どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年8月28日(月)に販売エリアを拡大した、東洋水産のカップ麺「激めん ワンタンメン」の実食レビューです。
北海道工場直送じゃない「激めん」は○○が違う!? 発売45周年を記念して販売エリアを全国に拡大したマルちゃん、それに伴い生じた “北海道外” での変化とは——。
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
激めんワンタンメン +M11 / 2023
激めんとは、1978年(昭和53年)11月の発売以来、北海道では “やき弁” こと「やきそば弁当」に次ぐソウルフードとしての地位を確立している、東洋水産(TOYO SUISAN KAISHA, LTD.)製造の即席カップめんブランドで、名前の由来にもなった「激しく生きてほしい」という若者へのメッセージと「ボリュームのあるワンタンが入った、感 “激” するウマさ」がコンセプト。
その発売当初、1977年12月14日にアメリカで、翌年7月22日には日本でも公開されて話題になった映画『サタデー・ナイト・フィーバー』のブームに肖り、ジョン・トラボルタばりの白い衣装に身を包んだ “ミッチー” こと三橋美智也さんが「激れ!」と檄を飛ばすテレビCMを大々的に放映するなど、一世を風靡したこともある「激めん」ですが、近年は北海道のローカル商品に位置付けられています。
しかし、2023年11月に発売45周年を迎えることを記念して、北海道を中心とする “中京以東” で販売していた「激めん ワンタンメン」の販売エリアを全国に拡大した東洋水産。さらに、一足早く発売45周年を迎えた「赤いきつねうどん」とのコラボ商品「激めん きつねラーメン」を投入することで、さらなるブランドの強化と話題性の喚起を狙ってきました。
2019年9月23日発売の全国版「激めんワンタンメン えびみそ味」は、いつの間にか販売エリアを “中京以東” に切り替え、しれっと定番化。2021年9月27日発売の「同 スタミナ旨辛醤油」は、2023年8月現在も当初の計画通り “名古屋以東(北陸含む)” での販売となっているため、現時点で全国販売が決まったのは定番の「激めん ワンタンメン」だけなのですが、これが初のエリア拡大ではありません。
遡ること「激めん ワンタンメン」が発売40周年を迎える直前、2018年10月1日の話。それ以前は “静岡県以東” で販売していた「激めん ワンタンメン」をリニューアルすると共に販売エリアを全国に拡大し、あわせて全国向けの新作「激めんワンタンメン みそ」と「同 豆乳担担麺」を市場に投下。翌年9月23日には、定番の「激めん ワンタンメン」と「同 豆乳担担麺」(現在終売)をリニューアル。
「激めんワンタンメン みそ」は、新フレーバーの「同 えびみそ味」に生まれ変わり、計3品の発売地区は “全国” となっていました。それ以前にも何度か全国販売を実施しているため、今に始まった事ではないのですが、基本的に東洋水産の北海道工場(北海道小樽市銭函5-61-1)で製造している「激めん ワンタンメン」を西日本に運ぶためには費用が掛かる、というのがエリア限定商品に戻ってしまう所以。
その解決策として、約5年前に販売エリアを拡大した際には、西日本エリアで販売する「激めん ワンタンメン」の製造をグループ会社の伊万里東洋(佐賀県伊万里市山代町楠久929-53)に委託し、北海道からの輸送費(物流コスト)を抑えていました。ちなみに私は当時から近畿エリア在住なので、伊万里東洋が製造した「激めん ワンタンメン」を食べたことがあります。
北海道工場で製造された「激めん ワンタンメン」も過去に実食済みですが、北海道工場で製造された麺と比較して、伊万里東洋の麺は時間の経過に対する耐久性が乏しく、食感や風味についても別物。それがスープに与える影響も皆無とは言い切れず、どうにも伊万里東洋版は残念に思えてなりませんでした。そして、いま手元にある「激めん ワンタンメン」には、5年前にも見た “+M11” の文字——。
開封
賞味期限の右下に表示されている英数字は、製造所の所在地や製造者の名称を特定するために必要な情報で、これを「製造所固有記号」といいます。東洋水産の場合、+M2の表示があれば「北海道工場(北海道小樽市銭函5-61-1)」で製造されたことを意味するのですが、+M11の表示が意味するのは伊万里東洋の所在地、つまり5年前のトラウマががが。
タイミングよく北海道工場の「激めん ワンタンメン」は手に入らなかったのですが、兵庫県のスーパーで購入した45周年記念の「激めん きつねラーメン」は製造所固有記号が “+M2” となっていたので、それと “+M11” の油揚げ麺(上記画像の向かって左側)を並べてみたところ、おわかりいただけますでしょうか‥‥。ええ、パッと見は大差なく感じられるでしょう。
しかし、よく見ると伊万里東洋のほうがシュッとしてハリがある感じというか、少し細身の形状で、北海道工場で作られた麺ほど厚みはありません。以前、その違いについて東洋水産に問い合わせてみた結果「北海道で工場した商品と同じ仕様です」「レシピなどに変更はありません」の一点張りだったんですけど、んなわけあるかいw ってくらいの体感差は生じていたので、引き続き不安な気持ち。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:激めん ワンタンメン 販売者:東洋水産株式会社 製造者:伊万里東洋株式会社 製造所:佐賀工場(佐賀県伊万里市山代町楠久929-53) 内容量:92g(めん60g) 商品コード:4901990364263(JAN) |
発売日:2023年08月28日(月) 実食日:2023年08月31日(木) 発売地域:全国 取得店舗:スーパー 小売価格:236円(税別) 購入価格:159円(税込) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:標準どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:2袋(粉末スープ・かやく調理品) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、ポークエキス、香辛料、卵白、粉末野菜)、かやく(ワンタン、味付メンマ、なると、香辛料)、添付調味料(食塩、しょうゆ、たん白加水分解物、砂糖、香辛料、粉末野菜、酵母エキス、こんぶエキス、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、炭酸カルシウム、かんすい、増粘多糖類、酸化防止剤(ビタミンE)、クチナシ色素、ベニコウジ色素、酸味料、香辛料抽出物、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
別添の小袋は「粉末スープ」のみ先入れで、開封時の香りは北海道工場の「激めん ワンタンメン」と変わりません。ちなみに容器側面の調理方法には “粉末スープを麺の上にあけ、熱湯をワンタンの上から内側の線まで-・” と記載されているのですが、ごろごろとワンタンが転がっているので、粉末スープを麺の上に‥‥ここらへんが正解か? などと。
そんなことを考えながら熱湯を注ぎ、フタをして3分後。よく混ぜ合わせ、仕上げに「かやく調理品(メンマ)」をトッピングしたら完成です。どうですか(別に私が考案したわけではないですけど)、たっぷりのワンタンに、本格的なレトルトのメンマの存在感たるや。正直、かやくだけ評価するなら問答無用で「★7」確定ですよ。
しかし、製造者は5年前にトラウマを植え付けてきやがった伊万里東洋。JANコードは北海道工場の「激めん ワンタンメン」と同じなので、原材料名やカロリーなどの栄養成分表示も完全に一致するのですが、はたして仕上がりや如何に。引き続き北海道工場との違いに注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(92g)あたり |
カロリー:393kcal たん白質:8.3g 脂 質:18.8g 炭水化物:47.7g 食塩相当量:5.3g (めん・かやく:1.7g) (スープ:3.6g) ビタミンB1:2.51mg ビタミンB2:0.24mg カルシウム:129mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:393kcal(めん・かやく:362kcal)(スープ:31kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
なよなよしてんだよなぁ‥‥
北海道工場の「激めん ワンタンメン」に使われている油揚げ麺は、ふかふかとした弾力が楽しめるのに対し、伊万里東洋の「激めん ワンタンメン」に使われている油揚げ麺は “5年前と同様に、食べ始めから伸びているような” 頼りない食感で、コシもへったくれもありません。撮影に手間取ったからじゃねーの? などと思われるかもしれませんが、念のため撮影せずに調理したパターンも実食済み。
調理前は本家と似たような雰囲気を醸していましたが、いざ熱湯を注ぐと違いは歴然で、ノスタルジックとかエモいとか、そういうことじゃなくて単純に安っぽい。揚げ油に由来する風味についてはロット差もあると思いますけど、北海道工場の油揚げ麺ほどコクのある風味ではないですし、口当たりについても別物。
原材料名の「小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、ポークエキス、香辛料、卵白、粉末野菜」という構成に違いはないけれど、気温や湿度の問題なのか、使用している小麦粉が違うのか、そもそもの設備に差があるのか、とにもかくにも頼りない。これによって全体の雰囲気が大きく異なるので、指導するなり何なり、ちゃんとしてほしいです。
スープ
基本は北海道と同じ
油揚げ麺から滲み出てくる風味のベクトルが違うため、北海道工場よりもスッキリとした印象を受けますが、ちょっと強めに主張してくる生姜のキレだったり、ガーリックと胡椒のパンチだったり、クラシカルで気取らない「激めん」らしいテイストは漏れなく踏襲しています。正直、まったく高級感はありません。でも、それがいいと思える昔ながらの普遍的な味わい。
油揚げ麺における大きな表情の違いから、ちょっと洗練されたようにも感じますけど、麺ほど劇的な差は生じていません。ちなみに2019年9月23日のリニューアルにおいて、スープに関するテコ入れはなかったと記憶しています。
かやく
文句の付け所が見当たらない
メインのワンタンはトゥルットゥルの口当たりで、エースコックの「ワンタンメン」シリーズ(袋麺を除く)に有り勝ちな、どうにも皮や餡が戻り切らない的なトラブルも皆無。メンマは柔らかめの食感で、しかしながら適度に繊維質を残し、風味もリアル。大きめのナルトも目を引くアイテムで、具材から得られる感動は、北海道工場の「激めん ワンタンメン」に劣りません。ただ‥‥
最初に食べた個体のワンタンは5個、ナルトの数は1枚だったのに対し、別の個体ではワンタンが4個、ナルトが4枚だったので、重量判定による体感差は否めません。さらに、どこに忘れてきたのか餡なしワンタンが入っていることも珍しくないため、けっこうガチャ要素あります。
総評
あまりローカル商品は評価したくないのですが、北海道工場の「激めん ワンタンメン」に点数を付けるなら最低でも上出来の「★5」は確定で、このブログでは大きな「★6」の壁をも打ち破ってくれるレベルの名作です。しかし、伊万里東洋の「激めん ワンタンメン」から受ける印象は別物で、オープン価格の廉価版とまではいいませんけど、この油揚げ麺どうにかなりませんかね?
中京以東エリア分は、引き続き北海道工場で製造しているのかもしれませんけど、ぶっちゃけ「激めん」は “北海道を中心に愛されている、ローカル商品だからこその価値” があると思うので、無理に販売エリアを拡大する必要はないと思います。それでも全国展開したいのであれば、期間限定で構わないので、きちんと北海道工場で製造した個体を西日本まで運んでください【author・taka :a(大石敬之)】