どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年9月19日(木)新発売「宅麺.com」9周年特別記念商品「松戸家系ラーメン とみ田家(TOMITAYA)」の実食レビューです。
つけ麺の王者「中華蕎麦とみ田」店主・富田治氏が特別に創り上げた幻の限定商品 “究極の家系ラーメン” ついに登場!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、コストパフォーマンスも含めて総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
松戸家系ラーメン とみ田家
「松戸家系ラーメン とみ田家」(まつどいえけいラーメン とみたや)とは、実店舗を持たないインターネット上限定のラーメン店及びメニューの名称で、代表を務めるのは現代ラーメン界を牽引する巨匠・富田治(とみた おさむ)店主。そこで彼の定義する「これぞ家系ラーメン」を具現化し、ネット通販サイト「宅麺.com」だけの限定商品として販売されました。
「とみ田家」の家系ラーメンは、千葉・松戸の行列店「中華蕎麦とみ田」の店主が考える “王道かつ究極の家系ラーメン” を形にしたもので、有名ラーメン店の味を “そのまま冷凍して” 自宅に届けてくれるネット通販サイト「宅麺.com」のオープン9周年を記念したキャンペーンの一環として企画。他の販売経路では手に入らないですし、「とみ田」の本店及び系列店でも食べられない代物です。
宅麺.com(たくめんドットコム)とは、冷凍ラーメン及び冷凍つけ麺などの通信販売を行っているネット通販サイトで、井上琢磨氏が代表取締役社長を務める「グルメイノベーション株式会社」が運営。サービス開始は2010年7月14日、お店の厨房で作ったスープと実店舗で使用している麺を “そのまま冷凍して届ける” 斬新なシステムを導入したことで話題になりました。
今回の新商品「松戸家系ラーメン とみ田家」の情報が大手ニュースサイトなどで公になったのは、ちょうど発売1週間前の2019年9月13日。2019年9月現在、宅麺では「中華そば」と「つけそば(並盛・大盛・男盛)」で合計4種類の関連商品を完全受注生産で販売していますが、コンビニのチルド麺や再現カップ麺も含め、「とみ田」が家系ラーメンを商品化するのは初かもしれません。
もともと富田治氏は、田代浩二氏(現「麺屋こうじグループ」代表)から二毛作営業の草分け的ラーメン店「大黒屋本舗」の店長を任されており、昼は大勝軒系・夜は二郎系のラーメンを提供していたので、大勝軒と二郎インスパイア系にも精通しています。そして2006年6月5日、当時28歳で「中華蕎麦とみ田」を開業するのですが、お店の特徴は言わずと知れた超濃厚豚骨魚介スープ。
もしかすると本店または系列店で過去に家系の限定メニューを提供していた期間があるかもしれませんが、本店の基本メニューは「つけめん」と「中華そば」ですし、系列店の「松戸中華そば 富田食堂」では煮干の効いたラーメン、「雷 本店(かみなり)」では二郎系のメニューを展開しているため、現時点いずれもグランドメニューに「家系」は存在しません。
つけ麺の王者「中華蕎麦とみ田」が定義する “究極の家系ラーメン” とは、上質な国産ガラのみを厳選し、あえて骨の臭みが出ないよう細心の注意を払って炊き上げ、香り豊かな鶏油には親鳥と雛鳥を1:1で使用。醤油のパンチも最大限に出しつつ、一口目は塩っぱいと感じるスープを海苔、ほうれん草、白米と一緒に楽しむのが “富田治(とみ田家)流” とのこと。
(写真は関連商品の「つけそば」調理後)
麺も「とみ田家」のために開発したオリジナルの中太麺を使用しているそうですが、以前に関連商品の魚介豚骨つけ麺「つけそば」をレビューした際、作り方に書いてある調理時間どおりだと麺が茹で足りなかったので、茹で時間にも注意しながらレビューします(※関連商品「つけそば」の詳細につきましては、「中華蕎麦とみ田 つけそば」の記事をご参考ください)。
開封
宅麺の販売ページでは9月19日(水)17時販売となっていましたが、正しくは9月19日(木)。値段は税別980円、1回の注文につき2セット限定の条件付きで、2つ購入した際の合計金額は「本体価格980円×2+基本送料900円+注文数ごとの送料120円×2+支払手数料300円+消費税272円」で3,672円(代引き注文で1食のみ購入だと2,484円)にもかかわらず、発売開始当日から即入荷待ちの状態に。
松戸家系ラーメン「とみ田家」は、2019年7月から開催されていた宅麺9周年記念シリーズ第1弾「零一弐三(すうじ):濃厚煮干しまぜそば」、第2弾「地球(ほし)の中華そば:醤油そば」、第3弾「八咫烏:ラーメン(黒)」、第4弾「ちばから×すず喜:長谷川 信介(加齢)」に続く第5弾。すでに「とみ田家」が出た時点で、第1弾~第4弾すべて販売終了となっていました。
賞味期限は商品発送日から数えて40日間、今回の商品(ID:1235)に入っている小袋類は、「麺」「具入りスープ(チャーシュー)」「海苔」の3種類。けっこう海苔は大きいですし、こんな感じで冷凍配送してくれるのか——などと思いつつ、家系ラーメンに欠かせない絶対的マストアイテム “ほうれん草は入っていない” ので、それについては自分で用意しなければいけません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:松戸家系ラーメン「とみ田家」 製造者:心の味食品株式会社 製造所:千葉県松戸市松戸2304-7 内容量:540g(めん160g) 商品コード:4589695883434(JANコード) 発売日:2019年09月19日(木) |
麺の種類:冷凍生麺 スタイル:冷凍ラーメン 保存方法:要冷凍(-15℃以下) 調理時間:麺 3〜3分30秒 / スープ 15分 内容構成:麺・具入りスープ(チャーシュー)・海苔 |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】麺(小麦粉、塩、かん水、酒精、打ち粉(加工澱粉))具入りスープ(豚骨(背骨、ゲンコツ、肩骨)豚肉、豚脂、鶏、醤油、鶏油、調味料(アミノ酸等))海苔(原材料の一部に小麦、大豆、豚肉、鶏肉を含む) |
調理・実食開始
調理に必要な道具は、大きめの鍋2つ(「麺」を茹でるための鍋と「スープ」を温めるための鍋)、ザル、どんぶり、ハサミで、思いのほかハサミの存在が重要です。というのも、スープの入っている袋には左右に切り込みが施されているのですが、どうしても加熱後はヨレヨレになるし、地味に熱いし——で、ハサミけっこう重要だなと。
そして「麺」の茹で時間は冷凍のまま3~3分30秒、「具入りスープ」は沸騰させながら湯煎15分とタイムラグがあるため、その間にトッピングを用意します。作り方の紙に書いてあるオススメの具材は “ゆでほうれん草、長ネギ、海苔” の3つ。海苔は同梱されていますが(※自然解凍でOK)、ほうれん草は絶対にマストなので、これだけは面倒でも用意してください。
今回は元の味を壊さないように、茹でたホウレン草と輪切りにした長ネギだけトッピング。また「とみ田家」の家系ラーメンには白ご飯を “必ず用意の上、楽しんでいただきたい” と宅麺が押していたので、ご飯(白米)も用意しました。それでは、富田治氏監修ならではの個性やライスとの相性に注目しながら食べてみたいと思います。
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」の値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
家系ラーメンの麺は短めのストレート太麺が採用される傾向にありますが、松戸家系ラーメン「とみ田家」では一般的な長さの太麺を採用しています。中華蕎麦とみ田と同じ小麦粉(心の味)を——みたいな情報はありませんし、全粒粉が練り込まれた形跡もなく、もちもち感も控えめ。極太麺ではないけれど、家系より「二郎系」を洗練させたようなイメージが近いかもしれません。
形は縮れのないストレート、切刃は角刃でも肌は実に滑らかで、口当たりに攻撃性はありません。加水率は低く、小麦をギュッと押し固めたような歯応えから無骨な印象を受けますが、中盤以降の内側から弾けるような弾力が面白いポイント。やや小麦の香りはスープに押され気味ではあるものの、湯伸びしにくいためライスと麺を行ったり来たりできますし、弾力の変化も素直に楽しめます。
茹で時間は3分30秒で「かため」、フライングのタイミングを見定める必要はありません。ちなみに1食分の麺に対して4リットルくらいの熱湯を用意し、強火で3分半きっかり茹でた結果です。もし片手鍋で調理するのであれば、4分くらいがいいかもしれません。茹で上げ前の麺量は160gと特別に多いわけではないけれど、強靭なコシの強さから食べ応えバッチリでした。
スープ
まずスープ表面の油膜(動物油脂)が強烈で、トッピングいっさい無しの状態でも “まったく湯気が立たない” ほどの量(※使用した丼のサイズは大きめのW19×H10.5cm)。まず豚脂(ラード)の芳ばしさが強く、いい意味で豚臭い動物系の香りが漂ってきて、その奥から上がってくる鶏油(チーユ)の風味が家系らしさを思わせますが、体感的には7:3以上の割合で豚脂が優勢。
油膜の下にあるスープは一口目ちょっと塩っぱくて、背脂でコクを深めつつ、なるほど白飯必須にも納得のキレを感じる醤油寄りの醤油豚骨味。ただ、家系の総本山「吉村家」のようにチャーシューから滲み出るスモーク感はなく、「中華蕎麦とみ田」では中核を担う魚介系の素材も不使用で、思いのほか土台のスープは乳化していません。
使用している豚骨の部位はゲンコツ(豚の脛骨や大腿骨)と背骨、さらに肩骨からも旨味を抽出。鶏ガラは上質な国内産で、油脂の癖は強めでも “骨の臭みは控えめ” なのが独特。大量のガラを大釜で炊き出したような荒々しさは得られない反面、「とみ田」らしく厳選した素材を徹底した管理のもと、じっくり低温で旨味を引き出しているようなイメージ。
それらを大きく混ぜた後は、分離していた上層のアブラが下層に溶け込んで乳化状態になり、油脂が醤油のエッジを適度に包みますが、味のフォーカスはボケません。とても作りはシンプルで、化調のアタックも雑味が目立たない絶妙な効かせ方。たしかに家系らしい太さとジャンクな中毒性を備えつつ、どこが後味に “品” を残すのが「松戸家系」の特徴だと感じました。
具材
分厚いチャーシューは2枚、おそらく部位はバラ肉で脂身がジューシー。調理方法は煮豚(にぶた)ではなく焼豚(やきぶた)で、明らかに “切ってから炙っている”のが分かるほど、口に入れた瞬間に鼻腔を駆け抜ける芳ばしさは特筆ものです。それから白ネギ(自前)のシャープな清涼感には “ほうれん草と同等の価値” を感じたので、ネギが大丈夫なら絶対に入れてください。
海苔の大きさは全型(規格サイズ21cm×19cm)を4等分にした四切の大判で、しかも3枚。たっぷりと濃いめのスープを染み込ませ、麺を優しく包み込むようにして食べる、または白ご飯にのせて頬張るのが定番の食べ方です。4切サイズの大判なので、麺に巻いても余裕がありますし、とうぜん白ご飯との相性も申し分ありません。
家系ラーメンを象徴する上で欠かせない存在であり、松戸家系スープとの相性も抜群。今回の場合、海苔は限界までスープに浸しておいて、最後に白ご飯と一緒に食べることを激しくオススメします(おにぎりや手巻き寿司とは逆に “海苔の裏面(ざらざらの面)を表にして食べる” とスープの旨味を感じやすくなるので、気は心ですが意識してみてください)。
そして、家系でのホウレン草は “スープを楽しむための媒体” としても機能する重要な存在——サッと茹でるのではなく、あえてクタッ‥‥となるくらい柔らかめに茹でるのが美味しい食べ方のポイント。そのまま食べてスープのパンチをガツンと楽しむのもよし、麺に絡めて舌触りにニュアンスを与えるのもよし、たっぷりスープを含ませて白飯にバウンドさせるのも醍醐味。
アツアツごはんにのせたらホウレン草の風味がフワッと際立つので、美味しさも倍増です。他、スープの味が濃かったので、茹でモヤシと茹でキャベツでヤサイマシマシも合いそうですし(ジャンル変わりますけどw)、微塵切りにした生の玉葱も家系ラーメンでオススメのトッピング。さらに味玉やウズラの卵など、好きな具材で自由にカスタマイズできるのも家ラーメンの魅力ですね。
もし余裕のある方は、事前に家系の定番サイドメニュー “キャベチャー” を用意してトッピングするのもオススメ。キャベチャーの作り方は、ざく切りキャベツと細切れのチャーシューに、醤油・ごま油・酢・胡椒・砂糖(お好みで豆板醤、おろしニンニク、おろし生姜)それぞれ少しずつ入れて、ざっくり和えたら30分くらい放置すれば完成です。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5+)
2000年に埼玉・川越で「頑者(がんじゃ)」が火をつけた “またおま系” というジャンル、その頂点に君臨する「中華蕎麦とみ田」が具現化した “松戸家系” ラーメン「とみ田家」は、 “ほうれん草と白ねぎさえ用意すれば名店のクオリティに匹敵” します。ただし、ほうれん草がないと家系であることを特定するための決定打が弱い——という側面もありました。
それは同時に「松戸家系」のオリジナリティが表現されている部分でもあり、ほうれん草、長ネギ、白ご飯を用意した状態であれば、送料などの諸費用込みでも満足度は★6のライン。硬派な家系ラーメンではないけれど、つけ麺の王者 “とみ田の家系” なかなか興味深い内容でした。「松戸家系」は期間限定ですが、通常の「つけそば」もクオリティが高いので、ぜひチェックしてみてください。