どうも、taka :a です。
本日の一杯は、2020年12月15日(火)新発売のカップ麺、エースコック「麺切り白流 焼干し中華そば」の実食レビューです。
岐阜のラーメン業界に新風を吹き込んだミシュラン掲載店「麺切り 白流(HAKURYU)」監修のカップラーメンがコンビニ限定商品として新登場!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
麺切り白流 焼干し中華そば
麺切り白流(めんぎり はくりゅう)とは、岐阜県瑞穂市・美江寺に店を構える「焼干し中華そば」の名店で、創業は2018年(平成30年)5月8日。東海エリア随一とされる名門「麺屋 白神(めんや はくしん)」出身の店主・森下貴昭(もりした たかあき)氏が独立するかたちで開業するや否や、翌年の『ミシュランガイド愛知・岐阜・三重 2019 特別版』に選出されたほどの実力店。
今回の新商品「麺切り白流 焼干し中華そば」は、大阪府吹田市に本社を置くエースコック株式会社と「麺切り 白流」の共同開発商品で、コンビニの中でもファミリーマートでしか買えない販路・数量限定のカップラーメンとして展開。岐阜の名店「麺切り 白流」監修の焼あごパウダーを使用した香り高い「中華そば」で、しなやかな弾力とコシを両立したノンフライ麺を使用とのこと。
「麺切り 白流」のルーツ「本格東京らうめん 麺屋 白神」とは、岐阜県関市に本店を構える行列の絶えないラーメン店で、鶏ちゃん合衆国鶏済開発長官の石神康睦氏が2004年(平成16年)11月8日にオープン。別名 “富山湾の宝石” とも呼ばれている富山三大海産の一つ・白海老(しろえび)で作る看板メニューの「えびそば」を軸に、多数のメディアにも取り上げられ、現在は東海ラーメン界のレジェンドと呼ばれている名店中の名店。
そんな「白神」の石神店主は、東海随一の名伯楽(すぐれた資質を持つ人を見抜く力のある人物)ともいわれ、2011年5月28日に開業した愛知県尾張旭市の「つけめん・まぜそば 麺喰(めんばみ)」を皮切りに、2012年3月8日開業「麺座かたぶつ(愛知県瀬戸市)」、2015年10月5日開業「ニボチャチャ!!ラーメン あらき軒(岐阜県羽島郡)」、2016年10月5日開業「ラーメン イロドリ(岐阜県岐阜市)」と数々の人気店を輩出。
そんな「麺屋 白神」で修行を積み、独立した “5人目の卒業生” が「麺切り 白流」の森下店主で、東海ラーメン界のレジェンド・石神店主が “もっとも優秀な弟子” と称賛したほどの人物。その日その日に届く旬の魚を捌き、最新のグリラーで焼いてから干した同店を代表する自家製の焼干しは、仕入れの都合で焼干しの種類が日替わりで変わるのも個性的なポイント。
「麺切り 白流」の自家製焼干しには、クロダイ、イトヨリ、レンコダイ、キンメダイ、チダイ、マダイ、キンキ、メバル、ヒラメ、カレイ、アカガレイ、スズキ、ハマチ、アンコウ、カンパチ、アジ、ムロアジ、サゴシ、クロムツ、サケ、カツオ、マナガツオ、ソマガツオ、カタクチイワシ、ゲンゲ、スモウ、ヤガラ、アルゼンチン赤エビなど、多種多様な素材が使われ、それらの特徴を余すことなく引き出す森下店主のセンスたるや。
それを再現した今回のファミリーマート限定商品「麺切り白流 焼干し中華そば」のパッケージには、店舗の入り口に立てられている日替わりボードをイメージしたデザインに、今回の焼干し「焼あご+さば節・イリコ・鯛・アジ」と記載。飛魚(あご)はトビウオの別称で、うどんの出汁(だし)やラーメンのスープにも使われている素材ですが、きちんと “焼干し” 特有の芳ばしさが感じられるのかどうかが見どころ。
さらに「麺切り 白流」の実店舗で使われている麺は、東海地方では珍しい加水率53%の超多加水自家製麺で、エースコックは以前に多加水麺の特化ブランドを展開していたこともある多加水ノンフライ麺に定評のある企業。その手のノンフライ麺を作らせたら、業界随一といっても過言ではないメーカーなので、ますます仕上がりが楽しみです。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」と後入れの「液体スープ」で合計2袋。ふりかけや粉末スープなどは別添されていませんが、容器側面(原材料名などが表示されている製品情報欄の下)には “魚介パウダー中に焼あごパウダーを使用しています” とあるため、どうやら液体スープの中に焼干しの遺伝子が組み込まれている様子。
麺は黄色みの強いノンフライ麺で、湯戻し時間は熱湯4分。たとえばCMで話題の明星食品「麺神(めがみ)」など、かなり強力なノンフライ麺がリリースされている近年。エースコックの多加水ノンフライ麺は “しっとりとした口当たり” と “スープなじみのよさ” が魅力的なのですが、今回は加水率53%の弾力を再現できているかどうかが注目のポイント。
ちなみにファミリーマート通常価格は258円(税込278円)と安くて高品質が売りのコンビニPB商品としては高めの値段に設定されているのですが、本格的な仕上がりに重点を置いたカップラーメンの値段が税込300円に到達することも珍しくない2020年12月現在、頭ごなしに高いとはいえません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:麺切り白流 焼干し中華そば 製造者:エースコック株式会社 製造所:関西滝野工場(兵庫県加東市河高1816-175) 内容量:105g(めん70g) 商品コード:4901071288822(JAN) |
発売日:2020年12月15日(火) 実食日:2020年12月16日(水) 発売地域:全国 取得店舗:コンビニ(ファミリーマート) 商品購入価格:278円(税込) ファミリーマート通常価格:258円(税別) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:460ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:2袋(液体スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、食塩、たん白加水分解物、大豆食物繊維、卵白粉)、スープ(しょうゆ、たん白加水分解物、ポークエキス、魚介エキス、食塩、砂糖、動物油脂、チキンエキス、植物油脂、魚介パウダー、香味油)、かやく(焼豚、メンマ、ねぎ)/ 加工でん粉、酒精、調味料(アミノ酸等)、炭酸Ca、乳化剤、カラメル色素、かんすい、酸化防止剤(ビタミンE)、香料、増粘剤(キサンタンガム)、カロチノイド色素、香辛料抽出物、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・さば・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、中身は焼豚を筆頭に、メンマ、ねぎとシンプルな構成。丸い焼豚は同社の縦型カップ麺に入っているような小さいサイズ、メンマも量が多いとはいえないものの、細長くカットされたフリーズドライのネギは印象的。このネギが後入れだと嬉しかったのですが、別添の小袋を増やすと必然的に値段も上げなければいけなくなるため、手に取りやすい価格も意識しての采配なのでしょう。
あとは熱湯を注いで4分間、別添の「液体スープ」は後入れなので、お湯を注いでから待っている間に小袋をフタの上で温めたあと、食べる直前に加えるのですが、液体スープを入れる際は “ノンフライ麺をほぐしてから” 加えて馴染ませるのがポイント。麺のほぐれにくさなどは気にならなかった反面、やはり具材のラインナップが寂しいところ——
ちなみに熱湯よりも液体スープを先に入れてしまった場合、麺が適切に戻らなくなってしまうため、かならず “液体スープは食べる直前に” 加えてください。それでは、引き続きノンフライ麺の仕上がりや焼干しの個性に注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(105g)あたり |
カロリー:303kcal たん白質:10.5g 脂 質:3.3g 炭水化物:57.9g 食塩相当量:7.2g (めん・かやく:1.8g) (スープ:5.4g) カルシウム:259mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:303kcal(めん・かやく:244kcal)(スープ:59kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
もうすこし加水率を高めたほうがいいかも
実店舗で使われている超多加水自家製麺は、店主の出身である「麺屋 白神」専用の小麦粉 “北の麦味” を使用しているらしく、一般的な中華麺の加水率は30~35%が標準とされているのですが、前述のように「麺切り 白流」の麺は加水率は53%と高めの設定。それは「うどん」のようにモチモチとした弾力と「中華麺」特有の喉越しを併せ持ち、茹でる前に手揉みしてから茹で上げているのも特徴的なポイント。
それを再現した今回のノンフライ麺は、角刃で切り出された扁平の平打ち麺で、サイズは中細。そこそこ加水率も高めに設定されているのですが、うどんのようにモチモチとした超多加水麺ではありません。どちらかというと、細身でありながら歯応えのある硬めの食感に重きを置いている、コシの強いノンフライ麺だったので、お店の「焼干し」系に使われているデフォルトの麺とは違う印象を受けます。
けれども実店舗では “お好みオーダー” として、各メニューの麺を「細麺」「太麺」「こんにゃく麺」に変更できるシステムを導入している、つまり今回のノンフライ麺は「細麺」でオーダーしたときの麺をイメージしているのかも——などと思いつつ、後述するスープを弾く性質を持っていたので、もうちょっと水分を多めに抱かせた若干の滑りを残す麺のほうが合うのではないかと感じました。
スープ
スープは素晴らしい
実店舗のスープは仕入れによって主役の焼干しが変わるため、スープの出来も日替わりなのですが、今回のカップ麺は全国共通で “いつ食べても” 焼あごがメイン。その魚介感は、どさっと魚粉を添加したような荒々しいものではなく、どちらかというとベクトルは出汁(だし)に傾いており、じっくりと丁寧に旨みを抽出したようなタイプ。
口に含むと芳ばしい風味が常に平行するのですが、鰹節や鯖節などの燻した芳ばしさとは違う、時間をかけて飛魚を焼いてから干したような芳ばしさ。それでいて全体としてはパウダーよりもエキスの旨みが前に出た仕上がりなので、とても奥行きのある味わい。
動物系はクセのない豚清湯(ちんたん)を軸に、骨よりも丸鶏から抽出したような鶏清湯を合わせ、タレには濃口しょうゆを使用。後味には焼あごパウダーに由来する個性的な芳ばしさだけでなく、それとは違う鯛やイリコ、アジの余韻が心地よい、きちんと印象に残るスープでした。
具材
具材は及第点
今回のモデルと思われる実際の「焼干し醤油そば」にトッピングされているのは、店主厳選の国産豚を炭火で焼いた後、低温で調理したチャーシューをはじめ、メンマ、ネギ、海苔とシンプルに構成されているのですが、トッピングの味玉を注文すると表面に網目状の焼き目が付けられた “焼味玉” が提供されるのも「麺切り 白流」を象徴する個性的なポイント。
対する今回のカップラーメンに焼味玉を再現したレトルト調理品などは別添されておらず、チャーシューはメーカー希望小売価格193円(税別)の商品に入っていそうな丸型の汎用具材で、なぜかメンマは砕けている端材のような部分が多かったのですが、細長くカットしてある白髪葱は効果的。とはいえコンビニ限定かつ税込278円の商品なので、もうすこし頑張ってほしかったです。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4)
「麺切り 白流」を象徴する加水率53%の超多加水自家製麺は再現されておらず、税込278円のコンビニPB商品として具材の寂しさも否めませんが、同店の焼干しを彷彿とさせる焼あごをはじめ、さば節・イリコ・鯛・アジが絶妙にブレンドされたスープは味わい深く、それについては印象に残りました。
とはいえ麺とスープの一体感や具材のラインナップなど、まだ伸び代の余白を感じたので、引き続きタイアップを続けながら、今後すこしずつブラッシュアップされていく様にも期待しています(author・taka :a)