どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2022年2月21日(月)新発売、東洋水産のカップ麺「マルちゃん 本気盛 貝だし塩そば」の実食レビューです。
マルちゃん主催『Ramenグランプリ2021-2022 ~あなたのいいねがカップ麺になる~決定戦!』にて “スープ飲み干したくなる部門” の優勝に輝いた「だし廊 -DASHIRO-」のエントリーをカップラーメンで再現!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
本気盛×だし廊 貝だし塩そば
『Ramenグランプリ2021-2022 ~あなたのいいねがカップ麺になる~決定戦!』とは、楽天グループ協力のもと “ラーメンファンの「食べてみたい」を叶える” ことをコンセプトにしたユーザー参加型企画で、マルちゃんのブランドで知られる東洋水産が発起人。ざっくりとした印象としては、Yahoo!特別企画『最強の次世代ラーメン決定戦!』のRakuten版という認識で問題ありません。
今回も『Ramenグランプリ2020』と同様に4つの部門(「スープ飲み干したくなる部門」「白飯欲しくなる部門」「異種格闘技部門」「これでもかと絡めたくなる部門」)を設け、全国の飲食店に参加を募り、1次審査(書類選考)で各部門のエントリーを5店舗ずつ選出。それを楽天Infoseekに掲載後、同ポータルサイトあるいはTwitterのユーザーが “食べてみたい” と思う味に投票し、優勝が決まる企画です。
今回の新商品「本気盛(マジモリ)貝だし塩そば」は、前述の『Ramenグランプリ2021-2022』における “スープ飲み干したくなる部門” で優勝に輝いた仙台の名店「だし廊 -DASHIRO-」監修のもと、3種の貝(ホタテ・シジミ・アサリ)から引き出した旨みを特徴とする「貝だし塩そば」を再現したカップラーメンで、がっつり食べられる「本気盛」を媒体に商品化。
同時に1次審査を通過した強豪「麺屋 白神(岐阜県関市・Clear豚骨煮干し魚醤そば」「SOUPNUTS(徳島県徳島市・潮風レモン)」「そばる(鹿児島県鹿児島市・水出し煮干し出汁の山椒味噌ラーメン)」「麵屋 ようすけ(栃木県佐野市・昆布と煮干しの背脂塩ラーメン)」も名を連ねていましたが、初のエントリーにして「だし廊」が優勝し、カップめん化の権利と賞金100万円を勝ち取りました。
だし廊(DASHIRO – だしろう)とは、だしソムリエの資格を持つ店主・原田佳和(はらだ よしかず)氏が立ち上げたラーメン店で、2016年7月11日にオープン。その屋号が表しているように、とにかく出汁(だし)に対しての “こだわり” が強く、創業わずか1年で『ミシュランガイド宮城特別版』に選出され、地元のラーメン情報誌『ラーメンWalker宮城』でも2年連続1位で殿堂入りした実力の持ち主。
当初は宮城県仙台市青葉区東勝山に店舗を構えていましたが、2017年9月29日に「本店」を宮城県仙台市青葉区一番町に移し、以降は仙台市内にジャンル別の専門店「だし廊 -NIBO-(煮干し専門店)」「だし廊 -Mix-(だしのブレンド店)」「だし廊 -BUSHI‐(節専門店)」を矢継ぎ早に立ち上げ、各店の味を集めた「だし廊 -GoLD-」を仙台空港に出店するなど、破竹の勢いで成長しています。
だし廊という個性的な名前の由来は、だしソムリエが魅せる「だし」のギャラリー(回廊)にちなみ、カップ麺のモデルになった「貝だし塩そば」も “貝のUMAMI” がテーマ。ホタテ・シジミ・アサリから引き出した3種混合の貝だしに、東北らしさを演出する多加水の平打ち縮れ麺を合わせた一杯で、実際の「貝だし塩そば」では “トリュフオイルを加えると洋風なスープに味変できる” というのも見どころ。
東洋水産のニュースリリースにトリュフの文字は見当たらないので、そこまで再現されているのかどうかは食べてみるまで分かりませんが、スープの商品特徴には “ホタテ・あさりとチキンの旨味に鶏油が香る-・” と記載。また数年前と比較して、近年の「本気盛」における油揚げ麺のクオリティは格段に上がっているものの、貝だしと衝突していないかどうか、そこも注目すべきポイントになります。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、フタの上に貼り付けてある後入れの「特製油」が1袋。名称が特製スープではなく “特製油” となっているため、おそらくタレに該当する成分は入っていません。ここにトリュフオイルが入っていると個性的で面白いのですが、ひとまず東洋水産のニュースリリースには鶏油(ちーゆ)の文字があったので、特有の芳ばしさに期待したいところ。
開封後もトリュフに関連する要素は見当たらず、香りは海産物よりも味付豚肉に由来する動物系の力強さをフロントに感じるのですが、ひとまず印象としては悪くありません。かやくの内容は味付豚肉、メンマ、ねぎ、玉ねぎの計4種。いずれも過去の商品に使われてきた汎用の具材だと思うので、おそらく新開発ではないけれど、東洋水産の味付豚肉といえばリアルな質感に定評があります。
メーカー希望小売価格は220円(税別)なので、2022年2月の縦型ビッグ製品における標準的な値段。販売店はCVS(コンビニエンスストア)を中心に、量販店や一般小売店など、販路を限定しないNB(ナショナルブランド)商品です。ちなみにコンビニ大手4社の中では「ローソン」と「ミニストップ」での取り扱いを確認済みで、税込価格は相場通り、232円での販売でした。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん 本気盛 貝だし塩そば 販売者:東洋水産株式会社 製造所:株式会社酒悦 房総工場 内容量:102g(めん80g) 商品コード:4901990370776(JAN) |
発売日:2022年02月21日(月) 実食日:2022年02月26日(土) 発売地域:全国 取得店舗:コンビニ(ミニストップ) 商品購入価格:232円(税込) 希望小売価格:220円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ+紙 湯量目安:440ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:1袋(特製油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、食塩、卵白)、添付調味料(植物油、魚介エキス、チキンエキス、食塩、鶏脂、粉末野菜、こんぶエキス、しいたけエキス、香辛料)、かやく(味付豚肉、メンマ、ねぎ、たまねぎ)/ 調味料(アミノ酸等)、加工でん粉、炭酸カルシウム、かんすい、増粘多糖類、レシチン、酸化防止剤(ビタミンE)、クチナシ色素、香料、カラメル色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
実食開始
麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は熱湯4分。形状は実際の「貝だし塩そば」に倣った幅広の平打ち麺で、ランダムな縮れが施されているのですが、雰囲気としては沖縄そば系の商品に使われる油揚げ麺と似ています。楽天Infoseekでは本物の麺について “東北らしさを演出する多加水の平打ち縮れ麺” と紹介されていたので、福島(喜多方)あたりの多加水麺をイメージしているのかもしれません。
別添の小袋は後入れなので、お湯を内側の線まで注ぎ、フタの上で小袋を温めながら待つこと4分。時間になったら粉末スープを完全に溶かし、小袋の中身を加えたら、よく混ぜ合わせて出来上がり。見た目は本物の「貝だし塩そば」に及ばないものの、味付豚肉を筆頭に意外と香りはワイルドで、玉ねぎの香りも印象的。
ちなみに製造所は株式会社酒悦の房総工場(千葉県長生郡長南町美原台1-34)となっていますが、酒悦は1983年(昭和58年)7月から東洋水産の商品を多数製造している連結子会社なので、同社の房総工場については “マルちゃんの工場” という認識で問題ありません。それでは、引き続き貝だしのUMAMIに注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(102g)あたり |
カロリー:475kcal たん白質:9.9g 脂 質:23.1g 炭水化物:56.8g 食塩相当量:7.0g (めん・かやく:2.0g) (スープ:5.0g) ビタミンB1:0.49mg ビタミンB2:0.44mg カルシウム:184mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:475kcal(めん・かやく:395kcal)(スープ:80kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
再現度は低いかも‥‥?
沖縄そばをイメージした油揚げ麺ほどの強付きではないけれど、その延長線上にあるような仕上がりで、加水率は中程度〜やや低めに感じる設定。カップうどんに使われる和風タイプの油揚げ麺とも形状が似ているように、それっぽい印象が無きにしも非ずではあるものの、ひとまずスープとの相性は悪くありません。
楽天Infoseekで紹介されていた特徴と比較した場合、なかでも加水率の設定については大きなギャップを感じるのですが、手打ち風の不規則な縮れは面白く、幅広でも厚みのない形状なので、ピロピロとした口当たりが印象的。なんかこう、20年以上前の「赤いきつねうどん」を思い出すというか、あくまでもイメージですけど、そんな感じの口当たりです。
原材料に梘水(かんすい)を使用しているため、うどんとは異なる歯切れを備えているのですが、それでも体感的には “カップうどんっぽい” という印象が残るかもしれません。つまり、たとえば喜多方エリアの多加水麺とも異なるのですが、口当たりの躍動感と歯切れのよさがクセになる感じだったので、これはこれと割り切れば悪くありませんでした。
スープ
他の旨みに貝だしがマスキングされてる
土台にはホタテの膨よかな旨みがあり、それとは異なるベクトルからアプローチをかけてくるアサリの下支えも印象的なのですが、それ以外の旨みが “うるさい” ですね‥‥。たとえば油揚げ麺から滲み出る特有のコクに、具材の味付豚肉や玉ねぎなど、それらがスープに多角的な旨味を醸しているのですが、同時に貝だしをマスキングしています。
舌の脇に特有のエグミを残すほど強烈な貝だしであれば「本気盛」にも通用したと思いますが、そこまで貝だしの主張が強いわけではなく、舌の脇に-・といえばアサリよりもアッタクの強いシジミの主張は見えてこないのと、本物の「貝だし塩そば」にトッピングされているムール貝についても意識されていません。
そこに加える「特製油」は透明で、トリュフを想起させる要素はなく、鶏油の当たりも強くありません。別添のオイルを加えた途端、二枚貝特有の旨みが強くなるのは面白いポイントだったのですが、それよりも化学調味料に由来するピリピリとした刺激と雑味、さらに塩味も目立つので、だいぶ荒削りな印象を受けます。
たとえばトリュフ香るムール貝をイメージし、特製油にトリュフ香料を仕込むなど、なにか突出したインパクトを持たせれば印象も変わったと思うのですが、スープの原材料はシンプルなのに、貝だし以外の情報量が多すぎて‥‥みたいな。でも、媒体となった「本気盛」のイメージ的に、ここらへんがベストな着地点だったのかもしれません。
具材
具材の質は高いのだけど‥‥
味付豚肉は成型肉ではなく、ちゃんとした豚肉に味付けを施したもので、風味・質感ともにリアル。ただ、ひとつ前の項目でも触れたように、スープの味に影響する部分が大きかったので、貝だしを際立たせたいのであれば、ふんわり食感の鶏団子でもよかったかなと。メンマはコリコリと歯触りが強く、特有の発酵感がスープに滲んでくるものの、こちらについてはスープと衝突する嫌いを見せずに好印象。
さらに刻み玉ねぎも香味が強く、これが入っている東洋水産のカップ麺は無条件に美味しいと感じてしまうんですけどw スープに滲み出る風味のわりに量は多くありません。ほとんど底に沈んでいたので、シャキシャキとした食感を楽しみたい方は、定期的に混ぜながら食べることをオススメします。
総評
土台に貝の旨みを感じる塩味のスープだったので、商品名を間違えているわけではないのですが、それ以外の旨みもゴチャゴチャと‥‥。いや、もちろん単純に美味しいかどうかでいえば美味しいカップラーメンなんですけど、芳醇な貝だしをストレートに打ち出していわけではなかったので、だいぶデフォルメされているように感じました。
スープに干渉する具材を省き、もっとストレートに(なんだったら貝特有のエグ味を感じるくらい)貝だしを全面に押し出すとか、トリュフオイルを使用したムール貝のペーストを意識させる個性を忍ばせるとか、現在の仙台を代表する「だし廊」ならではと思えるポイントを尊重してほしかったです。繰り返しますが、単純に味だけでいえば「おいしい」ですよ【author・taka :a(大石敬之)】