膳 肉だしうどん」と本物の牛肉が入っている「日清のどん兵衛 肉うどん」、具材の他にも何か違いがあるのか気になったので、実際に食べ比べて確認してみました。
“大豆ビーフって?いつから売ってる?コスパは高い?商品名が「肉うどん」じゃなくて「肉だしうどん」になってるけど‥” 2つのカップ麺を同時に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、その疑問を解消します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
日清御膳 肉うどん vs. どん兵衛
「日清のどん兵衛」は、1976年に発足した和風即席カップ麺ブランドで、うどんシリーズが1976年8月、そばシリーズが1976年11月に初めてリリースされました。今では即席袋麺、和風チルド麺、和風冷凍麺、和風即席加工米飯など、様々なジャンルの関連商品がリリースされています。
ちなみに「どん兵衛」の “どん” は「うどん」と「どんぶり」にかけていて、そこに日本人の名前に付く「兵衛」をあわせた造語。関西弁で「どん」は「どんくさい」(鈍い・のろい・へまな・不器用な)を意味し、スマートさからは掛け離れている言葉になるのですが、ほのぼのとした人間的な温かみがあることからピッタリのネーミングだと採用されました。
「日清のどん兵衛 肉うどん」は、「きつねうどん」や「天ぷらそば」のように北海道や東西で味が分けられているわけではないんですけど、特に関西での売れ行きが好評らしく、2018年10月22日に「なぜどん兵衛肉うどんは広告しなくても売れるのか」(著者:ニック・ジューシィ / 日本語訳:仁久 樹和里(にくじゅわり))という架空のビジネス書を公開。つまり “なぜ広告しなくても売れるのか” という “広告” なんですけどねw
本書では「きつね」や「天ぷら」よりも「肉うどん」の原価が高いことや2008年から2017年で販売個数が1.5倍に伸びたこと、またコッテコテの関西弁で書かれた “おいしい声” に「弱肉強食の世界でライバルをつるっと “ダシ” 抜く」というキャッチフレーズ、そして「関西ではめちゃくちゃ売れているらしい。知らんけど。」(著者:Nick Juicy 談)などw 最近の日清食品らしいユーモラスなセンスに富んでいて笑いました。
「日清御膳」は、2007年3月19日に発売された “ノンフライどんぶり型和風カップ麺”「だし香る京風うどん」と「ゆずの香温つゆおそうめん」(どちらも当時の希望小売価格は税別155円)の2品がブランドに関連する最も古い関連ニュースリリースだったんですけれども、前回・前々回の記事でレビューしている「きつねうどん」と「天ぷらそば」の発売(2009年3月9日)からオープン価格のブランドになり、今回の「日清御膳 肉だしうどん」が発売されたのは比較的に新しい約2年前の2016年9月5日。
日清御膳の「肉だしうどん」も味は全国で共通なんですけど、「肉うどん」ではなく「肉 “だし” うどん」というニュアンスが気になるポイントですよね。さて、定価180円(税別)の「どん兵衛」とオープン価格の廉価版「日清御膳」は何が違うのか、実際に食べ比べてみましょう。まずは、パッケージの開封です。
開封
小袋は、どちらも先入れの「粉末スープ」(日清御膳は水色・どん兵衛は黄色)と「かやく」の2袋構成。しかし、どん兵衛が本物の牛肉具材を使っているのに対し、日清御膳は牛肉に見立てて甘辛い(しかも濃い)味付けを施した大豆たん白加工品 “大豆ビーフ” を使用しています。
たしか日清御膳の肉だしうどんがリリースされた時に “新具材” として登場したので、おそらく “日清食品の即席カップ麺で最初に大豆ビーフを起用した製品は日清御膳の肉だしうどん” だと思います。その後、期間限定どん兵衛やカップヌードルにも何度か採用されているのですが、西日本で販売されている定番の「どん兵衛 カレーうどん」にも大豆ビーフ(東日本では「大豆ポーク」)が起用されました。
麺は両方ともノンフライ麺ではなく油揚げ麺で、おそらくそれぞれ「日清御膳 きつねうどん」と「日清のどん兵衛 きつねうどん」に使われているシリーズの汎用麺だと思います。きつねうどんを比較した際、日清御膳のほうが嵩張っていたんですけど、今回ほぼほぼ同じ高さでした。しかし、日清御膳の麺はどん兵衛ほどの厚みがなく、やや縮れも強めになっています。
日清御膳の希望小売価格はオープンプライス、どん兵衛は税別180円。私の購入価格は日清御膳が税込105円で、どん兵衛が税込149円でした。どちらもマックスバリュで入手したのですが、どん兵衛の平均的な売価は税込130円くらいだと思うので、それを基準に比較します。
製品情報・購入価格
製品名:日清御膳 肉だしうどん 製造者:日清食品 製造所:B(下関工場) 内容量:78g(めん63g) 発売日:2017年8月28日(月)パッケージ変更 JANコード:4902105236772 希望小売価格:オープン価格 発売地域:全国(全チャネル販売) |
麺の種類:油揚げ麺 容器材質:プラ(PS) 必要湯量:370ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:2袋(粉末スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】 油揚げめん(小麦粉、植物油脂、食塩)、スープ(糖類、食塩、粉末しょうゆ、香味調味料、ビーフ風味調味料、魚介調味料、たん白加水分解物、かつお節粉末、香辛料)、かやく(大豆たん白加工品、揚げ玉、ねぎ、わかめ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、リン酸塩(Na)、カラメル色素、炭酸Ca、増粘剤(アラビアガム)、香辛料抽出物、香料、酸味料、pH調整剤、酸化防止剤(ビタミンE)、ビタミンB2、ビタミンB1、ベニコウジ色素、(一部にえび・小麦・卵・乳成分・牛肉・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
【アレルギー表示】 小麦・卵・乳成分・えび・豚肉・鶏肉・牛肉・大豆・ごま・ゼラチン |
実食開始
まず大豆ビーフなんですけど‥これ開封した瞬間からニオイが強くてw かなり甘濃い香りなんですよね。牛すき焼きの割り下をイメージしていただけると伝わりやすいかと思うのですが、けっこうな存在感。それゆえにスープ(つゆ)を選ぶ傾向があるんですけど、今回は廉価版ですし、けっこうイイ感じに働いてくれるかも。
まずは、どん兵衛の完成写真。さすが本物の肉が放つ風格はリアリティがありますし、量も多いですね。最後に食べたのは「麺なしどん兵衛 肉だし豆腐スープ」と食べ比べを行なった時なので(2018年8月31日に公開)、およそ2ヶ月ぶりになるのですが、その時よりも個体差か牛肉の量が圧倒的に多いような気がします。
日清御膳も一見すると本物の牛肉っぽいのですが、これは大豆由来のヘルシーな具材。2017年11月20日(月)「日清のどん兵衛 ラー油香る鴨だしねぎ太そば」という期間限定のカップ麺が発売された際、賞味期限が2018年5月10日と表示されている商品のうち “フタが「日清のどん兵衛 ラー油香る鴨だしねぎ太そば」で、カップ容器が「日清御膳 肉だしうどん」” になっている製品が混在し、864食が自主回収対象商品となって騒がれたことがありました。しかし、それ以来は取り上げられることもなく、特にニュースはありません。
日清御膳には前述した大豆ビーフ(大豆たん白加工品)というフェイクミートが使用されているのですが、他の具材構成は同じです。ただ、ネギのサイズに違いがありますね。それでは、実際に食べてみましょう。同時に食べ比べを行いますが、今回のレビュー(総評)は “「日清御膳」の評価” になります。
1食 78(87)g 当たり
カロリー:342(391)kcal |
※参考値(調理直後に分別して分析) 熱量:342(391)kcal(めん・かやく:316(362)kcal)(スープ:26(29)kcal) ※右()内は「日清のどん兵衛 肉うどん」の値 |
めん
やはり麺に関しては廉価版であることが否めず、そのクオリティは劣ります。昔のどん兵衛っぽいイメージは無きにしも非ずですし、意外と食べ始めは弾力があったりもするのですが、麺の量は63g(「日清のどん兵衛 肉うどん」は70g)と気持ち少なく、およそ熱湯を注いでから8分前後で弾力は衰えるため、値段以上の満足感は得られません。
一方その頃どん兵衛は、10分経っても何のその。さすがに一時期 “10分どん兵衛” が流行っただけのことはあって、なんだったら15分くらいまで “ジューシィ” で “ふっくら” とした‥なんか、おあげさんと同じキャッチフレーズみたいになってますけど、油揚げ麺なのに “ふっくらジューシーな食感” というのがピッタリなんですよね。
どん兵衛の麺は2008年に「ストレート製法」、2009年に「太ストレート製法」、さらに2010年には「三層太ストレート製法」という日清食品の最新技術を常に駆使し、一貫して麺の品質強化に取り組んでいたのですが、2011年9月にブランドの35周年を記念してマイナーチェンジが行われています。日清御膳は値段それなりではあるものの、4分前後でフタを開けたら全体の温度が下がるので、少し伸びるまでのスピードを抑えられるかもしれません。
つゆ
どん兵衛の原材料は「糖類、食塩、粉末しょうゆ、香味調味料、魚介調味料、たん白加水分解物、かつお節粉末、香辛料」となっていて、日清御膳は「糖類、食塩、粉末しょうゆ、香味調味料、ビーフ風味調味料、魚介調味料、たん白加水分解物、かつお節粉末、香辛料」なんですけど、ほぼほぼ同じです。ただ、具材に本物の肉を使用していないのに「肉 “だし” うどん」なので、それをビーフ風味調味料で補っている構成ですね。
味付けの濃い具材の大豆ビーフが及ぼしてくる影響力も大きいのですが、ほぼほぼ味の路線は同じ。ただ、比較して色は日清御膳のほうが濃いめなんですけど、体感的な塩分濃度は “どん兵衛のほうが高い” です。日清御膳のほうが甘くて柔らかく、丸みを帯びた優しいテイストでした。ちょっと意外。
しかもビーフ風味調味料はギミック的な原材料ではなく、きちんと動物系の旨味を付与してくれています。個人的にどん兵衛の肉うどんは具材の牛肉から滲み出てくる少し風化したような風味が苦手だったりするんですけど、なんせ御膳は偽肉なのでw そういった懸念もなく、けっして本格的な味ではありませんが、むしろ雑味の少ない甘口つゆが心地よくて結果的に日清御膳のほうが美味しいと感じました。
かやく
大豆ビーフの食感は、いかにも大豆たん白的なもので、 “ぐにっ” とした感じ。なんかこう、漠然としたイメージなんですけど、原産国の怪しい缶詰(?)とかに入ってそうなw 肉としては不自然ですが、フタ裏にも “まるで牛肉のような” という堂々の “肉じゃない宣言” が行われているので‥
いいでしょうw 厚みがあって量も多く、何気に食べ応えがありました。わかめと揚げ玉は同じものが入っていたのですが、どん兵衛のネギは大きめにカットされているのに対し、日清御膳は小さめにカットされています。しかし、大豆ビーフの存在感が大きいので、具材に貧弱なイメージはありませんでした。
そのまま香りを味にトレースしたようなテイストなので、すき焼き風の甘濃い味付けになるのですが、つゆとの相性も悪くありません。さすが日清のどん兵衛は本物の牛肉が大量に入っていて、こんなに多かったのかと久々に見て驚いたんですけど、廉価版であることを考慮すると日清御膳も悪くないですね。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(4)
(標準は★3です)
さすがに大豆ビーフは逆立ちしても大豆たん白加工品であって、肉でも牛でもないんですけど、意外と慣れてしまったら印象は悪くありません。むしろ私は日清食品の牛肉具材が少し苦手なので、つゆに滲み出る雑味の無さから印象は良かったです。
麺の質感に関しては圧倒的に日清御膳が不利な立場ではあるものの、つゆに関しては味のベクトルを同じくしつつ、柔らかい甘味による味の奥行きと雑味のなさは本家越えしているとすら感じたので、総評は及第点に★ひとつプラスしました。
いつか日清御膳の肉だしうどんが廃盤になり、どん兵衛の肉うどんが大豆ビーフになるのではないか‥という懸念が無きにしも非ずではあるものの、現時点では本家と廉価版の区別をハッキリとつけ、それでいて同じルーツを感じさせてくれた、程よい関係が築けている良品だと思います。