どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年2月28日(火)新発売、東洋水産のカップ麺「みかづき監修 イタリアン焼そば」の実食レビューです。
新潟県の常識!? 甘味処を発祥とする新潟県民熱愛グルメ「みかづき」監修 “イタリアン” の味わいをマルちゃんがカップ焼きそばにアレンジ!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
みかづき監修 イタリアン焼そば
みかづきとは、1909年(明治42年)に新潟の繁華街・古町8番町で創業した甘味処「三日月」にルーツを持ち、2023年3月現在は新潟市内を中心に22店舗を展開しているファストフード店で、新潟県民が愛してやまない「イタリアン」の元祖。他県の “イタリアン” とは一線を画す独自のスタイルは、新潟の食文化に深く根付き、ソウルフードとしての地位を確立しました。
今回の新商品「みかづき監修 イタリアン焼そば」は、株式会社みかづき監修のもと、マルちゃんのブランドで知られる東洋水産株式会社が新潟の「イタリアン」をイメージして開発した即席カップめんで、販売店は全国のローソン店舗が対象とのこと。そもそも「みかづき」の「イタリアン」とは何なのか、実食の前に掘り下げておきます。
前述のように「みかづき」は、114年前に創業した(新潟市内では初となる喫茶店の形態を持った)甘味処「三日月」を起源とし、当初は現在も提供している「あづきアイス」をはじめ、幻となった「あんみつ」や「関東煮=カントダキ(おでん)」を主力商品としていました(ちなみに当時の古町8番町は芸妓さん・舞妓さんが多く、男性は女性と同伴でしか「三日月」の店内に入れなかったとか)
しかし、甘味処として営業していた「三日月」に大きな転機が訪れたのは、創業から50年後の1959年(昭和34年)。三日月の創業者・ヤトさんの曽孫で、三代目店主を務めた故・三日月晴三(みかづき はるぞう)さんが箱根湯本の「商業会セミナー」を受講するために上京した際、東京都中央区京橋にあった甘味処「中ばし」に誘われ、大阪風の焼きそばをアレンジしたソース焼きそばに会遇することに。
ちょうど「三日月」でも軽食を始めようかと考え、また浅草でソース焼きそばを提供する店が繁盛していたこともあり、ならば「三日月」でも焼きそばを提供しよう! との結論に至ったそうですが、ふつうのソース焼きそばを出しても芸がない‥‥と、差別化を図るために生まれたのが “ソース焼きそばにミートソースをかける” オリジナルのイタリアン(名前の由来は「ナポリタン」に対して)。
それをステンレスの銀皿に盛り付け、白生姜と粉チーズをトッピングし、箸ではなくフォークで食べる、当時としては斬新かつオシャレなスタイルが芸妓さん・舞妓さんのハートをイーグルキャッチ。1960年(昭和35年)から “お嬢さん、ちょっと変わった焼そばを始めました” というキャッチコピーで売り出し始め、いつしか新潟県民のソウルフードとして認知されるようになりました。
ちなみに新潟県の麺事情といえば、一世帯あたりのラーメン消費額(支出額)8年連続日本一を守り続けた山形県山形市を打ち破ったこともある、全国でも指折りのラーメン激戦県。新潟あっさり醤油・燕三条背脂醤油・長岡生姜醤油・新潟濃厚味噌・三条カレーから成る “新潟5大ラーメン” が存在し、そこそこラーメンに詳しい人にとっては常識といっても過言ではありません。
また全国的にイタリアンといえばイタリア料理の総称で、ミートソースは「ragù alla bolognese(ラグー・アラ・ボロネーゼ)」をモチーフにした日本発祥のソースなんですけど、それはさておき新潟の「イタリアン」は地元で “新潟5大ラーメン” に匹敵する‥‥いや、場合によってはラーメンLOVEを上回りそうな熱愛グルメ。その臨場感が熱湯4分のカップ麺でも楽しめるのか、仕上がりが楽しみです。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」に、後入れ「粉末ソース」と「液体ソース」の計3種。イタリアンの特性を踏まえると、ウスターソースを基調とした液体ソースに、レトルトパウチのミートソースがベストな組み合わせに思えますが、それだとローソンでの販売価格が跳ね上がってしまうので、完全再現よりも手に取りやすい値段を優先した様子。
麺は油で揚げたフライ麺で、切刃の形状は角。くすんだ感じの見た目だったり、精製ラードに由来する独特の芳ばしさだったり、直近にレビューした商品を例に挙げると「でかまる 辛麻辣海老ニンニク味マゼソバ」にも使われていたような、いかにも東洋水産らしい太麺です。この麺は油そば系に強いのですが、新潟のイタリアンにも上手く噛み合ってくれるのか気になるところ。
ローソン標準価格は214円(税別)なので、東洋水産がレギュラーサイズのNB(ナショナルブランド)商品に設定しているメーカー希望小売価格の基準と同じライン。スーパーやドラッグストアなど、コンビニ以外の店舗であれば、おおむね130円前後で販売されるタイプの商品になるので、それも踏まえた上で評価します。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:みかづき監修 イタリアン焼そば 製造者:東洋水産株式会社 製造所:M1 関東工場(群馬県館林市赤生田本町3831-1) 内容量:123g(めん90g) 商品コード:4901990373692(JAN) |
発売日:2023年02月28日(火) 実食日:2023年03月01日(水) 発売地域:全国 取得店舗:ローソン(LAWSON) 販売価格:214円(税別) 購入価格:231円(税込) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:角型レギュラー 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:560ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:3袋(液体ソース・粉末ソース・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、精製ラード、食塩、しょうゆ、香辛料、粉末野菜、卵白)、添付調味料(糖類、野菜エキス、植物油、チキンエキス、デキストリン、乳糖、豚脂、食塩、香味油脂、ソース、香辛料、紅生姜)、かやく(キャベツ、味付挽肉、コーン)/ 加工でん粉、トレハロース、調味料(アミノ酸等)、酒精、炭酸カルシウム、カラメル色素、かんすい、酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンE、ローズマリー抽出物)、クチナシ色素、増粘多糖類、酸味料、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・りんごを含む) |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、内容はキャベツ、味付挽肉、コーンの組み合わせ。実際のイタリアンにもソース焼きそばサイドにキャベツを、ミートソースサイドにコーンの水煮や挽肉を使っているため、あながち的外れな構成ではありません。
添付調味料は2袋とも食べる直前に使うため、かやくを入れてから内側の線まで熱湯を注ぎ、フタの上で「液体ソース」の小袋を温めながら待つこと4分。時間になったら他のカップ焼きそばと同様に湯切りするのですが、湯切り後に “粉末ソースをかけて軽くまぜ、液体ソースをかけてよくまぜて出来あがり” と混ぜる順番が決まっているため、調理の際は留意してください。
さて、香りはナポリタンに通じるところもあるけれど、きわめてケチャップ的な要素は弱く、ソースのスパイシーな香りも相俟って不思議な感覚に。はたして新潟のソウルフード・B級グルメの代表格といっても過言ではない “イタリアン” の魅力は伝わってくるのか、その臨場感に注目しつつ「めん」「ソース」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(123g)あたり |
カロリー:513kcal たん白質:9.3g 脂 質:21.5g 炭水化物:70.5g 食塩相当量:3.7g ビタミンB1:0.42mg ビタミンB2:0.41mg カルシウム:185mg |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
系統は違うけどソースとの親和性は高い
当初、みかづきの店舗で使う麺は製麺所から取り寄せていたようですが、すぐに自社工場で製造する自家製麺に切り替え、試行錯誤の末にソースが絡みやすく “もちもち” とした食感の太麺に辿り着いたそうです。対して今回の油揚げ麺は強付きのある質感で、もちもちというよりも “みちっ” とした密度の高さが印象的な、ちょっと硬めの歯応えに仕上がります。
ちぢれが強めの形状然り、強付きのある硬めの歯応え然り、お店の自家製麺を忠実に表現するのではなく、既存の油揚げ麺を使い回していることは明白なので、再現度の高さは評価できません。ただ、後述するソースとの相性に問題がないことに加え、めん90g(調理前)のレギュラーサイズでありながら、それ以上の食べ応えが楽しめるのは魅力的なポイント。
お湯を注ぐ前、給湯後の待機中、さらに実食の間も精製ラード特有の芳ばしさが目立つので、それが極端にダメな方にはネガティブな項目になってしまうのですが、タイプこそ違えどファストフードのジャンクなイメージと共鳴する部分といえなくもありません。精製ラードの風味も含め、結果的に好印象な取り合わせでした。
ソース
やばい‥‥めっちゃうまいw
最初は「粉末ソース」にミートソースを演出する砂糖やトマトパウダー的な成分を、片や「液体ソース」にウスターソースベースの調味料を充填しているのだろうと予想していたのですが、その真逆。粉末ソースは「ソース焼きそば」サイドの味付けで、東洋水産のロングセラー「マルちゃん焼そば」に似たスパイシーさを感じるのですが、それをベースに優しく調整した感じ。
粉末ソース特有のピリッと感は適度に残しつつ、ほんのり甘さを深めているようなテイストで、実際の「イタリアン」にトッピングされている白生姜の別添はないけれど、ふと感じる乾燥紅生姜の酸味も雰囲気を高めてくれているアイテム。なるほど「イタリアン」の土台はソース焼きそばなので、先に「粉末ソース」のコクとスパイス感を麺に含ませるようにしたのかと、妙に納得させられました。
その次に馴染ませる「液体ソース」は、もうひとつの主役であるミートソースを演出するための添付調味料で、肉の旨みは控えめですが、それについては “かやく” の項目で後述。たとえば業務スーパーの安っぽい‥‥などと書いたら怒られそうですけどw それを彷彿とさせるシンプルな味わいで、この手にありがちなケチャップは使っておらず、それよりも野菜の自然な甘みを尊重した骨組み。
トマトベースのソースに、スパイシーな粉末ソースの組み合わせたるや、想像以上に中毒性の高い味付けで、おもわず箸が止まりませんでした。でもってミートソースといえば肉の旨みなんですけど、それに大きく貢献していたのが具材の味付挽肉。
かやく
挽肉でミートソースが成立
キャベツはカップ焼きそばに定番の野菜具材で、ベクトルは炒めキャベツではなく茹でキャベツなんですけど、野菜の甘さが粉末ソースのスパイス感と優しい液体ソースに寄り添うようで好印象。コーンの甘さも同様に、前述の味付けにフィットしてくれるだけでなく、洋風を演出することにかけても効果的な存在。
味付挽肉は東洋水産が頻繁に使っている肉具材だったので、まったく新鮮味はなかったんですけど、これが口に飛び込んできた瞬間にバチッと “ミートソース” が成立します。もし味付挽肉が入っていなかったら、きっと “優しいトマトソース止まり” だったので、かなり効果的に思えました。
総評
ローソン限定という販売ルートの縛りから、購入の際に231円(税込)必至なので、ちょっと‥‥いや、かなり総評は迷ったんですけど、実食を終えて執筆をしている現在 “また食べたいな” って。再現度的に地元の方からは厳しい意見も飛んできそうですが、ひとつのカップ焼きそばに収めるために、細かな工夫が感じられた一杯で、個人的な嗜好のバイアス込みなら「★6」もチラつくレベル。
喫茶店のナポリタンよろしく甘めの味付けから、その系統が苦手な方にはオススメできないタイプになりますけど、スパイシーな粉末ソースと優しいトマトベースのソース、そこに味付挽肉が効果覿面で、想像以上に中毒性が高いカップ麺でした。新潟の「イタリアン」を知っている方も知らない方も、ひとまず最寄りのローソンを要チェックです【author・taka :a(大石敬之)】