どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年11月11日(月)新発売のカップ麺、東洋水産「マルちゃん 凪×きら星 すごい煮干ど豚骨」の実食レビューです。
生臭いほどの煮干と豚骨にクラクラ!? 講談社発行「TRYラーメン大賞」20周年企画 “第2弾” は「煮干」と「豚骨」が激しくぶつかり合う禁断のWコラボ実現!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
凪×きら星 すごい煮干ど豚骨
「TRY」とは、 “Tokyo Ramen of the Year(東京ラーメン・オブ・ザ・イヤー)” の略称で、ラーメンマニアのバイブル的な特集『業界最高権威 TRY ラーメン大賞』のこと。1997年11月18日から2010年6月8日までの間、首都圏を中心に発行していた講談社初の都市情報雑誌『TOKYO★1週間(TOKYO A WEEK 1週間)』の誌上企画からスタートします。
『TRY ラーメン大賞』とは、名立たる6名の著名ラーメン評論家が監修している “業界最高権威” の1週間MOOK*で、コンセプトは “東京で一番うまいラーメン” を決めること。今回その「TRY」20周年企画として、長年の付き合いがある東洋水産株式会社(マルちゃん)と全国に名を馳せる名店同士がタッグを組み、カップ麺でしか食べられない特別な味を開発しました(*雑誌と書籍の中間的な本)。
「TRY20周年企画」として数えると、2019年10月21日に発売された前回の新作「大島×田中商店 辛味噌豚骨」に続く第2弾に該当するのですが、もともとマルちゃんには2つの有名店がコラボしたカップ麺だけの特別な企画「夢のWコラボ」が存在し、そのシリーズから数えると今回の新商品「凪×きら星 すごい煮干ど豚骨」は第12弾。
「煮干拉麺 凪(にぼしラーメン なぎ)」とは、東京都新宿区歌舞伎町1丁目にある新宿ゴールデン街の一角からスタートしたラーメン店で、創業は2004年9月11日。店主・生田智志(いくた さとし)氏は、日替わりで店主が変わる4坪8席の小さなバー「ブレンバスタ」と縁があり、そこで開業した隔週限定の間借り営業店「火曜日限定ラーメンバー凪」から「凪」の壮大な歴史が幕を開けました。
「凪」のラーメンは、口コミが口コミを呼び、いつしか行列は100人以上——その勢いで東京・渋谷に「ラーメン凪 渋谷総本店」を開業したのが2006年6月15日、同年10月に『東京1週間』で新人賞を受賞。その後も各大会でランキング上位に輝いている「凪」の現在は、毎月5トン以上かつ20種類以上もの煮干しを消費するという “すごい煮干ラーメン” が最大の特徴です。
もう一方の雄「ラーメンきら星(きらぼし)」とは、東京都武蔵野市境南町に本店を構える “東京一濃厚とろっとろとんこつラーメン” で有名な豚骨ラーメンの名店で、豚骨臭いほどに濃厚な高粘度スープが特徴。店主・星野能宏(ほしの よしひろ)氏は、学生時代から全国のラーメン店を食べ歩き、様々なジャンルの味を体得した後、2004年5月15日に独学で「きら星」を開業しました。
実は「凪」の渋谷総本店が1周年を機にリニューアルした2007年6月15日、博多一風堂をじめ、なんつッ亭、せたが屋、秀ちゃんなど、名立たる有名店と並んで「きら星」ともコラボ。同年9月には、「きら星」が従来定休日の木曜日に始めたネクストブランド「ぶっきら星。(ぶっきらぼし)」に「凪」が豚骨ラーメンのフルコースを提供するなど、「凪」と「きら星」は以前から深い親交があります。
『TRYラーメン大賞 2012-2013 TRY大賞』で1位を獲得した “煮干がエグい” ことで有名な「凪」、『TRYラーメン大賞 2006-2010 名店部門 とんこつ』で1位・4連覇を達成した “東京イチ濃厚” なことで有名な「きら星」——まさに曲者同士が夢のコラボを果たした今回の「すごい煮干ど豚骨」は、煮干と豚骨が “激しくぶつかり合う” ワイルドで濃厚な一杯に仕上がっているとのこと。
開封
製品スタイルはコンビニ向けの縦型ビッグ(大盛)で、別添の小袋はフタの上に貼り付けてある「特製油」が1袋。製造所は東洋水産の自社工場ではなく、同社のグループ企業・株式会社酒悦(しゅえつ)の房総工場(千葉県長生郡長南町美原台1-34)となっているのですが、基本的に東洋水産の縦型ビッグは酒悦の房総工場で製造されています。
東洋水産が公表している取扱店は、全国のCVS(コンビニエンスストア)、量販店、一般小売店他となっているため、コンビニ向けの製品スタイルでも全チャネル販売。メーカー希望小売価格は税別220円、コンビニで購入した際の税込価格は232円、実際に立ち寄ったコンビニでは「ローソン」「ファミリーマート」「ミニストップ」での取り扱いを確認しました。
具材は味付豚肉、ネギのみというシンプルな構成で、「きら星」の “とんこつラーメン” に入っているキャベツやメンマ、刻み玉ネギなどは不在。まだ豚骨臭も目立っていませんが、「凪」の “すごい!煮干ラーメン” を彷彿とさせる煮干しの強烈な香りが早くも主張を始め、開封した瞬間から香りはニボいです。それも、けっこうな勢いでニボい。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん 凪×きら星 すごい煮干ど豚骨 販売者:東洋水産株式会社 製造所:株式会社酒悦 房総工場(千葉県長生郡長南町美原台1-34) 内容量:98g(めん70g) 商品コード:4901990364744(JANコード) 商品サイズ:縦108mm×横108mm×高さ122mm(個装) 発売日:2019年11月11日(月) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙+プラ 湯量目安:450ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:1袋(特製油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、植物性たん白、粉末野菜、チキンエキス、香辛料、卵白)、添付調味料(ポークエキス、香味油脂、粉末煮干し、食塩、植物油、砂糖、しょうゆ、豚脂、たん白加水分解物)、かやく(味付豚肉、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、増粘多糖類、カラメル色素、炭酸カルシウム、かんすい、香料、pH調整剤、クチナシ色素、酸化防止剤(ビタミンE)、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
麺は熱湯4分の油揚げ麺で、2018年以降の東洋水産(酒悦)が誇る “新” ナチュラルウェーブ製法の中太麺に通じる表面の艶が印象的。さすがに「凪」で特徴的な超幅広麺(いったん麺)は再現されていませんが、「凪」「きら星」ともに濃厚なスープに負けない太めの縮れ麺を採用しているため、イメージとしては悪くありません。
ちなみに一足早く発売された「TRY20周年企画」第1弾、兼「夢のWコラボ」第11弾の「大島×田中商店」では、大幅に「大島」(みそラーメン)寄りの仕上がりで、「田中商店」(とんこつラーメン)はサポート的なバランスでした(※関連記事:2019年10月21日発売「大島×田中商店 辛味噌豚骨」名店部門 “1位” 夢のWコラボ実現!!)
さて、「凪×きら星」の調理前は「凪」に寄っている雰囲気でしたが、熱湯を注いだ途端に「きら星」の獣臭が頭角を現し始め、なるほど煮干と豚骨が拮抗しているようなイメージ。ちょっと具材の量が頼りなく思えますが、スープの味には期待できそうな現在——引き続き両店の特徴に注目つつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(98g)当たり
カロリー:440kcal |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:440kcal(めん・かやく:309kcal)(スープ:131kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
東洋水産の縦型ビッグといえば「本気盛(マジモリ)」の印象が強く、2年ほど前までスープを蹴散らす無骨な油揚げ麺がマイナスに作用することも珍しくありませんでしたが、近年のマルちゃん縦型ビッグ系統に使用されている麺は別次元。やや今回は昔の面影が見られたものの、ブラッシュアップされた後の仕様です。
現在の縦型ビッグにおける太麺と中太麺は、大きく分けて縮れのないストレートタイプと縮れのあるナチュラルウェーブの2種類に分類され、今回の油揚げ中太麺は後者。ストレートタイプと比較して、やや後半ふかふかとした油揚げ麺特有の軽さが気になったりもしたのですが、食べ始めはガッシリとした高密度な弾力で、なおかつスープの煮干や豚骨を蹴散らすことはありません。
「夢のWコラボ」シリーズは、有名店が監修した “カップめんオリジナルの一杯” という立ち位置なので、インスタント感が強くてもスープにさえ合っていれば問題なし。実際に今回の中太麺と “すごい煮干ど豚骨” スープの相性は問題なく、カップ麺ならではのインスタント感を素直に楽しむことができました。
スープ
まず比率でいうと粉末スープのバランスは「凪」寄りで、豚骨よりも煮干がフロントに構えているのですが、その奥で足場をガッシリと固めている「きら星」の豚骨も侮れません。しばしば雑味扱いされる “豚骨臭” こそ控えめではあるものの、とろっと粘度の高い口当たりが不自然に思えないほど豚骨は濃厚で、粉末ながらに骨の旨味と獣臭が楽しめます。
「凪」の「すごい煮干ラーメン」にトッピングされている “海の辛銀だれ”(漁師伝承の調理法による煮干し入りのピリ辛うまみダレ)の気配はありませんし、「きら星」の「とんこつラーメン」で特徴的なオリジナルの “カツオ餡(あん)” も意識されていないけれど、さらに別添の特製油で強化される獣臭(と、若干の豚骨臭)は「きら星」の仕業。
煮干し特有の苦味・えぐ味も控えめですが、ぶっちゃけ “ちょっと生臭いくらい癖のある煮干し感” を「凪」が容赦なく打ち出しているので、正直まったく万人にオススメできるスープではありません。あくまで煮干も豚骨も市販品として通用する程度に抑えられてはいるものの、こと煮干の癖に関しては全チャネル販売のNB商品として確実に人を選ぶレベルだったので、かなり高い満足感が得られました。
ただし、今回の粉末スープには、粘性率を上げるために強めのトロミ成分が仕込まれているので、上記写真のように麺の表面で凝固している部分はもちろん、容器の底に発生しがちな溶け残りにも気を付けてください。
具材
東洋水産の縦型ビッグは基本的に具沢山な製品が多いので、今回のラインナップでは頼りなく感じてしまいます。しかし、定評のある味付豚肉に大きめカットのネギと具材の質は高く、またスープの邪魔をする蛇足的な素材は入っていなかったこと、加えてスープの出来がよかったので、正直あまり気になりません。
いつもどおり味付豚肉は甘辛い味付けで、しっかり肉の旨味も楽しめる上質なもの。今回は赤身が多く、脂身は少なかったのですが、おそらく個体差で比率は変わってくると思います。かなり煮干が強烈だったので、メンマとか刻み玉ねぎが入っていたら完璧だったんですけど、しっかりスープに振り切っていた潔さに価値を感じました。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5+)
普段より少なめの具材が寂しいところではあるものの、結果それも気にならないほどスープの満足度が高く、こと煮干の生臭い香り(※今回は加点要素)まで再現していたのは特筆すべきポイント。したがって煮干系が苦手な方にはオススメできませんし、プリン体を制限している方も注意が必要になりますが、そうでないのであれば一見の価値あり。
煮干の苦味や舌に纏わり付くようなエグみ、一瞬たじろいでしまうような豚骨臭こそ抑えられているけれど、太い豚骨に群れをなす煮干が印象的な記憶に残る一杯でした。今回は油揚げ麺を使用した縦型ビッグ製品だったので、ぜひ「大島×田中商店」のように、ノンフライ麺を使用した大判どんぶり型での再コラボにも期待したいですね。