どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2022年11月8日(火)新発売、ファミリーマート(ファミマル)のカップ麺「琴平荘 中華そば」の実食レビューです。
山形県鶴岡市で人気を博す期間限定営業の中華そば処「琴平荘」監修のカップラーメンが “さらにおいしく” リニューアル!!
前回の「中華そば」と何が違う? 実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
琴平荘 中華そば 2022 ファミマルVer.
中華そば処 琴平荘(こんぴらそう)とは、日本海の荒波が打ち付ける山形県鶴岡市三瀬己の沿岸に建ち、なおかつ営業期間は10月1日〜5月31日限定という特殊な環境下にありながら、週末になると昼営業のみで1日500人以上の客が訪れる超人気店で、ラーメンフリークや評論家などはもちろん、マニアではない一般の方にも広く知られる存在になりました。
今回の新商品「琴平荘 中華そば」は、琴平荘の店主・掛神淳(かけがみ あつし)氏が監修したカップラーメンで、マルちゃんの東洋水産とファミリーマートが共同開発。直近だと2022年1月4日に同店の「中華そば(あっさり)」を再現したカップ麺*1 を発売しているため、年内は動きがないだろうと油断していたのですが、このコラボでは初となる “ファミマル版” かつ内容にも変更があります。
「中華そば処 琴平荘」のカップラーメンが初めて発売されたのは、現在を遡ること9年以上、2012年(平成24年)9月11日の話。お土産用の箱入りラーメンや要冷蔵のチルド麺など、これまでに複数の商品を監修している掛神店主ですが、即席カップめん類は一貫して東洋水産が製造を担当しているため、かれこれ10年以上の付き合い。
琴平荘の即席カップめん第1弾「マルちゃん 中華そば処 琴平荘 中華そば」は、サークルKサンクスのオリジナル商品で、北海道・東北・新潟・長野・中京・北陸のみ販売のエリア限定商品として発足。その後、2016年(平成28年)9月1日にファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが経営統合して以降、ファミリーマート限定のPB(プライベートブランド)商品に切り替わり、現在に至ります。
先に触れた2022年1月4日発売の「琴平荘 中華そば」と比較して、山形県鶴岡市の名店から始まり、営業時間の案内や店舗の外観、さらに “焼あごの旨みを利かせた‥‥” というスープの訴求も変わっていませんが、天面の右下に位置する “スープがさらにおいしく” というのがリニューアルポイント。
琴平荘の店舗で提供されているメニューは「中華そば(あっさり)」と「中華そば(こってり)」を中心に、チャーシューを増量した「チャーシューメン」やメンマを増量した「メンマ中華そば」ほか、チャーシュー抜きの「肉抜き中華」など、さらに塩味の「塩中華そば」や「地鶏の油そば」「味噌そば(平日限定20食)」も存在するのですが、今回は醤油ベースの「中華そば(あっさり)」がモデル。
醤油ベースの「中華そば」における「あっさり」と「こってり」の違いはアブラの量で、マニアやフリークの間では “あっさりこそ琴平荘の真髄” といった評価が多いように感じます。ちなみに以前、本物の「中華そば(あっさり)」とカップラーメンを比較*2 したことがあって、もちろん100%まったく同じ味とは評価できない部分もチラホラあったものの、想像以上に雰囲気の再現度は高くて驚きました。
おそらく2022年1月4日発売の「琴平荘 中華そば」(以下「前回発売品」という)から劇的な変化は生じていないと思いますが、スープの変更に伴うトレードオフが絶対ないとは言い切れないないため、前回発売品との違いを意識しながらレビューします。
*1 中華そば処【琴平荘】監修のカップ麺 2022年は “麺もスープもさらにおいしく” リニューアル?!
*2 中華そば処【琴平荘】監修 東洋水産の「カップ麺」と “本物” を食べ比べてみた結果——
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」に、後入れ「液体スープ」と「焼のり」の計3種で、前回発売品と同じラインナップ。たとえばスープに変更があった場合、小袋の色やデザインも基本的に変わるのですが、それについても変更ありません。ただ、かやくの小袋は配色が違うため、なにか変わっているのかも。
麺は油で揚げずに乾燥させる東洋水産の独自技術「生麺ゆでてうまいまま製法(特許 第5719064号)」を駆使した乾燥麺で、おなじみ「マルちゃん正麺(せいめん)カップ」にも使われている代物。調理前の麺重量は前回発売日と同じ70gとなっており、原材料名も特に変更はなく、ちょっと薄めの色合いなど、ほぼほぼ違いを感じません。しかし、大きく変わっているのは販売価格。
前回発売品のファミリーマート通常価格は258円(税込278円)だったのに対し、今回は278円(税込298円)ということで、税込21円もの値上げが実施されました。とはいえ2022年6月1日の出荷分(価格改定)以降、東洋水産は自社の即席カップ麺におけるメーカー希望小売価格を9%~12%アップしているため、無謀な値上げ幅ではありません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:ファミマル 琴平荘 中華そば 製造者:東洋水産株式会社 製造所:関東工場(群馬県館林市赤生田本町3831-1) 内容量:114g(めん70g) 商品コード:4901990373142(JAN) |
発売日:2022年11月08日(火) 実食日:2022年11月09日(水) 発売地域:全国 取得店舗:コンビニ(ファミリーマート) 小売価格:276円(税別) 購入価格:298円(税込) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:430ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(液体スープ・かやく・焼のり) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、植物性たん白、こんにゃく、大豆食物繊維、植物油脂、乳糖)、添付調味料(しょうゆ、チキンエキス、鶏脂、植物油、たん白加水分解物、魚介エキス、食塩、砂糖、野菜エキス、酵母エキス、香辛料)、かやく(焼豚、メンマ、のり、ねぎ)/ 酒精、調味料(アミノ酸等)、かんすい、炭酸カルシウム、レシチン、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンE)、増粘多糖類、香辛料抽出物、ベニコウジ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・乳成分・さば・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む)※本製品で使用している海苔は、えび・かにが混在する方法で採取しています。 |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、ちょっとメンマの量が少なくなり、逆にネギが多くなっていたのですが、重量判定によって生じた個体差かもしれません。ただ、メンマについては前回発売品と比較して厚みが違うため、異なる食感が予想されます。
「液体スープ」と「焼のり」は後入れなので、熱湯を内側の線まで注ぎ、フタの上で「液体スープ」の小袋を温めながら待つこと5分。時間になったら “液体スープを入れる前に” 箸で麺をほぐし、液体スープを馴染ませて、最後に焼のりをトッピングしたら出来上がり。
前回発売品と比較して、調理後の雰囲気や香りに大きな差は生じておらず、しかしながらカロリーは343kcalから352kcalに微増し、脂質の値も6.8gから7.2gに増えるなど、栄養成分表示の数値は全体的に(わずかに‥‥ですが)上昇傾向にありました。というわけで、引き続きリニューアルポイントに注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(114g)あたり |
カロリー:352kcal たん白質:13.6g 脂 質:7.2g 炭水化物:59.6g (糖 質:56.6g) (食物繊維:3.0g) 食塩相当量:6.0g (めん・かやく:2.2g) (スープ:3.8g) ビタミンB1:0.28mg ビタミンB2:0.38mg カルシウム:192mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:352kcal(めん・かやく:284kcal)(スープ:68kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
再現度は低い
お店の「中華そば(あっさり)」に使われているのは、50%以上の加水率を誇る自家製麺で、原材料は “小麦粉、塩、かん水” と必要最低限のシンプルな作り。なめらかな口当たりと喉越しを特徴としつつ、低加水麺よりもスープを弾く傾向が見られる多加水麺でありながら、丁寧に手揉みされた縮れが功を奏し、スープとの一体感に問題を見せることはありません。
対して「生麺ゆでてうまいまま製法」の乾燥麺は加水率が低く、なめらかな口当たりではあるものの、本物と比較して完全に異なるベクトル。東洋水産が誇る現在の「生麺ゆでてうまいまま製法」は、2021年9月6日に実施された「マルちゃん正麺 カップ」のリニューアル以降、粘りよりも反発性を重点的に強化した仕様に変わり、特有の重量感も鳴りを潜め、それが琴平荘のカップ麺にも反映されています。
ぶっちゃけ再現度が高いとはいえないけれど、反発性の強い低加水麺という印象は前回発売品にも共通するポイントで、おそらく麺自体に変更はないと思います。後述するスープは焼あごの主張が強いため、低加水麺が合う煮干しラーメンよろしく相性に問題はなく、単純に組み合わせとしては悪くありませんでした。
スープ
基本的には大きく変わっていないのだが‥‥
本物のスープで特徴的なスルメの旨みは今回も意識されておらず、焼あご(焼き干し)の主張は本物以上に強めのデフォルメは継承され、しかしながら前回発売品よりも焼あごの旨みがスーッ‥‥と、真っ直ぐに入り、なおかつ長く残ります。基本的な骨組みは変わっていませんが、結果的に従来品よりも焼あごの個性が強く、そこに変化を感じました。
それと同時に前回発売品では印象的だった “発酵調味料の隠し味は省かれている” ため、単調になったとまではいわないけれど、余韻に若干の物足りなさを感じます。ひとまず焼あごの存在感については申し分ないので、評価の星を落とさなければいけないほどのマイナスではなかったものの、お店の個性を打ち出す焼あごを分かりやすく表現するために、避けて通れないコスト調整だったのかもしれません。
かやく
メンマの食感が変わった
2枚の焼豚と海苔、さらにフリーズドライのネギも前回発売品から変わっていませんが、明らかにメンマの厚みが薄くなっているため、噛んだときの食感が違います。前回発売品のメンマは、前々回(2021年1月5日)発売品と比較して異様に繊維質が強く、それが邪魔に思えたので、このくらいの主張が適切に思えました。
値段が値段なので、焼豚の枚数を増やすよりも質を上げてほしい的な不満が無きにしも非ずではあるものの、引き続き海苔が2枚入っているのは好印象。海苔はスープに沈めて焼あごの旨みを吸わせたら、麺を巻くようにして食べる、あるいは白ごはんと一緒に食べるのもアリですね。
総評
前回発売品と比較してスープの「発酵調味料」が省かれ、焼あごの旨みがストレートになり、メンマの厚みが調整されるなど、目立った変更を感じる部分もありましたが、再販を待ち望んでいたファンの期待を裏切るようなリニューアルではありません。
逆に再現度を重視している方にとっては「やっぱりカップラーメンだし、こんなもんか」という印象が継続するかと思いますけど、カップ麺としてのクオリティは高く、焼あごを強調したスープは記憶に残る域。おそらく今後も定期的に発売されると思いますが、その都度にバージョンが変わりそうなので、意識して追いかけるのも楽しいですよ【author・taka :a(大石敬之)】