どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2021年6月28日(月)新発売、明星食品のカップ麺「明星 HYBRID X crab台風。蟹そば」の実食レビューです。
異なる素材の旨みを掛け合わせた新ブランド「HYBRID X」第1弾は「crab台風。」監修 “ワタリガニエキス” を使用した白ごはん必須のカップラーメンを展開!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
HYBRID X crab台風。蟹そば
HYBRID X(ハイブリッドクロス)とは、異なる素材を掛け合わせ、今までにない味わいを提供するラーメン店が注目されていることを背景に、話題の有名店とコラボレーション。既存の商品にはない「未体験の濃厚スープ」をコンセプトに企画された、お店の味が自宅で手軽に楽しめる即席カップめんシリーズです。
その記念すべきシリーズ第1弾を監修したのは、東京都中央区日本橋蛎殻町(人形町)で人気を博すラーメン店「crab台風。(クラブタイフウ)」で、カニ豚骨という新ジャンルを実現した同店の看板メニュー「蟹そば」をカップラーメンで再現。ワタリガニのうまみ広がる未体験の濃厚スープを再現すべく、まろやかな “豚骨” に “ワタリガニ” を掛け合わせ、ファン待望の商品化が叶いました。
crab台風。とは、伊東遊唄(いとう ゆうた)氏が代表を務めるラーメン店で、2018年(平成30年)6月11日にオープン。その歴史をたどると、2007年(平成19年)7月20日・東京都文京区にて創業した “濃厚魚介豚骨系” の名店「ら〜めん台風。」まで遡り、ラーメン評論家・石神秀幸(いしがみ ひでゆき)氏のラーメンセレクションにも選出されるなど、根強い人気を得ていたのですが‥‥
2012年(平成24年)7月、創業者の伊東遊唄氏はラーメンの新たな可能性を求め、まさかの香港に電撃移転することを決意。文京区(茗荷谷)の店舗は無期限営業休止となりましたが、同年12月に香港・荃灣(チェンワン)の地で「らーめん台風。」をオープン。当時の最先端であり、まだ香港にはなかった “濃厚魚介豚骨のパイオニア” として、香港のラーメンブームを牽引します。
2015年4月には香港の下町的なショッピング街・旺角(モンコック)に2号店「漁場 台風。」を構え、昼はつけ麺専門店・夜はラーメン専門店の二毛作営業で人気を博し、それも当時の香港では考えられなかった営業スタイル。直近では香港7年間の集大成として、2020年1月に香港の商業地区・湾仔(ワンチャイ)に3号店「台風。R」をオープンし、現地では新世代の魚介豚骨と話題になりました。
というわけで “濃厚魚介豚骨” を武器に、みごと香港で成功を収めた「台風。」ですが、もともと東京で生まれたラーメン店。やはり旗艦店は東京に置くべきだ‥‥と、満を持す凱旋を果たしたのが人形町の「crab台風。」で、茗荷谷の「ら〜めん台風。」並びに「香港」で代名詞としてきた濃厚魚介豚骨ではなく、これまでにない新ジャンル “蟹×豚骨” を打ち出し、日本のラーメン界に旋風を巻き起こします。
「crab台風。」で最大の特徴とされるスープは、豚骨のみを長時間炊き出した動物系の白湯(ぱいたん)に、煮干しや鰹節などの魚介系を合わせ、これでもかというほど大量のワタリガニを投入。それらを計50時間以上も煮込み、どろどろになった高粘度スープにカニ油を浮かべるなど、豚骨についても蟹についても徹底して濃厚な一杯。
近年、濃厚とんこつ系のラーメンはメジャーなジャンルになり、北海道札幌市中央区に総本店を置く「えびそば一幻(いちげん)」の登場以降、海老(えび)を使用したスープも全国的に知られるようになりましたが、ワタリガニを使用したカップラーメンは珍しく、かなり面白い展開。はたして名店の臨場感が楽しめるのかどうか、新ブランド「HYBRID X」と「crab台湾。」の実力に注目です。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「粉末スープ」と「かやく」2袋に、後入れの「液体スープ」で合計4袋。具材としてワタリガニが入っているわけではないのですが、スープにおける蟹エキス中にワタリガニエキスを24%配合ということで、配合量は多いイメージ。ワタリガニ(ガザミ)は旨み・甘みが強い濃厚なカニなので、甲羅の芳ばしさだけでなく、ミソのコクにも期待したいところ。
麺は油で揚げていないノンフライ麺で、湯戻し時間は熱湯4分。最近の明星食品が販売している大判どんぶり型のカップラーメンは、塩分の摂取量が調節できる容器「しおケアカップ」を積極的に導入しているのに対し、今回その容器は使用していません。つまり、スープを飲み干してもらいたいほど完成度が高い商品だと自負している、そんな自信の表れを意味しているのでしょうか。
ちなみにメーカー希望小売価格は278円(税別)と高めの設定で、販売店は限定されていませんが、コンビニで購入した場合の税込価格は300円になるハイエンドモデル。もちろんスーパーやドラッグストアなど、コンビニ以外の店舗であれば税込300円以下でも手に入るかとは思いますが、それでも250円以上が相場になるかもしれません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:明星 HYBRID X(ハイブリッドクロス)crab台風。蟹(かに)そば 販売者:明星食品株式会社 製造所:東日本明星株式会社 埼玉工場(埼玉県比企郡嵐山町川島2360) 内容量:99g(めん65g) 商品コード:4902881451420(JAN) |
発売日:2021年06月28日(月) 実食日:2021年07月01日(木) 発売地域:全国 取得店舗:ネット通販サイト(オムニ7) 商品購入価格:278円(税込) 希望小売価格:278円(税別) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:4袋(液体スープ・粉末スープ・かやく2袋) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、植物油脂、食塩、卵粉、植物性たん白、しょうゆ)、スープ(豚脂、香味調味料、豚・鶏エキス、かにエキス、しょうゆ、食塩、香味油、糖類、デキストリン、たん白加水分解物、植物油脂、蝦醤、かつおぶし粉末、とろみ粉末(でん粉、デキストリン、植物油脂)、香辛料、かつおエキス、にぼし粉末)、かやく(チャーシュー、たまねぎ、ねぎ)/ 加工デンプン、調味料(アミノ酸等)、増粘多糖類、かんすい、炭酸カルシウム、カラメル色素、酒精、炭酸マグネシウム、乳化剤、卵殻カルシウム、リン酸塩(Na)、香料、カロチノイド色素、酸味料、甘味料(スクラロース)、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に卵・乳成分・小麦・えび・かに・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
実食開始
別添の小袋は「粉末スープ」と「かやく」のみ “先入れ” で、かやくは中身が見えるほうにチャーシューを、もう片方の中身が見えない小袋にはフリーズドライのネギとタマネギをパッキングしたスタイル。お世辞にも具材が多いとはいえないものの、かなり粉末スープは魚介系の香りが強く、お湯を注いだ途端に主張してくる(ちょっと人を選ぶ感じの)磯臭い香りが個性的。
「液体スープ」だけは “後入れ” なので、お湯を注いでから4分間、フタの上で小袋を温めながら待ち、時間になったら “粉末スープを完全に溶かしてから液体スープを加える” のが作り方のポイント。濃厚なスープの雰囲気を再現するために、とろみ成分が粉末スープに仕込んであったので、溶け残りがないよう念入りに混ぜ合わせてください。
さて、やや具材のバリエーションに乏しい調理直後ではあるものの、かなり香りの密度は高く、同じ甲殻類でも海老とは違う芳ばしさが印象的な実食前。コンビニだと税込300円の商品なので、費用対効果も意識しながら「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(99g)あたり |
カロリー:362kcal たん白質:10.1g 脂 質:9.4g 炭水化物:59.2g 食塩相当量:7.7g (めん・かやく:2.7g) (スープ:5.0g) ビタミンB1:0.15mg ビタミンB2:0.22mg カルシウム:238mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:362kcal(めん・かやく:279kcal)(スープ:83kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
小麦感の強い低加水麺
店舗の「蟹そば」に使われている麺は、細めのストレート麺で加水率は低く、スープの持ち上げがいいとの評判。それを再現した明星食品のノンフライ麺も細めのストレート状に切り出され、加水率も低めに設定されているのですが、しなやかでありながらコシは強く、濃厚なスープを立てながらも埋没しない、なんとも絶妙なバランス感。
明星食品の公式ウェブサイトやパッケージにも記載されていませんが、明星食品の独自技術 “スーパーノンフライ製法” を駆使した麺で、その技術は表面や内部に発生する気泡の数・大きさを自在にコントロールし、多様な食感の麺を実現したもの。今回は低加水寄りのストレート麺なので、スープのベースになっている豚骨との親和性が高く、ふわっと鼻に抜ける小麦の香りもたまりません。
油揚げ麺もカップラーメンでしか味わえない独特の魅力を備えていますが、本格さを打ち出すことにおいては雑味のないノンフライ麺が上。麺の量は65gと多くはないけれど、実際の「蟹そば」もスープが薄まらないように “大盛りがない” ので、ある意味これも加点要素でしょうか。それは扨措いてもスープの満足度が高かったので、量の多い・少ないについては気にならなかったです。
スープ
ワタリガニのエキス配合は伊達じゃない
先入れの粉末スープには “とにかく強力なトロミ成分が含まれている” ので、まずは念入りに(最短でも40秒以上)かき混ぜて溶かすところから始めないといけないのですが、これ単体でも魚介の旨みは強く、しっかりと下支え。また調理中の香りは磯臭いと前述しましたが、そこまでアクの強い味ではありません。ただ、強烈なのは液体スープの中身。
それを混ぜ合わせた途端、中に含まれている成分が乳化して、一般的にネガティブとされるクセを抑えながらも濃厚な豚骨白湯を打ち出しつつ、なんのこれしき豚骨以上に強かったのがワタリガニの存在感。ワタリガニ以外の蟹エキスも使用しているようですが、いい意味で上品ではない、野生的なカニの旨みがガツンとくるワイルドなテイスト。
蟹の甲羅を擦り潰したような芳ばしさはもちろん、喉奥をスープが通過したあとに残る余韻はカニミソを彷彿とさせるベクトルで、身を楽しむためのカニとは違う「ワタリガニ」らしさを表現。あまりにワタリガニが強すぎるため、カツオや煮干しなどの海産物は下支えに過ぎず、かなり濃厚な豚骨も土台に徹しているようなフレームワークとなっているのですが、そのインパクトたるや革新的。
このブログでは人工的なトロミを由としない場合も多いのですが、ぽってりとした口当たりに負けないくらい、とても重心の低いテイストだったので、粘度の高さも不自然ではありませんでした。
具材
具材は仕方ないかな‥‥
実際の「蟹そば」には低温調理のレアチャーシューをはじめ、穂先メンマ、海苔、刻み玉葱の他、チャーシューの上にペースト状のホウレン草をトッピングしているのですが、再現度が高いといえるのはタマネギくらい。だいぶスープに振り切った商品だったので、致し方ないところも理解できますけど、チープな丸いチャーシューを筆頭に、税込300円の商品とは思えません。
しかし、フリーズドライのタマネギは意外とシャキシャキで、濃厚なスープに映えていました。今回はスープに重きを置いたブランドなので、具材については事前に割り切っておいたほうがいいでしょう。
総評
蟹×豚骨のインパクトと濃度に特化した商品だったので、具材は妥協しなければいけないポイントになりますが、小麦の香り豊かなノンフライ麺のクオリティは高く、なんといっても濃厚な蟹とんこつスープは必食の価値あり。さらに麺を食べ終えた後、お店の “雑炊” よろしく残ったスープに白ご飯を入れてみた結果——。
いや、まじで。ノンフライ麺で食べるよりも美味しいとか書いたら怒られそうですけど、濃厚なスープに白飯の甘さが重なって、より旨みの奥行き広がるような‥‥とにかく今回のカップ麺を食べる時には “絶対に試してほしい” 食べ方。手間でなければ鍋で一煮立ちさせた後、溶き卵・刻み海苔・ネギで仕上げると立派な一品になるので、ぜひ雑炊アレンジも検討してください【author・taka :a(大石敬之)】
ひさびさに当たりのカップ麺きました!