どうも、taka :a です。
本日の一杯は、2021年2月8日(月)新発売のカップ麺、サンヨー食品「麺屋さくら井監修 地鶏醤油味らぁ麺」の実食レビューです。
通が唸る行列店「麺屋 さくら井」ついにカップラーメンを初監修!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
麺屋さくら井監修カップ麺 地鶏醤油味らぁ麺
麺屋さくら井(めんや さくらい)とは、東京都武蔵野市・三鷹に店を構える行列店で、創業は2016年(平成28年)11月17日。店主の櫻井祐太(さくらい ゆうた)氏は、大学在学中に年間およそ500杯のラーメンを食べ歩き、その中で惚れ込んだ東十条の名店「麺処 ほん田」の出身で、ほん田グループの味噌専門店「麺処 しの助(現在閉店)」の三代目店長や赤羽にある「麺処 夏海(なつみ)」の支店長を務めた実力の持ち主。
今回のカップ麺「麺屋さくら井監修 地鶏醤油味らぁ麺」は、通が唸る行列店「麺屋 さくら井」の店主・櫻井祐太氏とサンヨー食品(サッポロ一番)の共同開発商品で、お店の看板メニュー「醤油らぁ麺」の味わいをコンビニ向けの縦型ビッグ製品で再現。パッケージには詳しく書いてないのですが、サンヨー食品の公式ウェブサイト内にある製品情報には “福岡県産はかた地どり使用” とあったので、そこが一つ目のポイント。
「麺屋 さくら井」の実店舗で提供されている「醤油らぁ麺」のスープには、福岡県を代表する郷土料理・がめ煮(筑前煮)や水炊きの品質向上を図るために開発された福岡県産地鶏「はかた地どり」のガラをはじめ、大山(だいせん)の丸鶏から取った鶏清湯(イノシン酸)を軸に、豚骨や煮干しなど、さらに昆布(グルタミン酸)や干し椎茸(グアニル酸)を重ねることで圧倒的な “うま味の相乗効果” を実現。
味の決め手となるタレ(かえし)には、滋賀の濃口醤油をはじめ、和歌山の生揚げ醤油や島根の再仕込み醤油など6種類の厳選した醤油をブレンド。仕込みの水には分子が小さく、体内への浸透力が高いπウォーター(生体水に限りなく近い水)を使い、素材の味を殺さないために化学調味料は不使用で、インパクトのある味よりも “毎日飽きずに食べられる” らぁ麺を目指しているとのこと。
それを再現した今回のカップ麺には、容器側面に「店主認」とあり、その下には “地鶏を使用した香り高いスープとまろやかな醤油のコクのマッチング、是非ご賞味ください!” という櫻井店主のメッセージを表示。ここには「地鶏を使用した-・」としか書いてありませんが、この地鶏がサンヨー食品の公式ウェブサイトに記載されていた「福岡県産はかた地どり使用」を意味しているのでしょう。
ときに「店主認」と書かれた “ご当店カップ麺” といえば、2021年1月11日発売の「麺屋翔監修 香彩鶏だし塩らーめん」など、これまでにも有名店とタイアップした再現カップ麺を定期的に展開しているサンヨー食品ですが、いずれもスナック的な油揚げ麺が足を引っ張る商品が多く、どうしても評価が伸び悩む傾向にありました。
しかし、商品のパッケージやサンヨー食品の公式ウェブサイト内にも記されていない “販売店向けの商品説明” を確認したところ、そこに記載されていた麺の特徴には “独自技術の高密度製法のストレート” とあったので、これが二つ目のポイント。こと縦型ビッグのカップラーメンでは麺にウィークポイントを持つサンヨー食品ですが、なんのこれしき忘れてはいけないのが「和ラー」の存在です。
サンヨー食品の関係者曰く、たとえば「和ラー」の麺製法は同ブランドの開発チームしか知らないなど、同じ社員の中でも部署によって機密事項があるそうなので、まったく同じ技術が他の商品に応用されるケースは例外的らしいのですが、もし今回の「麺屋さくら井監修 地鶏醤油味らぁ麺」にも「和ラー」に匹敵するクオリティの革新的なフライ麺を使用していた場合、おもわぬ高評価を叩き出してくれるかもしれません。
開封
さて、今回のカップ麺に別添されている小袋は、フタの上に貼り付けてある「仕上げの小袋」が1袋。サンヨー食品の公式ウェブサイト内にある製品情報には “チキンのうまみをベースに昆布や椎茸をバランスよく配合した、鶏脂の風味豊かな醤油味スープです” とあったので、仕上げの小袋は鶏油(ちーゆ)とみて間違いありません。
お店の「醤油らぁ麺」には、定評のある鶏胸肉と豚肩ロースのチャーシューをはじめ、青葱、メンマ、海苔をトッピングしているのに対し、カップ麺の具材にもチャーシュー、メンマ、ネギを組み合わせているのですが、他の商品にも使われているような汎用の具材。とはいえ麺とスープの完成度が高ければ、シンプルなラインナップが功を奏すかも。
メーカー希望小売価格は220円(税別)ということで、2021年2月現在の縦型ビッグにおける標準的な値段。販売店は全国のスーパーやコンビニ、ドラッグストア、ディスカウントストアなどが対象で、コンビニで購入した場合の税込価格は232円。実際に立ち寄ったコンビニ大手4社の中では、セブンイレブンとミニストップでの販売を確認しています。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:麺屋さくら井監修 地鶏醤油味らぁ麺 販売者:サンヨー食品株式会社 製造所:太平食品工業株式会社 本社工場 内容量:91g(めん70g) 商品コード:4901734041931(JAN) |
発売日:2021年02月08日(月) 実食日:2021年02月10日(水) 発売地域:全国 取得店舗:スーパー 商品購入価格:192円(税込) 希望小売価格:220円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ(PP) 湯量目安:440ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(仕上げの小袋) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、食塩、植物性たん白、粉末卵)、スープ(豚脂、糖類、食塩、しょうゆ、チキンエキス、植物油脂、小麦粉、チキンパウダー、たん白加水分解物、鶏脂、昆布粉末、椎茸エキス、発酵調味料、煮干いわし粉末)、かやく(味付豚肉、メンマ、ねぎ)/ 調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、香料、炭酸カルシウム、加工でん粉、かんすい、酸味料、微粒二酸化ケイ素、酸化防止剤(ビタミンE)、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
さて、これが期待している独自技術の高密度製法ストレート麺なのですが、お湯を注ぐ前の香りは油揚げ麺特有のスナック的な芳ばしさが強く、この時点でのファーストインプレッションは従来品と変わりません。しかし、形状は汎用の平打ち麺ではなく丸断面なので、サンヨー食品の店主認シリーズ(勝手に命名w)にしては珍しい切り出し方です。
あとは熱湯を注いで3分間、待っている間に「仕上げの小袋」をフタの上にのせて温めて、食べる直前に加えて混ぜたら出来上がり。具材のラインナップが個性に欠けるため、上記の写真だけ見るとインパクト不足な印象を受けますが、仕上げの小袋を入れた瞬間から漂ってくる芳ばしい鶏油の香りは心地よく、しなやかな麺線が目を引く調理直後。
ちなみに製造所は太平食品工業株式会社の本社工場(群馬県前橋市朝倉町555-4)となっているのですが、1963年(昭和38年)1月にサンヨー食品が設立した製造部が太平食品工業なので、どちらも “サッポロ一番” という認識で問題ありません。それでは、引き続き麺の仕上がりと福岡県産はかた地どり使用の恩恵に注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(91g)あたり |
カロリー:405kcal たん白質:10.7g 脂 質:16.5g 炭水化物:53.5g 食塩相当量:5.9g (めん・かやく:1.9g) (スープ:4.0g) ビタミンB1:0.33mg ビタミンB2:0.58mg カルシウム:228mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:405kcal(めん・かやく:314kcal)(スープ:91kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
ちょっと(1分ほど)長めに待ったほうがいいかも
実店舗の「醤油らぁ麺」に使われている麺は、三河屋製麺から取り寄せている中細ストレート麺で、醤油・塩らぁ麺には共通の麺を使っているようですが、煮干らぁ麺には異なる麺を使用。醤油・塩らぁ麺に合わせる中細ストレート麺は加水率低めの設定で、しなやかなコシと滑らかな喉越しに、芳醇な小麦の風味も特徴的との評判。
それをイメージした今回の油揚げ麺も加水率は低く、スパッと歯切れのいい食感。しなやかな質感と滑らかな啜り心地も印象的で、完全なストレート麺ではないけれど、控えめな縮れが喉越しの良さに寄与しており、縮れの強い平打ちの油揚げ麺とは違う高級感を演出します。小麦の風味よりも油揚げ麺の風味が強めに主張してくるのですが、仕上げの小袋に含まれている鶏油が表面をコーティングし、ある程度は誤魔化してくれました。
ちなみに熱湯3分も待って大丈夫‥‥? などと不安に思ってしまうようなサイズに切り出されているのですが、むしろ時間を守らず早めに食べ始めた場合、食感も風味も油揚げ麺特有のスナック感が目立ってしまうため、くれぐれもフライングは厳禁。むしろ後半にかけて美味しいと感じたので、とりあえず熱湯3分は守ってください(時間に余裕のある方は、混ぜた後に1〜2分ほど休ませるのがベストかも)。
スープ
もしノンフライ麺で大判どんぶり型だったら‥‥
正直なところ福岡県産はかた地どり使用の恩恵は特筆して目立ちませんが、土台の粉末スープに使われているチキンエキスとチキンパウダーは清湯(ちんたん)系で、粉末醤油は淡口(うすくち)醤油ではなく濃口醤油のキレを効かせたタイプ。そこに昆布粉末や椎茸エキスを加えて “うま味の相乗効果” を図り、ふわっと鰯(いわし)の煮干しを泳がせながら、滋味深い味わいを表現。
仕上げの小袋に液体しょうゆ(かえし)は入っておらず、中身はオイルが中心で、割合としては豚脂・植物油脂・鶏脂の順に多いようですが、体感的に強いのは鶏油っぽい香り。やや香料による演出を感じるため、純粋な鶏油とは風味のベクトルが異なるものの、粉末スープだけでは出せないコクを打ち出します。
一方で本物の「醤油らぁ麺」に使われている豚骨は入っておらず、結果として即席カップ麺の常識を覆すような味でもなかったのですが、やや多めに入っている鶏油の芳ばしい風味が際立っており、そこに魅力を感じました。反面、仕上げの小袋を入れた後、粉末スープの滋味が奥に隠れてしまったので、最初は “仕上げの小袋なし” で味わってみるのがいいかもしれません。
具材
とりあえず及第点
味付豚肉は情緒のないチップ状のチャーシューで、サンヨー食品の縦型ビッグにありがちな安っぽいハムみたいな食感。ネギの風味は醤油ベースのシンプルな鶏清湯と好相性ではあったものの、たとえば後入れ仕様の乾燥ネギには及ばなかったので、こだわりのあるチョイスとはいえません。
メンマも使い回しの具材ですが、チャーシューやネギよりも量が多く、こちらについては風味も強めで好印象でした。おそらく麺にコストを費やしたので、しわ寄せが具材に現れてしまったのでしょう。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4)
これまで油揚げ麺の野暮ったい風味とスナック的な食感が足を引っ張っていた「店主認」シリーズですが、今回の「麺屋 さくら井」監修商品ではネガティブなイメージが控えめだったので、それについては好印象。しかし、通が唸る名店のポテンシャルが最大限に発揮できていなかったのが残念なポイント。
それについては店主の力量ではなく、それを活かせなかったサンヨー食品の製品スタイル(縦型ビッグ)が問題。当たり外れの激しい油揚げ麺に対し、サンヨー食品のノンフライ麺は安定してクオリティが高いので、ぜひ今度はノンフライ麺を採用した大判どんぶり型で再び商品化してほしいです(author・taka :a)