どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年1月10日(火)新発売、ファミリーマートのカップ麺「鹿児島ラーメンくろいわ 揚げネギ豚骨」の実食レビューです。
昔ながらの味わいを頑なに守り続ける鹿児島の老舗「くろいわラーメン 本店」監修によるカップラーメンが初の “ファミマル” になって数年ぶりに全国展開!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
くろいわ 揚げネギ豚骨
くろいわラーメン(味のくろいわ)とは、1968年(昭和43年)の創業以来、鹿児島きってのラーメン激戦区として知られる “天文館通” に本店を置き、不動の地位を築き上げた鹿児島ラーメン界のレジェンドで、近隣には「こむらさき」や「豚とろ」「我流風」といった有名店が犇めく(ひしめく)中、鹿児島ラーメンのスタンダートといえば「くろいわ」の名が真っ先に挙がるほど。
今回の新商品「鹿児島ラーメンくろいわ 揚げネギ豚骨」は、鹿児島で愛される本場の名店「くろいわラーメン 本店」の味わいを再現したカップラーメンで、製造は即席カップめん業界最大手の日清食品。以前から定期的にリリースされている「くろいわ」監修のカップ麺ですが、近年は一部の地域限定発売だったのに対し、2023年の販売店は “全国のファミリーマート” ということで、ファン待望の展開です。
「くろいわ」監修のカップ麺が初めて発売されたのは、現在を遡ること16年以上、2006年(平成18年)11月7日の話。その当初から製造は一貫して日清食品の担当で、記念すべきコラボ第1弾は “誰もが通いたくなる天文館通りの老舗” をキャッチフレーズに、全国のファミリーマート約6,900店舗(2006年10月時点)を対象に売り出されました。
その後もコラボは続き、直近だと2022年1月11日(火)にも「鹿児島くろいわ 揚げネギ豚骨ラーメン」というタイトルのカップラーメンを発売していましたが、東北・関東・東海・北陸・九州・沖縄のファミリーマート店舗限定だったので、それ以外の地域(昨年だと北海道・関西・中国・四国)では入手が難しく、このブログでも泣く泣くスルーすることに——。
というわけで、パッケージにもある “コク深い豚骨の風味でさらに美味しく” については比較できないのですが、くろいわ監修シリーズとしては初の「ファミマル」になり、なおかつ販売対象店舗も全国のファミリーマートに拡大された2023年1月発売品。私が最後に食べたのは、2016年10月25日発売品なので、かれこれ6年以上前の話。
ある程度の定義が前提となる「ご当地ラーメン」の中では珍しく、鹿児島ラーメンに決まった型は存在しないため、その魅力も多岐に亘るのですが、天文館通で人気を博す老舗「くろいわラーメン」最大の魅力は昔ながらの伝統的な味わい。豚骨と鶏ガラを煮込んで作る、あっさりとしながらもコクのあるスープは、鹿児島県民の郷愁を誘う味との評判です。
麺のサイズは中太で、見た目は透明度が高く、加水率は少し高め。具材は自家製のチャーシュー、たっぷりのもやし、万能ネギとシンプルですが、仕上げに揚げネギをトッピングするのが「くろいわ」流。卓上にあるコショウと生おろしニンニクは常連に必須のマストアイテムで、鹿児島のラーメン店に欠かせない大根の漬物も常備と昔ながらのスタイルで50年以上の歴史を紡いできました。
それを再現したカップ麺に大根漬けまでは入っていないと思いますが、とんこつラーメン発祥の地とされる久留米(くるめ)はもちろん、博多や長浜の白濁スープとも違う、独自の進化を遂げた鹿児島ラーメン。その代表格に位置する老舗の一角「くろいわラーメン」監修ということで、お店の個性に注目しながらレビューします。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「粉末スープ」と「焼豚」に、後入れ「液体スープ」と「ふりかけ」の計4種。くろいわラーメンといえば揚げネギのトッピングが象徴的なアイテムなので、それ(ふりかけ)の別添は素直に嬉しいポイントなのですが、16年前のカップ麺に入っていた “もやしは不使用” なので、そこは寂しいポイント。
麺は油で揚げずに乾燥させたノンフライ麺で、縮れは強く、サイズは中細。見た目の再現度は高いとはいえないけれど、くろいわシリーズ発売当初からノンフライ麺を使っているため、ここはブレません。ただ、日清食品のノンフライ麺は(場合によっては致命的な)戻りムラが発生することも珍しくないため、ノンフライ麺の戻り具合が最初の難関。
ちなみに昨年・前回発売品のファミリーマート通常価格は258円(税込278円)だったのに対し、今年は276円(税込298円)に値上がりしているのですが、2022年6月1日(水)に実施された価格改定による影響です。その価格改定を機に、日清食品は自社の即席カップめん類におけるメーカー希望小売価格を5~12%アップさせているため、相場に逆らうような値上げではありません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:ファミマル 鹿児島ラーメンくろいわ 揚げネギ豚骨 製造者:日清食品株式会社 製造所:関東工場(茨城県取手市清水667-1) 内容量:113g(めん70g) 商品コード:4902105274408(JAN) |
発売日:2023年01月10日(火) 実食日:2023年01月14日(土) 発売地域:全国 取得店舗:ファミリーマート 小売価格:276円(税別) 購入価格:298円(税込) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:440ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:4袋(液体スープ・粉末スープ・焼豚・ふりかけ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、食塩、植物油脂、チキンエキス、しょうゆ、大豆食物繊維、卵粉)、スープ(チキンエキス、豚脂、ポークエキス、しょうゆ、香味油、チキン調味料、糖類、ポーク調味料、たん白加水分解物、香辛料、食塩、植物油脂、還元水あめ、野菜調味料、チキン調味料、ねぎ)、かやく(チャーシュー、揚げねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、かんすい、酒精、炭酸Ca、香料、増粘多糖類、酸味量、pH調整剤、香辛料抽出物、乳化剤、酸化防止剤(ビタミンE)、カロチノイド色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
先にノンフライ麺の戻り具合が最初の難関になると触れましたが、お湯を注ぐ前に「焼豚」と「粉末スープ」を入れる仕様となっているため、ちょっと不安な調理手順。ノンフライ麺は油揚げ麺よりも戻りにくい構造なので、添付調味料は粉末・液体ともに後入れを指定した商品が多いのですが、ひとまず調理方法の手順に従います。
ちなみに「液体スープ」は “後入れ” なので、粉末スープを溶かしながら熱湯を注ぎ、フタの上で「液体スープ」の小袋を温めながら待つこと4分。時間になったら麺をほぐし、それから「液体スープ」を加え、よく混ぜ合わせたら完成です。案の定というか麺のほぐれに若干のストレスを感じたので、ちょっと面倒でも丁寧にほぐしたほうがいいかもしれません。
さて、揚げネギの芳ばしい香りも然る事乍ら、スープ単体からも漂ってくる葱油や野菜の香りも印象的な調理直後。というわけで、ここから先は「めん」「スープ」「かやく」の項目に分けて特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(113g)あたり |
カロリー:396kcal たん白質:13.2g 脂 質:12.5g 炭水化物:59.2g (糖 質:55.9g) (食物繊維:3.3g) 食塩相当量:7.8g (めん・かやく:2.5g) (スープ:5.3g) ビタミンB1:0.32mg ビタミンB2:0.37mg カルシウム:163mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:396kcal(めん・かやく:283kcal)(スープ:113kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
旧世代感は否めないけど低品質ではない
たとえば熱湯4分後、まったくほぐさなかった場合 “1玉そのまま持ち上げられる” 勢いなのですが、その状態が長時間ずっと続くわけではありません。前述のように若干のほぐれにくさがストレスではあるものの、端っこが癒着したまま離れないとか、どう頑張ってもほぐせないとか、そういった致命的な戻りムラはなかったので、最初の難関は突破。
やや食べ始めはコシが強すぎるというか、まだ適切に戻っていない部分がチラホラと目立ち、それが馴染んでくると今度はプリプリとした歯切れ感が極端に目立ってくる、いかにも日清食品らしい‥‥といっても数年前に最先端だった質感。今となっては過去の産物で、現在の日清食品における技術を基準にして評価すると、1世代前といわざるを得ない質感です。
とはいえ頭ごなしに安っぽいわけではなく、油揚げ麺のようにジャンクな要素は皆無に等しくて、後述するスープとの相性も問題なし。お店の麺とは異なるタイプになりますが、プリプリとした歯切れも慣れてくると心地よく、透明感のある見た目については再現度の高さに寄与していると感じました。
スープ
「くろいわ」監修ならではの味わい
まずは「粉末スープ」だけの状態で味を確認してみたところ、これ単体で味が決まるわけではないのですが、適度な香辛料のアクセントと人工的な旨み成分の組み合わせはノスタルジック。ちなみに粉末スープの中に “とろみ成分が含まれていた” ので、麺をほぐしながら完全に溶かし、それから「液体スープ」を加えてください。
でもって「液体スープ」を加えると、久留米・博多・長浜の豚骨スープとは一線を画す味わいで、商品名は「揚げネギ豚骨」となっていますが、どちらかといえば豚骨よりも若干ながら鶏が強めのフレームワーク。しかし、いわゆる鶏白湯とは別物で、鶏だけでは出せないコクを豚骨から抽出しつつ、一般的にネガティブとされるクセは抑えながら、適度な骨っぽさと出汁(だし)っぽさをバランスよく両立。
さらに野菜の旨みを強めに出している、そこも鹿児島ラーメンらしさを漠然とイメージさせるポイントで、ふりかけの揚げネギとは異なる葱油の香ばしさも印象的。丁寧な動物系の旨みも然る事乍ら、それと同等に野菜の存在感も強く、しっかりと旨みを打ち出しながらも甘くて優しい余韻など、ほかのカップラーメンにはない魅力を備えた「くろいわ」監修ならではのスープに仕上がっていました。
かやく
ここまで揚げネギが活きる商品は珍しい
焼豚は「日清豚ラ王 ヤサイ、アブラ、ニンニク」シリーズに入っている厚切焼豚ほどのサイズではなく、しかしながら肉質のクオリティは遜色ないレベルにあり、赤身が多い・脂身が多いなどの個体差は生じますが、厚みはなくとも高品質。赤身の比率が高いとホロホロした食感が楽しめますし、反対に脂身の比率が高いとアブラの甘さや溶けるような舌触りが楽しめるので、サイズ以上の満足感。
ネギは粉末スープの小袋に同梱されていましたが、主張し過ぎない存在感かつ量も適切。対して揚げネギの量は思っていたよりも多めに入り、フライド系特有のホロ苦さと芳ばしい風味が明確に主張してくるのですが、それ一辺倒になることはなく、きちんとスープの個性を尊重しながら自己主張を放っていました。もやしの不在は寂しいポイントになりますけど、シンプルながら記憶に残る構成です。
総評
旧世代の印象を抱かせる麺の質感と戻り具合が気になったのですが、鶏・豚・野菜の旨みをバランスよく、それでいてギュッと凝縮させたスープには「くろいわ」監修ならではの個性が宿り、表面に浮かぶ葱油とトッピングの揚げネギによる芳ばしさの相乗効果など、現状この商品でしか楽しむことができない魅力が詰まっている、とても素晴らしい商品だと感じました。
ファミリーマート限定かつ276円(税込298円)のカップラーメンなので、手放しに評価できない部分もありますが、この販売価格を踏まえ上で充分と思える良品です。ちなみにフタ裏の余談なんですけど‥‥
初代「鹿児島ラーメン『くろいわ』」のパッケージ(天面)で印象的だったャッチフレーズ “誰もが通いたくなる天文館通りの老舗” と同じメッセージが印刷されていたので、おもわずマニア心をくすぐられました。それなりにデフォルメされてはいるものの、いわゆる豚骨ラーメンや鶏白湯とは異なる特色を備えているため、未経験の方は積極的に試してみてください【author・taka :a(大石敬之)】