どうも、taka :a です。
このページでは、即席カップ麺の常識を打ち破った話題の商品「一蘭 とんこつ」とセブン&アイグループの最上級ブランドに位置付けられた “ご当店カップ麺” の金字塔「一風堂 赤丸新味」を比較し、その特徴や違いを画像付きで解説。
ともに福岡県福岡市を拠点とし、国内事業のみならず海外進出も果たした “とんこつラーメン” のグローバルブランド「一蘭」と「一風堂」その味を再現したカップラーメンとは‥‥。実際に食べてみた感想と評価に基づいて解説しますので、よろしければ最後までお付き合いください。
豚骨カップ麺バトル「一蘭」対「一風堂」
一蘭(いちらん)とは、福岡県福岡市博多区中洲に本社総本店を構える天然とんこつラーメン専門店で、1960年(昭和35年)に開業した福岡県福岡市百道の屋台「双葉ラーメン」が前身。現在の「一蘭」を象徴する “とんこつラーメンの中央に唐辛子ベースの赤いタレを浮かべた” 独自のスタイルは、双葉ラーメンの創業者・中原貞之氏が屋台時代に考案したもの。
1966年(昭和41年)福岡県小郡市に移転した双葉ラーメンは、その屋号を「一蘭」に改め、日本初の “唐辛子入りとんこつラーメン発祥の店” として連日満員の行列店に成長。それによって多忙を極めた創業者が体調を崩し、廃業を予定していたところ、現「株式会社 一蘭」代表取締役社長・吉冨学氏が店名及び事業を引き継ぎ、独自の方向性で現在の「一蘭」を築き上げ、福岡を代表する人気とんこつラーメンチェーンに育てました。
現在の「一蘭」を象徴する特徴は、中央に浮かぶ “赤い秘伝のたれ” のみならず、元祖フィジカルディスタンスと話題になった店舗システム特許「味集中カウンター」(特許4267981号)をはじめ、100%豚の骨から抽出した “臭みのない” 天然とんこつスープ、7項目から選べる「オーダー用紙」の導入、声を出さずに替え玉が注文できる「替玉注文システム」など、これまでにない斬新な発想で他店と差別化。
一方の「一風堂」も斬新さについては負けておらず、1985年(昭和60年)10月16日、河原成美(かわはら しげみ)氏が現在の大名本店(旧店名「博多 一風堂 総本店」)に当たる「博多 一風堂」を福岡県福岡市中央区にオープンするや否や、女性が単独でも入りやすい清潔な店内とスタイリッシュな雰囲気を武器に、1980年代の博多で多くの女性がラーメン店に抱いていた “怖い・臭い・汚い” というネガティブなイメージを払拭。
1996年(平成8年)から現在の2枚看板「白丸元味(Shiromaru Classic)」及び「赤丸新味(Akamaru modern)」を発売し、前者の「白丸元味」は “正統派” の一杯として、後者の「赤丸新味」は “革新派” の一杯として女性からの人気も高く、豚骨スープに赤いタレを組み合わせているのは「一蘭」との共通点になりますが、さらに特製の “黒い香味油” でコントラストを描いているのは「一風堂」特有の専売特許。
たとえば「発祥の地は福岡」「女性が単独でも入りやすい豚骨ラーメン専門店」「スープは独特の臭みを抑えている」「白いスープに赤いタレが印象的」「どちらも屋号に『一(いち)』が入る」など、共通する特徴が挙げられる「一蘭」と「一風堂」なので、たびたびネット上でも【一蘭 一風堂 違い】といったサジェストキーワードを目にするのですが、もちろん運営母体は別の企業。
それぞれ自社のオリジナル商品やコラボ商品を意欲的に展開しているのですが、先に即席カップめん(カップラーメン)をリリースしたのは河原社長率いる「一風堂」で、初代発売日は2000年(平成12年)4月18日。セブン-イレブン・ジャパン及び日清食品と共同開発した「日清名店仕込み 博多一風堂 赤丸新味」を皮切りに、ご当店カップ麺ブームの先駆けとして、即席カップ麺業界に金字塔を打ち立てます。
その「一風堂 赤丸新味」も代を重ね、2021年2月8日に順次リニューアルを開始したばかり。しかしながら同年2月15日、満を持す「一蘭」からも史上初のカップ麺が市場に投下され、TwitterなどのSNSを中心に話題沸騰中の現在。どちらも “とんこつスープに赤いタレ” という組み合わせは共通の項目になりますが、値段・販路・メーカー(製造所)など、異なる条件を備えているため、その違いや特徴を比較しながら解説します。
カップ麺に入っている小袋の数を比較
即席カップめん事業では先輩に当たる「一風堂 赤丸新味」に別添されている小袋は、先入れの「かやく入り粉末スープ」と「焼豚」に、後入れの「液体スープ」と「調味たれ(辛みそ・黒香油)」で合計4袋。2021年2月のリニューアル以降、小袋の数を1つ削減しているのですが、麺とスープのブラッシュアップを図り、たしかな進化を遂げることに成功しました。
対して話題沸騰中の「一蘭 とんこつ」に別添されている小袋は、後入れの「粉末スープ(A)」「液体スープ(B)」「秘伝のたれ(C)」で合計3袋。話題になった要因のひとつに “あえて具材は入れておりません。” という特徴があり、それについて一蘭は “ラーメン本来の純粋な味わいを楽しんでいただくため” と説明しているのですが、もうひとつの注目すべきポイントは即席カップ麺の常識を打ち破る値段。
セブン&アイ(セブンプレミアムゴールド)の「一風堂 赤丸新味」は税込300円(これも高級な部類に入りますが)なのに対し、満を持す「一蘭」史上初のカップラーメンは税込490円を定価としているため、両商品の値段差は単純計算で190円。つまり、安いカップ麺が2個買えるほどの差が生じているのですが、それを実現できた理由として “販売者と製造所の違い” が挙げられます。
販売者・製造者と製造所の違いについて
たとえば「一風堂 赤丸新味」の容器側面に表示されている製品情報を確認すると、製造者の欄には「日清食品株式会社(大阪市淀川区西中島4-1-1)」とあり、製造所は「日清食品株式会社 関東工場(茨城県取手市清水667-1)」となっています。これは “日清食品が開発している” ことを意味するため、あくまでも「一風堂」は監修者の立ち位置。
片や「一蘭 とんこつ」の容器側面に表示されている製品情報を確認すると、製造者ではなく販売者となっている、つまり販売者と製造所(メーカー)が異なることを意味する表示。製造所は「エースコック株式会社 関西滝野工場(兵庫県加東市河高1816-175)」なので、カップ麺の製造はエースコックの工場に委託しているのですが、エースコック開発ではなく “一蘭が開発した商品”(エースコックは製造のみ)というのがポイント。
数あるカップ麺の中でも人気の高い有名店監修の商品は、販売者の欄にメーカーの社名を表示し、モチーフになっている店は監修者(場合によってはゴーサインを出すだけの立場)として商品の開発に携わっているため、これが一般的な再現カップ麺と「一蘭 とんこつ」の決定的な違い。もしもエースコックが販売者となっていたら、具材なしで税込490円という非常識な仕様は実現しなかったかもしれません。
調理後比較
【一風堂 赤丸新味】栄養成分表示:カロリー 491kcal(めん・かやく:319kcal / スープ 172kcal)、たん白質 15.0g、脂質 20.8g、炭水化物 63.0g(糖質 59.1g / 食物繊維 3.9g)、食塩相当量 8.2g(めん・かやく 3.2g / スープ 5.0g)、ビタミンB1 0.24mg、ビタミンB2 0.29mg、カルシウム 259mg |
さて、まずは「一風堂 赤丸新味」の調理直後。実店舗の「赤丸新味」に使われている “もやし” は入っていませんが、白いスープに浮かぶ黒香油と辛みそのコントラストが美しく、大きな厚切焼豚も目を引くポイント。さらに青葱の緑で彩りがよく、こりこりとした食感のキクラゲも効果的な存在で、税込300円という値段にも納得の雰囲気。
【一蘭 とんこつ】栄養成分表示:カロリー 471kcal、たん白質 14.1g、脂質 20.0g、炭水化物 58.8g、食塩相当量 8.6g(めん・かやく 1.4g / スープ 7.2g) |
対して「一蘭 とんこつ」には具材が入っていないため、いうなれば “素ラーメン” の状態。パッケージのイメージ写真に忠実な調理直後ではあるものの、カップ麺として寂しい光景といわざるを得ません。しかし、きもち程度のネギを入れることも可能だったはず。それなのに “あえて具材は入れておりません” なので、これも麺・スープ・秘伝のたれに対する情熱と自信の表れ。
ひとまず具材については比較しようがないので、このページでは「めん」「スープ」「辛みそ・秘伝のたれ」に注目し、それぞれの違いを解説します。
※より詳しい感想や評価が気になる方は、関連ページ「めん・スープ・秘伝のたれに全集中『一蘭』初のカップ麺 “こだわりすぎた” 一杯が革命を起こしてきた件」並びに「セブンプレミアムゴールド【一風堂】監修カップ麺『赤丸新味』一風堂シリーズ史上最上級のスープを実現!!」も併せてご覧ください。
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
クオリティの高さは「一蘭」に軍配
どちらの商品にもノンフライ麺を使っていますが、日清食品が製造する「一風堂 赤丸新味」の麺は “粉っぽさ” の表現に力を入れているような印象で、それは「一風堂」の実店舗で提供されている麺の特徴と共通するポイント。加水率は「一蘭 とんこつ」の麺よりも低く、ややノンフライ麺特有の癖を残しますが、リニューアル前に致命的だった戻りムラは解消され、より高品質な麺にブラッシュアップされました。
しかし、エースコックが製造する「一蘭 とんこつ」の麺は、そもそものベクトルが別の次元。日清食品の「一風堂」も例外ではない、一般的なノンフライ麺にありがちな特有の癖を最小限に抑え、適度に粉っぽい質感と低加水麺ならではの歯切れを打ち出しているのですが、それに反して伸びにくく、しかしながら徐々にスープと馴染む “麺の溶け方” が秀逸で、ある種の感動を覚えたほど。
「一風堂 赤丸新味」の麺量は70g、対して「一蘭 とんこつ」の麺量は60gと少なめですが、本物っぽさは後者に軍配。もちろん圧倒的な値段差が生じているので、当たり前といえば当たり前なんですけど、さすがに “ここまできたか‥‥” と唸らざるを得ない品質です。この手は明星食品のバリカタ麺が最強だと思っていたのですが、今後もしかするとエースコックが脅威になるかもしれません。
スープ
スープのレベルは拮抗
「一風堂 赤丸新味」のスープ(黒香油を入れる前)は、お店の方針よろしく優等生な仕上がりで、一般的にネガティブとされる豚骨臭や獣臭、酸味などは抑えているのですが、きちんと骨の旨みを抽出したフレームワーク。それは2021年2月のリニューアルをもって強化され、より重心の低いテイストにブラッシュアップしているのですが、やや人工的なトロミ成分による粘度の高さが気になるかもしれません。
対して「一蘭 とんこつ」のスープも一般的にネガティブとされる癖は抑えているのですが、骨っぽさを感じる旨みをはじめ、本物志向の臨場感については「一風堂」の右に出る品質。また人工的なトロミ成分に頼っていないので、口当たりや旨みもナチュラルに伝わってくる仕上がり。やはり本格さを追求するのであれば、税込490円の「一蘭」に分があります。
しかし、別添の黒香油(焦がしニンニク油)を入れたあとの「赤丸新味」も凄まじく、味の多様性を評価するなら「一風堂」が一枚上手。筆者は「一蘭 とんこつ」の臨場感に圧倒されたので、そちらを高く評価しているのですが、ひとつのカップ麺として見た場合、本物志向の臨場感を上回る魅力が「一風堂 赤丸新味」のスープには備わっていると感じました。
辛みそ・秘伝のたれ
見た目は同じ “赤いタレ” でもタイプは異なる
「一風堂 赤丸新味」に別添されている「辛みそ」は、韓国のコチュジャンや中国の豆板醤を主体としているため、日本の味噌がベースの辛味噌とは違った風味。辛さレベルはピリ辛の枠を出ないので、辛い食べ物が極端に苦手でなければ構える必要はないのですが、少量でスープの雰囲気は激変します。
「一蘭 とんこつ」に別添されている「秘伝のたれ」も唐辛子の辛味を効かせていますが、コチュジャンや豆板醤が主体ではなく、日本の味噌をベースにしているのが「赤丸新味」との大きな違い。また辛味の強さも比較的に強く、生おろしニンニクや生おろし生姜をブレンドしているため、香味野菜のニュアンスも見どころとなっているのですが、ふと乾物の旨みを彷彿とさせるのも見どころ。
どっちが美味しいかについては好みによりますが、辛味の強さは「一蘭」のほうが強く、コチュジャンと豆板醤を主体にしているのが「一風堂」と、分かりやすい違いがありました。
まとめ
このブログでは多角的な指標に基づき、セブン&アイの「一風堂 赤丸新味」は「★7」と評価。対するカップ麺としての「一蘭 とんこつ」は「★8」と評価しているのですが、個人的な好みでリピートするなら「一風堂 赤丸新味」で、これについてはセブンイレブンで箱買いしてもいいレベル。
「どっちが得なの?」「どっちが美味しい?」という疑問については個人の価値観や味覚・好みに大きく左右されるので、正直なところ断言することは難しいのですが‥‥
・カップラーメンとして美味しいのは「一風堂 赤丸新味」
・再現度の高さと本物感を追求するなら「一蘭とんこつ」
というのが筆者の結論。そもそもの値段は異なりますが、どちらの商品も一度は食べるべき価値のある名作だと思います。ちなみに「一風堂 赤丸新味」は、コンビニのセブンイレブンやイトーヨーカドーのネット通販サイト(オムニ7)でも販売中。一部の地域では入手困難とされる「一蘭 とんこつ」の販売店は、コンビニだとローソンでの取り扱いが意欲的だったので、これを機に食べ比べてみてください(author・taka :a)