どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年8月26日(月)新発売のカップ麺、日清食品「日清麺NIPPON 和歌山特濃豚骨しょうゆ」と “製造終了” の高級版「行列のできる店のラーメン 和歌山」の実食・比較レビューです。
「日清麺NIPPON」が「行列のできる店のラーメン」を吸収合併するかたちでブランドをスイッチ!!
新・旧 “2つの和歌山特濃豚骨しょうゆ” を実際に食べ比べてみた感想と経験に基づいて評価し、何が違うのか、どう変わったのか両者の違いを判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
麺NIPPON vs. 行列シリーズ【和歌山】
「日清麺NIPPON 和歌山特濃豚骨しょうゆ」とは、2019年8月最後の新商品として登場したニューフェイスで、2000年1月から発売されている「行列のできる店のラーメン 和歌山」の魅力と特徴を踏襲しつつ、より低価格で提供できるようにと生まれ変わったもの。今回の吸収合併により、事実上「行列シリーズ」の “カップラーメン部門は消滅” します。
2019年8月30日現在、日清食品の公式ウェブサイトに掲載されている現行のレギュラー商品は、チルド麺の2人前タイプ18品、1人前タイプ4品、レンジカップタイプ4品と合計26種類で、いずれも要冷蔵。このブランド自体は存続しますが、2000年1月の発売当初からレギュラーを張ってきた唯一の定番商品「和歌山」の終売を最後に、常温保存の即席カップめん版は終了しました。
まるで冷凍食品にスイッチした「日清具多(GooTa)」と同じ展開の今回、念のため日清食品に問い合わせてみたところ、今後「行列のできる店のラーメン」から常温保存のカップ麺を出す予定はないため、その認識で間違いないとのこと。原材料の高騰やノンフライ麺の改悪など、すこし息が苦しそうな行列シリーズだったので、もしかすると採算が合わなくなったのかもしれません。
では、いつまで行列シリーズの和歌山を製造・販売しているのか‥‥それについても確認を取ったところ、すでに “2019年7月には製造終了商品” になっていたらしく、現在市場に出回っている商品と最終生産分の在庫が無くなり次第、販売終了だそうです。いま手元にある「行列のできる店のラーメン 和歌山」の賞味期限は2020年1月9日、つまり2019年7月9日に製造されたもの。
カップ麺の製造日は “表示されている賞味期限の6ヶ月前” なので、2019年7月まで製造していたということは、現存する商品の最長賞味期限は2020年1月。カップ麺の場合、賞味期限が残り2~3ヶ月に差し掛かると安売りされるパターンが多いため、おそらく2019年11月以降は入手困難になり、ほとんどの店で売ってないかもしれません。
「行列のできる店のラーメン」が初めて発売されたのは、1996年(平成8年)9月。もともとチルド麺からのスタートで、カップラーメンタイプが発売された2000年1月。その2ヶ月後、現在も人気を博している高級ご当店カップ麺ブームの金字塔「セブンプレミアム 日清名店仕込み 一風堂 / すみれ」の2品が発売されます。
「行列のできる店のラーメン」とは、和歌山ラーメン(和歌山 中華そば)の中でも “こってりとした豚骨ベースの豚骨醤油味を再現するために開発された” シリーズで——みたいなことを以前、雑誌のインタビューか何かで読んだことがあるのですが、和歌山中華そばのスタイルは大きく分けて「豚骨ベースの豚骨醤油味」と「醤油ベースの醤油豚骨味」の2つに分類されます。
以前は醤油ベースを車庫前系、豚骨ベースを井出系などと他県から呼び分けられていた時期もありましたが、「麺NIPPON(めんニッポン)」に変わった後も「行列のできる店の」「特濃豚骨しょうゆ」とアイデンティティを踏襲。さらに「和歌山市観光協会 推奨」の認可も受け、豚骨ベースの豚骨醤油味を再現しているのですが、大きく違うのは値段。
開封
「行列シリーズ」の希望小売価格は税別290円なのに対し、「麺NIPPON」の希望小売価格は税別230円ということで、60円の値下げを実現しています。そして「粉末スープ」と「液体スープ」は “まったく同じデザイン” かつ “まったく同じ大きさ” で、若干「かやく」の小袋は行列シリーズのほうが大きく、 “麺NIPPONに移行後は「焼豚」が廃止” されました。
今回は別々の店で購入してしまったのですが、もし両方ともコンビニで購入した場合、値段は麺NIPPON=税込248円、行列シリーズ=税込311円で “63円” の差。それ以外の店舗ではピンキリなので、参考までに北近畿のローカルスーパーを例にあげると、麺NIPPON=税込189円、行列シリーズ=税込216円、同じ店舗で “27円” の差が生じています。
調理前のノンフライ麺は、真横に並べてみると入れ替えたら判断できないくらい瓜二つ(※ちなみに写真の左が「麺NIPPON」の和歌山で、右が「行列シリーズ」の和歌山です)。若干ながら “麺NIPPONの麺に付着しているオブラート状の成分が多い” のですが、原材料名は同じですし、熱湯4分なのも変わりません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:日清麺NIPPON 和歌山特濃豚骨しょうゆ / 行列のできる店のラーメン 和歌山 製造者:日清食品株式会社 製造所:関東工場(A)茨城県取手市清水667-1 内容量:124g(めん70g)/ 131g(めん70g) JANコード:4902105256404 / 4902105225202 商品サイズ:縦180mm×横180mm×高さ78mm 発売日:2019年08月26日(新発売)/ 2018年3月26日(リニューアル) |
麺の種類:ノンフライ麺麺(かんすい使用) スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:440ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:3袋 / 4袋 |
原材料名とアレルギー表示
【日清麺NIPPON 和歌山特濃豚骨しょうゆ】めん(小麦粉、食塩、植物油脂、チキンエキス、しょうゆ、卵粉、大豆食物繊維)、スープ(ポークエキス、動物油脂(豚、鶏)、しょうゆ、チキンエキス、ポーク調味料、糖類、小麦粉、たん白加水分解物、香辛料、チキン調味料、ポーク調味油、食塩、酵母エキス、植物油脂)、かやく(チャーシュー、魚肉練り製品、味付メンマ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、増粘剤(増粘多糖類、加工でん粉)、かんすい、香料、カラメル色素、炭酸Ca、pH調整剤、ソルビトール、乳化剤、酸化防止剤(ビタミンE)、カロチノイド色素、グリセリン、香辛料抽出物、ベニコウジ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
【行列のできる店のラーメン 和歌山】めん(小麦粉、食塩、植物油脂、チキンエキス、しょうゆ、卵粉、大豆食物繊維)、スープ(ポークエキス、動物油脂(豚、鶏)、しょうゆ、チキンエキス、糖類、小麦粉、たん白加水分解物、香辛料、ポーク調味油、食塩、酵母エキス、植物油脂)、かやく(チャーシュー、味付メンマ、ねぎ、魚肉練り製品)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、増粘剤(増粘多糖類、加工でん粉)、かんすい、香料、カラメル色素、炭酸Ca、pH調整剤、酸化防止剤(ビタミンE)、乳化剤、カロチノイド色素、グリセリン、香辛料抽出物、ベニコウジ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
どちらの「和歌山特濃豚骨しょうゆ」も “液体スープ以外は先入れ” で、必要なお湯の目安量は両者ともに440ml、製造所も日清食品の関東工場と一致します。粉末スープの香りを嗅ぎ分けてみても、調理前の香りは特に違いを感じません。けれども一見して明白に分かるのは焼豚のサイズで、麺NIPPON(左)は圧倒的に小さくなっています。
さらにメンマの数にも違いがあり、大量に入っている行列シリーズと比較して、麺NIPPONは3個と激減。ネギのタイプもランクが落ち、フリーズドライ系の小葱だった行列シリーズからエアドライ系のカラッカラな青ネギに変わっています。そして、もっとも気になっていたのは、ノンフライ麺の “ほぐれにくさは改善されているのかどうか” についてなんですけど――
ダメですね‥‥ぜんぜん変わってません。熱湯4分ちゃんと待ってもゴムっぽい弾力が不自然で、ほぐすのに一苦労でした。一見すると具材以外ほぼ変わっていないように思える2つの “和歌山特濃豚骨しょうゆ” ——その細かな違いに注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
【日清麺NIPPON / 行列のできる店のラーメン】
栄養成分表示:1食(124g / 131g)当たり カロリー:440kcal / 471kcal |
参考値(調理直後に分別して分析) 熱量:440kcal / 471kcal(めん・かやく:285kcal / 296kcal)(スープ:155kcal / 175kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
(行列のできる店のラーメン)
「行列シリーズ」のノンフライ麺が変わったのは、最終リニューアルの2018年3月26日。配合工程を見直したことで、より特濃スープが絡みやすくなったとアピールしていたのですが、いざ調理すると “いかんせん戻らない” のが最大のストレス。粉末スープが原因かと思い、先入れの粉末スープや具材も入れずに調理したこともあるのですが、ぜんぜん効果なし。
(麺NIPPON)
それは「麺NIPPON」になっても改善されておらず、ほぐし終わるのに要する時間も同じくらい。とはいっても最後まで完全にほぐれることはなく、端っこは4~6本ほど固まったままの状態になっている部分が多発していて、もちろん束になったままの部分を噛めば中まで戻っていないので硬いですし、よほど放置時間を延ばさない限り硬い部分は硬いまま。
エッジの効いた角刃でカットされているため、口当たりには輪郭があり、束になっていない部分は強めの弾力で美味しいです(★5)。ただ、ちょいちょい当たる半乾燥状態の食感が気分を萎えさせてくるので、まぁ60円も安くなったなら及第点かな――といったところ。ちなみに行列シリーズ目線で評価すると、希望小売価格に対して致命的な欠陥なので、麺単体の評価は★2です。
スープ
(行列のできる店のラーメン)
やや塩分濃度は高めですが、まったりとした豚骨の乳化感が重視されている豚骨寄りの豚骨しょうゆ味で、とろん‥‥とした口当たりが濃厚さを加速。チキンエキスや鶏の脂も含んでいるため、純粋な豚骨ベースのスープではないのですが、その比重は圧倒的に豚骨が優勢で、行列シリーズのスープは値段を加味しても評価は★6です。
(麺NIPPON)
巨大な焼豚や味付けメンマから滲み出る成分の有無があるため、完全に同じ味とは言えませんが、「行列シリーズ」の魅力はリニューアル後の「麺NIPPON」にも十中八九そのまま受け継がれていて、「特濃豚骨しょうゆ」は堂々と継続。油脂感やタレの濃さ、まったりとした豚骨の乳化感に至るまで、ほぼほぼ違いはありません。
むしろ麺NIPPONのほうが具材からの干渉(雑味)が少ない分、より直感的にスープの構図を伝えてくれるプラスの変化がありました。原材料名にポーク調味油とチキン調味料が追記されていますけど、たぶん食品表示法の改正に対応するための表示変更なので、スープ自体は “まったく変わっていない” という認識で大丈夫です。
具材
行列シリーズは巨大な厚切焼豚を筆頭にメンマとネギは大量、唯一まったく変わっていないのは花形ナルトのみ。なんといっても厚切焼豚を頬張った時の充足感は、そんじょそこらのチャーシューでは太刀打ちできない無双状態なので、もし希望小売価格の内訳が焼豚50円、メンマ・ネギ10円だとしたら、余裕で60円出します(★5)。
しかし、いざ厚切焼豚が無くなった時の損失は希望小売価格マイナス60円以上に大きくて、なんだか100円分くらい損した気分。具材がショボいとスープがクリアになる、というメリットは意外な収穫でしたけど、税別230円の具材としては頼りなさが否めませんでした。
せっかくなのでチャーシューを並べてみたところ、その差は2倍・3倍の話ではありません。スープの完成度に免じて具材の評価は及第点をつけましたが、今回のブランドスイッチによる最大の変化(劣化)は具材です(※1回目の実食では3個しか入っていなかったメンマですが、撮影なしで食べ比べた実食2回目の個体には7個以上入っていました)。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4)
結論、「行列のできる店のラーメン」時代と比較して “麺とスープは変わってない” です。あいかわらず戻りムラが気になるノンフライ麺は要改善、しかしながらスープのクオリティは一級品。裏を返せば290円の麺とスープが230円の商品で楽しめる状態なので、ある意味かなりコストパフォーマンスは上がっています。
しかし、それは具材の劣化を抜きにしての話。大判焼豚の撤退は想像以上のダメージで、大きなステータスとなっていた具材の劣化は著しく、圧倒的なスープの質を加味して総評は及第点以上としましたが、新・旧どちらの “和歌山特濃豚骨しょうゆ” も総合評価は同列です。今後、ノンフライ麺の改善が最大かつ迅速に対処すべき課題だと感じました。