どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年5月22日(月)新発売、セブンプレミアムのカップ麺「飯田商店 にぼしらぁ麺」の実食レビューです。
ファン待望の一杯ついに復活!? 湯河原の巨匠「らぁ麺 飯田商店」監修 “沼津店限定メニュー” をカップラーメンで再現!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
飯田商店 にぼしらぁ麺
らぁ麺 飯田商店(いいだしょうてん)とは、2010年(平成22年)3月16日の創業以来、神奈川県足柄下郡湯河原町で不動の人気を博す「らぁ麺」と「つけ麺」の専門店で、日本有数の温泉地として知られる湯河原を “ラーメンの聖地” としても認知させた実力派。店主の飯田将太(いいだ しょうた)氏は “孤高の天才” と謳われた人物で、権威ある数々の賞を総なめにし、現在も業界を牽引しています。
今回の新商品「セブンプレミアム 飯田商店 にぼしらぁ麺」は、現在の “湯河原本店では食べられない” 数量限定の「にぼしらぁ麺(煮干らぁ麺)」を再現したカップラーメンで、製造者はマルちゃんのブランドで知られる東洋水産。これまでに何度もセブン&アイ限定のコラボ商品を展開していますが、にぼしらぁ麺の再現は前例がありません。
飯田商店の煮干といえば「大晦日限定 煮干しラーメン」や「同 背脂入り」ほか「ニボっちゃん(にぼっちゃん)」など、いくつかの異なるバリエーションを展開しているのですが、それとは別に「湯河原本店」で「にぼしらぁ麺」を提供していた時期があり、現在は「ららぽーと沼津店」(ららぽーと沼津3F フードコート内)の限定メニューとして「にぼしらぁ麺」を提供しています。
しかし、現在の「ららぽーと沼津店」で提供されている「にぼしらぁ麺」は、かつて「湯河原本店」で提供されていた「にぼしらぁ麺」とは仕様が違うようで、縮れの強い平打ち麺の仕様から察するに「ニボっちゃん」のブラッシュアップ的な? 如何せん「しょうゆらぁ麺」や「しおらぁ麺」と比較して圧倒的に情報量が少ないため、なおさらカップ麺の仕上がりが気になる展開。
ちなみに念のため湯河原本店における「にぼしらぁ麺」の最終提供日を(大晦日特別営業の立ち食い「にぼしラーメン」はノーカンで)調べてみたところ、2022年5月末には終了していたらしく、それ以降のTwitter民による投稿にも目を通すと「つけ麺+お出汁割り(にぼし)」でロスを補うしかない——といった旨の苦悩を垣間見るなど、熱狂的なファンを抱えるメニューであることを実感しました。
というわけで、パッケージにも “ファン待望のメニューがついに復活!” とありますし、いまや幻となった湯河原本店の「にぼしらぁ麺」を再現しているのかと思いきや、今回のカップ麺は「ららぽーと沼津店」の数量限定メニューがモデル。ええ、商品の本体を隅々までチェックしてみても、パッケージに「ららぽーと沼津店」の記載はありません。
さらにセブン-イレブン・ジャパンやセブンプレミアムの公式ウェブサイトにも「ららぽーと沼津店」に関する記載はないのですが、イトーヨーカドー某店のタイムラインに投稿されていた画像に “らぁ麺 飯田商店 沼津店限定メニューを再現!” とあったので、とりあえず言及しておこうかと。そして、これは余談なのですが‥‥
セブンプレミアムの公式ウェブサイトには “2023年05月22日 〜 順次リニューアル!「らぁ麺 飯田商店」の新メニューが登場!” と記載されていたので、既存品のリニューアルなの? 新メニューなの? みたいな。いろいろツッコミどころ満載なんですけどw ひとまず9年前のNB(ナショナルブランド)商品* から数えても「にぼしらぁ麺」のカップめん化は前例がないため、仕上がりが楽しみです。
*「マルちゃん 縦型ビッグ 飯田商店 醤油ラーメン」2014年(平成26年)5月26日発売のNB(ナショナルブランド)商品で、講談社発行『業界最高権威 TRY認定 第14回ラーメン大賞 2013-14』の「名店部門しょう油」にて「飯田商店」が1位に輝いたことを記念して商品化されたカップラーメン。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」に、後入れ「液体スープ」の計2種で、セブンプレミアムの公式ウェブサイト曰く “煮干しの旨みをベースに豚の旨み、昆布の旨みを合わせた醤油スープ。煮干しは旨み重視と香り重視の2種類を使用することで、コク深く風味の良い味わいをお楽しみください” とのことから、なかでも煮干の使い方が見どころ。
麺は油で揚げずに水分を飛ばした乾燥麺で、製法までは公にされていませんが、こんにゃくを使用している原材料名の構成から察するに、東洋水産が誇る「マルちゃん正麺 カップ」の生麺ゆでてうまいまま製法(特許第5719064号)である確率は高め。ただ、縮れの弱い形状から「湯河原本店」の麺をイメージしているような雰囲気ですね。
セブンプレミアムの商品なので、セブンイレブン以外のコンビニには売ってないのですが、イトーヨーカドーやヨークベニマル、ヨークマートなど、セブン&アイグループのGMS(ゼネラルマーチャンダイズストア)も販売店の対象に含まれます。値段は268円(税込289.44円)に設定されているため、現在の水準から見ると特別に高いわけではないけれど、特別に安いわけでもありません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:セブンプレミアム 飯田商店 にぼしらぁ麺 製造者:東洋水産株式会社 製造所:関東工場(群馬県館林市赤生田本町3831-1) 内容量:114g(めん70g) 商品コード:4901990374514(JAN) |
発売日:2023年05月22日(月) 実食日:2023年05月26日(金) 発売地域:全国 取得店舗:コンビニ(セブン-イレブン) 小売価格:268円(税別) 購入価格:289円(税込) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:2袋(液体スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、植物性たん白、こんにゃく、大豆食物繊維、植物油脂、乳糖)、添付調味料(しょうゆ、煮干しエキス、香味油脂、ポークエキス、こんぶエキス、植物油、食塩、粉末煮干し、醸造酢)、かやく(焼豚、メンマ、ねぎ)/ 調味料(アミノ酸等)、かんすい、酒精、炭酸カルシウム、レシチン、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンE)、増粘多糖類、香辛料抽出物、ベニコウジ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・りんごを含む) |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、内容は焼豚、メンマ、ネギとシンプルですが、焼豚は2枚。さらにメンマは香りが強く、ネギは熱風乾燥(AD)より主張がナチュラルな凍結乾燥(FD)かつ厚みのあるサイズ感も好印象なポイント。とはいえカップラーメンらしい構成なので、2枚の焼豚が逆にチープさを強調することにならないかどうか、というのが懸念要素の一つ。
添付調味料は後入れなので、お湯を内側の線まで注ぎ、フタの上で「液体スープ」を温めながら待つこと5分。時間になったら「液体スープ」を投入し、よく混ぜ合わせたら完成です。香りに荒々しさは控えめですが、液体スープを入れた途端に漂ってくる煮干は想像していたよりも濃密で、ハッとした調理直後。
再現度については評価いたしかねますが、2種の煮干を使ったスープの個性や268円(税込289.44円)という販売価格も意識しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(114g)あたり |
カロリー:352kcal たん白質:11.7g 脂 質:7.5g 炭水化物:60.6g (糖 質:58.0g) (食物繊維:2.6g) 食塩相当量:6.4g (めん・かやく:2.3g) (スープ:4.1g) ビタミンB1:0.40mg ビタミンB2:0.52mg カルシウム:170mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:352kcal(めん・かやく:281kcal)(スープ:71kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
低めの加水率でスープに配慮
正麺カップの流れを汲む “生麺ゆでてうまいまま製法” の乾燥麺は、やや加水率を高めに設定してくる傾向があるのに対し、今回は比較的に低めの設定で、あまり粘りは強くありません。そのためリフトアップしたときの重量感にも特筆すべきポイントはないけれど、噛んだ瞬間に適度な弾力を感じさせつつも軽快に切れる、ちょっと不思議で独特な食感が印象的。
さすがにファミリーマートの「中華そば処 琴平荘(こんぴらそう)味噌そば」(レビューは2023年1月3日発売の三代目)ほど驚異的な低加水麺ではないけれど、小気味好い歯切れのよさだったり、主張し過ぎない ——でも、ふわっと鼻に抜ける—— 小麦の風味だったり、後述するスープに配慮した存在感から、結果的な印象は悪くありません。
ただ、気温や室温が低い日に調理した場合、熱湯5分きちんと待っても部分的にほぐれにくい部分が出てくると思うので、ひとまずフライングは厳禁。麺の湯で加減については好みがあると思いますから、もちろん強制などしませんけど、ちょっと柔らかくなってきた頃合いがベストに感じたので、熱湯5分+液体スープを馴染ませてから2、3分後くらいがピークかもしれません。参考までに。
スープ
淡麗系の煮干しスープとしてハイレベル
いわゆるセメント系でしか満足できない、生粋のニボラーにとっては物足りない煮干Lv.になるかと思いますが、一般的にネガティブとされる雑味やエグみを抑えつつ、しかしながら煮干の存在感は明白で、無作為な魚群ではなく、煮干が列を成して優雅に泳いでいる感じ。まったくもって素人に優しい構成でありながら、余韻に程よく煮干のクセと苦味を残す、なんとも駆け引き上手なバランス感。
そんな煮干の打ち出し方も然る事乍ら、煮干を支える豚出汁ベースの清湯(ちんたん)も丁寧で、脇を固める昆布も煮干の前に出てくることはなく、ほんのちょっと醸造酢のアクセントが本格さを底上げ。かえしに醤油を使用していますが、あくまでも主役は煮干。それでいてワンマンでもない、調和の取れたテイストに東洋水産と飯田商店の技が光る、シンプルで奥床しいスープでした。
かやく
2枚の焼豚がステータス
メンマもネギも今回が初登場の新具材ではないけれど、湯戻し後は強過ぎないメンマの発酵感と上品な煮干スープは相性がよく、熱風乾燥よりも柔らかいネギの食感も適切で、スープとの関係か他の商品に使われているFDネギよりも風味豊かに感じられたのも印象に残ったポイント。
焼豚はカップラーメンの枠を出ない、ハムみたいな安っぽい食感で、繊細なスープに対して加工肉特有の雑味が気になったのですが、大豆たん白加工品(いわゆるフェイクミート)ではなく本物の肉を使った焼豚が2枚は企業努力を感じるポイント。なんやかんや書いてますけど、もし1枚だったら値段的に寂しく感じていたと思いますし、他とは違う特別感の演出には効果的でした。
総評
煮干のインパクトを強調した商品ではないけれど、それだけに扱い方が繊細で、すーっと上品に、それでいて余韻には適度にクセを残す絶妙な力加減。その駆け引きを確かめたくて、気が付けばスープの残りが少なくなっているような、ちょっとヤバいヤツかもしれないw
まったくの未経験者だと肌に合わないおそれもありますが、同じく煮干を使用したカップ麺でもエースコックの「鬼煮干中華ソバ 中華ソバ伊吹監修」とは対極を行く仕上がりで、淡麗系の煮干に触れてみたい方にとっては入門編に誂え向きな一杯になると思います。268円(税込289.44円)という販売価格も含め、魅力のある商品だと感じました【author・taka :a(大石敬之)】