どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年7月1日(月)新発売のカップ麺、サンヨー食品「キング軒 広島式汁なし担担麺」の実食レビューです。
花椒の痺れと辣油の辛さが特徴的な「汁なし担担麺専門 キング軒」監修の再現カップ麺が堂々復活!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
キング軒監修カップ麺 広島式汁なし担担麺 2019
「汁なし担担麺専門 キング軒(きんぐけん / King-ken)」とは、広島市中区大手町に本店を構える広島汁なし担担麺の専門店で、創業は2011年11月7日。キング軒が “広島式汁なし担々麺” の名付け親なんですが、東京進出も果たしたことで “広島式” の名を全国に轟かせ、昨今の汁なし担担麺ブームを牽引する大きな存在の一角となります。
サッポロ一番でおなじみ「サンヨー食品」と「キング軒」のタイアップは今回が初の試みではなく、2018年7月10日にローソン限定商品として発売された今回と同じ商品名の「キング軒 広島式汁なし担担麺」がコラボ第1弾商品。当時は西日本で甚大な被害を及ぼした「平成30年7月豪雨」への寄付金として、カップ麺の売上を “全額寄付する” というキング軒サイドの英断も話題になりました。
その英断を下したのが「キング軒」の代表・渡部崇さん。運営母体「株式会社キングファクトリーグループ」の代表取締役は西村治記さんが務め、表の顔は「ヒゲ」こと渡部さんが代表となっているのですが、もともと西村さんが飲食事業を始めようと汁なし担々麺の専門店をスタートし、それに渡部さんが賛同するかたちで「キング軒」がオープンします(ちなみに現在、西村さんは “将来漁師になる” と張り切っているそうです)。
「広島式汁なし担担麺(広島汁なし担々麺)」とは、2001年(平成13年)に広島市中区で創業した汁なし担々麺発祥の店「きさく」の店主・服部幸一さんが考案したと言われており、その味に感銘を受けて開業した「中華そば國松(くにまつ)」の店主・松崎司さんが秘伝のレシピを店内で堂々と公開。それを見た飲食店の代表が次々と汁なし担担麺を提供するようになり(それが「國松」の意向だった)、現在では広島県内に専門店が25軒以上、提供店に至っては200店を超えました。
しかし、あくまで「広島式」という名前の由来は、「キング軒」の “広島にはこんなに美味しい汁なし担担麺のお店が多いんですよということを県外の方に知ってほしい” という思いから名付けられた言葉で、明確な定義はありません。ただ、トッピングには日本で一般的な青梗菜や搾菜ではなく「青ネギ」を使用(温泉卵も人気)、麺は細麺が主流で〆のライス投入は必至、さらにリピーターも続出するほど中毒性が高いなど、いくつかの共通点があります。
「キング軒」で提供されている「汁なし担担麺」の特徴は、花椒(ホワジャオ)の痺れ「麻」と辣油(唐辛子)の辛さ「辣」のバランスが肝で、いきなり辛い刺激が押し寄せるタイプではありません。ゆっくりと上がってくる辣油の辛さ、けれども花椒の香りと痺れは強めにあって、刺激で一辺倒にならないように濃厚な自家製芝麻醤(ねりごま)のコクが刺激を包み込む、その絶妙なバランスが “毎日食べたくなる味” のポイント。
2017年4月に「サッポロ一番 街の熱愛グルメ 広島式汁なし担担麺」というカップ麺があり、それがキング軒の前身とも言えるのですが、2018年7月にローソン限定商品として発売された「キング軒 広島式汁なし担担麺(2018)」(写真左)はコンビニ限定で税込216円。結果的に「街の熱愛グルメ」版を食べやすくしたような内容ではあったものの、当ブログでは上出来の高評価を叩き出しました。
また、キング軒のカップ麺発売から約3ヶ月後となる2018年10月12日、カルディ限定商品として「カルディオリジナル 広島式汁なし担担麺」(写真右)が発売されていたのですが、麺と味付けはキング軒から大幅に変わっておらず、しかしながら具材の量が激減し、値段は税込253円と割高な値段設定から評価は渋め。今回のキング軒コラボ第2弾は初版の完成度を踏襲しているのかどうか、前回との共通点や違いも意識しながらレビューします。
開封
フルカラーシュリンクの外装フィルムは前回と違うデザインに変わっていますが、小袋の構成は「特製調味だれ」「特製スープ」「かやく」(合計3種類)と大幅に変わっていません。ただ、メーカー希望小売価格は税別230円に設定されているため、コンビニで購入すると税込246円、比較して30円もの値上げが見られます。
今回は特定のコンビニ限定商品ではなく、スーパーマーケットやドラッグストア、ネット通販サイト、ディスカウントストアなど幅広く展開され、販売エリアも全国。コンビニ大手4社(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ)の中では「ローソン」と「ファミリーマート」で意欲的に取り扱われていたのですが、地元のローカルスーパーでは税込170円で販売されていました(コンビニで買った後にスーパーで発見しちゃったんですけどねw)。
それから一つ気になる大きな変化があって、キング軒のカップ麺再販と同日、ついにオンラインショップを開店したサッポロ一番ことサンヨー食品ですが、2019年6月10日に発売された「火炎辛麺 赤神 神増し」という縦型の辛いカップラーメン以降、これまでホームページの商品名やカップ麺のパッケージでも “サッポロ一番” と表示されていた部分が “サンヨー食品” に(ブランド名から正式な社名に)変わっています。
どうやら2019年4月から「サッポロ一番」という自社ブランドを明白に差別化する方針に切り替えたようで、たとえば今回のように「名店の味」シリーズ(純蓮、桂花)を除く有名店監修のカップ麺などは “サンヨー食品” とし、定番の「サッポロ一番どんぶり」や「カップスター」「大人のミニカップ」「ポケモンヌードル」「和ラー」などは “サッポロ一番” ブランドとして統一されるシステムに変わりました。
「キング軒 広島式汁なし担担麺」の製造所は「太平食品工業 本社工場」(群馬県前橋市朝倉町555-4)となっているのですが、太平食品工業はサンヨー食品が1963年(昭和38年)1月に設立した製造部なので、つまりサンヨー食品(サッポロ一番)の本社工場で製造している、といった解釈で問題ありません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:キング軒 汁なし担担麺 販売者:サンヨー食品株式会社 製造所:太平食品工業株式会社 本社工場 内容量:103g(めん70g) 商品コード:4901734037729(JANコード) 商品サイズ:φ180×62(mm) 発売日:2019年07月01日(月) |
麺の種類:ノンフライ麺(かんすい使用) スタイル:汁なしカップ麺・皿形 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:600ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:3袋(特製調味だれ・特製スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、植物性たん白、大豆食物繊維、粉末卵)、スープ(植物油脂、豚脂、ねりごま、糖類、しょうゆ、食塩、香辛料、ポークエキス、デキストリン、たん白加水分解物、すりごま、酵母エキス、発酵調味料)、かやく(鶏・豚味付肉そぼろ、ねぎ、唐辛子)/ 調味料(アミノ酸等)、酒精、香料、かんすい、乳化剤、パプリカ色素、クチナシ色素、カラメル色素、酸味料、酸化防止剤(ビタミンE)、香辛料抽出物、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
【本品に含まれるアレルギー物質】小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン(特定原材料及びそれに準ずるものを表示) |
実食開始
麺は前回の「キング軒」コラボや「カルディオリジナル」と同じく細いノンフライ麺で、どちらの原材料も一致しています。ただ、前回のキング軒は麺量70g、カルディオリジナルは麺量60gと違いがあって、今回の麺量は70g。汁なしカップ麺はスープがない分、一般的なカップラーメンの標準量(60g)よりも多めの90gが定量となっているのですが(大盛だと130g)、その基準でいくと少なめです。
特製調味だれと特製スープは後入れで、かやくのみ先入れとなっているのですが、ちょっと少な過ぎませんかね具材の量‥w 初版の「キング軒 広島式汁なし担担麺」は特定のコンビニ限定商品(つまり定価購入必至)ということもあり、具材には気合が入っていたのですが、その劣化版に当たる「カルディオリジナル」の具材量と変わりません。
細麺なので熱湯3分、お湯を注いで湯切りした後は特製調味だれ(液体たれ)から馴染ませて、それから特製スープ(粉末スープ)を入れて混ぜるとスムーズです。ちなみに上の写真(調理後)は可能な限り具材を集めた状態なんですけど、キャベツのように膨張する具材は入っていないため、ボリュームが増すことはありませんでした。
それでは、監修店「キング軒」の特徴を踏まえ、パッケージにも書いてある “花椒vs辣油(シビレvsカラサ)” のバランスや2018年7月発売品との違いにも注目しつつ、「めん」「たれ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(103g)当たり
熱 量:469kcal(カロリー) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
けっこう細めのノンフライ麺で、適度にコシがありながら歯切れもよく、後述する花椒の痺れで小麦の風味は奥に隠れてしまいますが、ひとつのノンフライ麺としてクオリティの高い仕上がり。麺の断面は丸く、加水率は低めの設定で、けっこう縮れは強めに施されているのですが、おかげでタレと一体感があります。
お店の麺は広島県廿日市市にある広島ご当地麺の老舗「口位製麺所」(ひまわりフーズ)と共同開発したオリジナルの特製中細麺を使用し、数種類の小麦を使うことでタレの絡みや伸びにくさを実現しているのですが、さすがにノンフライ麺の限界を感じるものの、加水率の低い中細麺という特徴は再現されていました。
麺量70gは汁なしカップ麺の標準量よりも少ないと書きましたが、広島の汁なし担々麺は「台湾まぜそば」よろしく麺を食べ終えたら白ご飯を入れる “追い飯” が基本。そのためか「キング軒」の実店舗でも「普通」は “茹で上がり200g” と特別に多いわけではないので、あながちカップ麺に換算すると適切な計算かもしれません(一般的なラーメン店では25kgの小麦粉1袋から300食の麺を製造するのが基準で、茹で上がりの麺重量は180〜200g、つけ麺は250〜300gが平均です)。
たれ
特製調味だれの主成分は植物油脂(辣油)と豚脂(ラード)をブレンドしたオイルと芝麻醤(チーマージャン / ねりごま)で、オイルの量は多く、こってりとした口当たり。オイルは辛そうな色ですが、ラー油100%ではなく豚脂もブレンドされていることと、さらにパプリカ色素で着色、実際の辛さレベルも辣油単体で見ればピリ辛に過ぎません。
まったく辛くないとは言いませんが、花椒系のオイルが含まれているわけでもなく、特製スープを加えた後も唐辛子の辛さには過度に期待しないほうが賢明です。けれども豚脂によって動物系特有のコクがあり、丁寧な芝麻醤の仕事ぶりもいいですね。
そして唐辛子の辛さこそ大したことありませんが、特製スープを入れた途端、花椒の存在感が明白に主張を開始。後半は蓄積される麻味(しびれ)が勢いを増してゆき、それに触発された辣味(からさ)のテンションも上がっていきます。それでも激辛もとい激痺クラスではないものの、お店と同じように麻辣(マーラー)のバランスは圧倒的に花椒寄りのシビ辛テイストで、独特の中毒性を再現していました。
それから「中華そば國松」(参考記事:寿がきや食品「中華そば國松監修 シビレMAX」)の「五香辣油」ほど強烈ではありませんが、ほんのり香るシナモンの香りも個性的なポイントとなっています。ただ、お店の醤油には明治39年創業の川中醤油に特注した「キング軒用醤油」を使用ているのも自慢のこだわりなのに対し、カップ麺では粉末の醤油だったので、これが液体になると嬉しいですね。
あと「汁なし」とはいえ「広島式」は麺の下半分くらいスープに浸かっている状態で、だからこそ麺を食べ終えた後に小ライスを入れるのが定番になっているのですが、残念ながらカップ麺ではキチッと汁なしになってしまい、〆(しめ)の追い飯は楽しめません。けっこう特製スープの塩気が強めなので、実店舗でも人気の「温泉卵」を入れてアレンジすると程よい塩梅になりそうですし、食べ応えと栄養価もアップです。
具材
具材は肉そぼろ、ねぎ、唐辛子の組み合わせで、2018年のコラボでは挽肉たっぷりで好印象だったんですけど、今回は約5個分と頼りなく、広島式で共通の特徴としてあげられる青ネギも入っていますが、いたって変哲もない乾燥ネギで、あまり量も多くありません。何気に赤唐辛子は多く、けれども辛くないサプライズw
肉そぼろは1つだけ2個分で、このサイズになると熱湯3分では戻りません(中がサクッとします)。味付けはスパイシーかつジャンクで美味しかったんですけど、本格的な挽肉ではなく、さすがに具材は劣化していると言わざるを得ない変化が見られました。というわけで王道の温泉卵アレンジや追いネギ(青ねぎ追加)は間違いありませんが、お店で特徴的なセロリをトッピングしても楽しそうですね。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆☆(★4)
2019年6月1日(土)出荷分以降、主要メーカーのカップ麺ほとんどが値上げされたので、希望小売価格の上昇については受け止めるしかありませんし、麺と味付けに関してはコンビニで246円出しても惜しくないと思える完成度です。ただ、あまりにも具材が弱かったので、総評から星ひとつ引かざるを得ませんでした。
とはいえ麺とタレ(スープ)に関しては初版の2018年7月発売品から大幅に変わっておらず、じんわり上がってくる辣油の辛さと鮮烈な花椒という刺激のタイプも「キング軒」らしいポイントだったので、とりあえずカップ麺と一緒にトッピング用の温泉卵も用意しておくのがオススメです。ちなみに実店舗には「超山椒的初心者不向(超山椒的スペシャル)」という激辛メニューもあるのですが、その再現カップ麺も食べてみたいですね。