どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年02月26日(火)新発売のカップ麺、日清食品「博多長浜屋台やまちゃん 豚骨らーめん」の実食レビューです。
博多・長浜屋台やまちゃん監修のカップラーメンがファミリーマートで数量限定発売!
カップ麺を実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、お店の歴史や博多屋台が減少している理由についても解説しています。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
長浜屋台やまちゃん 豚骨らーめん 2019
「長浜屋台(ながはまやたい)やまちゃん」とは、1986年より続く博多・長浜の屋台を中心に、地元の方はもちろん全国から訪れるラーメンファンや観光客、芸能関係者など、数多くの人々に愛され、お店ではメインの豚骨ラーメンだけでなく博多名物の明太子、玄界灘の魚介類、地鶏、黒毛和牛なども食べられる、メニューが豊富な博多の「名物ラーメン居酒屋」。
特に昔から音楽業界のアーティスト(ミュージシャン)が打ち上げなどに利用していることから、その業界の関係者が多く来店していることでも有名なんですけど、お店には著名な方にも平等にリラックスしてもらえるように “有名な方が店内にいても他のお客さんはサインを求めてはいけない、写真撮影も禁止” というルールがあります。
運営母体は「有限会社 ロブ」、代表取締役兼創業者(店主)は「やまちゃん」こと山口浩城さん。有限会社ロブの設立は1992年7月ですが、お店の創業は昭和61年(1986年)7月。屋号に「屋台」の文字があるように、長浜(福岡市中央魚市場横)に屋台「長浜屋台 やまちゃん」をオープン。
創業当初より材料の「骨」にこだわり、じっくりと時間をかけて豚骨を2日間、それも水を混ぜずに煮込んでいるそうですが、コクがあるのに豚骨特有の臭みは最小限に抑えられ、しかしながら旨味がギュッと詰まっているスープは女性からの人気も高く、飲んだ後の〆にも最適‥なんですけれども、残念ながら2014年1月末日をもって27年間愛され続けた屋台の営業は終了しました。
2019年2月現在、天神・親富孝通りにある「福岡 天神店」(1992年オープン)、東京・銀座にある「東京 銀座店」(2002年オープン)、そして博多にある「福岡 中洲店」(2011年オープン)の3店舗は絶賛営業中なのですが、屋台営業の存続問題は「やまちゃん」に限らず、市が設置した第三者機関「屋台問題研究会」の答申を受け、2000年5月に告示された「福岡市屋台指導要綱」が博多屋台減少の大きな要因となります。
「福岡市屋台指導要綱(ふくおかしやたいしどうようこう)」とは、屋台を合法的な存在と認めるかわりに様々な規制を明確化したもので、そのルールは厳しく、例を挙げると屋台の営業権譲渡が許されるのは1回のみ(屋台の営業者は原則一代限り)、血縁の跡継ぎがいなければ即廃業。屋台業者の組合では「苦情110番」を設け、指導員が定期的に巡回し、ルール違反があれば指導、場合によっては営業許可の取り消しなど‥‥
“屋台の営業そのものが1つの財産権” という意見もある中、それが原則一代限りというのは法的にどうなんだろう‥と思ったりもするのですが、道路通行の妨げや会計が不明朗、不衛生など、屋台で賑わう博多文化ならではの魅力とともに近隣住民からの苦情も多く、たしかにマイナス意見が多いのも政府が目を逸らすことのできない事実です。
会計が不明朗という点については経営者サイドの問題ですが、通行の妨げや衛生問題に関しては経営者だけの問題ではなく、マナーの悪い観光客や酔っ払いの存在も大きな要因になっていると思うんですけど、時代と文化の折り合いって難しいですよね。
開封
ハイ、というわけで記事の本題が変わらないうちにカップ麺を開封しましょう。別添の小袋は豪華5種類となっていて、先入れの小袋は「かやく」が1袋、後入れの小袋は「粉末スープ」「液体スープ」「紅生姜(生タイプ)」「焼きのり」の4袋で合計5袋。液体スープに添付品用の接続テープが残っていますが、品質には問題ありません(ちょっとレア)。
ちなみに「長浜屋台やまちゃん」がカップラーメンになるのは今回が初めてのことではなく、実店舗のラーメンを食べて感動したファミリーマートの商品開発担当者が “全国の人にもこの味を知ってもらいたい” と店主の山口浩城さんにカップめん化を提案。日清食品が開発した試作品を山口さんに試食してもらい、お店の味を再現したカップ麺が商品化されることになりました。
それ以降、だいたい2月頃にマイナーチェンジを繰り返しながら数量・期間限定で発売されているので、以前に食べたことがある、という方も中にはいらっしゃるかもしませんが、私が最後に「やまちゃん」のカップラーメンを記事にしたのは2015年02月17日(火)発売品だったので、およそ4年ぶりのレビューになります(※過去記事は移転前のブログ)。
当時の商品には焼き海苔が別添されておらず、メーカー希望小売価格(ファミリーマート標準価格)は税別255円、今回の2019年2月発売品は税別249円ということで、ちょっと安くなっていますね。ほぼ昨年の同時期にも発売されていたので、4年前の記事と比較しても需要はないかもしれませんが、2015年2月発売品は「★5*」と判定していました。(* 当ブログでは「高評価」です)
製品情報・購入価格
製品名:博多長浜屋台やまちゃん 豚骨らーめん 製造者:日清食品 製造所:関東工場 茨城県取手市清水667-1(製造所固有記号 A) 内容量:107g(めん65g) 発売日:2019年02月26日(火) 実食日:2019年02月26日(火) JANコード:4902105249017 ファミリーマート標準価格:249円(税別) 発売地域:全国(ファミリーマート限定・数量限定) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:440ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:5袋(粉末スープ / 液体スープ / かやく / 紅生姜 / 焼きのり) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉、食塩、植物油脂、卵粉、植物性たん白、チキンエキス、大豆食物繊維)、スープ(ポークエキス、しょうゆ、チキンエキス、豚脂、香辛料、糖類、香味油、ごま、小麦粉、食塩、酵母エキス、オニオンパウダー)、かやく(チャーシュー、紅生姜、ごま、キクラゲ、のり、ねぎ)/ 調味料(アミノ酸等)、増粘剤(加工でん粉、キサンタンガム)、かんすい、pH調整材、酒精、炭酸Ca、香料、カラメル色素、焼成Ca、酸化防止剤(ビタミンE)、香辛料抽出物、乳化剤、酸味料、野菜色素、ベニコウジ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
【アレルゲン情報】小麦・卵・乳成分・豚肉・鶏肉・大豆・ごま・ゼラチン(食品衛生法で義務付けられた特定原材料7品目と表示が推奨されている20品目の合計27品目について掲載) |
実食開始
採用されている麺は油で揚げていないノンフライ麺で、湯戻し時間は熱湯3分。2015年2月発売品の実食レビューでは熱湯1分30秒〜2分前後で充分と解説していたのですが、今回はどうでしょう。で、写真の向かって右側‥お気づきかもしれませんが、なんとも言えないところでザックリと割れているw
と、それはさておき熱湯を注ぐ前に入れるのは「かやく」の小袋だけなので、各スープを同時に開封しないように注意してください(※麺が適切に戻りません)。そして、お湯を注いでから待っている間に液体スープの小袋をフタの上で温めるのですが、各スープ類を入れる前にノンフライ麺をほぐし、「粉末スープ」をよく溶かしてから「液体スープ」の順に入れるのがスムーズです。
というのも、粉末スープの中に入っていた擂り胡麻(すりごま)がダマになりやすかったのと、軽くトロミ成分も含まれていたので、液体スープを入れてから粉末スープを入れるのではなく、まずは粉末スープをしっかりと溶かし、それから液体スープを馴染ませたほうが作りやすい(粉末スープがダマになりにくい)と感じました。
さて、完成です。とんこつラーメンに海苔は久留米のイメージが強いというか、あまり長浜豚骨+海苔は経験がないんですけど、なかなか雰囲気のあるビジュアルに仕上がりました。それでは、コシのある細麺と癖のないスープが特徴とされる「長浜屋台やまちゃん」の特徴を意識しながら、「めん」「スープ」「かやく」の順に解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
1食(107g)当たり
カロリー:367kcal |
※参考値(調理直後に分別して分析) 熱量:367kcal(めん・かやく:281kcal)(スープ:86kcal) |
めん
博多豚骨らしい、歯切れのよいハリのある麺を使用しました。
(出典:ファミリーマート「商品情報」)
いやいや調理後の写真みたいに盛り付けてたら熱湯3分で食べるとか間に合わないでしょ‥と思われたかもしれませんが、その通りです。というわけで2食目を撮影なしで時間通りに調理してみたのですが、しっかり熱湯3分待つ、それから手早くスープ2種類を馴染ませ即座に麺から食べ始めても柔らかめに仕上がったので、硬めが好きなら早めに開封して大丈夫。
実際に熱湯を注いでから1分45秒くらいのタイミングで開封し(結果3食目w)、ほぐれやすさや食感を確認したところ、まったく問題ありませんでした。というか、特に柔麺が好きとかじゃなければ熱湯1分45秒~2分前後に開封してみてください。ほんのちょっと表面はザラついた舌触りで、中心部には適度に芯が残り、長浜とんこつラーメンらしい硬めの食感が楽しめます。
お店の麺もヤワがデフォなら熱湯3分でちょうどいいかもしれませんが、こだわりはコシのある細麺ですし、そもそも食感の持久力が乏しかったので、お湯を注いでから5分ほど経過した頃には頼りない食感になり、コシは楽しめません。ただ、麺の量は65gと大盛ではないため(替え玉が欲しくなったw)、早めに開封すればバリカタ麺の雄・明星食品に勝るとも劣らない、長浜ラーメンにピッタリな粉っぽさと歯切れが楽しめる、とても素晴らしいノンフライ麺でした。
スープ
マイルドなコクと旨味のある豚骨スープが特徴です。
(出典:ファミリーマート「商品情報」)
とろみのあるマイルドな口当たりで、お店の特徴としても挙げられている臭みのない洗練された豚骨スープになるのですが、あっさりとしながらも丁寧なコクがあるため、とろみのある口当たりも不自然ではありません。やや鶏のサポートが強めにあるものの、畜肉系の旨味成分は豚骨が主軸。粉末スープに仕込まれていた擂り胡麻も効果的で、ナチュラルにコクを深めています。
久留米豚骨と比較すると脂っ気も弱いので、こってり感や獣臭・豚骨臭などに期待していると物足りないかもしれませんが、それらの一般的にネガティブとされる特有の癖を抑えつつ、きちんと骨っぽい旨味が感じられたことが好印象でした。長浜は豚骨で有名な地域の中でも繊細なスープが多いので、まさに「クセの無さが個性」と言えるでしょう。
私は豚骨臭が遠慮なくガンガン攻めてくるような、くっちゃい系の人を選ぶ豚骨スープが好みなんですけど、それを踏まえても複雑で奥行きのある旨味から物足りなさを感じることはありませんでした。早めに柔らかくなる麺を優先的に食べて、それから一呼吸おき、鼻腔を広げ、ゆっくりと舌の上でスープを転がしてみてください。
かやく
かやく(具材)の内容はチャーシュー、紅生姜、ごま、キクラゲ、のり、ねぎとなっていて、チャーシューはペラペラで厚みこそないものの、けっこう脂身の部分が多くて旨味はジューシー。また多めに入っていたキクラゲはコリコリとした歯応えが嬉しく、長浜ラーメンのイメージを強めます。
ネギはインスタント感の強い乾燥の小葱ですが、長浜とんこつ系には欠かせないトッピングですし、定番の煎り胡麻もプチッと芳ばしく、スープの擂り胡麻とは違ったベクトルから胡麻のパンチをアピール。私は普段あまり好んでラーメンに紅生姜を入れることはないのですが、癖のないスープに 紅生姜の酸味が映え、しかしながら骨っぽさが掻き消されることのない適切な量に好感が抱けました。
紅生姜は生タイプでリアルですし、個包装で別添されているので、食べ手の好みにあわせて取捨選択できるのもポイントですよね。
ラーメンの焼き海苔といえば麺に巻いて食べる、もしくはスープに潜らせてから白ご飯にのせて‥という食べ方しか知らないので、いつもスープに浸してから麺を包むようにして食べているのですが、獣臭を抑えた癖のないスープに小麦と磯の香りがマッチし、とてもいい気分転換になります。
たとえば家系ラーメンとか久留米とんこつ系など、焼き海苔は脂の浮いた濃厚こってりラーメンと相性がいいと思っていたのですが、長浜ラーメンと焼き海苔も好相性ですね。ただ、お店のラーメンに焼き海苔は入らないので‥と思って調べてみたところ、「銀座店」の「博多盛」というメニューに海苔が添えられていました。それに、単体のトッピングとしても海苔を注文できるようですね。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5)
もともと長浜ラーメンは魚市場で働く人たちが仕事の合間に早く食べられるように麺が細いとも言われているのですが、お店のラーメンも長浜ラーメンらしくコシの強い細めのストレート麺が使用されていますし、今回のカップ麺は熱湯2分でも食べられたので(そしてクオリティも高かったので)、質を維持したまま湯戻し時間の表記を見直すべきかもしれません。
単純に表記を「熱湯2分」に改める、または「バリカタ・熱湯1分30秒」「カタ・熱湯2分」「ふつう・熱湯3分」のように目安時間を複数提示するなど、そういった工夫があると中身の味は王道でも差別化に繋がる個性的なポイントになるのではないのかなと思いました。
とりあえず久留米とんこつ系のように癖のある豚骨味ではないので、そういったスープを求めていると物足りないかもしれませんが、わかりやすく長浜の特徴を表現している優等生ながらも実力派です。わりとタレがキリッとしていたことと、麺の量も多すぎず少なすぎずだったので、お店のラーメンよろしく飲み〆(しめ)の一杯にも誂え向きなカップ麺になると思いますよ。