どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2021年6月28日(月)新発売、東洋水産(マルちゃん)のカップ麺「ごつ盛り きつねうどん」と「ごつ盛り 天ぷらそば」の実食レビューです。
「ごつ盛り」が即席カップめん市場の流れを変える!? 満を持す大判どんぶり型の和風カップ麺を2品同時に展開!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
ごつ盛り きつねうどん・天ぷらそば
ごつ盛りとは、マルちゃんのブランドで知られる東洋水産の即席カップめんブランドで、大盛りの麺量とバリエーションに富んだ “ごっつい大盛り” がコンセプト。稀に同社の「でかまる」と混同されますが、でかまるにはメーカー希望小売価格が設定されているのに対し、ごつ盛りはオープンプライスの廉価版なので、実際の販売価格には100円前後の差が生じています。
今回の新商品「マルちゃん ごつ盛り きつねうどん」及び「同 天ぷらそば」は、大判どんぶり型のカップを採用した和風麺の新作で、イメージとしては「ごつ盛り」よりも「赤いきつねうどん でか盛」及び「緑のたぬき天そば でか盛」を廉価版に落とし込んだような雰囲気。一見すると地味に思われるかもしれませんが、これって実は現在の即席カップめん市場の勢力図を狂わしかねない大事件——。
コロナ禍の影響で価格コンシャスなユーザーが増加したことを背景に、小売業界で一般的なHigh&Low(特売価格政策)とは一線を隠す価格戦略・EDLP(Everyday Low Price – 常時低価格販売政策)が再び注目を集めている昨今、その大きな社会情勢の変化による影響をピンポイントに受けたCVS(コンビニエンスストア)と即席カップめん業界。
もともとコンビニよりもEDLPに強いスーパーやドラッグストア、ディスカウントストアをメインに展開している「ごつ盛り」なので、定番の「ワンタン醤油ラーメン」や「コーン味噌ラーメン」「コク豚骨ラーメン」「豚骨醤油ラーメン」「塩担々麺」「ちゃんぽん」ほか、湯切りタイプの「ソース焼そば」と「塩焼そば」も揃えて常時販売している店舗も多く、そこに一石を投じてきた今回の新商品。
オープン価格の大盛り和風カップ麺といえば、明星食品の「旨だし屋」が台頭で、その売り上げはコロナ禍における購買層の変化で伸長を見せている現在。満を持して発売された「ごつ盛り」の「きつねうどん」及び「天ぷらそば」は、それに対抗し得る脅威といっても過言ではなく、場合によっては自社を代表するロングセラー「赤いきつね」及び「緑のたぬき」をも喰いかねない展開。
実は以前にも和風カップ麺を展開していた「ごつ盛り」ですが、いずれも同ブランドのカップラーメンに採用している大盛りバケツ型からのリリースだったので、おそらく大判どんぶり型での商品化は初の試み。なおかつ「ごつ盛り」のスポット商品には例外なく記載されている “期間限定の文字がない” ため、新たな定番商品として開発されたことを意味しているといっても過言ではありません。
2021年7月現在、販売店を限定しないNB(ナショナルブランド)商品ではありますが、販売エリアは “甲信越・関東” となっているので、まずは特定の地域に絞り、手応えを確かめようとしている東洋水産。筆者は西日本在住なので、まだ最寄りのスーパーには売ってない状況でしたが、イトーヨーカドーのネット通販サイト「オムニ7」での取り扱いを確認。
送料・手数料は別途必要になりますが、本体価格は「きつねうどん」「天ぷらそば」ともに98円(税込105円)で、大盛り商品としては格安の値段。おそらく甲信越・関東のスーパーやドラッグストアでも税込100円前後かと思いますし、今後の売り上げ次第で販売地域も拡大されると思うので、既存の「赤いきつねうどん でか盛」及び「緑のたぬき天そば でか盛」と比較しながら特徴を解説していきます。
開封
「ごつ盛り きつねうどん」に別添されている小袋は、先入れの「粉末スープ」が1袋。たとえば「赤いきつね」で定番のタマゴやカマボコは入っていませんが、お揚げはドーンと大きめで、廉価版ながらに頼もしい雰囲気。ちなみに「赤いきつねうどん でか盛(めん100g)」には油揚げが2枚なのに対し、こちらは油揚げ1枚と麺量は86gなので、なるほど明白なコスト調整が見られます。
「ごつ盛り 天ぷらそば」に別添されている小袋も後入れの「粉末スープ」が1袋、通販サイトを経由したせいで天ぷらが割れていますが、念のため3つ買った商品のうち “いちばんマシな個体がコレ” だったのでw 税込105円ですし、由としましょう。こちらも「緑のたぬき天そば でか盛(めん100g)」に入っているカマボコは不採用で、天ぷらのサイズも比較的に小さく、麺量も84gに減らしてありました。
さらに前述の「明星 旨だし屋 きつねうどん 大盛」及び「同 天ぷらそば 大盛」との違いも気になるところではあるものの、それはそれとして後日、あらためて比較しようと準備しておりますので、このページでは引き続き「ごつ盛り」を中心に掘り下げていきます。
製品詳細情報・購入価格等
ごつ盛り きつねうどん | ごつ盛り 天ぷらそば | |
販売者 | 東洋水産 | 東洋水産 |
製造所 | 酒悦 房総工場 | 酒悦 房総工場 |
内容量 | 108g(めん86g) | 114g(84g) |
JAN | 4901990369022 | 4901990369046 |
発売日 | 2021年6月28日 | 2021年6月28日 |
発売地域 | 甲信越・関東 | 甲信越・関東 |
取得店舗 | オムニ7 | オムニ7 |
購入価格 | 105円(税込) | 105円(税込) |
小売価格 | オープン価格 | オープン価格 |
麺の種類 | 油揚げ麺 | 油揚げ麺 |
スタイル | 大判どんぶり型 | 大判どんぶり型 |
容器材質 | プラ(PS) | プラ(PS) |
湯量目安 | 570ml | 570ml |
調理時間 | 熱湯5分 | 熱湯3分 |
小袋構成 | 1袋(粉末スープ) | 1袋(粉末スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【ごつ盛り きつねうどん】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、食塩、植物性たん白、乾燥酵母、卵白)、かやく(味付油揚げ)、添付調味料(食塩、魚介エキス、しょうゆ、砂糖、たん白加水分解物、こんぶエキス、香辛料、ねぎ、植物油)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、リン酸塩(Na)、炭酸カルシウム、レシチン、増粘多糖類、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンE)、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・さば・大豆・ゼラチンを含む) |
【ごつ盛り 天ぷらそば】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、そば粉、植物油脂、植物性たん白、食塩、とろろ芋、卵白)、かやく(小えびてんぷら)、添付調味料(砂糖、食塩、しょうゆ、魚介エキス、たん白加水分解物、ねぎ、香辛料、植物油、香味油脂)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、カラメル色素、リン酸塩(Na)、増粘多糖類、レシチン、酸化防止剤(ビタミンE)、クチナシ色素、香料、ベニコウジ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、香辛料抽出物、(一部にえび・小麦・そば・卵・さば・大豆・豚肉・やまいも・ゼラチンを含む) |
実食開始
【ごつ盛り きつねうどん】栄養成分表示[1食(108g)あたり]カロリー 492kcal(めん・かやく 454kcal / スープ 38kcal)、たんぱく質 11.4g、脂質 22.7g、炭水化物 60.4g、食塩相当量 7.1g(めん・かやく 2.6g / スープ 4.5g)、ビタミンB1 0.30mg、ビタミンB2 0.39mg、カルシウム 194mg |
まずは「ごつ盛り きつねうどん」の調理直後、お揚げ1枚のシンプルな見た目に仕上がりますが、レギュラーサイズの「赤いきつねうどん(めん74g)」よりも大盛りで、なおかつ税込105円でも購入できるコストパフォーマンスの高さが魅力。ちなみに湯戻し時間は熱湯5分に設定されているため、それについては既存の「赤いきつね」と共通のポイント。
【ごつ盛り 天ぷらそば】栄養成分表示[1食(114g)あたり]カロリー 548kcal(めん・かやく 490kcal / スープ 58kcal)、たんぱく質 12.5g、脂質 27.6g、炭水化物 62.4g、食塩相当量 6.7g(めん・かやく 1.7g / スープ 5.0g)、ビタミンB1 0.41mg、ビタミンB2 0.41mg、カルシウム 194mg |
続けて「ごつ盛り 天ぷらそば」の調理直後、メインの天ぷらは割れていましたが、日清食品の「どん兵衛」に別添されている後入れの天ぷらと違い、マルちゃんの「緑のたぬき」は先入れの天ぷらを崩しながら食べるのも一興なので、致命的な問題ではありません。つゆの香りは鰹が強く、やや濃いめの色に仕上がったので、やはり甲信越・関東向けのテイストなのでしょうか——。
ちなみに製造所は「きつねうどん」「天ぷらそば」ともに酒悦(しゅえつ)の房総工場となっていますが、酒悦は1983年(昭和58年)7月から東洋水産の商品も製造している連結子会社なので、カップ麺に関してはマルちゃんの工場という認識で問題ありません。それでは、引き続きコストパフォーマンスの高さに注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
「赤いきつね」「緑のたぬき」と同等の品質
「ごつ盛り きつねうどん」は「赤いきつねうどん でか盛(めん100g)」と比較して麺量86gに減らしてあると前述しましたが、原材料名の構成は「赤いきつね」シリーズと完全に一致。もしかすると配合を調節している可能性もありますが、ふっくらとした口当たりや適度なコシ、幅・厚みなど、質については「赤いきつね」の油揚げ麺と遜色ありません。
「ごつ盛り 天ぷらそば」も「緑のたぬき天そば でか盛(めん100g)」と比較して麺量84gに調整してありますが、こちらも原材料名の構成は「緑のたぬき」シリーズと完全に一致。日清食品の「どん兵衛」が誇るストレート製法の蕎麦(ぴんそば)とは一線を隠す、とろろ芋を練り込んだ昔ながらの縮れ麺で、その変わらないインスタントらしさこそが多くのファンに支持されている理由の一つ。
ごつ盛りサイドに引っ張られ、量を確保するために質を下げてくるのかと思いきや、なんのなんの。どちらも既存の「でか盛」と比較して麺の量こそ控えめですが、もちろんレギュラーサイズよりも多く、立ち位置としてはオープン価格の廉価版なのに、その品質は既存の「赤いきつね」と「緑のたぬき」に匹敵する一級品でした。
スープ
きつねうどん=関西風、天ぷらそば=関東風
「ごつ盛り きつねうどん」の販売エリアは甲信越・関東と前述しましたが、粉末スープの味は「赤いきつねうどん(関西限定)」に近く、昆布と鰹の出汁(だし)を中心に、東向けよりも醤油のエッジは控えめで、西向けよりも煮干しの風味を抑えているようなテイスト。さらに昆布の旨みを強調したら、北海道限定の「赤いきつね」に近付くような雰囲気。
既存の「東向け」「西向け」「北海道限定」「関西限定」と完全に一致する原材料名はありませんでしたが、ひとまず「赤いきつね」の流れを汲んでいることは間違いなく、廉価版の粉末スープにありがちな化学調味料特有のピリピリとした刺激も控えめで、悪い意味での安っぽさは微塵も感じられません。
対して「ごつ盛り 天ぷらそば」の粉末スープは「緑のたぬき天そば(東向け)」に近く、きつねうどんよりも荒削りの雑節を軸に、関西・西日本向けの味付けよりも醤油のエッジをキリッと立たせ、蕎麦の風味を引き立てます。こちらも化学調味料特有のピリピリとした刺激は比較的に控えめで、悪い意味での廉価版らしいチープさは感じませんでした。マルちゃん、恐るべし。
具材
具材も「赤いきつね」と「緑のたぬき」を踏襲
「ごつ盛り きつねうどん」に搭載されている油揚げは、レギュラーサイズの「赤いきつね」に使われている1枚お揚げと同じくらいの大きさで、ふっくらジューシーな食感と甘めの味付けにホッとします。また廉価版とは思えない食べ応えも然る事乍ら、甘い味付けが粉末スープに染み出すことで、つゆの深みが格段にアップするのもポイント。
「ごつ盛り 天ぷらそば」に搭載されている天ぷらは、既存の「緑のたぬき」に使われている天ぷらと同じように、赤い揚げ玉とアオサ入りの揚げ玉をトッピングするだけでなく、なんと本物の小海老天も使用。サイズこそ「でか盛」の大きな天ぷらには及びませんが、こちらも天ぷらの芳ばしい風味とコクが全体に染み出して、粉末スープだけでは表現できない豊かな奥行きを打ち出していました。
粉末スープに仕込んであったネギに特筆すべきポイントはなく、七味唐辛子も別添されていませんが、なんのこれしき「めん」「スープ」と同じく質については上等で、物足りなさを感じることはなかったです。
総評
高くても「赤いきつね」や「緑のたぬき」がいい! という方にはオススメできない商品になりますが、場合によっては各「でか盛」と同じ値段で「ごつ盛り」が2個も買えてしまう費用対効果は凄まじく、ほぼほぼ文句の付け所が見当たりません。とはいえ販売エリアを限定したからこその品質だとしたら‥‥という疑問が引っかかったので、星ひとつマイナスしましたが、このブログで「★6」は超高得点。
次は品質を維持したまま全国展開に乗り出すのか、それとも「赤いきつね」「緑のたぬき」よろしく “西向け・東向け” と味を変えてくるのか、全国展開を機に中身も変わってしまうのか——。ひとまず今回の完成度とコストパフォーマンスの高さから察するに、なんの動きもなく数量限定で販売終了というオチはないと思うので、今後の動向に注目です【author・taka :a(大石敬之)】