どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年6月3日(月)リニューアル新発売のカップ麺、東洋水産「マルちゃん 俺の塩 うまみ塩焼そば」の実食レビューです。
カップ塩焼そばのパイオニア「俺の塩」を長年支えてくれていた名脇役、ついに——
「俺の塩」はリニューアルで何が変わったのか、どっちが美味しいのか、リニューアル前後の商品を同時に食べ比べて違いを比較し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
マルちゃん 俺の塩 2019年リニューアル
「俺の塩」とは、マルちゃんこと東洋水産が製造・販売している塩味のカップ焼そばシリーズで、初めて発売されたのは1997年(平成9年)7月。2019年8月現在から約22年以上も前に「俺の塩」の歴史は始まり、その当時まだ既存品には存在しなかった “業界初” の塩焼きそばをテーマに開発された、カップめん界における塩焼そばの草分け的存在です。
今回のリニューアルで何が変わったのかというと、まず大きく違うのは外装フィルムの商品パッケージ。「俺の塩」のイメージである「海」を全面に出したデザインに刷新され、以前の “どーん!” とエフェクトが効いた商品パッケージから雰囲気が一変しているのですが、リニューアル前と後の違いは外見だけではありません。
新パッケージにも小さく “ソースには赤穂の塩使用” と記載されているので、とりあえずリニューアル後のソースにも「赤穂の塩」は引き継がれている模様。また海鮮の旨味を効かせた「うまみ塩焼そば」という味の特徴や「熱湯1分で戻る細麺を合わせ、さらなる簡便性を追求したカップ入り焼そば」というコンセプトも変わっていませんが、俺たちの「貝柱風かまぼこ」が消えました。
「貝柱風かまぼこ」とは、「ほたて風味かまぼこ」または「貝柱様かまぼこ」など、時代によって公式の呼び名が変わっているのですが、いずれもホタテの貝柱をイメージした魚肉練り製品で、本物の貝柱ではありません。けれどもブランドのアイデンティティを構築する上で必要不可欠と言っても過言ではない、とても特徴的な具材でした。せっかくなので、軽く「俺の塩」の歴史を振り返ってみましょう。
上記の写真が前回のパッケージで、これは2014年11月10日にリニューアルされた時のデザイン(※まだヤカンに取っ手なし)。冒頭でも触れたように「俺の塩」の歴史は1997年から始まるのですが、その源流をたどると1979年(昭和54年) 3月に発売され、現在は東北・信越エリアでのみ販売が継続されている「焼そばBAGOOOON(バゴォーン)」が実はシリーズの前身に当たります。
「焼そばバゴォーン」の発売当初、アメコミ風のパッケージに銃声を商品名にしたインパクトのあるデビューでしたが、全国的な営業力は弱く、その代替商品として1996年に「昔ながらのソース焼そば」を開発。「焼そばバゴォーン」は比較的に営業力の強かった東北・信越エリア限定商品に切り替え、全国版「昔ながらのソース焼そば」の “姉妹品” として「俺の塩」が開発されました。
シリーズ第1作目となる初代のパッケージは「赤色」で、「今どきの焼そば」「初めてだゼ! 塩味の効いた、俺たちの焼きそば」と、流行に敏感な若者向けのキャッチーなフレーズで訴求した結果、発売当初の計画より30%増となる販売数量を記録して大ヒット商品に。翌1998年には自然塩ブームの影響で「赤穂の粗塩」を採用しているのですが、当時まだ赤穂の塩は期間限定で、湯戻し時間も熱湯1分ではありません。
「俺の塩」も最初は熱湯3分、1998年に発売された「俺の塩 90」から既存のカップ焼そばとしては異例の熱湯90秒を実現し、さらなるスピードを求めて熱湯80秒になったのは、2000年発売の「俺の塩 2000GT」から。当時そのパッケージには不朽の名車「トヨタ 2000GT」をデザインし、その後も東洋水産はアクセルを緩めることなく踏み続け、ついに2002年発売「新・俺の塩(青塩)」から熱湯60秒(1分)の領域に到達します。
2002年の刷新でソースが1袋になり、チキンスープ付きの「赤塩」も発売されたのですが、そちらはファンから不評‥‥というわけで、翌2003年にはスープ付きを廃止。液体ソースと粉末ソースのWソース式に回帰して、2008年(平成20年)5月19日のリニューアルまでは “瀬戸のほんじお” を使用していたのですが、それ以降は現在の「赤穂の塩」が定番になりました。
開封
(左:リニューアル前 / 右:リニューアル後)
そして2019年6月3日、およそ4年半ぶりとなる「俺の塩」のリニューアル。別添の小袋は「液体ソース」と「粉末ソース」のWソースを踏襲し、先入れの「かやく」と小袋の構成の前回から変わっていません。しかも液体ソースと粉末ソースは “まったく同じ色・同じデザイン” となっているのですが、かやくの小袋は色が変わっています。
そもそも「俺の塩」は “なぜ熱湯1分” なのか——それはカップ塩焼そばのパイオニアであるがゆえ、常に新しいことへの挑戦心が生んだ結果なのかもしれませんし、もはや意地になっていただけなのかもしれませんが、リニューアル後も熱湯1分のスピード調理が可能な油揚げ麺で、調理前の見た目やサイズ、香りも変わっていません。
どちらも外装フィルム(容器側面)の賞味期限右端に「M8」という製造所固有記号の表示があり、これは兵庫県神戸市にある東洋水産の自社工場「関西工場」(兵庫県神戸市西区見津が丘6丁目8番)を意味していて、マルちゃんの大盛カップ麺ブランド「でかまる」や廉価版の「ごつ盛り」、「俺の塩」シリーズなどを製造している工場です。
今回のリニューアルに合わせ、「俺の塩 梅かつお味」という期間限定の新商品も同時に発売。まだリニューアル前の商品を取り扱っているスーパーやドラッグストアもありますし、東洋水産の公式ウェブサイトに旧商品の製品情報も残っているのですが(2019年8月現在)、引き続きリニューアル前の商品も継続して販売、という線は薄いでしょう。
製品詳細情報・購入価格等(リニューアル後)
製品名:マルちゃん 俺の塩 販売者:東洋水産株式会社 製造所:関西工場(M8) 内容量:121g(めん100g) 商品コード:4901990363341(JANコード) 商品サイズ:縦158mm×横178mm×高さ60mm 発売日:2019年06月03日(月) |
麺の種類:油揚げ麺(かんすい使用) スタイル:角型レギュラー・標準サイズ 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:560ml 調理時間:熱湯1分 小袋構成:3袋(液体ソース・粉末ソース・かやく) |
原材料名とアレルギー表示(リニューアル後)
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、精製ラード、食塩、しょうゆ、卵白)、添付調味料(植物油、砂糖、乳糖、食塩、ポークエキス、粉末野菜、こんぶエキス、しょうゆ、香辛料、ポーク風味パウダー、魚介エキス)、かやく(キャベツ、かに風かまぼこ、きくらげ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、酒精、増粘多糖類、かんすい、乳化剤、酸化防止剤(ビタミンE)、クチナシ色素、カラメル色素、酸味料、香料、ベニコウジ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部にえび・かに・小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・豚肉を含む) |
【本品原材料に含まれているアレルギー物質】えび・かに・小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・豚肉(特定原材料及びそれに準ずるもの) |
実食開始
リニューアル前の麺量は100gと期間限定のレギュラーサイズ(めん90g)よりも多く、湯切りの後は液体ソースを入れて馴染ませ、それから粉末ソースを混ぜ合わせます。どうしても実食中は後半にかけて麺がモタつくというか、水分の蒸発が早いので、ほんのちょっと湯切りの時に湿気を残すのがポイント。
ちなみにリニューアル前の商品は、定番カップ焼そばの中でもマイランキング(※完全主観)塩部門では “最強の一杯” に位置しているので、おそらくバイアスの強さから正当に評価できないと思い、これまで変わり種ではない定番品をちゃんとブログで評価したことはありませんでした。
同じくリニューアル後の麺量も100gと変化なく、調理中の香りも一緒。小袋の構成や調理手順も同じなんですけど、かに風味かまぼことバトンタッチしたことで見た目の雰囲気は大幅に変わりました。それでは、食感や味の違いにも注目しつつ、「めん」「ソース」「具材」の順に解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(121g)当たり
熱 量:584kcal(カロリー) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
原材料名上では「醤油」が「しょうゆ」と漢字から平仮名になり、小麦粉の横に「(国内製造)」の文字が追記されていますが、麺そのものは変わっていません。ちゃんと熱湯1分で戻る歯切れのいい細麺で、精製ラード特有の芳ばしい香りが強いのも東洋水産が手掛けるカップ焼そばシリーズに共通するポイントです。
この麺は「俺の塩」専用というわけではなく、たとえばセブン&アイグループ限定の熱湯1分やきそばシリーズなどにも汎用しているのですが、細いわりに精製ラードの芳ばしさで自己主張は強く、ちょっとインスタント感が人を選ぶ麺かもしれません。ただ、その風味も「俺の塩」のソースと合っているので、むしろ魅力に思えます。
ちなみに「小麦粉(国内製造)」というのは、あくまで文字どおり “国内で最終加工していること” を意味しているため、日本国産の小麦を使っていることを証明しているのではありません。「俺の塩」の油揚げ麺に使用されている小麦の原産国は、 “アメリカ、オーストラリア、カナダ、日本” です。
ソース
まずリニューアル前のソースと原材料名を比較してみたところ、食品表示法に基づく食品表示基準の改正に対応すべく、麺と同じように「醤油」が「しょうゆ」になっていたり、「たん白加水分解物」の原料が動物性の「ポーク風味パウダー」だったことが明記されていたり、そのような変化は生じているのですが、ほぼ味は同じです。
液体ソースは意外と油分が多く、ちょっと粉末ソースは混ぜにくいのですが、それを開封した瞬間の “そうそうこれこれ” のルーツも同じで一安心。今回の記事を公開する上で、念のためにリニューアル直後、その1ヶ月後、そして本日と3回食べ比べてみた結果、ちょっと胡椒が強くなったような‥いや、そうでもないか‥といった誤差の範囲内。
7、8年ほど前から徐々に胡麻油の香りが落ち着き、動物系の重心が低くなっているのですが、オイルの主成分はサラッとした植物油。ホタテ(魚介エキス)の原材料に占める割合は微量でも昆布の旨みが強く、何味かと聞かれたら間違いなく “海鮮しお味” で、複雑な旨みのフレームワークも変わっていません。赤穂の塩による恩恵か、塩のアタリがマイルドなのも特徴ですね。
具材
原材料の高騰が相次ぐ中、おそらくそれが理由で「貝柱風かまぼこ」から「かに風かまぼこ」に変更される——という大きな変化が生じており、しれっと人参も姿を消しています。キャベツとキクラゲは中国産で、リニューアル前から変わっていませんが、ちょっとキャベツの量が減ったような気がしないでもありません。
コリコリ食感の大きなキクラゲは引き続き好印象、ちゃんと1分で全部の具材が戻るのも評価できるポイントです。また大きなカニカマが視覚に訴えてくる効果は高く、数も6個と賑やかではあるものの、1分で戻るように製造しているせいか中身はスカスカ。風味はカニカマっぽいものの、小柱かまぼこの代打としてはガクッと見劣りが否めません。
リニューアル前の具材はキャベツ、貝柱風かまぼこ、きくらげ、人参の4種類で、この貝柱風かまぼこの原材料は、エソ(タイ・インドネシア産)、たら(日本産)、たちうお(中国産)といった白身魚が主体。人参は「黒い豚カレーうどん」と同じもので、クタクタな食感なんですけど甘みが強く、実はフランス産だったりします。
それからリニューアル前の製品に含まれていたアレルギー物質は7種類(えび・小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・豚肉)でしたが、魚肉練り製品とはいえ「かに風味」。ちゃんとカニ由来の成分を使用しているようで、特定原材料の「かに」が新たに追加されていました(ちなみに主な原材料は日本産のタラ)。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5+)
麺は変更なし、あいかわらず海鮮しお味のソースも絶品でしたが、小柱っぽくて個性的だった魚肉練り製品の脱退に大きなアイデンティティの損失が否めません。また予想以上に膨れ上がったカニ風味かまぼこにはインパクトを感じた反面、実際に食べるとスカスカで水っぽいのも残念なポイント。しかしながら麺とソースは品質を維持してくれていたので、それについては安心しました。
貝柱風かまぼこに未練などサラサラないわ! という方であれば引き続きご愛顧いただけますし、貝柱風かまぼこに未練タラタラな私でも麺とソースの完成度については手放しに好印象だったので、具材以外の項目についてはご安心ください。消費税率10%も目前、なんとか引き続き麺とソースのクオリティは維持してもらえるように願っています。