どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年11月19日(火)新発売のレンジ麺、ファミリーマート「麻婆味噌ラーメン」の実食レビューです。
ジェネリック二郎の次はジェネリック中本!? ファミマに “中本インスパイア” としか思えない蒙古タンメン風の辛い味噌ラーメン爆誕!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ入りチルド麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
中本風レンジ麻婆味噌ラーメン
蒙古タンメン中本(もうこタンメンなかもと)とは、東京都板橋区常盤台に上板橋本店を構える “からうまラーメン日本一” の名店で、実店舗の人気もさることながら、コンビニで販売されているカップラーメンにも根強いファンが多いことで有名です。企業間コラボ商品も定期的に開発されているのですが、まずファミリーマートで販売されることはありません。
しかし、今回の新商品「レンジ麻婆味噌ラーメン」は、ファミリーマートの公式ウェブサイト曰く “辛さのきいたコクのある味噌ラーメンスープに、辛みのある豆腐たっぷり麻婆あん、野菜炒め、豚肉炒めをトッピングしました” とのこと。そのコンセプトをはじめ、イメージ画像も一見して明白に「蒙古タンメン」を意識しているとしか思えない写真を掲載しています。
「蒙古タンメン」とは、実店舗の屋号「蒙古タンメン中本」の由来にもなっているグランドメニューで、創業者・中本正氏(先代)が1968年9月12日に開業した「中国料理 中本」(蒙古タンメン中本の前身)から続く伝統的な辛旨ラーメンのこと。もともと辛い食べ物が好きだった先代が考案し、現在の2代目店主・白根誠(しらね まこと)社長が先代から直々に伝統の味を受け継ぎました。
1968年の創業当時、実はウクライナの伝統的な料理「ボルシチ」をメインとする「中国料理 蒙古風 ボルシチの店 中本」として開業。その後も初期は一般的な中華料理などを提供していたそうですが、試しに辛いメニューを提供してみたところ評判が良かったようで、オープンから1年後には「味噌タンメン」や「蒙古タンメン」が正式に商品化されたようです。
(Special thanks:er34d1)
上記の写真が現在の実店舗で提供されている「蒙古タンメン」で、構造としては辛さが控えめな「味噌タンメン」に写真左奥の「辛子麻婆(麻婆豆腐)」をトッピングしたような状態。公式が表示している辛さレベルは「味噌タンメン」が辛さ3、「蒙古タンメン」は辛さ5。さらに激辛で名高い「北極ラーメン」の辛さレベルは9で、倍増し注文なしの最強「冷やし味噌」がMAXの辛さ10。
蒙古(もうこ)という単語は一般的に、シベリアと万里の長城の間に位置する “モンゴル高原” を指す呼称ですが、中本における蒙古風とモンゴル風は特に関係ないらしく(※以前に白根社長が関連性を否定)、「北極ラーメン」も旧商品名「チャージャーメン」から “寒い地域の人は身体を温めるために辛いものを食べるだろう” というイメージが転じて客が呼び始めたもの。
「樺太丼(からふとどん)」も北海道の北に位置する半島のサハリン(樺太)に由来しているのですが、そろそろ話をチルド商品に戻しましょう。丼物といえば、2010年9月にチルド弁当「蒙古タンメン中本監修 蒙古丼」をセブンイレブンが発売。また、2009年9月25日~10月22日までの期間中に、蒙古タンメンのレンジ麺「有名店の味『中本』監修 蒙古タンメン(辛口)」を販売しています。
他にも2010年7月13日発売「蒙古タンメン中本監修 冷し肉醤麺(つけ麺)」や2010年10月22日発売「三強タッグ せたが屋×一風堂×中本 ピリ辛濃厚豚骨タンメン」など、何度かセブンイレブンが中本関連のチルド商品を出しているのですが、ここ最近の主食系監修商品といえば日清食品の即席カップ麺とカップメシくらい。中本お膝元のセブンイレブンでさえ、ながらくレンジ麺を出していません。
開封
そんな中、怖いもの知らずとも思える今回の新商品「麻婆味噌(マーボーみそ)ラーメン」を企画・販売してしまったファミリーマート。もちろん商品名やパッケージに “蒙古タンメン中本” の文字は見当たりませんが、味噌タンメン風の味噌ラーメンに蒙古麻婆を思わせる麻婆餡(あん)をトッピングしている今回、ちょっと特殊な構造になっています。
麺は茹で中華麺で、その麺が伸びないようにゼラチンで固めたスープが麺の下に仕込んである、というのは定番の構造ですが、具材(麻婆あん・野菜炒め・豚肉炒め)と麺の間に透明なシートが敷いてある、というのが単純に温めるだけのコンビニラーメンと違うポイント。加熱後は赤い部分をつまみ、フィルム上の具材を麺とスープの上に滑らせなければいけません。
ちなみに今回は撮影のために予備の商品を開封していますが、基本的に “調理前の開封は御法度” です。特に今回の「麻婆味噌ラーメン」の外装は帯状のフィルムではなく、ラップ状の透明なフィルムで全体がピッチリと密閉されていると思うので、かならず “加熱調理後に開封” してください(※念のため調理後のレビューには未開封の商品を使用します)。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:レンジ麻婆味噌ラーメン 製造者:株式会社ジョイアス・フーズ 製造所:京都工場(京都府久世郡久御山町市田大領2-8) 内容量:-(記載なし) 商品コード:2008121325116 発売日:2019年11月19日(火) |
麺の種類:茹で中華麺 スタイル:カップ入りレンジ調理麺 容器材質:プラ 調理時間:電子レンジ500W・5分 / 1600W・1分40秒 小袋構成:-(別添なし) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】辛口スープゼラチン、ゆで中華麺、麻婆豆腐、野菜炒め(もやし、キャベツ、にんじん、玉ねぎ、植物油、調味料)、豚肉炒め / 増粘剤(加工デンプン、増粘多糖類)、調味料(アミノ酸等)、pH調整剤、酒精、かんすい、豆腐用凝固剤、着色料(カラメル、クチナシ、カロチノイド)、乳化剤、香料、酸化防止剤(V.E、V.C)、酸味料、(一部にえび・小麦・卵・落花生・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む)※当工場では、そば・卵を含む製品を生産しています。 |
実食開始
ファミリーマート標準価格はワンコイン以下の462円(税込498円)、カロリーは1包装あたり571kcalと標準的な値。ただ、コンビニのレンジ麺は消費期限の短いデイリー食品につき、製造者は地域ごとに違う専用の協力工場が担当しているため、北近畿ファミリーマートの製造者は「株式会社ジョイアス・フーズ 京都工場」となっていますが、地域によって製造者(企業)は異なります。
製造者が違うということは、それぞれの培ってきた製麺技術も違うため、もしかすると麺の仕上がりや味付けに地域差が生じるかもしれません。ちなみに発売地域は、「東北・関東・東海・北陸・関西・中国・四国・九州」限定となっていたので、残念ながら北海道と沖縄には売ってないようですが、しっかり「蒙古タンメン中本」の本店がある東京もエリア内ですね。
さて、加熱方法は電子レンジ専用、加熱時間の目安は家庭用の電子レンジ(500W)で5分00秒。間にあるフィルムを引き抜く時は、くれぐれも火傷に注意してください。それでは、パッケージに “辛みの苦手な方はご注意ください” という警告文も小さくあったので、辛さレベルと再現度に注目しつつ、「めん」「スープ・麻婆あん」「具材」の特徴を解説し、レンジ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1包装当り(推定値)
カロリー:571kcal |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
サイズは中太〜やや太麺寄りで、形状は角の立たない角断面。麺をすすり、噛むと鼻を抜ける小麦の風味は中本のカップラーメン(油揚げ麺)のレベルを余裕で超えているのですが、たとえばセブンイレブンのレンジ麺(当地域の製造者は「株式会社武蔵野 京都工場」が担当)と比較した場合、だいぶ弾力の軽さが気になります。
四隅にピンと立った輪郭はなく、ゆるめに縮れが施されていて、穏やかな口当たり。その口当たりは悪くないのですが、どうにも軽い “ふかふか” とした食感が目立っていて、ひと昔前のコンビニラーメンを想起させるような——と、そう考えたらノスタルジアに浸れるというか、これはこれで趣があっていいかもしれないけれど、最近のコンビニのレンジ麺は基礎水準が飛躍的に上がっていますからね。
ジョイアス・フーズはファミリーマートの主要取引先で、日清製粉グループの一員でもあり、中太サイズの黄色味がかった三層麺は比較的にクオリティが高いのですが、現状ちょっと太麺に弱いメーカーかもしれません。それから加熱直後は麺がほぐれていなかったので、うっかりスープがこぼれないように、ゆっくりとスープの中で麺をほぐしてからリフトしてください。
スープ・麻婆あん
間にあるシートを引き抜いた瞬間、土台のスープに野菜や豆腐から滲み出た水分が行き渡り、具材の旨みがスープに溶け込む渾然一体の魅力がタンメンらしさを演出。麻婆餡を全体に溶かしてしまう前の辛さレベルは、だいたいピリ辛ちょい上〜中辛程度・辛口未満。やはり辛さのイメージとしては、蒙古タンメン中本の門扉「味噌タンメン」といったところ。
味噌ダレは塩分濃度の低い柔らかな白味噌を軸に据え、ファミリーマートが得意とする乳化感の強い豚骨白湯で溶いたような味わい。実店舗の「味噌タンメン」も札幌の味噌ラーメン(純すみ系)のような濃厚タイプではなく、比較的に淡麗系ですが、さらに赤味噌を引いてポークエキスを強化し、すりごまと刻みニンニクのパンチでスタミナをつけているようなフレームワークです。
そして「辛子麻婆(蒙古麻婆)」にインスパイアされたと思われる麻婆餡は、明らかに土台のスープよりも辛く、ファーストインプレッションの辛さレベルは中辛以上・大辛未満。刺激は赤唐辛子の辣味(辛さ)のみで、一般的な麻婆豆腐に必須の花椒(かしょう)による麻味(痺れ)はなく、四川風の麻婆豆腐とは違うのが特徴。
しっかり大きく混ぜた後は、土台の味噌や豚骨が麻婆餡のコクをサポートし、麻婆餡がスープの辛さを補強。さらに具材の野菜や肉から滲み出る旨味がスープ全体に広がって、肉・野菜の旨味が浸透した味噌タンメンスープに辛し麻婆豆腐が交わる様は、さしずめ眉唾物ではありません。
最終的な辛さレベルは、本家の尺度を借りて「4(味噌タンメン以上、蒙古タンメン以下)」前後といったところ。ただし、辛い食べ物が苦手な方は地味に苦戦する辛さになると思うので、カップラーメンの「セブンプレミアム 蒙古タンメン中本 辛旨味噌」くらいの辛さをイメージしてください。
具材
上記写真の豆腐にハッキリと布の痕跡が残っているように、タイプは絹ごし豆腐ではなく木綿(もめん)。すでに加熱調理済みの麻婆味噌を500Wの電子レンジで加熱し直すわけなので、いわゆる加熱しすぎちゃった豆腐ど真ん中ではあるものの、なかなかのボリュームで食べ応えあり(※ただし手作業で調理しているため、豆腐が少なめのハズレもありました)
豚肉はバラで統一されているわけではなく、ロースやモモなど不特定多数の部位をランダムに混ぜた切り落としっぽいイメージで、やや豚肉特有の臭みが残っています。ただ、その野趣に富んだ風味も今回の辛いスープに対して悪くないと思えたり、意外と8切れくらい入っていたりと好印象。ただし、豆腐の解説末尾でも触れたように数や部位には個体差が生じるかもしれません。
野菜はキャベツ、人参、もやし、玉ねぎの4種類で、残念ながら「蒙古タンメン」に入っているキクラゲは不在でしたが、もやしが何気に多く、玉ねぎの甘みが辛うま味噌スープにベストマッチ。いずれも歯触りは煮込まれた感が満載なので、あまり食感を楽しむことはできなかったけれど、それは再現度の高さに貢献している項目でもあり、多めの豆腐を筆頭に物足りなさは感じませんでした。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5+)
“もしファミマが独断で「蒙古タンメン」をアレンジしたら——” そんな仕上がりだったので、「中本インスパイア」認定しても差し支えないと思います。2019年11月23日現在、競合他社のローソンやミニストップ、さらに本家の膝下に位置するセブンイレブンにも “味噌タンメン” と “辛子麻婆豆腐” を組み合わせたレンジ麺は存在しませんが、これを皮切りに本家が腰を上げるかもしれません。
もちろんセブン&アイグループと蒙古タンメン中本の2代目店主・白根社長が本気を出した場合、ファミマの「麻婆味噌ラーメン」は叩かれるかもしれませんが、いうなれば “本家の尻を叩きかねない挑戦状” といっても過言ではない今回の新商品。あえて避けられていたような市場の火蓋を切って落としたファミリーマートには敬意を表したいですし、商品の味もよく、今後のコンビニ情勢が楽しみになりました。